2012年07月13日

Ramp『Come Into Knowledge』

レア・グルーヴ人気曲「Daylight」収録☆Ramp『Come Into Knowledge』
Come Into Knowledge (Reis) (Rstr) (Dig)
発表年:1977年
ez的ジャンル:レア・グルーヴ系ファンク/ソウル
気分は... :グループ名は安易ですが・・・

今回はレア・グルーヴ好きにはお馴染みの1枚Ramp『Come Into Knowledge』(1977年)です。

Rampは、シンシナティで結成されたJohn Manuel(ds)、Landy Shores(g)、Nate White (b)、Sharon Matthews(vo)、Sibel Thrasher(vo)の5人組。今日紹介する『Come Into Knowledge』(1977年)が唯一のアルバムです。

The Spinnersのバックバンドを務めていたJohn Manuel、Landy Shoresの2人が上記メンバーでSaturday Night Specialというグループを結成したところ、The SpinnersのBilly HendersonがRoy Ayersへグループを推奨し、グループ名をRampと改めてRoy Ayers Music Productionからリリースされたアルバムが『Come Into Knowledge』(1977年)です。

Rampというグループ名は、Saturday Night Specialというグループ名を気に入らなかったRoy Ayersが付けたものであり、Roy Ayers Music Productionの頭文字からとったものです。安易だなぁ(笑)

当時Polydorと契約していたRoy AyersがABC Recordsからのリリース契約オファーに対応するために制作されたのが本作でした。

プロデュースはRoy Ayers自身とEdwin BirdsongWilliam AllenというUbiquityメンバーが務めています。

アルバムをリリースしたものの、全くプロモーションのバックアップを受けられず、グループの歴史はアルバム1枚でピリオドを打つことになります。

しかしながら、本作収録の「Daylight」がHip-HopグループA Tribe Called Quest「Bonita Applebum」のサンプリング・ソースとなったことで俄かに本作への注目が高まりました。

僕自身も「Bonita Applebum」がRampを知るきっかけとなりました。僕の場合、「Daylight」ネタのオリジナルよりもThe Isley Brothers「Between The Sheets」ネタのHootle Mixを好んで聴いていましたが。

アルバム全体としては、ファンキー&メロウ&スピリチュアルといった雰囲気ですね。アルバムがこれしかないので、これがRoy Ayersプロデュースの影響なのか、グループらしさなのかは不明ですが。また、アルバム全体を通じてSharon MatthewsとSibel Thrasherの女性ツイン・ヴォーカルが実に魅力的です。

どうしても「Daylight」ばかりが注目されてしまうアルバムですが、アルバム全体としても充実していると思います。

全曲を紹介しときやす。

「The American Promise」
オススメその1。オープニングは心地好いギター・カッティングとパンチの効いた女性ツイン・ヴォーカルによるファンキー・グルーヴ。R&Bファンであれば、Erykah Badu「Amerykahn Promise」(この曲も同じくRoy Ayersプロデュース)のサンプリング・ソースとしてお聴きになった方も多いのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=4260o3X5chI

Erykah Badu「Amerykahn Promise」
 http://www.youtube.com/watch?v=my0xCQAaG8k

「I Just Love You」
力強い女性ツイン・ヴォーカルが印象的なメロウ・グルーヴ。

「Give It」
軽快なホーン・セクションが印象的なファンキー・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=hZeW7anXObs

「Everybody Loves The Sunshine」
オススメその2。Roy Ayers自身のヴァージョンでお馴染みの名曲をカヴァー。オリジナルをさらにマッタリとさせた感じです。これはこれで魅力的だと思います。Brainsick Mob「Mixmaster USA」のサンプリング・ソースになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=HRnebBaP-Fw

Brainsick Mob「Mixmaster USA」
 http://www.youtube.com/watch?v=I9tf_OjjG-s

「Come Into Knowledge」
オススメその3。タイトル曲はビューティフルなメロウ・チューン。落ち着いた雰囲気の中でJohn Manuelのドラムがいい感じです。Mad Skillz「Doin' Time In The Cypha」のサンプリング・ソースになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=-p3zh89UkKw

