2012年06月12日

Full Moon『Full Moon』

Buzz Feiten、Neil Larsenらによる"早すぎたクロスオーヴァー・サウンド"☆Full Moon『Full Moon』
フル・ムーン(紙ジャケット仕様)
発表年:1972年
ez的ジャンル:AOR/フュージョン前夜系クロスオーヴァー
気分は... :当たって砕けろ!

今回はLarsen-Feiten Bandでお馴染みのBuzz FeitenNeil Larsenが70年代前半に組んでいたグループFull Moonのアルバム『Full Moon』(1972年)です。

AOR/フュージョン好きにはお馴染みのグループLarsen-Feiten Band関連の作品は、当ブログでも1st『Larsen-Feiten Band』(1980年)、2ndFull Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten『Full Moon』(1982年)の2枚を紹介済みです。後者は新生Full Moon名義の作品ですが、実体としてはLarsen-Feiten Bandの2ndアルバムという扱いではないかと思います。

そんなBuzz FeitenとNeil Larsenの2人が組む原点となった作品が本作『Full Moon』(1972年)です。この時のFull Moonのメンバーは、Buzz Feiten(g、vo)、Neil Larsen(key)、Fred Beckmeier(b)、Phillip Wilson(ds、vo)、Brother Gene Dinwiddie(sax、fl、vo)の5名です。Neil Larsen以外のメンバーは、Paul Butterfield Blues Band時代からの仲間であり、そこにNeilが加入したかたちです。

そんな5人が創り上げたクロスオーヴァー作品が『Full Moon』(1972年)です。

ロック好き、ソウル好き、ジャズ好きを一手に引き受けてしまったようなサウンドは、まさに"早すぎたクロスオーヴァー・サウンド"という気がします。ロック、ファンク、ソウル、ジャズ、ラテン/ブラジルのエッセンスを融合し、きちんと自分たちの音にしてしまうところが流石です。

ただし、Larsen-Feiten Bandのイメージを期待して聴くとギャップがあるかもしれません。『Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten』(1982年)はFull Moon名義の作品ですが、同じFull Moonでも全く異なるグループという捉え方をした方がいいのでは?

メンバー以外にAirto Moreira(per)、Ray Barretto(per)、Randy Brecker(tp)、Dave Holland(b)がゲストとして参加しています。

ラテン/フュージョン好きであれば「Malibu」「Midnight Pass」、フリーソウル好きであれば「Need Your Love」あたりが聴きどころだと思います。

早すぎたクロスオーヴァー・サウンドは商業的には不発に終わり、NeilとBuzzもそれぞれスタジオ・ミュージシャンの道を歩んでいくことになります。そして、70年代後半に再合流した2人はLarsen-Feiten Bandを結成することになります。

曲数は少ないですが、曲ごとに色が異なり、そのバラエティ感で楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「The Heavy Scuffle's On」
Full Moon作。オープニングは重厚なファンク・チューン。Buzzyのハードなギターが唸りまくります。
http://www.youtube.com/watch?v=cQP5Waj_jdQ

「To Know」
Buzz Feiten作。Phillip Wilsonのシブいヴォーカルにグッとくるメロウなブルーアイド・ソウル。
http://www.youtube.com/watch?v=k8tn2jK2wHs

Sergio Mendes & Brasil '66でお馴染みの女性シンガーLani Hallもカヴァーしています。
Lani Hall「To Know」
http://www.youtube.com/watch?v=LX_acfHeF5g

「Malibu」
Neil Larsen作。Airto Moreiraが参加したブラジリアン・フレイヴァーのフュージョン・チューンに仕上がっています。このあたりのインスト曲は、その後のNeil Larsenのソロ作を予感させるものがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=5dFzdA3SKbs

「Take This Winter Out Of My Mind」
Gene Dinwiddie作。アーシーな味わいのロック・チューン。フュージョンしていた前曲「Malibu」とサザン・ロックしている本曲のギャップの大きさがこのグループの面白いところかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=8kNfdqqt3pc

