2012年09月06日

Arthur Verocai『Encore』

Far Outからリリースの3rdは大人のメロウ・サウンドを満喫できます☆Arthur Verocai『Encore』
Encore
発表年:2007年
ez的ジャンル:Far Out系ブラジリアン/ボッサ
気分は... :アンコール!

今回は職人肌のブラジル人アーティストArthur Verocaiの2007年作品『Encore』です。

60年代後半から70年代半ばにソングライター/ギタリスト/アレンジャーとして活躍したリオ・デ・ジャネイロ生まれのアーティストArthur Verocaiの紹介は1stアルバム『Arthur Verocai』(1972年)に続き2回目になります。

70年代半ば以降は音楽シーンの第一線とは距離を置いていたVerocaiが、90年代以降の再評価の流れを受けて2002年に30年ぶりの2ndアルバム『Saudade Demais』をリリースし、さらにその5年後にリリースしたのが本作『Encore』です。

本作はJoe Davisが主宰するUKのレーベルFar Out Recordingsからリリースされたものです。

レコーディングにはJose Roberto Bertrami(key)、Alex Malheiros(b)、Ivan Conti(ds)というAzymuthメンバーやかつての盟友Ivan Linsが参加し、それ以外にRobertinho Silva(ds、per)、Ze Carlos(ts、fl)、Luiz Alves(b)等名うてのミュージシャンがバックを固めます。

オーケストレーションを配した楽曲も多く、Verocaiらしいサウンド・センスを満喫できます。またFar Outからのリリースらしいメロウ・グルーヴもあり、間口の広い1枚に仕上がっています。ジャケの雰囲気でシブめの印象を受けるかもしれませんが、全体としてはかなりポップ&メロウで聴きやすいです。

楽曲は全てArthur Verocaiのオリジナルです(Paulinho TapajosやT. Gasparとの共作やJ. Bach作品のアレンジも含む)。

大人のメロウ・サウンドを満喫しましょう。

全曲を紹介しときやす。

「Tupa Tupi」
アコースティック・サウンドと壮大なオーケストレーションを見事に融合したエレガント&メロウなオープニング。Verocaiのアレンジ・センスの健在ぶりを示してくれます。Marcio Lottのヴォーカルも味わいがあってグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=IKjSLv7jEv4

「Amor Na Contra Mao」
Marcio Lott & Clarisse Grovaのヴォーカルをフィーチャーしたメロウ・ボッサ。フェンダー・ローズの響きが心地好く、Ze Carlosのフルートが涼しげです。

「Sucuri」
先日惜しくも亡くなったJose Roberto Bertramiのキーボードが印象的な印象的な哀愁フュージョン。

「Abertura」
昔のロマンス映画のオープニングといった趣のロマンティックな仕上がり。Clarisse Grovaのスキャットが雰囲気を盛り上げてくれます。

「Bis」
Azymuthをフィーチャーしたタイトル曲。本作のハイライトは間違いなくコレでしょう。楽曲、アレンジともにエヴァーグリーンな魅力を持ったクラシック級のブラジリアン・メロウ・グルーヴです。Marcio Lott & Clarisse Grovaの男女ヴォーカルもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=kgrBtdhWfqE

「Dona Das Meninas」
Azymuthとの共演2曲目。Marcio Lott & Clarisse Grovaの男女ヴォーカルにグッとくるソウルフルなブラジリアン・メロウといったところでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=Thtxz36kZ3k

「Filhos」
Ivan Linsとの共演。オーケストレーションをバックにVerocaiの素晴らしいギターとIvan Linsのヴォーカルがガッチリ組んだ感動の仕上がりです。

「Tudo De Bom」
明るく開放的なサンバ・フュージョン。時代は全く異なりますが、Quincy Jones「Soul Bossa Nova」と一緒に聴きたくなってしまいます。

「Eu Quero Paz」
Azymuthとの共演3曲目。Ronaldo Barcelosのヴォーカルをフィーチャーしたドラマチックなブラジリアン・フュージョンに仕上がっています。