Mad Skillz「Doin' Time In The Cypha」
 http://www.youtube.com/watch?v=DKLOfcRuwK0

「Try, Try, Try」
オススメその4。レア・グルーヴ好きにはグッとくるジャズ・ファンク調の仕上がり。なかなか魅力的なグルーヴを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=WMiPuBz-YTw

「Daylight」
オススメその5。アルバムのハイライト。Roy Ayersプロデュースらしいミステリアスなメロウ・グルーヴです。女性ツイン・ヴォーカルがスピリチュアルな雰囲気を醸し出します。
http://www.youtube.com/watch?v=628QJvHueuY

前述のA Tribe Called Quest「Bonita Applebum」の以外にも、Common feat. Erykah Badu, Pharrell & Q-Tip「Come Close Remix (Closer)」、Roni Size「Daylight」、Munk Wit Da Funk「Exersize」、Vooodu feat. Akema「Southern California Nites」、P.H.E.A.R.「I Love Her Again」、
DJ King Most「Daylight」、Daniel Swain「Hey!」、Remy Banks & Hannibal King feat. Marz Lovejoy「Clouds」等のサンプリング・ソースになっています。

A Tribe Called Quest「Bonita Applebum」
 http://www.youtube.com/watch?v=HnbRB1RLvQk
Common feat. Erykah Badu, Pharrell & Q-Tip「Come Close Remix (Closer)」
 http://www.youtube.com/watch?v=XQRwKMSb-i0
Roni Size「Daylight」
 http://www.youtube.com/watch?v=ewPz_CaSsy8
P.H.E.A.R.「I Love Her Again」
 http://www.youtube.com/watch?v=w931J7jAbvI
Remy Banks & Hannibal King feat. Marz Lovejoy「Clouds」
 http://www.youtube.com/watch?v=1jVjxr6MslQ

「Look Into The Sky」
やさしい女性ツイン・ヴォーカルにグッとくるビューティフル・バラード。Fat Jon「Leyes」のサンプリング・ソースになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=0du0-bx0ZtI

Fat Jon「Leyes」
 http://www.youtube.com/watch?v=82SHaNp2z-E

「Deep Velvet」
ラストはジャジーなミディアム・チューン。リラックスした雰囲気でアルバムの幕は閉じます。

オープニングの「The American Promise」を聴いていたら、無性にErykah Badu『New Amerykah: Part One (4th World War)』が聴きたくなってきました。
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2012年07月11日

Gerardo Frisina『Ad Lib』

クラブジャズの人気アーティストの記念すべきデビュー・アルバム☆Gerardo Frisina『Ad Lib』
Ad Lib
発表年:2001年
ez的ジャンル:Schema系クラブジャズ
気分は... :徹夜のお供はスタイリッシュなクラブジャズ!

日付が変わったばかりですが、今夜は徹夜かも?
クラブジャズでも聴きながら、乗り切りたいと思います。

今回はSchemaの看板アーティストGerardo Frisinaの記念すべきデビュー・アルバム『Ad Lib』(2001年)です。

イタリア、ミラノ出身のプロデューサー/DJであるGerardo Frisinaの紹介は、最新作『Join The Dance』(2010年)、『The Latin Kick』(2005年)に続き3回目の紹介となります。

今やクラブジャズ・ファンから不動の人気を確立したGerardo Frisinaですが、そのスタートとなった作品が1st『Ad Lib』(2001年)です。

全体としてはラウンジ感覚も楽しめるスタイリッシュなブラジリアン/ラテン・ジャズを満喫できる1枚に仕上がっています。Schema好きであれば、間違いない1枚でしょう。

レコーディングには、Enzo Lo Greco(b、prog)、Gianni Lo Greco(ds、per)というSoulstanceの二人が参加し、生音とデジタル・サウンドを上手く融合させたサウンド・メイクに大きく貢献しています。それ以外にもFabrizio Bernasconi(key)、Andrea Dulbecco(vib)、Barbara Casini(vo)が参加しています。Barbara Casiniのヴォーカル&スキャットもアルバム全体を華やかなものにしています。

