2012年06月07日

Sweetback『Stage 2』

Sade Adu抜きのSade!Ayaを大きくフィーチャーした2nd☆Sweetback『Stage 2』
Stage 2
発表年:2004年
ez的ジャンル:クラブ/ラウンジ系UKジャズ・ファンク
気分は... :Aya好きにはたまりません・・・

今日はSade Adu抜きのSadeSweetbackの2ndアルバム『Stage 2』(2004年)です。

Stuart Matthewman(g、s)、Andrew Hale(key)、Paul S. Denman(b)というSadeのメンバー3人が結成したグループSweetbackの紹介は、1stアルバム『Sweetback』(1996年)に続き2回目です。

1st『Sweetback』では、ダビーな音空間が貫かれ、クラブ・ミュージックやダブ、トリップホップ、アンビエントあたりが好きな人がハマる作品でした。また、元Groove TheoryAmel LarrieuxMaxwellがゲストヴォーカルで参加し、日本人ユニットLOVE T.K.O.も作曲&演奏で参加していました。

約8年ぶりの2ndとなる本作『Stage 2』(2004年)は、『Sweetback』にあったようなダビーな音創りは薄れ、よりバラエティに富んだ作品に仕上がっています。

Blue Six等でお馴染みの女性ヴォーカリストAyaが5曲でフィーチャーされている他、Chocolate Genius、元Digable Planetの女性ラッパーLadybug Mecca、元Ten Cityのリード・ヴォーカルByron Stingily等がフィーチャーされています。

UKらしい音楽を楽しむのであれば、1stアルバム『Sweetback』(1996年)のダビーな音世界の方が面白かったかもしれません。しかしながら、本作『Stage 2』には女性ヴォーカリストAya(Lysa Aya Trenier)を大々的にフィーチャーしているという捨て難い魅力があります。

ロンドン生まれ、シンガポール育ちの女性ヴォーカリストAyaについては、彼女のソロ・アルバム『Strange Flower』(2004年)や彼女をフィーチャーBlue Six『Beautiful Tomorrow』(2002年)を当ブログで紹介済みであり、魅惑のウィスパー・ヴォーカルに完全にハマりました(笑)

本筋の聴き方ではないかもしれませんが、そんなAyaワールドを本作でも楽しめます。また、Digable Planetも大好きだった僕としては、Ladybugをフィーチャーした「Love Is The Word」もイチオシです。

ヒンヤリ・モードのサウンドからはこれから季節のクールダウンにぴったりかもしれません。

全曲紹介しときやす。

「Voodoo Breath (Master's Love) 」
Chocolate Geniusのヴォーカルをフィーチャーした、ダークなミディアム・ファンク。この曲に限っては、1st『Sweetback』のダビーな雰囲気を受け継いでいるかもしれません。

「Lover」
Ayaをフィーチャーした哀愁バラード。シングルにもなりました。この曲あたりはSadeの世界に近いかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=EuQnWeEGL_A

「Circles」
Chocolate Geniusのヴォーカルをフィーチャーした切なるバラード。なかなか重厚な作りです。

「All My Days With You」
Ayaをフィーチャーしたメロウ・チューン。クール&キュートなAyaのヴォーカルにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=mfPvrzi08rQ

「Mountain」
Byron Stingily & Ayaをフィーチャー。幻想的なミデァイム・グルーヴはヒンヤリ気分にさせてくれます。

「Things You'll Never Know」
シングルにもなったロック調のポップ・チューン。Ayaをフィーチャー。キャッチーですが僕好みではないかも?
http://www.youtube.com/watch?v=GiypFVVimv8

「Blue Heights」
哀愁モードのインスト・チューン。

「Love Is The Word」
Digable Planetの女性ラッパーLadybug Meccaをフィーチャー。Bobby Caldwell「What You Won't Do For Love」The Isley Brothers「Between The Sheets」のダブル大ネタ使いの本曲目当てで本作をゲットした人も案外多いのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=jHCfSDiraNo

「Jesus Girl」
Chocolate Geniusのヴォーカルをフィーチャー。彼をフィーチャーした3曲の中では本曲が一番好きです。彼の個性とバックのサウンドが一番マッチしている気がします。

