発表年:1974年
ez的ジャンル:ジャズ・グルーヴ系都会派フォーキー
気分は... :温もりがあってセンス抜群!
今回はフォーキー〜AORファンから根強い人気の男性シンガー・ソングライターKenny Rankinの代表作『Silver Morning』(1974年)です。
Kenny Rankin(1940-2009年)はN.Y.出身。Michael Franksあたりにも通じるジャジー&メロウな都会派SSWとして人気を博しました。
自身のアルバムとしては、後にHelen Reddyがヒットさせた名曲「Peaceful」を収録したデビュー作『Mind-Dusters』(1967年)を皮切りに、『Family』(1969年)、『Like a Seed』(1972年)、『Silver Morning』(1974年)、『Inside』(1975年)、『The Kenny Rankin Albu』(1976年)、『After the Roses』(1980年)等のアルバムをリリースしています。
2009年にL.A.で死去。享年69歳。
派手さはありませんが、ハートウォーミングな温もりと都会的なセンスで捨て難い魅力を持った男性シンガーですよね。
今日紹介する『Silver Morning』(1974年)はフリーソウル方面からも注目が高まったKenny Rankinの代表作です。SSWとしての彼が好きな方は全曲オリジナルの『Like a Seed』(1972年)を推すかもしれませんが、彼の持つサウンド・センスという点では本作『Silver Morning』が抜きん出ているような気がします。
前作『Like a Seed』からLittle David Recordsに移籍し、それに伴い活動拠点をL.A.に移したKenny Rankinですが、フォーキー&ジャジー&ボッサなテイストが都会的センスでまとめ上げられた本作『Silver Morning』はL.A.らしいフォーキーAOR作品です。
ハートウォーミングなヴォーカルとジャズ感覚の都会派フォーキー・サウンドが理想の形で組み合わさっている気がします。特にハイライト曲「Haven't We Met」、「In The Name Of Love」にはボッサなエッセンスが効いているのでブラジリアン・フォーキー好きも楽しめます。
プロデュースはJack Lewis、Michael Stewart。Michael StewartはBilly Joel好きであれば、『Piano Man』(1973年)、『Streetlife Serenade』(1974年)のプロデューサーとしてお馴染みですね。ここ数日何となく『Streetlife Serenade』でもエントリーしようかなぁと思っていたところだったので、潜在意識の中でこういう方面の作品を欲していたのでしょうね。
話を本作に戻すと、レコーディングにはAugie Johnson、Jim GilstrapといったSide Effect組やDeniece Williams、奥方Yvonne Rankin等のヴォーカル陣やBobbye Hall、Jim Gordon、Jim Nichols、John Guerin、John Sebastian、King Errisson、Peter Marshall、Richard Bennett、Richard Greene、Ron Tutt、William Smith等のミュージシャンが参加しています。
CDにはオリジナル10曲に加え、シングル曲「Why Do Fools Fall In Love」(Frankie Lymon & The Teenagersのカヴァー)がボーナス・トラックとして収録されています。
何回聴いても良く出来た作品だと感心してしまいます。
ジャケの美しさも秀逸ですね。
全曲紹介しときやす。
「Silver Morning」
Kenny Rankin/Yvonne Rankin作。霧が晴れて次第に視界が開けてくるかのようなタイトル曲。オーケストレーションも交えた荘厳なサウンドと透明感のあるKennyのヴォーカルとが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=7jqqLgZ-Qgk
「Blackbird」
The Beatlesのカヴァー1曲目。Kennyのハートウォームなヴォーカル透明感のあるアコースティック・サウンドが体の芯から清らかにしてくれます。この曲のカヴァーの最高峰の1つでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=TSRNm1KWeVQ
「In The Name Of Love」
Estelle Levitt/Kenny Rankin作。フリーソウル好きの人は要チェックの1曲。小粋なジャズ・ワルツ調の味わいにグッとくるフォーキー・グルーヴ。素晴らしすぎるスキャットとサウンド・センスに脱帽です。ボッサなエッセンスも効いています。
http://www.youtube.com/watch?v=tzXTUk4TfSg
「People Get Ready」
Curtis Mayfield作のThe Impressionsの名曲をカヴァー。フォーキーなブルーアイド・ソウルに仕上がっています。John Sebastianのハーモニカも印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=I6OO11x2C6Q
「Killed A Cat」
Kenny Rankin/Yvonne Rankin作。透明感のあるフォーキー・チューン。うっすら幻想的な雰囲気が漂います。
「Haven't We Met」
Kenny Rankin/Ruth Batchelor作。1964年に女性ジャズ・シンガーCarmen McRaeに提供した楽曲のセルフ・ヴァージョン。本作のハイライト曲です。ボッサ・グルーヴ好きも気に入るであろう透明感のある爽快アコースティック・ワルツ・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=dx2tcDivhhk
Ann Sallyもカヴァーしていますね。カフェ・アプレミディのコンピ『Cafe Apres-midi Vert』にも収録されていたJohn Pizzarelliのヴァージョンも要チェックです。
John Pizzarelli「Haven't We Met」
http://www.youtube.com/watch?v=BGY3G9pfvbE
「Penny Lane」
The Beatlesのカヴァー2曲目。レインというよりもサンシャイン・モードなグルーヴィーなフォーキー・チューンとして聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=J6THYJcUSTQ
「Pussywillows Cattails」
Gordon Lightfootのカヴァー。オリジナルは『Did She Mention My Name』(1968年)に収録されています。しみじみと歌われる味わい深いカヴァーです。
http://www.youtube.com/watch?v=pmuPbZSOeaA
「Catfish」
Kenny Rankin/Yvonne Rankin作。哀愁ボッサ・モードの仕上がり。アコースティックな疾走感と美しいコーラスワークががグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=c0XZnK9Pte4
「Birembau」
オリジナルのラストはVinicius de Moraes/Baden Powell作のアフロ・サンバ名曲「Berimbau」をカヴァー。曲名のスペルが"Berimbau"ではなく"Birembau"になっています。当ブログではつい最近Gary McFarlandのカヴァーを紹介したのをはじめ、数多くのアーティストのヴァージョンを紹介済みであり、お馴染みの1曲ですね。Kennyヴァージョンはアフロ・サンバ感はあまりありませんが、エキサイティングでスケールの大きな演奏を聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=3bMrxQE3LtI
「Why Do Fools Fall In Love」
Morris Levy/Frankie Lymon作。前述のようにボーナス・トラックとして収録されているFrankie Lymon & The Teenagersのカヴァー。Diana Rossヴァージョンでもお馴染みの曲ですね。本作に通じる小粋なアコースティック・ジャズ・グルーヴに仕上がっています。
ご興味のある方は他のKenny Rankin作品もチェックを!
『Mind-Dusters』(1967年)
『Family』(1969年)
『Like a Seed』(1972年)
『Inside』(1975年)
『The Kenny Rankin Albu』(1976年)
『After the Roses』(1980年)