「Caminho Da Roca」
VerocaiのギターとGabriel Grossiのハーモニカが味わい深いフォーキーなインスト・チューン。

「Preludio」
J. Bach作品をベースにVerocaiがアレンジしたクラシカルな雰囲気の仕上がり。なお、隠しトラックとして「Bis」のインストが収録されています。

「BIS (Eddy Meets Yannah Mix)」
ボーナス・トラックとして「Bis」のリミックスが収録されています。ブロークンビーツな仕上がりはクラブミュージック好きには嬉しい限り!
http://www.youtube.com/watch?v=PBwXeZSnfx8

『Arthur Verocai』(1972年)
ARTHUR VEROCAI

『Saudade Demais』(2002年)
胸いっぱいのサウダージ
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2012年09月05日

Curtis Mayfield『Never Say You Can't Survive』

ラブソング路線の第2弾!リラックス感とメロウネスが魅力☆Curtis Mayfield『Never Say You Can't Survive』
ネヴァ・セイ・ユー・キャント・サヴァイヴ+1(紙ジャケット仕様)
発表年:1977年
ez的ジャンル:メロウ・カーティス
気分は... :ヤングなでしこ決勝ならず(泣)

昨晩は国立競技場へ赴き、U-20女子ワールドカップ準決勝「日本対ドイツ」を生観戦してきました。

ご存知の通り、結果は0対3でドイツに完敗しました。
それにしてもドイツは強かったし、上手かったし、迫力がありました。残念ながら、現在のU-20日本代表が太刀打ちできる相手ではなく、2枚位格上でしたね。

それでも健気に戦うヤングなでしこの姿に思わず叫びながら観戦していました。日本側応援席とは逆のゴール裏だったので席エリア自体がユル〜い感じで殆どビア・ガーデン状態でしたが(笑)前半早々に勝敗が決してしまった感もあったので途中から暖かく見守るモードになっていました。

まぁ、終わったことは忘れて3位決定戦頑張ってもらいましょう。

今回はCurtis Mayfield『Never Say You Can't Survive』(1977年)です。
当ブログで紹介したCurtis作品は以下の8枚。

 『Curtis』(1970年)
 『Curtis/Live!』(1971年)
 『Roots』(1971年)
 『Superfly』(1972年)
 『Back To The World』(1973年)
 『Got To Find A Way』(1974年)
 『Give, Get, Take And Have』(1976年)
 『Something To Believe In』(1980年)

前作『Give, Get, Take And Have』(1976年)で『There's No Place Like America Today』(1975年)までの社会派路線からラブソング路線へ方向転換したCurtisですが、本作『Never Say You Can't Survive』『Give, Get, Take And Have』もラブソング路線を受け継いだ作品になっています。

これらラブソング路線のアルバムはCurtis作品の中では決して評価が高いものではありません。個人的にもCurtis作品を聴くのであれば、まずはソロ第1作『Curtis』(1970年)から『There's No Place Like America Today』(1975年)あたりまでを先に聴くべきだと思います。

それでもラブソング路線のアルバムには捨て難い魅力があります。"ニューソウル"という重荷から解放されたCurtisのリラックス&メロウ感がこれらのアルバムに反映されています。

メロウなCurtisを楽しみたいのであればオススメできる1枚です。
特にアコースティックな味わいの楽曲にグッとくるはずですよ。

レコーディングには、Henry Gibson(congas、bongos)、Donnelle Hagan(ds)、Kitty Haywood Singers(back vo)、Rich Tufo(key)、Floyd Morris(key)、Joseph Scott(b)、 Gary Thompson(g)、Cliff Davis(ts)、Sonny Seals(ts)が参加しています。本作でもKitty Haywood Singersが光っていますね。

"ニューソウル"なカーティスもいいですが、メロウなラブソングを歌うカーティスも悪くないですよ。

全曲紹介しときやす。

「Show Me Love」
シングル・カットもされたオープニング。Kitty Haywood Singersのコーラスとの絡みがグッドなメロウ・ソウルなラブソング。
http://www.youtube.com/watch?v=3o8YdgNrXAA

「Just Want To Be With You」
ソフト&メロウな魅力が全開のラブソング。魅惑のファルセットが優しく響きます。Thug Life「Stay True」、Jay Rock feat. Lil Wayne & Will.i.am「All My Life」のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=o_dN0MkiDrU