プロデュースはGerardo Frisina自身が務め、Davide Rosa、Luciano Cantoneの2名がエグゼクティブ・プロデューサーに名を連ねています。Luciano CantoneはThe Invisible Sessionのメンバーですね。ソングライティングはGerardo FrisinaとEnzo Lo Greco(ソングライティング時にはVincenzoで表記)が手掛けています。アレンジはGerardo FrisinとLo Greco兄弟です。

各種コンピでも人気の「Mas Eu Quer Ser」「Descarga」をはじめ、クラブジャズ/ラウンジ好きにはたまらない演奏がズラリと揃っています。

全曲紹介しときやす。

「Mas Eu Quer Ser」
オススメその1。Barbara Casiniのヴォーカルをフィーチャーしたボッサ・ジャズ・チューン。各種コンピでも人気の1曲ですね。クラブジャズ仕様のセルメンといった趣です。
http://www.youtube.com/watch?v=bbXvYtK1CdE

「The Tallest Tree」
オルガンの音色が印象的なラウンジ色の濃いラテン・ジャズ・チューン。生音とデジタル・サウンドの塩梅が抜群です。
http://www.youtube.com/watch?v=CBOefPN0PnE

「Slow Burning」
ブルージーな味わいの1曲。ミッドナイト・モードな感じがいいですね。Andrea Dulbeccoのヴァイヴの音色が心地好く響きます。
http://www.youtube.com/watch?v=8v4xsYoFufc

「Brascubas」
オススメその2。ファンキーな中にSchemaらしいスタイリッシュなセンスが散りばめられたラテン・ジャズ・チューン。チョイ悪オヤジのクラブジャズといった雰囲気ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=6Y193C_sJPo

「Friendly Night」
タイトルの通りナイト・モードな1曲。Andrea Dulbeccoのヴァイヴが主役です。
http://www.youtube.com/watch?v=V_1mESSQ-uM

「Descarga」
オススメその3。各種コンピでも引っ張りだこの人気曲。スタイリッシュ&パーカッシヴなアフロ・キューバン・チューンです。クラブジャズ好きであれば鉄板な1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=zsn3SaIVXrY

「Hellen Samba」
オススメその4。サンバ・ビーツで疾走する格好良い1曲。Barbara Casiniのスキャットが華を添えてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=s8MAtXvDaYg

「Captivation」
オススメその5。少しテンポを落としたエレガントなマッタリ感(何じゃそりゃ?)がいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=1yA2P_Mb7Mk

「Chirpy」
オススメその6。僕の一番のお気に入り。軽快なリズムとBarbara Casiniのキュートなスキャットがスタイリッシュなラウンジ調の仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=LeAIkCAMESw

「Quickly」
オススメその7。スピーディーに疾走するジャズ・サンバ。Schemaらしいセンスがぎゅっと凝縮されています。
http://www.youtube.com/watch?v=sGwGsBCGzec

「Fiera」
オススメその8。この曲もジャズ・サンバ調です。Barbara Casiniのスキャットが華やかに響く小気味良い仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=GTtRxAXcePQ

「Open Up Your Mind」
オススメその8。この曲もクラブジャズ/ラウンジ系のコンピで何度か取り上げられていますね。大人のラウンジタイムといった雰囲気の落ち着いた仕上りです。
http://www.youtube.com/watch?v=clhToLQjxX8

Gerardo Frisinaの他作品もチェックを!