「Midnight Pass」
Neil Larsen作。ラテン・グルーヴの帝王の"ハード・ハンズ"Ray Barrettoも参加しているラテン・フュージョン。インスト曲では「Malibu」と並ぶ本作のハイライトでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=nf4RDrQMYCM

Sea Levelもカヴァーしているので聴き比べてみるのも楽しいのでは?
Sea Level「Midnight Pass」
http://www.youtube.com/watch?v=t46kxrYQYSM

「Need Your Love」
Buzz Feiten作。フリーソウル好きに人気のグルーヴィー・ロック。個人的にも本作のハイライトです。Brother Gene Dinwiddieの素敵なサックスと共にスタートとするロマンティック・スロウな前半、グルーヴィーに弾ける中盤以降と1曲で2度楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=CQd1vF07XP4

「Selfish People」
Phillip Wilson/Buzz Feiten作。前半はミステリアスなクロスオーヴァー・チューン、後半はBuzzyの泣きのギターが唸るロック・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=aSMv3J-Fkmc

僕の保有するCDにはボーナス・トラックで「Three Step Dance」が追加収録されていますが、最近のCDにはさらに「Jam」も追加収録されています。

Larsen-Feiten Band関連の過去記事もご参照下さい。

『Larsen-Feiten Band』(1980年)
ラーセン=フェイトン・バンド

Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten『Full Moon』(1982年)
フルムーン
posted by ez at 02:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月11日

Original Soundtrack『Brazil』

大好きなカルト映画『未来世紀ブラジル』のサントラ☆Original Soundtrack『Brazil』
Brazil
発表年:1985年
ez的ジャンル:近未来ブラック・コメディ映画サントラ
気分は... :タトル→バトル

今回はモンティ・パイソン(Monty Python)のメンバーTerry Gilliamが監督した近未来ブラック・コメディ映画『Brazil(邦題:未来世紀ブラジル)』(1985年)のサントラです。

主演はJonathan Pryce。名優Robert De Niroも出演しています。音楽担当はMichael Kamen

タイトルは"Brazil"ですが、舞台は南米のブラジルではありません。
情報統制が進んだどこかの国の近未来が舞台の映画です。

エリート官僚サムが官僚社会の些細なミスからトラブルに巻き込まれ・・・・最後にサムは廃人となってしまい・・・あらすじを簡潔に説明するのが難しいユーモラスで難解でファンタジーで毒気のあるブラック・コメディです。

大学生の時に本作を観ましたが、ストーリーや映像や演技が云々というよりも、その独特の世界観に魅了されてしまいました。また、何とも虚しい気持ちにさせられたラスト・シーンに背筋がゾクゾクした記憶があります。
http://www.youtube.com/watch?v=WLynM-GI_Mk

多分、この映画の持つカルト的な毒気が好きになれるかどうかで賛否両論分かれる作品だと思います。僕の場合、デートでこの映画を観に行きましたが、一緒に行った子は面白くなかったみたいでした。まぁ、今思えばデートで観に行くような映画ではないと思いますが(笑)

Michael Kamenが担当した音楽については、Ary Barroso作の名曲「Aquarela Do Brasil(邦題:ブラジルの水彩画)」が随所で使われています。日本でもCM曲としてお馴染みの曲ですが、僕がこの名曲を初めて知ったのがこの本作でした。

映画を観ていない人にとっては、少し退屈なサントラかもしれません。
それでも「Aquarela Do Brasil」の例のメロディを聴けば、思わず口笛を吹いてしまうのでは?