「Circus Waltz」
女性トランぺッターIvana Santilliのトランペットをフィーチャーしたインスト。Ivanaは他の曲でバック・コーラスも務めています。クールなインスト・チューンは悪くありません。

「Round And Round」
Ayaをフィーチャーしたアフロ/ディープ・ハウス。ハウス好きであれば、本作がハイライトだと思います。Blue Sixあたりとセットで聴きたくなりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=BupQAFAGEbM

「Sing To Be Safe」
Ayaをフィーチャー。英語ですが、何処となくフレンチ・ポップっぽく聴こえるのはAyaの気だるいウィスパー・ヴォーカルのせいかもしれませんね。

「Shining Hour」
ラストはアルバムの余韻を味わうかのようなインスト。

『Sweetback』(1996年)
Sweetback

Aya好きの方は、Blue Six『Beautiful Tomorrow』(2002年)や彼女のソロ・アルバム『Strange Flower』(2004年)もセットでチェックしてみて下さい。

Blue Six『Beautiful Tomorrow』(2002年)
Beautiful Tomorrow

Aya『Strange Flower』(2004年)
Strange Flower
posted by ez at 05:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月05日

Ramsey Lewis『Mother Nature's Son』

Beatlesホワイト・アルバムのカヴァー集☆Ramsey Lewis『Mother Nature's Son』
マザー・ネイチャーズ・サン~ビートルズ・ソングブック
発表年:1968年
ez的ジャンル:ファンキー・ソウル・ジャズ
気分は... :安易なカヴァー集ではありません!

今回はJazz界の人気キーボード奏者、Ramsey Lewisが1968年にリリースした『Mother Nature's Son』です。

これまで当ブログで紹介したRamsey Lewis作品は以下の4枚。

 『The In Crowd』(1965年)
 『Sun Goddess』(1974年)
 『Love Notes』(1977年)
 『Tequila Mockingbird』(1977年)

今日紹介する『Mother Nature's Son』は、The Beatlesのアルバム『The Beatles(ホワイト・アルバム)』 (1968年)収録曲のカヴァー集です。しかも、ホワイト・アルバムのリリースから約1ヶ月後にレコーディングしてしまったという点が驚きです。

プロデュースはEarth, Wind & Fire作品等でお馴染みの名プロデューサー&アレンジャーCharles Stepneyです。ある意味、本作はRamsey Lewisとオーケストレーションを手掛けたCharles Stepneyのコラボ作品という見方もできると思います。

当時のStepneyは、Minnie Ripertonも在籍していたRotary Connectionを手掛けており、そこで聴かれたサイケデリック・ソウルの成果も本作に盛り込まれています。

決して安易なカヴァー集ではありません。ホワイトアルバムの発売から程なく、名曲たちに新たな解釈を加えたRamsey Lewis、Charles Stepneyのセンスに脱帽です。

ファンキーなソウル・ジャズ・グルーヴ、美しいオーケストレーション、アヴァンギャルドな電子音・・・あの手、この手でホワイト・アルバムの有名曲を調理してくれます。

一昨日紹介したAlexia Bomtempo『I Just Happen To Be Here』や本作を聴いていると、カヴァー・アルバムの意義というものを再認識させてくれます。

ホワイト・アルバムがお好きな人も、ホワイト・アルバムを聴いたことがない人でも楽しめる1枚だと思います。

本家ホワイト・アルバムも当ブログで紹介しようと思いながら未紹介のままです。
そもそもBeatlesのアルバム自体、3年以上未紹介ですが・・・
いい機会なので久々にホワイト・アルバムをじっくり聴いてみようかな・・・

全曲紹介しときやす。

「Mother Nature's Son」
美しいオーケストレーションとRamsey Lewisのピアノタッチが織り成す雄大な世界観にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=DSsTrfRAgIU

「Rocky Raccoon」
エレピによる緩やかなグルーヴでジワジワと高揚してくる感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=9R0rIxp2Ais