『Hi Note』(2004年)
Hi Note

『The Latin Kick』(2005年)
The Latin Kick

『Note Book: A Journey In Sound The Remix』(2007年)
Note Book

『Join The Dance』(2010年)
Join the Dance [Import CD from Italy]
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2012年07月10日

Clara Moreno『Clara Moreno』

Bossacucanovaプロデュースによるデビュー作☆Clara Moreno『Clara Moreno』
クララ・モレーノ
発表年:1996年
ez的ジャンル:クラブ世代系ブラジリアン・ミュージック
気分は... :二世ミュージシャンはつらいよ・・・

さて、今回はブラジル人女性シンガーClara Morenoのデビュー・アルバム『Clara Moreno』(1996年)です。

人気ブラジル人女性シンガー・ソングライターJoyceとの娘であるClara Morenoについて、これまで当ブログで紹介した作品は以下の3枚。

 『Morena Bossa Nova』(2004年)
 『Meu Samba Torto』(2006年)
 『Miss Balanco』(2009年)

今日紹介するデビュー・アルバム『Clara Moreno』(1996年)は、ブラジルのインディレーベルからのリリースされた作品であり、本国ブラジルでもあまり流通していなかったようです。当初は国内盤もリリースされていませんでした。

その意味では、国内盤もリリースされた(というよりも日本向けに制作されたといった方が適切かもしれませんが)2nd『Mutante』(1998年)でClara Morenoの名を知るようになった方が多かったのでは?

本作をプロデュースしているのは、ブラジルのエレクトロニクス・ダンス・ユニットBossacucanovaのメンバーMarcio MenescalAlexandre Moreiraの2人です。このコンビは次作『Mutante』もプロデュースしています。

Marcio Menescalはボサノヴァ発展に貢献した偉大なミュージシャンRoberto Menescalの息子です。

Joyceの娘ClaraとRoberto Menescalの息子Marcio、二世ミュージシャン同士息が合ったのかもしれませんね。

アルバム全体としては、Bossacucanovaプロデュースらしい、クラブ仕様のエレクトロニクスなブラジリアン・ダンス・ミュージック作品もありますが、そればかりではなく、フォーキーな楽曲やアーバン・メロウな楽曲なども収録されています。

Joyceの作品も2曲収録されていますが、本作のために書き下ろしたもののようです。

ブラジル音楽好きよりもクラブミュージック好きの人にフィットする1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Partido Alto」
Chico Buarque作。オリジナルはChico BuarqueCaetano Velosoの共演作『Juntos E Ao Vivo』(1972年)に収録されています。Chicoの名曲がセクシーなダンス・ミュージックとして生まれ変わります。

「Quase Feliz」
Joyceの作品。いきなりChic「Le Freak(おしゃれフリーク)」のサンプリングで始まるBossacucanovaらしいエレクトロニクス感のあるダンス・チューンに仕上がっています。

「Podia Ser Pra Sempre」
一転してフォーキーな味わいのアコースティック・チューン。サウダージとは異なる郷愁感がいいですね。

「Canoa Canoa」
Nelson Angelo/Fernando Brant作。父Nelson Angeloの作品を歌います。オリジナルは
Milton Nascimento『Clube da Esquina 2』(1978年)に収録されています。ミステリアスな雰囲気の仕上がりが途中でラップパートが挿入されるあたりが本作らしいかもしれませんね。

「O Sol Nascera」
Elton Medeiros/Cartola作。当ブログではNara Leaoのカヴァーも紹介済みです。哀愁サンバの名曲をモダンなアレンジで聴かせてくれます。

「Detalhes」
Roberto Carlos/Erasmo Carlos作。オリジナルはRoberto Carlos『Roberto Carlos』(1971年)に収録されています。クラブ経由のアーバン・メロウ・チューンといった趣の仕上がりです。

「Poeira」
Gonzaguinhaの息子Daniel Gonzagaの作品。Daniel Gonzagaのオリジナルは『Sob o Sol』(1996年)に収録されています。レゲエ調のアレンジが印象的です。

「*@#&!%$!」
文字化けではありません。何と読むのでしょうか?短いインタールード。

「Em Mim」
Vitor Ramil/Andre Gomes作。エキゾチックな雰囲気の漂う1曲。秘境モードへ誘ってくれます。

「Cacadora de Peles」
Lenine/Braulio Tavares作。オリジナルはRenata Arruda『Renata Arruda 』(1996年)に収録されています。メロウ&グルーヴィーなアコースティック・チューンはなかなかスタイリッシュな仕上がりです。

「Le Cactus」
ロック・サウンドにBossacucanovaらしいエレクトロニクス・ダンス・テイストが加わった肉食系の仕上がり。

「Fulano e Beltrano」
ラストは母Joyceの作品です。この曲に関しては、母Joyce作品のような美しいアコースティック・チューンに仕上がっています。

Clara Morenoの他作品もチェックを!