映画も音楽も毒気がクセになります。

今回は曲リストのみ紹介しておきます。

「Central Services/The Office」
http://www.youtube.com/watch?v=Dvo6ChoKCF4
「Sam Lowry's 1st Dream/"Brazil"」
Kate Bushのヴォーカルをフィーチャー
http://www.youtube.com/watch?v=_1KFEdtymyw
「Ducts」
「Waiting For Daddy/Sam Lowry's Wetter Dream "The Monoliths Erupt"」
※Mel Collinsのサックスをフィーチャー
「Truck Drive」
「The Restaurant (You've Got To Say The Number)」
※Derick Collinsのクラリネットをフィーチャー
「Mr Helpmann」
「The Elevator」
「Jill Brazil/Power Station」
「The Party (Part I)/Plastic Surgery」
「Ducting Dream」
「Brazil - Geoff Muldaur」
http://www.youtube.com/watch?v=9HtHEgINHO0
「Days & Nights In Kyoto - The Party (Part 2)」
「The Morning After」
「Escape ?」
「The Battle」
「Harry Tuttle - "A Man Consumed By Paperwork"」
「Mothers Funeral/Forces Of Darkness」
「Escape! No Escape !」
「Bachianos Brazil Samba」
http://www.youtube.com/watch?v=TzJpmxzoQjI

ご興味がある方はぜひ映画の方もチェックを!

『未来世紀ブラジル [DVD]』
未来世紀ブラジル [DVD]
posted by ez at 08:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月10日

Carlos Aguirre『Orillania』

アルゼンチン・コンテンポラリー・フォルクローレの最重要ミュージシャンの最新作☆Carlos Aguirre『Orillania』
Orillania
発表年:2012年
ez的ジャンル:アルゼンチン・コンテンポラリー・フォルクローレ
気分は... :聴く者を没入させる魔法の音世界!

アルゼンチンのコンテンポラリー・フォルクローレ・シーンの巨匠Carlos Aguirreの最新作『Orillania』です。

大自然の息吹を音にしたような美しいサウンドで、日本に"静かなる音楽"好きを増殖させた張本人ですね。先月2度目の来日公演を果たし、"静かなる音楽"好きを歓喜させたことと思います。

Carlos Aguirreは1965年、アルゼンチン、エントレリオス州セギーの生まれのシンガー・ソングライター/ピアニスト/ギタリスト。

80年代後半から音楽活動を開始し、自身のレーベルShagrada Madraを設立してからは、同レーベルからCarlos Aguirre Grupo名義の『Crema』(2000年) 、『Rojo』(2004年) 、『Violeta』(2008年) 、ソロ名義の『Caminos』(2006年) といったアルバムをリリースしています。

それ意外にLucho Gonzalezとの共演作Lucho Gonzalez/Carlos Aguirre『Tejundo A Mano』(1990年) 、Francesca Ancarolaとの共演作Francesca Ancarola/Carlos Aguirre『Arrullos』(2009年)といったアルバムをリリースしています。

ここ数年日本でも大注目のアルゼンチン音楽ですが、そんな盛り上がりの中心にいるのがコンテンポラリー・フォルクローレの巨匠Carlos Aguirreです。

僕自身はアルゼンチン音楽好きと呼べるほど、この方面に明るいわけではありませんが、CD棚を眺めると着実にアルゼンチン人アーティストの作品が増え、Andres BeeuwsaertFlorencia Ruiz等の作品にハマっているのも事実です。また、元来Pat Metheny作品に癒されている僕には、"静かなる音楽"好きの素養があるのだと思います(笑)。その意味では、もっと掘り下げていきたいジャンルですね。

さて、巨匠Carlos Aguirreの最新作『Orillania』ですが、2005年からレコーディングを開始し、完成まで約7年の歳月を要した集大成的アルバムです。

さまざまな南米ミュージシャンと共演し、アルゼンチン以外にブラジル、ウルグアイ、チリでレコーディングは行われました。その意味では、これまでの作品以上に多彩な作品に仕上がっていると思います。まさにジャケのようなパステルカラーの音像がイメージされます。

レコーディングには、Fernando Silva(b)、Luis Barbiero(fl)、Jose Piccioni(per)、Mono Fontana(p)、Aca Seca TrioのJuan Quintero(vo)、Jorge Fandermole(vo)、Quique Sinesi(g)、Luis Salinas(g)といったアルゼンチン人ミュージシャンに加え、ブラジル人のGladston Galiza(vo)、Monica Salmaso(vo)、フュージョン・グループOPAのメンバーとしてお馴染みのウルグアイ人Hugo Fattoruso(vo、syn)、チリ人のFrancesca Ancarola(vo)、コロンビア人のAntonio Arnedo (sax)等さまざまな国から多彩なミュージシャンが参加しています。