「Julia」
何の予備知識もなく聴いたら「Julia」のカヴァーであることに気付かないかもしれません。仮に「Julia」を知らない人でも、この美しい音世界に魅了されること間違いなし!何処か遠い夢の世界へと誘ってくれそうな美しさです。

Nujabes feat. Substantial「 Hikari」、All Natural「50 Years」、UMC's「It's Gonna Last」、Les Sages Poetes De La Rue「Creve La Meuf'」のサンプリングソースにもなっています。

Nujabes feat. Substantial「 Hikari」
 http://www.youtube.com/watch?v=XsOl5dFChIc
All Natural「50 Years」
 http://www.youtube.com/watch?v=nzMJ4hPJUHE

「Back In The U.S.S.R.」
前曲の美しさから一転、レア・グルーヴがグッとくるであろうソウル・ジャズ・グルーヴです。中盤、終盤のドラム・ブレイクもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=kq7mW5rPoag

「Dear Prudence」
このカヴァーはオリジナルの持つ雰囲気をファンキーな味わいで膨らませた感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=RG0iGarRQc4

「Cry Baby Cry」
オリジナルのホワイトアルバムだとあまり目立たない曲でしたが、なかなか味わい深いソウルフルな味わいのカヴァーに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=_c7Y_QMcnro

Showbiz & A.G.「Catchin' Wreck」、Da King & I「Mr. All That」、Dynospectrum「Appearing Live」のサンプリングソースにもなっています。

Showbiz & A.G.「Catchin' Wreck」
 http://www.youtube.com/watch?v=OCffu2hWAH0

「Good Night」
ホワイト・アルバムのラストを飾るRingoの温かみのあるヴォーカルが印象的な曲ですが、本カヴァーはそんな雰囲気を受け継ぐ美しいオーケストレーションの前半と、Ramsey Lewisのピアノ・プレイを堪能できる中盤、そして感動のフィナーレとドラマティックな展開で聴かせてくれます。

「Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey」
電子音でアヴァンギャルドな雰囲気でスタートしますが、本編はドープなファンキー・グルーヴです。格好良さでいえばアルバム随一かも?
http://www.youtube.com/watch?v=jeEmXc3Z4xE

「Sexy Sadie」
ホワイト・アルバムのJohn主導曲ではこの曲が一番好きかもしれません。本作の中では割とフツーのソウル・ジャズ・カヴァーかもしれませんが、オリジナルが好きなので・・・

「Black Bird」
コズミックな電子音でスタート。オーケストレーションとグルーヴィーなリズムにのって、Ramsey Lewisのピアノが弾けます。
http://www.youtube.com/watch?v=uPESvZDUI9Y

Ramsey Lewisの過去記事もご参照下さい。

『The In Crowd』(1965年)
ジ・イン・クラウド+2

『Sun Goddess』(1974年)
Sun Goddess

『Love Notes』(1977年)
ラヴ・ノウツ

『Tequila Mockingbird』(1977年)
Tequila Mockingbird
posted by ez at 13:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月04日

『今の気分は...2012年6月4日編』

サッカー日本代表はW杯アジア最終予選の初戦となった対オマーン戦を3対0で勝利し、無難なスタートを切りました。

初戦で勝ち点3をしっかり獲得し、相手にゴールを脅かされるシーンもない試合でしたが、何かスッキリした気分になれなかったのは僕だけでしょうか。2点目はとてもラッキーでしたが、あれをオフサイドと判定されていたら、もっと苦戦していた気もします。

今日は過去記事から10曲セレクトするシリーズです。
今回は1970年代作品からセレクトしました。大意はありませんが、ラテン系の曲が多くなってしまった気が・・・

全て過去記事で紹介済なので、気に入った曲があれば過去記事もご参照下さい。

Toby Beau「My Angel Baby」
http://www.youtube.com/watch?v=D5F3OtLJJH4
My Angel Baby
From 『My Angel Baby』(1978年)

Robert Palmer「Every Kinda People」
http://www.youtube.com/watch?v=_tEH_YYqEH0
Double Fun
From 『Double Fun』(1978年)

Jorge Ben「Forca Bruta」
http://www.youtube.com/watch?v=uVjR30c-AYE
Forca Bruta
From 『Forca Bruta』(1970年)