『Mutante』(1998年)
MUTANTE

『Morena Bossa Nova』(2004年)
Morena Bossa Nova

『Meu Samba Torto』(2006年)
メウ・サンバ・トルト

『Miss Balanco』(2009年)
ミス・バランソ
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2012年07月09日

Bob Marley & The Wailers『Rastaman Vibration』

Bob Marleyのレゲエ魂が込められた1枚☆Bob Marley & The Wailers『Rastaman Vibration』
ラスタマン・ヴァイブレーション+1
発表年:1976年
ez的ジャンル:ラスタファリアン・レゲエ
気分は... :ポジティブ・ヴァイヴ!

久々にレゲエの神様Bob Marleyの紹介です。
セレクトしたのは『Rastaman Vibration』(1976年)です。

これまで当ブログで紹介したBob Marley作品は以下の4枚。

 『Burnin'』(1973年)
 『Natty Dread』(1975年)
 『Exodus』(1977年)
 『Kaya』(1978年)

今日紹介する『Rastaman Vibration』(1976年)は、『Natty Dread』(1975年)、『Live!』(1975年)に続くBob Marley & The Wailersとしての第3弾アルバムとなります。

The Wailersの場合、Studio One時代の第一期、Upsetter/Trojan期からIslandと契約し、Bob MarleyBunny WailerPeter Toshのトリオ体制が維持された第二期、Bunny WailerPeter Toshの二人が抜け、The WailersからBob Marley & The Wailersとなった第三期に分けられます。

Bob MarleyBunny WailerPeter Toshの3人が揃ってこそThe Wailers!と言う方もいらっしゃるかもしれませんが、僕の場合、Bob Marley & The Wailersとなった第三期以降を聴く頻度が圧倒的に多いですね。

特に『Exodus』(1977年)、『Kaya』(1978年)あたりで聴かれる、レベル・ミュージックの担い手として神格化していくBob Marleyと、ラブソングも歌う一人の人間Bob Marleyのせめぎ合いが好きですね。

今日紹介する『Natty Dread』(1975年)は、そんな第三期の始まりとなった作品であり、Islandからの第3弾アルバムとなります。

チャート・アクションとしてはBob Marley作品の中で唯一全米アルバム・チャートTop10入りしたアルバムです。

一方で、政治的・社会的メッセージ色の濃いアルバムであり、本作がリリースされた1976年の12月に予定されていたジャマイカの総選挙を背景に、ジャマイカ国民に絶大な影響を誇るBob Marleyも与野党の政争に巻き込まれることになります。

そんな中で総選挙の投票日2週間前にはBob Marley自身が狙撃を受け負傷する事態となりました。危険を感じたBobはすぐにジャマイカを出国し、ロンドンでの亡命生活を余儀なくされます。

そんな時期に制作されたアルバムですが、なかなか充実した内容になっています。

レコーディング・メンバーは、Bob Marley(vo、g、per)、Al Anderson(g)、Donald Kinsey(g)、Earl "Chinna" Smith(g、per)、Tyrone Downie(key、b、per、back vo)、Aston Barrett(b)、Carlton Barrett(ds)、Alvin Patterson(per)、The I-Threes(Rita Marley、Judy Mowatt、Marcia Griffiths)(back vo)です。

僕の場合、『Exodus』(1977年)、『Kaya』(1978年)あたりが一番のお気に入りですが、アルバム全体の完成度でいえば、本作も侮れない1枚だと思います。

Bob Marleyのレゲエ魂とポジティブ・ヴァイヴがビンビンに伝わってきます。

全曲紹介しときやす。

「Positive Vibration」
ラスタマンのポジティブな生き方を高らかに歌うラスタマン賛歌。ゆったりとしたレゲエ・ヴァイヴが心地好く響きます。
http://www.youtube.com/watch?v=__1GvhLTEcc