いやぁ、とんでもない作品に出会ってしまったなぁ、という感想のアルバムです。
あらゆる音楽ジャンルを眺めても最高峰の1枚ではないでしょうか。
こんな素晴らしい作品を聴いてしまうと、他の作品が聴けなくなってしまいます。困ったものですな。

このクリエイティヴかつ美しい音世界は、音楽ジャンルや言語を超越して聴く者を没入させるのではないかと思います。

5年後、10年後に聴いても名盤として光り輝いている1枚だと思います。

音楽の持つ魔法の力を再認識させてくれた1枚です。

全曲紹介しときやす。

「El hombre que mira el mar」
Carlos Aguirre作。ペルーでの思い出を綴った1曲。さざ波の効果音も交え、Aguirreらしい透明感のある音世界を聴かせてくれます。しみじみとしたAguirreのヴォーカルに絡む女性コーラスもグッド!アルゼンチン音響派の重要ピアニストMono Fontanaが参加し、美しい響きのピアノで魅了してくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=WJWgK9GiFCo

ご興味のある方はMono Fontanaの作品もチェックを!

Mono Fontana『Cribas』(2007年)
Cribas

「Casamiento de negros」
Violeta Parra作のチリ・フォルクローレをカヴァー。社会変革を目指したヌエバ・カンシオンの先駆者Violeta Parra作品を、素晴らしいアレンジのビューティフル・サウンドで21世紀に蘇らせてくれました。これには脱帽です。Silvia Salomone、Paula Rodriguez、Emilia Wingeyerという女性コーラス隊の透明な歌声にも癒されます。

「Preparativos del viaje de la ratita Amelia a casa de su tia Clelia」
Carlos Aguirre作。AguirreのピアノとLuis Barbieroのフルートのみのインスト小曲。1980年代半ばからの仲間であるBarbieroとの友情を感じる瑞々しい演奏です。

「Naufrago en la orilla」
Carlos Aguirre/Walter Heinze作。ブラジル人シンガーGladston Galizaやコンテンポラリー・フォルクローレ・シーンの人気のギタリストQuique Sinesiが参加しています。Jose Piccioniのパーカッションの響きが心地好い、サルサ/ブラジル音楽のエッセンスも取り込んだ開放的な汎ラテン・チューンに仕上がっています。アルゼンチン音楽好き以上に、ラテン/ブラジル音楽好きにフィットする1曲なのでは?Quique Sinesiもメロウ・テイストで流石のプレイを聴かせてくれます。

ご興味のある方はQuique Sinesiの作品もチェックを!

Quique Sinesi『Danza sin fin』(1998年) 
ダンサ・シン・フィン

「El diminuto Juan」
Carlos Aguirre/Jorge Fandermole作。Andres BeeuwsaertらとのユニットAca Seca Trioでお馴染みのJuan QuinteroとAguirreの盟友Jorge Fandermoleがヴォーカルで参加しています。Aguirreも交えた3人のヴォーカルがしみじみと伝わってくる味わい深い仕上がり。

「Con los primeros pajaros de la manana」
Carlos Aguirre作。サンパウロの新世代MPBシンガーMonica Salmasoをフィーチャー。AguirreおよびQuique SinesiのギターにMonica Salmasoのスキャットが絡む様は、まるでPedoro Aznarの天使のスキャットを伴うPat Metheny作品を聴いている気分になります。ただし、Aguirre自身のアコーディオンでアクセントをつけているのはコンテンポラリー・フォルクローレ作品ならではですね。

「Rezo」
Carlos Aguirre作。AguirreのアコーディオンとSebastian Macchiのピアノのみのインスト。「祈り」と題したタイトルそのままに、切ない思いが伝わってくるシンプルながらも感動的な演奏です。

「El hechizo de tu nombre」
Carlos Aguirre/Livia Vives作。チリ人女性シンガーFrancesca Ancarola、コロンビア人サックス奏者Antonio Arnedoをフィーチャー。ラテンとジャズとコンテンポラリー・フォルクローレがバランスが絶妙な美しい1曲に仕上がっています。艶やかなFrancesca Ancarolaのヴォーカルと心地好い音色に魅了されるAntonio Arnedoのサックスもグッド!