Manassas「Pensamiento」
http://www.youtube.com/watch?v=FlkMyu-MA8M
Down the Road
From 『Down the Road』(1973年)

Black Sugar「I Want To Believe」
http://www.youtube.com/watch?v=I2KUSiSzScA
II
From 『Black Sugar II』(1974年)

Sapo「Been Had」
http://www.youtube.com/watch?v=--OqrIgcRGs
サポ
From 『Sapo』(1974年)

Taj Mahal「Why Did You Have To Desert Me?」
http://www.youtube.com/watch?v=Ipp8gdQElVE
Mo Roots
From 『Mo' Roots』(1974年)

Ray Barretto「Arrepientete」
http://www.youtube.com/watch?v=eGZRt-ryZpk
The Message
From 『The Message』(1972年)

Volker Kriegel「Zoom」
http://www.youtube.com/watch?v=gFFL7M4IChg
Spectrum
From 『Spectrum』(1971年)

Leroy Hutson「Where Did Love Go?」
http://www.youtube.com/watch?v=lsNNy8EiIVQ
Closer to the Source
From 『Closer To The Source』(1978年)
posted by ez at 05:50| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月03日

Alexia Bomtempo『I Just Happen To Be Here』

待望の2ndはCaetano Velosoの英語詩曲のカヴァー集☆Alexia Bomtempo『I Just Happen To Be Here』
I Just Happen to Be Here
発表年:2012年
ez的ジャンル:コスモポリタン系女性MPB
気分は... :London, London

期待の女性MPBシンガーAlexia Bomtempo、待望の2ndアルバム『I Just Happen To Be Here』です。

1985年ワシントンD.C.生まれ。母はアメリカ人で父がブラジル人というコスモポリタンな女性MPBシンガーAlexia Bomtempoの紹介は、デビュー・アルバム『Astrolabio』(2008年)、公私のパートナーであったPierre AderneらとのユニットDoces Cariocasのアルバム『Doces Cariocas(Sweet Cariocas)』(2009年)に続き3回目となります。

Dadiプロデュースによるドリーミーなデビュー・アルバム『Astrolabio』は、『ezが選ぶ2008年の10枚』にセレクトするほどのお気に入り作品でしたし、アコースティックな透明感に溢れたDoces Cariocas『Doces Cariocas(Sweet Cariocas)』も今でもよく聴く大好きな作品です。

『Astrolabio』(2008年)
Astrolabio

Doces Cariocas『Doces Cariocas(Sweet Cariocas)』(2009年)
Sweet Cariocas

そんなお気に入りアーティストAlexia Bomtempoの最新作となる2ndアルバム『I Just Happen To Be Here』は、Alexiaが敬愛する偉大なMPBアーティストCaetano Velosoの英語詩曲のカヴァー集です。

曲はCaetanoのロンドン亡命の前後にリリースされた『Caetano Veloso(ホワイト・アルバム)』(1969年)、『Caetano Veloso(イン・ロンドン)』(1971年)、『Transa』(1972年)という3枚のアルバムからのセレクトです。前2枚は当ブログでも紹介済みの作品です。

最初にAlexiaの新作がCaetanoの英語詩曲カヴァー集と聞き、少し意外な気もしましたし、2012年のブラジル音楽として面白みがあるなかなぁという不安も過りました。

しかし、幼少期から母が口遊む「London, London」を聴いて育ったという話を中原仁氏のライナーノーツで知り、AlexiaがCaetanoの英語詩曲を取り上げる必然性を感じました。また、サウンド面でも興味深いミュージシャンも多数参加し、しっかり2012年のブラジル作品になっている気がします。

プロデュースはFelipe Abreu/De Palmeira。

もうすぐロンドン五輪ですし、「London, London」を聴きながら、ロンドン五輪を心待ちにするなんていうのもいいのでは?