「Roots, Rock, Reggae」
まさにザ・レゲエといった趣のリラックスした雰囲気のレゲエ賛歌。シングルにもなりました。奇をてらわないベタな感じが逆にわかりやすくていいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=UMBlMMGxfpw

「Johnny Was」
流れ弾の犠牲となった息子の死とそれを悲しむ母について歌ったもの。「I Shot The Sheriff」あたりにも通じる哀愁のメロディが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=fPVqMZakWQs

「Cry to Me」
The Wailers時代にレコーディングした楽曲のセルフ・カヴァー。軽快さの中にソウルフルな味わいも漂います。BobとI-Threesがコンビネーションがバッチリです。
http://www.youtube.com/watch?v=OkwFRs4OM08

「Want More」
個人的には一番のお気に入り曲。ゾクゾクするバッキング、BobとI-Threesのヴォーカルワークをはじめ、レゲエの格好良さが詰まった1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=GMC5ozz1yL0

「Crazy Baldhead」
Bobの雄叫びと共に始まる痛烈なメッセージ・ソング。こんな歌を作ると、クレイジー禿頭はますますクレイジーになったのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=scs6mWiHnyA

「Who The Cap Fit」
総選挙前にこんな曲がリリースされると、確かに政治家は穏やかではないですよね。曲調自体は穏やかな雰囲気ですが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=HGRg3T4I7lE

「Night Shift」
アルバム『Soul Rebels』(1970年)の収録曲「It's Alright 」のリメイク。オルガン・サウンドがいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=PMngQ2-VOzs

「War」
ラスタファリアンから神(ジャー)の化身として崇拝されていたエチオピア皇帝であったHaile Selassie(1892-1975年)の1968年の演説をベースに作られた作品。アルバムの肝となる楽曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=fAeY7_8dEdo

「Rat Race」
ラストも強烈なメッセージ・ソング。国民不在の政治なんぞは所詮Rat Raceですからね。何処かの国の現状もそうかもしれませんが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=dCE3Ge4bCLk

最近のCDにはボーナス・トラックとして「Jah Live」が追加収録されています。

Bob Marleyの過去記事もご参照下さい。

『Burnin'』(1973年)
バーニン+3

『Natty Dread』(1975年)
ナッティ・ドレッド+1

『Exodus』(1977年)
エクソダス+2

『Kaya』(1978年)
カヤ+1
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2012年07月08日

R. Kelly『Write Me Back』

『Love Letter』に続くソウル・オマージュ作品☆R. Kelly『Write Me Back』
ライト・ミー・バック
発表年:2012年
ez的ジャンル:愛の伝道師系R&B
気分は... :待ってたぜぇ!

今回は大物R&BシンガーR. Kelly、待望の新作『Write Me Back』です。

愛の伝道師R. Kellyの紹介は、『Chocolate Factory』(2003年)、『Love Letter』(2010年)に続き3回目となります。

以前にも書きましたが、僕の中でR. Kellyはアルバム単位で好き/嫌いがハッキリ分かれてしまうアーティストです。

『Chocolate Factory』(2003年)、『Happy People/U Saved Me』(2004年)は大好きな作品ですが、『TP.3 Reloaded』(2005年)、『Double Up』(2007年)、『Untitled』(2009年)は何度聴いても殆ど興味が湧かず購入すらしません。最新R&Bモードに偏った作品ではなく、時代に左右されないメロディアス&メロウなソウル寄りの作品が、僕の好きなR. Kellyですね。

その意味でソウル・オマージュ作品となった前作『Love Letter』(2010年)は、久々に「R. Kellyって、やっぱりいいよね!」と思わせてくれた作品となりました。

おそらく最新R&B作品などはあまり聴かないソウル・ファンの方も納得させる作品ではなかったのではないかと思います。

さて、その傑作アルバム『Love Letter』に続く新作は、どっちの路線なのか興味津々でしたが、結局『Love Letter』に続くヴィンテージ感のあるソウル作品となり大歓迎です。

『Love Letter』もそうでしたが、単なるソウル・オマージュではなく、きちんとR. Kellyらしさも加味されているのがいいですね。前作も含めて、改めてソウル・シンガーとしてのR. Kellyの魅力も再認識できます。

『Love Letter』同様、派手なゲスト陣や大物プロデューサーの招聘もなく、すべての楽曲のプロデュース&ソングライティングをR. Kelly自身が手掛けています(共同プロデュース&共作含む)。

僕が保有するのは通常盤ですが、4曲のボーナス・トラックを追加したデラックス・エディションはジャケが異なるのでご注意を!