Thug Life「Stay True」
 http://www.youtube.com/watch?v=-MzAXmGEbA4
Jay Rock feat. Lil Wayne & Will.i.am「All My Life」
 http://www.youtube.com/watch?v=BX6_rMcK7ws

「When You're Alone」
黄昏モードのアコースティック・ソウル。アコギの響きが実に心地好いですね。ボッサな楽曲とセット聴いてもイケる僕好みの1曲!
http://www.youtube.com/watch?v=VaZVW2OHTww

「Never Say You Can't Survive」
Curtisらしいファルセットを満喫できるメロウ・バラード。Kitty Haywood Singersのコーラスも素晴らしいです。Q-Unique「Between Heaven and Hell Prologue」のサンプリング・ソースにもなっています。

Q-Unique「Between Heaven and Hell Prologue」
 http://www.youtube.com/watch?v=7mHV4Uv2sdo

「I'm Gonna Win Your Love」
本作の中では最もファンキーな雰囲気のある曲です。リラックスした雰囲気のファンキー・サウンドが実にハートフルでいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=U5KwTUY7h08

「All Night Long」
リラックスしたグルーヴ感とCurtisとKitty Haywood Singersのヴォーカル&コーラスがグッドなミディアム・スロウ。愛に満ちた感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=v37rin1rIls

「When You Used To Be Mine」
味わい深いスウィート・バラード。ジワジワと胸に響いてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=Am6r1iDyucs

「Sparkle」
CurtisととAretha Franklinが夢のタッグを組んだサントラ『Sparkle』(1976年)のタイトル曲をセルフ・カヴァー。ここではアコースティックな味わいを強調したメロウ・チューンに仕上げています。さり気なさにグッときます。Splash「Feels」のサンプリング・ソースにもなっています。

Curtisの過去記事もご参照下さい。

『Curtis』(1970年)
Curtis

『Curtis/Live!』(1971年)
Curtis/Live!

『Roots』(1971年)
Roots

『Superfly』(1972年)
Superfly (1972 Film)

『Back To The World』(1973年)
Back to the World

『Got To Find A Way』(1974年)
ガット・トゥ・ファインド・ア・ウェイ 74年作

『Give, Get, Take And Have』(1976年)
ギヴ・ゲット・テイク・アンド・ハヴ+1(紙ジャケット仕様)

『Something To Believe In』(1980年)
サムシング・トゥ・ビリーヴ・イン+1(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 13:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月03日

Judy Roberts『Nights In Brazil』

ブラジル色を強めたJudyの人気作☆Judy Roberts『Nights In Brazil』
Nights in Brazil
発表年:1981年
ez的ジャンル:ブラジリアン・グルーヴ系女流キーボード奏者/シンガー
気分は... :心を整える・・・

週明けから、未処理案件が山積みで切羽詰まった状態・・・
こういう時は焦ってもロクなことがないので、まずは心を整えるとしましょう。

こんな時はやはりブラジリアン・サウンドですな。

ということで、今回はレア・グルーヴ好きに人気の女性キーボード奏者/シンガーJudy Robertsの人気作『Nights In Brazil』(1981年)です。

Judy Robertsの紹介は、初リーダー作『The Judy Roberts Band』(1979年)、2nd『The Other World』(1980年)に続き3回目となります。

本作『Nights In Brazil』は、タイトルの通りブラジル色を前面に打ち出したアルバムになっています。その意味で彼女のアルバムにブラジリアンな楽曲を期待する人にとっては一番フィットするアルバムだと思います。

僕の場合も彼女のアルバムの中から1枚選ぶとしたら、本作ということになると思います。

レコーディング・メンバーは、Judy Roberts(key、vo)、Neal Seroka(g)、Michael Fiorino(b)、David Derge(ds、per)、Tony Carpenter(per)、Geraldo De Oliveira(per)、Don Stiernber(mandolin)という編成です。

Judy自身がプロデュース&アレンジを務めています。

MJ「I Can't Help It」Ivan Lins「Common Ground(Velho Sermao)」といったメロウ・カヴァーや、DJ人気の高い「Ole」「Country Samba」といった高速サンバ・グルーヴなどブラジリアン・モードのJydyを存分に満喫できます。

勿論、彼女のキュートなヴォーカル&スキャットも健在です!

