発表年:2012年
ez的ジャンル:インディー男性R&B
気分は... :ジャケも中身も凄いんです!
今回は"ミスター・インディペンデント"の異名を持つ男性R&Bアーティストの最新作『Ready To Live』です。
Jarrard Anthonyはバージニア州はリッチモンド出身。
シングル「So D-vine」でデビューし、2001年にリリースしたEP『The Dream』がUKでスマッシュ・ヒットとなり、注目を集めます。
その後、『Don't Sleep... Just Dream』(2004年)、『S.ynergistic E.nergy X.change』(2006年)、『Diary Of A Messenger』(2008年 ※ミニ・アルバム)、『Decade Of Dreams』(2009年)といったアルバムをリリースしています。
最新作『Ready To Live』はMichael Jackson作品への参加等で知られるドラマーのNate Smithがプロデュースし、彼とのタッグで音楽好きを楽しませてくれる仕掛けの多い1枚に仕上がっています。
インディーR&Bとフリーソウル/レア・グルーヴ、90年代Hip-Hopを1本の線で結んでくれるかのような内容は、僕のR&B嗜好のど真ん中です。アーバン・メロウなサウンドに様々な小ネタが織り込まれているのがいいですね。
Lonnie Liston Smith、Onaje Allan Gumbsといったレア・グルーヴ好きを喜ばせてくれるキーボード奏者や、Darien、Eric RobersonといったインディーR&B好きにはお馴染みの男性シンガー等がゲスト参加しており、このあたりも音楽好きを楽しませてくれます。
楽曲はオリジナルが中心ですが、Weldon Irvineのフリーソウル・クラシック「I Love You」のカヴァーが要チェックです。
スフィンクスを模したジャケも凄いですが、中身も時空を超えた大人のR&Bが詰まっています。
インディーR&Bならではの魅力が詰まっています。
全曲紹介しときやす。
「Opening the Way (Intro)」
ミステリアス&エキゾチックなプロローグ。
「Lucky Day」
ここから本編スタート。70年代から活躍するジャズ系キーボード奏者Onaje Allan Gumbsをフィーチャーしたエレクトロ・ソウル。70年代ソウル/ジャズ・ファンクの香り漂う21世紀R&Bといった感じがいいですね。Onaje Allan GumbsはNorman Connors作品等でお馴染みの人ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=O42C5MkMSbc
「Never See Her Again」
Jarrardの奥方でもあるAmer Amenをフィーチャー。70〜80年代アーバン・メロウ好きの人がグッとくる仕上がりです。さらにGang Starr「Mass Appeal」ネタとしてお馴染み、Vic Juris「Horizon Drive」の例のエレピ・ループの引用も聴こえてくるあたりは90年代Hip-Hop好きの心もくすぐるはずなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=2pcexkyOvNM
「Something Like Love」
Amma Whattをフィーチャー。メロウなイントロに続き、Main Source「Fakin' The Funk」ネタとしてお馴染み、The Main Ingredient「Magic Shoes」のコーラス・パートの引用が聴こえてきた時点で完全にKOされてしまいます。曲全体もフリーソウル好きの人にはたまらないアーバン・メロウ・グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=IC1s4OjuT9w
「Cloud 10」
P.M.をフィーチャー。 ネオソウル好きの人であれば間違いないアーバン・メロウです。大人のR&Bを堪能しましょう。
「Morning In the Forest」
タイトルの通り、ジャングル・モードのアフリカン・リズムが聴こえてくるインタールード的な小曲。
「Healer」
前曲の流れを受け、アフリカン・テイストのスピリチュアル感が漂うバラードに仕上がっています。
「Galaxy」
70年代コズミック・ジャズ/ソウルと21世紀エレクトロを上手く融合したようなミディアム・スロウです。
「Blowing On Your Back」
メロディアスな大人のメロウR&B。派手さはありませんが、セクシーにじわじわ迫ってきます。
「All Around the World」
当ブログでも紹介した『If These Walls Could Talk』(2009年)で人気を博した男性R&BシンガーDarienをフィーチャー。ブラジリアン・フレイヴァーのメロウなボッサ・ソウルに仕上がっています。このあたりがモロに僕好み!
http://www.youtube.com/watch?v=ZowORVJ0QMU
「I Love You」
フリーソウル・クラシックとして知られるWeldon Irvineの人気曲をカヴァー(Don Blackman作)。しかもLonnie Liston Smithのキーボード・ソロをフィーチャーしており、フリーソウル/レア・グルーヴ好きにはたまらない展開です。さらに女性シンガーPatrice Covington、フルート奏者Monetもフィーチャーされています。奇をてらわないカヴァーに仕上げているのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=T4vqE6VqvmQ
「Invisible」
最初に聴くと無機質なエレクトロR&Bの印象を受けるかもしれませんが案外悪くありません。
ボーナス・トラックとして、「Never See Her Again Pt.2」、「Damn Sista(Future Remix)」の2曲が追加収録されています。
「Never See Her Again Pt.2」
「Never See Her Again」のパート2です。こちらはMic-El、P.M.、Don SpiggaをフィーチャーしたHip-Hopテイストの仕上りになっています。
「Damn Sista(Future Remix)」
2009年にリリースしたシングルのリミックス。Eric Roberson、Darien、Jon Bibbs & Wildmanをフィーチャー。インディーR&B好きにはたまらん名前が並び、それだけでもグッときますね。このリミックスはオリジナルに合ったアコースティックな味わいを削ぎ落とし、エレクトロな味わいを増した引き算リミックスに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=J7p9L3kgDxM
ご興味がある方はJarrard Anthonyの他作品もチェックを!
『Don't Sleep... Just Dream』(2004年)
『S.ynergistic E.nergy X.change』(2006年)
『Decade Of Dreams』(2009年)