『Write Me Back(Deluxe edition)』
Write Me Back

ヴィンテージ感のあるR. Kellyらしいラブ・ワールドを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Love Is」
オススメその1。70年代モード全開のエレガント&ダンサブルなソウル・ワールドでアルバムは幕を開けます。Larry Goldがアレンジを手掛けたストリングス&ホーンも含めて70年代へタイム・トリップした気分になります。
http://www.youtube.com/watch?v=5VJBBuRvMbs

「Feelin' Single」
オススメその2。アルバムからの2ndシングル。前作『Love Letter』「Number One Hit」に続き、Michael Jacksonへのトリビュートの色合いが濃い楽曲です。Bill Withers「Lovely Day」のエッセンスも取り入れたメロウなソウル・チューンに仕上がっています。Bigg Makkとの共同プロデュース&共作。
http://www.youtube.com/watch?v=hIDrKOpl_wg

「Lady Sunday」
オススメその3。僕の一番のお気に入り。僕の好きなR. Kellyがこの1曲に詰まっています。ジワジワと込み上げてくるジェントル・ソウルに音楽の魔法を感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=ENqOlpUKy2I

「When a Man Lies」
オススメその4。ヴィンテージ感のある感動的なソウル・バラード。純粋に良い楽曲、魅力的な歌声で勝負している感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=EPc7lWh3CLo

「Clipped Wings」
Warryn Campbellとの共同プロデュース&共作。壮大なオーケストレーションを配した哀愁バラード。
http://www.youtube.com/watch?v=kY9Juf30Cyw

「Believe That It's So」
オススメその5。「Lady Sunday」と並び僕のここ数日のヘビロテ曲です。ジェントルな空気に包まれたメロウ・ソウル。軽くパーカッシヴな感じがモロに僕好みです。
http://www.youtube.com/watch?v=w2DEzXAzF8U

「Fool for You」
オススメその6。ヴォーカル・スタイル&楽曲ともにSmokey Robinsonライクな仕上がり。ヴィンテージな魅力が詰まったスウィート・バラードです。
http://www.youtube.com/watch?v=w8e9VQ9retk

「All Rounds on Me」
この曲はロックン・ロール風に攻めます。オールディーズ・モード全開ですな。Bigg Makkとの共同プロデュース&共作。
http://www.youtube.com/watch?v=z5J6Wxwz9bU

「Believe in Me」
J. LBSとの共同プロデュース&共作。ヴォーカルに軽くオートチューンを使った哀愁モードのバラードです。多少、他の楽曲と雰囲気が異なるかもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=rwMDFDZF-vQ

「Green Light」
地味ですが美しいバラード。聴いていると切ない思いが胸にこみ上げてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=DrMA08KcS1g

「Party Jumpin'」
タイトルの通り、パーティー・モードのジャンピン・サウンドで楽しませてくれます。大勢で聴きたい1曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=t85NkruhC0Q

「Share My Love」
オススメその7。ラストはアルバムからの1stシングルにもなった楽曲。R. Kellyらしいシカゴ・ステッパーズで締め括ってくれます。やっぱり、こういうエレガントなR. Kellyがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=D3ufEF45-J4

前述のように、デラックス・エディションには「Beautiful In This Mirror」「You Are My World」「Fallin' From The Sky」「One Step Closer」の4曲が追加収録されています。

R. Kellyの過去記事もご参照下さい。

『Chocolate Factory』(2003年)
Chocolate Factory

『Love Letter』(2010年)
Love Letter
posted by ez at 01:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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