全曲紹介しときやす。

「I Can't Help It」
オススメその1。Michael Jacksonの人気曲をカヴァー(Stevie Wonder/Susaye Coton Greene作)。当ブログではGretchen ParlatoEsperanza Spaldingといった女性ジャズ・アーティストによカヴァーを紹介してきましたが、彼女たちもJudyのカヴァーの影響を受けているのかもしれませんね。本ヴァージョンは爽快メロウなブラジリアン・フュージョンに仕上がっています。実に心地好いです。
http://www.youtube.com/watch?v=WaZaHZ-nO1I

「Common Ground」
オススメその2。Ivan Lins「Velho Sermao」のカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)に収録されています。Judyの場合はPaul Winter『Common Ground』(1978年)に収録された英語ヴァージョンのカヴァーといった方が良いのかもしれませんが。Judyの美しいピアノ・ソロをはじめとする透明なアコースティック・サウンドに心洗われるボッサ・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=A105YLJ3dC0

「Ole」
オススメその3。Danny Long作。DJ諸氏に人気の高速ブラジリアン・サンバ・グルーヴ。Judyのスキャットとエレピが駆け巡ります。Neal Serokaのギターも快調です。
http://www.youtube.com/watch?v=FNUxMI47ve0

「Nights In Brazil」
Anne Flanagan/David Derge作。タイトル曲はしっとりとしたナイト・モードのロマンティック・チューン。

「Carnival In Rio」
オススメその4。Dean Rolando/Liz Brent作。カーニヴァルの後の余韻を歌ったものですが、過ぎ去りし夏を思いを馳せたいセンチメンタル気分の方にはぴったりのブラジリアン・メロウです。

「Save That Time」
オススメその5。Russ Long作。小粋でファンキーなJudyのピアノが印象的な美しいブラジリアン・メロウ。実に雰囲気がある1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=C1W73bpjjbY

「Two And A Half」
Neal Seroka作。この当時らしいジャズ・ファンク・チューンです。キュートなJudyのスキャットを楽しめます。やはり作者Nealのギターが目立っています。

「Country Samba」
オススメその6。Neal Seroka作。この曲もDJ人気の高い曲。Judyのスキャットが駆け巡る軽快なサンバ・フュージョン。アコースティックな味わいもあってグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=aa9Fbx79ojQ

「Starlight Haunted Ballroom」
Milo Adamo/Victor Feldman作。ラスト2曲はしっかりジャズしています。小粋なジャズ・ヴォーカル・チューンの本曲は寛いだ雰囲気がいいですね。

「Sophisticated Lady」
Duke Ellington/Irving Mills/Mitchell Parish作。ラストはDuke Ellington作品をカヴァー。優しい歌声のバラードで締め括ってくれます。

『The Judy Roberts Band』(1979年)
The Judy Roberts Band

『The Other World』(1980年)
Other World

『You Are There』(1985年)
You Are There

『Circle Of Friends』(1995年)
Circle of Friends

『In The Moment』(2002年)
In The Moment
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2012年09月02日

Jarrard Anthony『Ready To Live』

ミスター・インディペンデントが放つメジャー級男性R&B☆Jarrard Anthony『Ready To Live』
Ready to Live
発表年:2012年
ez的ジャンル:インディー男性R&B
気分は... :ジャケも中身も凄いんです!

今回は"ミスター・インディペンデント"の異名を持つ男性R&Bアーティストの最新作『Ready To Live』です。

Jarrard Anthonyはバージニア州はリッチモンド出身。

シングル「So D-vine」でデビューし、2001年にリリースしたEP『The Dream』がUKでスマッシュ・ヒットとなり、注目を集めます。

その後、『Don't Sleep... Just Dream』(2004年)、『S.ynergistic E.nergy X.change』(2006年)、『Diary Of A Messenger』(2008年 ※ミニ・アルバム)、『Decade Of Dreams』(2009年)といったアルバムをリリースしています。