全曲紹介しときやす。

「A Little More Blue」
『Caetano Veloso』(1971年)収録曲。当時のブラジル軍事政権から国外退去を命じられ、やむを得ず母国を出国することになったCaetanoの思いを綴った曲です。7歳の時に父と共にブラジル・リオへ移住し、17歳の時に音楽の勉強をするために再びアメリカへと渡ったAlexiaにも、母国を離れる際の後ろ髪を引かれる思いはよくわかるのかもしれませんね。

レイジーなAlexiaのヴォーカルはこの曲の持つ空気感を見事に伝えてくれます。最近ではRoberta Sa‎『Segunda Pele』(2011年)をプロデュースしていたRodrigo Campelloがブルーな心情をギターの音色で奏でてくれます。

「You Don'T Know Me」
『Transa』収録曲。見知らぬ土地で過ごす複雑な心境を歌った曲です。ブルージーな雰囲気の中にもAlexiaらしい透明感があるのがいいですね。

「Shoot Me Dead」
『Caetano Veloso』(1971年)収録曲。Domenico(per)、Kassin(b)というDomenico+2の才人2人やBerna Ceppasのシンセが加わり、2012年スタイルのエクスペリメンタル・テイストな「Shoot Me Deadを聴かせてくれます。こういうカヴァーが聴けるのも本作の魅力でしょうね。Kassinは先週紹介したTibless『Afro-Beat-Ado』にも参加していましたね。

「Lost In The Paradise」
『Caetano Veloso』(1969年)収録曲。Norah Jonesの大ヒット「Don't Know Why」の作者としても知られる米国人SSW、Jesse Harrisがギターで参加しています。少し寂しげですが、ソフト&メロウな雰囲気は『Astrolabio』に通じるものがあります。

Jesse HarrisはMarisa Monte『O Que Voce Quer Saber De Verdade』(2011年)にも参加していましたし、ブラジル人アーティストとの交流が目立ちますね。

「Nine Out Of Ten」
『Transa』(1972年)収録曲。管楽器&打楽器グループLeitieres Leite & Orkestra Rumpilezzをフィーチャー。躍動する素晴らしいアンサンブルで盛り上げてくれます。

「In The Hot Sun Of A Christmas Day」
『Caetano Veloso』(1971年)収録曲。Caetanoと共に国外退去を命じられたGilberto Gilとの共作曲。クリスマスをテーマに母国ブラジルの現状を皮肉っぽく歌ったものです。ここでは元Barao VermelhoのギタリストRoberto Frejatのドブロをフィーチャー。アーシーな味わいの仕上がりがグッド!

「The Empty Boat」
『Caetano Veloso』(1969年)収録曲。Tom Ze「Ma」をサンプリングしたエクスペリメンタル・テイストな仕上り。この曲の持つダークな雰囲気を21世紀スタイルで聴かせてくれます。

「London, London」
『Caetano Veloso』(1971年)収録曲。前述のように母が歌うこの曲を聴いて育ったというAlexiaの思い出の1曲。この曲に本作の魅力が凝縮されています。この曲を愛して止まないAlexiaの思いが優しく包み込んでくれます。デビュー作『Astrolabio』で素晴らしい手腕を示したDadiがギター、マンドリン、ピアノで参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=2UeBZUVm99M

「It's A Long Way」
『Transa』(1972年)収録曲。The Beatles「The Long and Winding Road」に因んだ曲です。現代的なフォーキー・カヴァーに仕上がっています。元TitasのCharles Gavinがドラムで参加しています。

「If You Hold A Stone」
『Caetano Veloso』(1971年)収録曲。ブラジルを代表する女性芸術家Lygia Clark(1920-1988年)に捧げられた1曲。ラストはAlexiaの弾き語りで余韻を残したままアルバムの幕は閉じます。

ご興味のある方は、Caetano Velosoのオリジナルもチェックを!

『Caetano Veloso』(1969年)
Caetano Veloso (Irene)

『Caetano Veloso』(1971年)
Caetano Veloso (A Little More Blue)

『Transa』(1972年)
トランザ(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 00:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月02日

Cassandra Wilson『Point Of View』

プリンセス・オブ・ダークネス、衝撃の初リーダー作☆Cassandra Wilson『Point Of View』
ポイント・オブ・ヴュー
発表年:1986年
ez的ジャンル:M-Base系女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :新しい波!