「Puerto」
Carlos Aguirre作。フュージョン・グループOPAのメンバーであり、当ブログでもお馴染みのウルグアイ人キーボード奏者Hugo Fattorusoがヴォーカル&シンセで参加しています。ウルグアイのアフロ・リズム"カンドンベ"を取り入れたフュージョン・テイストの演奏が、ファンの方が聴いてAguirreらしいものなのかは判断しかねますが、南米フュージョンがお好きな方であれば楽しめると思います。僕のようにパーカッシヴな音が好きな人間にとっては、カンドンベのリズムが心地好いです。
http://www.youtube.com/watch?v=nRLUdcjlT60

「Peces de luz」
Carlos Aguirre/Livia Vives作。じっくりと歌い込まれるAguirreらしい美しい音世界を満喫できます。

「Caracol」
Carlos Aguirre作。AguirreのピアノとLuis Barbieroのフルート、ピッコロによるインスト小曲。

「Pueblos tristes」
ベネズエラ人ミュージシャンOtilio Galindezの作品をカヴァー。苦悩に満ちた歌をノスタルジックかつビューティフルなサウンドで再構築しています。素晴らしいですね。

「Compadres candomberos」
Carlos Aguirre作。ラストはフェンダー・ローズのメロウな音色をバックにAguirreが優しく語りかけてくれます。Luis SalinaのPat Methenyのようなビューティフル・ギターもサイコーです。全ての嫌なことを洗い流してくれる至極の癒しソングだと思います。この曲を子守唄にすれば、間違いなく快眠できる気がします。

「Con los primeros pajaros de la manana」
「Con los primeros pajaros de la manana」の別ヴァージョンがボーナス・トラックとして収録されています。ここではAguirreのピアノとMonica Salmasoのスキャットのみの演奏を聴くことができます。このヴァージョンも実に感動的です。

Carlos Aguirre Grupo『Crema』(2000年)
Carlos Aguirre Grupo(Crema)
posted by ez at 01:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月09日

Graham Central Station『Graham Central Station』

もう1つのSly & The Family Stone?記念すべきGCSの1st☆Graham Central Station『Graham Central Station』
Graham Central Station
発表年:1973年
ez的ジャンル:ダイナマイト・ファンク
気分は... :完勝しましたが・・・

サッカー日本代表はヨルダンに6対0で完勝しました。

本田の存在感は凄かったですね。。
この2戦を観ると、やはり日本のエースは本田という気がします。
それと比較すると、香川を代表のエースと呼ぶためには、まだいくつか山を越えてもらわなければいけない気がします。

次戦はアウェーのオーストラリア戦ですが、DFの要である吉田の離脱は痛いですね。今野、栗原のコンビに期待しましょう。

さて、今回はLarry Graham率いるGraham Central Station(GCS)の1stアルバム『Graham Central Station』(1973年)です。

Graham Central Stationの紹介は、『Release Yourself』(1974年)、『Ain't No 'Bout-A-Doubt It』(1975年)に続き3回目となります。

1972年にSly & The Family Stoneから独立したLarry Grahamは、前身となるHot Chocolateを経てGraham Central Stationを結成しました。

デビュー・アルバムとなる本作『Graham Central Station』時点のメンバーは、Larry Graham(b、g、p、key、ds、vo)、Patryce "Chocolate" Banks(vo、drum prog)、Hershall "Happiness" Kennedy(clavinet、tp)、David "Dynamite" Vega(g)、Willie "Wild" Sparks(ds)、Robert "Butch" Sam(p、org)の6名。

さらにSly & The Family StoneFreddie Stone(g)、Tower Of PowerLenny Williams(vo)、Milt Holland(per)、P. Caboose(ts)がゲスト参加しています。

同じ1973年にリリースされたSly & The Family Stone『Fresh』と比較しても、もう1つのSly & The Family Stoneといった雰囲気もある作品ですね。特に、『Fresh』同様にリズム・ボックスを使った曲を聴くと、余計にそんな気がしてきます。

重心の低いファンキー・グルーヴと躍動するヴォーカルによるGCSらしいダイナマイト・ファンク・ワールドを楽しみましょう。

プロデュースはLarry GrahamとRuss Titelman。Clarence McDonaldがストリングス・アレンジを担当しています。

全曲紹介しときやす。

「We've Been Waiting」
オープニングは意外にもア・カペラ。Jerry Weaver/Poesie Knight作。Franky Kubrick「Prost Drauf」のサンプリングソースにもなっています。

「It Ain't No Fun To Me」
Al Green作品のカヴァー。オリジナルは『Let's Stay Together』に収録されています。オリジナルと比較すると、ファンキーな派手さのあるカヴァーに仕上がっています。Larry Graham作。
http://www.youtube.com/watch?v=ob1fdi53L_8

「Hair」
Larry Grahamのスラップ・ベースを満喫できるファンキー・グルーヴ。重心の低いグルーヴを楽しみましょう。Larry Graham作。
http://www.youtube.com/watch?v=KmRNGIk0LYA

「We Be's Gettin' Dow」
Patryce "Chocolate" Banksをフィーチャーしたニューソウル風のエモーショナル・バラード。Milt Hollandがパーカッションで参加しています。Larry Graham作。

「Tell Me What It Is」
「People」、「Why?」と並ぶお気に入り曲。Lenny Williamsがヴォーカル、 Freddie Stoneがギターで参加。アンダーグラウンドな雰囲気の漂うグルーヴがたまりません。Larry Graham作。
http://www.youtube.com/watch?v=8ESPiMrX-3w

「Can You Handle It?」
シングルとして全米R&Bチャート第9位となりました。明るく開放的なパーティー・グルーヴです。Larry Graham作。

「People」
僕の一番のお気に入り曲。素晴らしいヴォーカル・ワークとエキサイティングなファンキー・グルーヴとGCSの魅力を満喫できます。Larry Graham/Freddie Stone作。
http://www.youtube.com/watch?v=pgQ_WV05clI

Das EFX「Baknaffek」、Hocus Pocus「Beautiful Losers」のサンプリングソースになっています。

Hocus Pocus「Beautiful Losers」
 http://www.youtube.com/watch?v=laSxWt9nv6c

「Why?」
この曲もお気に入り。リズム・ボックスをバックにPatryce "Chocolate" Banksの躍動するヴォーカルを満喫できます。もう一つのSly & The Family Stoneといった雰囲気がいいですね。Larry Graham作。

「Ghetto」
ラストも迫力のヴォーカル・ワークを活かしたファンキー・グルーヴ。Lenny Williamsがヴォーカルで参加しています。Larry Graham作。
http://www.youtube.com/watch?v=5zE7Pjz3TVY

Graham Central Stationの過去記事もご参照下さい。

『Release Yourself』(1974年)
Release Yourself

『Ain't No 'Bout-A-Doubt It』(1975年)
Ain't No 'Bout-A-Doubt It
posted by ez at 01:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月08日

Hard Knocks『School Of Hard Knocks』

今聴いてもグッとくるブロンクス産ニュースクールHip-Hop☆Hard Knocks『School Of Hard Knocks』
School of Hard Knocks
発表年:1992年
ez的ジャンル:Wild Pitch系ニュースクールHip-Hop
気分は... :努力は報われる!