最新作『Ready To Live』はMichael Jackson作品への参加等で知られるドラマーのNate Smithがプロデュースし、彼とのタッグで音楽好きを楽しませてくれる仕掛けの多い1枚に仕上がっています。

インディーR&Bとフリーソウル/レア・グルーヴ、90年代Hip-Hopを1本の線で結んでくれるかのような内容は、僕のR&B嗜好のど真ん中です。アーバン・メロウなサウンドに様々な小ネタが織り込まれているのがいいですね。

Lonnie Liston Smith、Onaje Allan Gumbsといったレア・グルーヴ好きを喜ばせてくれるキーボード奏者や、Darien、Eric RobersonといったインディーR&B好きにはお馴染みの男性シンガー等がゲスト参加しており、このあたりも音楽好きを楽しませてくれます。

楽曲はオリジナルが中心ですが、Weldon Irvineのフリーソウル・クラシック「I Love You」のカヴァーが要チェックです。

スフィンクスを模したジャケも凄いですが、中身も時空を超えた大人のR&Bが詰まっています。

インディーR&Bならではの魅力が詰まっています。

全曲紹介しときやす。

「Opening the Way (Intro)」
ミステリアス&エキゾチックなプロローグ。

「Lucky Day」
ここから本編スタート。70年代から活躍するジャズ系キーボード奏者Onaje Allan Gumbsをフィーチャーしたエレクトロ・ソウル。70年代ソウル/ジャズ・ファンクの香り漂う21世紀R&Bといった感じがいいですね。Onaje Allan GumbsはNorman Connors作品等でお馴染みの人ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=O42C5MkMSbc

「Never See Her Again」
Jarrardの奥方でもあるAmer Amenをフィーチャー。70〜80年代アーバン・メロウ好きの人がグッとくる仕上がりです。さらにGang Starr「Mass Appeal」ネタとしてお馴染み、Vic Juris「Horizon Drive」の例のエレピ・ループの引用も聴こえてくるあたりは90年代Hip-Hop好きの心もくすぐるはずなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=2pcexkyOvNM

「Something Like Love」
Amma Whattをフィーチャー。メロウなイントロに続き、Main Source「Fakin' The Funk」ネタとしてお馴染み、The Main Ingredient「Magic Shoes」のコーラス・パートの引用が聴こえてきた時点で完全にKOされてしまいます。曲全体もフリーソウル好きの人にはたまらないアーバン・メロウ・グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=IC1s4OjuT9w

「Cloud 10」
P.M.をフィーチャー。 ネオソウル好きの人であれば間違いないアーバン・メロウです。大人のR&Bを堪能しましょう。

「Morning In the Forest」
タイトルの通り、ジャングル・モードのアフリカン・リズムが聴こえてくるインタールード的な小曲。

「Healer」
前曲の流れを受け、アフリカン・テイストのスピリチュアル感が漂うバラードに仕上がっています。

「Galaxy」
70年代コズミック・ジャズ/ソウルと21世紀エレクトロを上手く融合したようなミディアム・スロウです。

「Blowing On Your Back」
メロディアスな大人のメロウR&B。派手さはありませんが、セクシーにじわじわ迫ってきます。

「All Around the World」
当ブログでも紹介した『If These Walls Could Talk』(2009年)で人気を博した男性R&BシンガーDarienをフィーチャー。ブラジリアン・フレイヴァーのメロウなボッサ・ソウルに仕上がっています。このあたりがモロに僕好み!
http://www.youtube.com/watch?v=ZowORVJ0QMU

「I Love You」
フリーソウル・クラシックとして知られるWeldon Irvineの人気曲をカヴァー(Don Blackman作)。しかもLonnie Liston Smithのキーボード・ソロをフィーチャーしており、フリーソウル/レア・グルーヴ好きにはたまらない展開です。さらに女性シンガーPatrice Covington、フルート奏者Monetもフィーチャーされています。奇をてらわないカヴァーに仕上げているのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=T4vqE6VqvmQ

「Invisible」
最初に聴くと無機質なエレクトロR&Bの印象を受けるかもしれませんが案外悪くありません。

ボーナス・トラックとして、「Never See Her Again Pt.2」「Damn Sista(Future Remix)」の2曲が追加収録されています。

「Never See Her Again Pt.2」
「Never See Her Again」のパート2です。こちらはMic-El、P.M.、Don SpiggaをフィーチャーしたHip-Hopテイストの仕上りになっています。