ジャズ界最高の女性シンガーの一人Cassandra Wilsonの初リーダー・アルバム『Point Of View』(1986年)です。

これまで当ブログで紹介したCassandra Wilsonは以下の4枚(発売年順)。

 『Days Aweigh』(1987年)
 『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)
 『New Moon Daughter』(1995年)
 『Traveling Miles』(1999年)

故郷ミシシッピからN.Y.へ進出し、先鋭ジャズ集団M-Base Collectiveの一員としてSteve Colemanらと活動を共にしていたCassandraが、JMTからリリースしたデビュー・アルバム『Point of View』(1986年)はシーンに大きなインパクトを与えた1枚でした。

レコーディング・メンバーは、Cassandra Wilson(vo、g)、Jean-Paul Bourelly(g)、Steve Coleman(per、as)、Grachan Moncur III(tb)、Mark Johnson(ds)、Lonnie Plaxico(b)という編成。個人的にはJean-Paul Bourellyのフリーでファンク・ロックなギターがなかなかいいアクセントになっていると思います。

プリンセス・オブ・ダークネスとして圧倒的な存在感のあるヴォーカルを聴かせてくれるCassandra Wilsonですが、本作はSteve Colemanを中心としたレコーディング・メンバーと共に創り上げた作品という印象が強いですね。その意味では、Cassandraのヴォーカルのみならず、本作ならではの音世界を楽しむ1枚という気がします。

必ずしもとっつきやすいやすい作品ではないかもしれませんが、フリーでミステリアスな雰囲気はクセになります。

全曲紹介しときやす。

「Square Roots」
Cassandra Wilson作。プリンセス・オブ・ダークネスの初リーダー作のオープニングは、前衛的かつミステリアスな雰囲気が漂います。Cassandraの地を這うようなヴォーカル、Jean-Paul Bourellyのギター、Steve Colemanのサックスが自由に音空間が漂います。M-Baseらしい雰囲気も満喫できます。

「Blue In Green」
Miles DavisBill Evansでお馴染みの名曲にCassandraが歌詞をつけてカヴァー。『Traveling Miles』(1999年)でも「Sky & Sea」のタイトルで「Blue In Green」に歌詞をつけていましたね。余程Cassandraのお気に入り曲なのでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=PvgTFAfsARA

「Never」
Cassandra Wilson/Steve Coleman作。割と大人しい曲ですが、少ない音数の中に独特のフリーでミステリアスな空気感があっていいですね。

「Desperate Move」
Steve Coleman作。ファンク・テイストの1曲。格好良さで言えば、アルバムで一番のなのでは?M-Baseらしい変拍子による独特のノリで突進していきます。Colemanのサックス、Jean-Paul Bourellyのギターも好調です。

「Love And Hate」
Grachan Moncur III作。Cassandraらしいプリンセス・オブ・ダークネスなヴォーカルを満喫できるブルージー・バラード。作者Grachan Moncur IIIのトロンボーンも楽しめます。

「I Am Waiting」
Cassandra Wilson作。エモーショナルに歌い上げる(M-Baseらしからぬ?)美しいバラード。同じバラードでも前曲「Love And Hate」とは対照的な雰囲気なのが面白いですね。

「I Wished On The Moon」
Dorothy Parker/Ralph Rainger作。スタンダードのカヴァー。ここではスタンダード然と歌い上げますが、それでもCassandraのダークネスなど迫力ヴォーカルは圧倒的な存在感です。Grachan Moncur IIIのトロンボーンが盛り上げてくれます。

「I Thought You Knew」
Jean-Paul Bourelly作。ラストは本作らしいフリーかつアヴァンギャルドなノリです。メンバー同士がリラックス・ムードでセッションを楽しんでいる様子が伝わってきます。

Cassandra Wilson作品の過去記事もご参照下さい。

『Days Aweigh』(1987年)
デイズ・アウェイ

『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)
Blue Light 'Til Dawn

『New Moon Daughter』(1995年)
New Moon Daughter

『Traveling Miles』(1999年)
トラヴェリング・マイルス
posted by ez at 13:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする