発表年:1976年
ez的ジャンル:ラスタファリアン・レゲエ
気分は... :ポジティブ・ヴァイヴ!
久々にレゲエの神様Bob Marleyの紹介です。
セレクトしたのは『Rastaman Vibration』(1976年)です。
これまで当ブログで紹介したBob Marley作品は以下の4枚。
『Burnin'』(1973年)
『Natty Dread』(1975年)
『Exodus』(1977年)
『Kaya』(1978年)
今日紹介する『Rastaman Vibration』(1976年)は、『Natty Dread』(1975年)、『Live!』(1975年)に続くBob Marley & The Wailersとしての第3弾アルバムとなります。
The Wailersの場合、Studio One時代の第一期、Upsetter/Trojan期からIslandと契約し、Bob Marley、Bunny Wailer、Peter Toshのトリオ体制が維持された第二期、Bunny Wailer、Peter Toshの二人が抜け、The WailersからBob Marley & The Wailersとなった第三期に分けられます。
Bob Marley、Bunny Wailer、Peter Toshの3人が揃ってこそThe Wailers!と言う方もいらっしゃるかもしれませんが、僕の場合、Bob Marley & The Wailersとなった第三期以降を聴く頻度が圧倒的に多いですね。
特に『Exodus』(1977年)、『Kaya』(1978年)あたりで聴かれる、レベル・ミュージックの担い手として神格化していくBob Marleyと、ラブソングも歌う一人の人間Bob Marleyのせめぎ合いが好きですね。
今日紹介する『Natty Dread』(1975年)は、そんな第三期の始まりとなった作品であり、Islandからの第3弾アルバムとなります。
チャート・アクションとしてはBob Marley作品の中で唯一全米アルバム・チャートTop10入りしたアルバムです。
一方で、政治的・社会的メッセージ色の濃いアルバムであり、本作がリリースされた1976年の12月に予定されていたジャマイカの総選挙を背景に、ジャマイカ国民に絶大な影響を誇るBob Marleyも与野党の政争に巻き込まれることになります。
そんな中で総選挙の投票日2週間前にはBob Marley自身が狙撃を受け負傷する事態となりました。危険を感じたBobはすぐにジャマイカを出国し、ロンドンでの亡命生活を余儀なくされます。
そんな時期に制作されたアルバムですが、なかなか充実した内容になっています。
レコーディング・メンバーは、Bob Marley(vo、g、per)、Al Anderson(g)、Donald Kinsey(g)、Earl "Chinna" Smith(g、per)、Tyrone Downie(key、b、per、back vo)、Aston Barrett(b)、Carlton Barrett(ds)、Alvin Patterson(per)、The I-Threes(Rita Marley、Judy Mowatt、Marcia Griffiths)(back vo)です。
僕の場合、『Exodus』(1977年)、『Kaya』(1978年)あたりが一番のお気に入りですが、アルバム全体の完成度でいえば、本作も侮れない1枚だと思います。
Bob Marleyのレゲエ魂とポジティブ・ヴァイヴがビンビンに伝わってきます。
全曲紹介しときやす。
「Positive Vibration」
ラスタマンのポジティブな生き方を高らかに歌うラスタマン賛歌。ゆったりとしたレゲエ・ヴァイヴが心地好く響きます。
http://www.youtube.com/watch?v=__1GvhLTEcc
「Roots, Rock, Reggae」
まさにザ・レゲエといった趣のリラックスした雰囲気のレゲエ賛歌。シングルにもなりました。奇をてらわないベタな感じが逆にわかりやすくていいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=UMBlMMGxfpw
「Johnny Was」
流れ弾の犠牲となった息子の死とそれを悲しむ母について歌ったもの。「I Shot The Sheriff」あたりにも通じる哀愁のメロディが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=fPVqMZakWQs
「Cry to Me」
The Wailers時代にレコーディングした楽曲のセルフ・カヴァー。軽快さの中にソウルフルな味わいも漂います。BobとI-Threesがコンビネーションがバッチリです。
http://www.youtube.com/watch?v=OkwFRs4OM08
「Want More」
個人的には一番のお気に入り曲。ゾクゾクするバッキング、BobとI-Threesのヴォーカルワークをはじめ、レゲエの格好良さが詰まった1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=GMC5ozz1yL0
「Crazy Baldhead」
Bobの雄叫びと共に始まる痛烈なメッセージ・ソング。こんな歌を作ると、クレイジー禿頭はますますクレイジーになったのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=scs6mWiHnyA
「Who The Cap Fit」
総選挙前にこんな曲がリリースされると、確かに政治家は穏やかではないですよね。曲調自体は穏やかな雰囲気ですが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=HGRg3T4I7lE
「Night Shift」
アルバム『Soul Rebels』(1970年)の収録曲「It's Alright 」のリメイク。オルガン・サウンドがいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=PMngQ2-VOzs
「War」
ラスタファリアンから神(ジャー)の化身として崇拝されていたエチオピア皇帝であったHaile Selassie(1892-1975年)の1968年の演説をベースに作られた作品。アルバムの肝となる楽曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=fAeY7_8dEdo
「Rat Race」
ラストも強烈なメッセージ・ソング。国民不在の政治なんぞは所詮Rat Raceですからね。何処かの国の現状もそうかもしれませんが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=dCE3Ge4bCLk
最近のCDにはボーナス・トラックとして「Jah Live」が追加収録されています。
Bob Marleyの過去記事もご参照下さい。
『Burnin'』(1973年)
『Natty Dread』(1975年)
『Exodus』(1977年)
『Kaya』(1978年)