「Damn Sista(Future Remix)」
2009年にリリースしたシングルのリミックス。Eric Roberson、Darien、Jon Bibbs & Wildmanをフィーチャー。インディーR&B好きにはたまらん名前が並び、それだけでもグッときますね。このリミックスはオリジナルに合ったアコースティックな味わいを削ぎ落とし、エレクトロな味わいを増した引き算リミックスに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=J7p9L3kgDxM

ご興味がある方はJarrard Anthonyの他作品もチェックを!

『Don't Sleep... Just Dream』(2004年)
Don't Sleep Just Dream

『S.ynergistic E.nergy X.change』(2006年)
S.ynergistic E.nergy X.change

『Decade Of Dreams』(2009年)
Decade of Dreams
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2012年09月01日

Kenny Rankin『Silver Morning』

小粋なアコースティック・ジャズ・グルーヴに魅了される都会派フォーキー☆Kenny Rankin『Silver Morning』
Silver Morning
発表年:1974年
ez的ジャンル:ジャズ・グルーヴ系都会派フォーキー
気分は... :温もりがあってセンス抜群!

今回はフォーキー〜AORファンから根強い人気の男性シンガー・ソングライターKenny Rankinの代表作『Silver Morning』(1974年)です。

Kenny Rankin(1940-2009年)はN.Y.出身。Michael Franksあたりにも通じるジャジー&メロウな都会派SSWとして人気を博しました。

自身のアルバムとしては、後にHelen Reddyがヒットさせた名曲「Peaceful」を収録したデビュー作『Mind-Dusters』(1967年)を皮切りに、『Family』(1969年)、『Like a Seed』(1972年)、『Silver Morning』(1974年)、『Inside』(1975年)、『The Kenny Rankin Albu』(1976年)、『After the Roses』(1980年)等のアルバムをリリースしています。

2009年にL.A.で死去。享年69歳。

派手さはありませんが、ハートウォーミングな温もりと都会的なセンスで捨て難い魅力を持った男性シンガーですよね。

今日紹介する『Silver Morning』(1974年)はフリーソウル方面からも注目が高まったKenny Rankinの代表作です。SSWとしての彼が好きな方は全曲オリジナルの『Like a Seed』(1972年)を推すかもしれませんが、彼の持つサウンド・センスという点では本作『Silver Morning』が抜きん出ているような気がします。

前作『Like a Seed』からLittle David Recordsに移籍し、それに伴い活動拠点をL.A.に移したKenny Rankinですが、フォーキー&ジャジー&ボッサなテイストが都会的センスでまとめ上げられた本作『Silver Morning』はL.A.らしいフォーキーAOR作品です。

ハートウォーミングなヴォーカルとジャズ感覚の都会派フォーキー・サウンドが理想の形で組み合わさっている気がします。特にハイライト曲「Haven't We Met」「In The Name Of Love」にはボッサなエッセンスが効いているのでブラジリアン・フォーキー好きも楽しめます。

プロデュースはJack Lewis‎Michael Stewart‎。Michael StewartはBilly Joel好きであれば、『Piano Man』(1973年)、『Streetlife Serenade』(1974年)のプロデューサーとしてお馴染みですね。ここ数日何となく『Streetlife Serenade』でもエントリーしようかなぁと思っていたところだったので、潜在意識の中でこういう方面の作品を欲していたのでしょうね。

話を本作に戻すと、レコーディングにはAugie Johnson、Jim GilstrapといったSide Effect組やDeniece Williams、奥方Yvonne Rankin等のヴォーカル陣やBobbye Hall、Jim Gordon、Jim Nichols、John Guerin、John Sebastian、King Errisson、Peter Marshall、Richard Bennett、Richard Greene、Ron Tutt、William Smith等のミュージシャンが参加しています。

CDにはオリジナル10曲に加え、シングル曲「Why Do Fools Fall In Love」(Frankie Lymon & The Teenagersのカヴァー)がボーナス・トラックとして収録されています。