今回は知っている人には懐かしいHip-HopユニットHard Knocks、唯一のアルバム『School Of Hard Knocks』(1992年)です。

Hard Knocksは、N.Y.ブロンクスで結成されたHip-Hopユニット。メンバーはMCのHardheadとDJのStonefaceという2人。

HardheadとStonefaceの2人は80年代からThree the Hard Way名義で、「Heart Beat」(1987年)、「Hyped」(1988年)といったシングルをリリースしていました。

Hard Knocks名義では、Hip-Hopファンにはお馴染みのWild Pitch Recordsから唯一のアルバム『School Of Hard Knocks』(1992年)をリリースしています。

リアルタイムで聴いていた人でなければ、馴染みが薄いユニットかもしれませんね。

僕もリアルタイムではよく聴いたものの、その後はあまり聴く機会がなく、すっかり忘れていたアルバムでした。先日かなり久々に聴いてみました。

先日、我が家のCD棚を整理していたら、ジャケを見て懐かしくから久々に手に取り、聴いてみた次第です。

ニュースクールHip-Hopの魅力を存分に堪能できる密度の濃い内容に、改めていいアルバムだなぁと思いました。
派手さはありませんが、サンプリングソースが僕好みで、シンプルながらもグッとくるトラックを聴かせてくれます。勢いだけではなくよく練られた感じがします。

やはり僕にとってのHip-Hop黄金期は90年代初めですね。

プロデュースはThe Spear Chuckers。

全曲紹介しときやす。

「Dirty Cop Named Harry」
Bill Withers「Who Is He (And What Is He To You)?」ネタのトラックおよびHardheadのフロウも淡々としていますが、その分耳を傾けてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=IHcvnQd85t8

「Nigga For Hire」
オススメその1。シングルにもなった曲。Clarence Carter「Looking For A Fox」ネタのソウルフル・トラックをバックに、Hardheadが力強いライムを聴かせてくれます。Stonefaceの擦りもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=xHAom3uHQYw

「Ghetto Love」
Sun「Time Is Passing」ネタのベースラインのループが癖になる1曲。あまりゴチャゴチャしていないシンプルなトラック作りがいいですな。
http://www.youtube.com/watch?v=gvsECd7AWe8

「Thoughts Of A Negro」
オススメその2。本作の中では人気の高い1曲なのでは?ニュー・スクール好きにはたまらないキャッチーな仕上がりなのでは?今聴いてもわかりやすくていいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=ULR0kUPKwrk

「Opposite Side」
オススメその3。Cymande「Getting It Back」ネタのアッパー・チューン。この扇動的なアッパー感が好きでした。
http://www.youtube.com/watch?v=1H-A5HkHNn4

「Road To The Precinct」
淡々としながらもファンキーなトラックにのって、Hardheadが快調なフロウを聴かせてくれます。終盤の擦りにもグッときます。

「Blow To The Head」
オススメその4。個人的にはアルバムで一番好きかも?Donald Byrd「Weasil」ネタのジャズ・ファンク・トラックにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=8qOreb2-fRk

「Hands Of A Stranger」
Southside Movement「I' Been Watchin' You」ネタを上手く使った哀愁感のあるトラックが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=tdNbNauWFVI

「Runaway Child, Running Wild」
オススメその5。フリーソウルのコンピ『Free Soul '90s black edit』にも収録されていた曲。女性コーラスも入り、アルバムの中で一番華のある曲かもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=4YHbdtU2--c

「Young Black Male」
オススメその6。Black Heat「Zimba Ku」ネタのトラックがひたすら心地好いですね。「Zimba Ku」ネタのフルートとHardheadのフロウの絡みがいい感じ。
http://www.youtube.com/watch?v=oC3y_8d2xII

「Young Guns」
Esther Phillips「Home Is Where the Hatred Is」、Eddie Murphy「The Pope and Ronald Reagan」ネタ。不穏なファンキー感が格好良いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=RFiEucrBg6c

「Strictly From The Bronx」
オススメその7。ラストはJames Brown「There Was A Time (I Got To Move)」ネタを巧みに使い、格好良く締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=qu0wc3EiPrU

今夜はサッカーW杯アジア最終予選「日本対ヨルダン」戦です。
油断は禁物ですが、確実に勝ち点3がゲットすると同時に、オーストラリア戦を睨み、控えメンバーのテストができるような展開に持ち込んで欲しいですね。
posted by ez at 05:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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