何回聴いても良く出来た作品だと感心してしまいます。

ジャケの美しさも秀逸ですね。

全曲紹介しときやす。

「Silver Morning」
Kenny Rankin/Yvonne Rankin作。霧が晴れて次第に視界が開けてくるかのようなタイトル曲。オーケストレーションも交えた荘厳なサウンドと透明感のあるKennyのヴォーカルとが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=7jqqLgZ-Qgk

「Blackbird」
The Beatlesのカヴァー1曲目。Kennyのハートウォームなヴォーカル透明感のあるアコースティック・サウンドが体の芯から清らかにしてくれます。この曲のカヴァーの最高峰の1つでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=TSRNm1KWeVQ

「In The Name Of Love」
Estelle Levitt/Kenny Rankin作。フリーソウル好きの人は要チェックの1曲。小粋なジャズ・ワルツ調の味わいにグッとくるフォーキー・グルーヴ。素晴らしすぎるスキャットとサウンド・センスに脱帽です。ボッサなエッセンスも効いています。
http://www.youtube.com/watch?v=tzXTUk4TfSg

「People Get Ready」
Curtis Mayfield作のThe Impressionsの名曲をカヴァー。フォーキーなブルーアイド・ソウルに仕上がっています。John Sebastianのハーモニカも印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=I6OO11x2C6Q

「Killed A Cat」
Kenny Rankin/Yvonne Rankin作。透明感のあるフォーキー・チューン。うっすら幻想的な雰囲気が漂います。

「Haven't We Met」
Kenny Rankin/Ruth Batchelor作。1964年に女性ジャズ・シンガーCarmen McRae‎に提供した楽曲のセルフ・ヴァージョン。本作のハイライト曲です。ボッサ・グルーヴ好きも気に入るであろう透明感のある爽快アコースティック・ワルツ・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=dx2tcDivhhk

Ann Sallyもカヴァーしていますね。カフェ・アプレミディのコンピ『Cafe Apres-midi Vert』にも収録されていたJohn Pizzarelli‎のヴァージョンも要チェックです。
John Pizzarelli‎「Haven't We Met」
 http://www.youtube.com/watch?v=BGY3G9pfvbE

「Penny Lane」
The Beatlesのカヴァー2曲目。レインというよりもサンシャイン・モードなグルーヴィーなフォーキー・チューンとして聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=J6THYJcUSTQ

「Pussywillows Cattails」
Gordon Lightfootのカヴァー。オリジナルは『Did She Mention My Name』(1968年)に収録されています。しみじみと歌われる味わい深いカヴァーです。
http://www.youtube.com/watch?v=pmuPbZSOeaA

「Catfish」
Kenny Rankin/Yvonne Rankin作。哀愁ボッサ・モードの仕上がり。アコースティックな疾走感と美しいコーラスワークががグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=c0XZnK9Pte4

「Birembau」
オリジナルのラストはVinicius de Moraes/Baden Powell作のアフロ・サンバ名曲「Berimbau」をカヴァー。曲名のスペルが"Berimbau"ではなく"Birembau"になっています。当ブログではつい最近Gary McFarlandのカヴァーを紹介したのをはじめ、数多くのアーティストのヴァージョンを紹介済みであり、お馴染みの1曲ですね。Kennyヴァージョンはアフロ・サンバ感はあまりありませんが、エキサイティングでスケールの大きな演奏を聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=3bMrxQE3LtI

「Why Do Fools Fall In Love」
Morris Levy/Frankie Lymon作。前述のようにボーナス・トラックとして収録されているFrankie Lymon & The Teenagersのカヴァー。Diana Rossヴァージョンでもお馴染みの曲ですね。本作に通じる小粋なアコースティック・ジャズ・グルーヴに仕上がっています。

ご興味のある方は他のKenny Rankin作品もチェックを!

『Mind-Dusters』(1967年)
Mind-Dusters

『Family』(1969年)
Family

『Like a Seed』(1972年)
Like a Seed

『Inside』(1975年)
Inside

『The Kenny Rankin Albu』(1976年)
Kenny Rankin Album

『After the Roses』(1980年)
After the Roses
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