2012年09月16日

Joyce『Tudo』

いつまでも若々しいJoyce!新作のコンセプトは「リズムのヴァラエティ」☆Joyce『Tudo』
トゥード
発表年:2012年
ez的ジャンル:ブラジル女性SSW
気分は... :全てが・・・

人気ブラジル人女性シンガー・ソングライターJoyce(Joyce Moreno)の最新作『Tudo』です。

これまで当ブログで紹介したJoyce作品は以下の4枚。

 『Feminina』(1980年)
 『Tardes Cariocas』(1983年)
 『Hard Bossa』(1999年)
 『Bossa Duets』(2003年)

昨年リリースした弾き語りアルバム『Rio』が好評であったJoyce Moreno

『Rio』(2011年)
リオ(Rio)

Joyceは好きなアーティストですが、だからといって新作というだけで食指が伸びるわけではありません。特に近年は企画作品の色合いが強いものも多いですからね。

それでも最新作『Tudo』は久々に期待を持って購入した新作です。その理由は2つ。1つ目は殆ど書下ろしの作品が占めるアルバムであること、2つ目は「リズムのヴァラエティ」をコンセプトにしていることです。特に後者はレギュラー・バンドを従え、表情豊かなリズム&サウンドを聴かせてくれるのではないかという期待が膨らみました。

実際に聴いた中身も素晴らしいの一言!
とても64歳とは思えない若々しい歌声と衰えない創作意欲に感心するばかりです。

プロデュースはJoyce本人とご主人Tutti Moreno

レコーディング・メンバーは、Joyce(vo、g)、Helio Alves(p)、Rodolfo Stroeter(b)、Tutti Moreno(ds、per)を基本に、Ze Renato(vo)、Antonia Adnet(g)、Ana Martins(back vo)、Mauricio Maestro(bavk vo)等も参加しています。

派手さはありませんが、しっかり手応えのあるリズムのヴァラエティに魅了されるJoyceファン納得の1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Quero Ouvir Joao」
Joyce Moreno/Paulo Cesar Pinheiro作。「ジョアンが聴きたくて」という邦題のように、♪最近はちゃんと聴ける音楽が少ない♪私はJoao Gilbertoが聴きたい♪と歌われます。オーガニックなグルーヴが心地好いオープニング。

「Estado De Graca」
Joyce Moreno/Nelson Motta作。Nelson Mottaとの共作。Helio Alvesの美しいピアノをバックに、しっとりとした歌声を聴かせてくれるボッサ・チューン。終盤にはAntonio Carlos Jobim作品「So Tinha De Ser Com Voce」のフレーズの引用も聴かれます。

「Puro Ouro」
Joyce Moreno作。前作『Rio』でも歌われていた楽曲。ここではバンドを従えたサンバ・チューンで聴かせてくれます。新世代のサンバ・ミュージシャンもコーラスで参加しています。

「Boiou」
Joyce Moreno作。実に若々しく小粋なアコースティック・グルーヴ。本作のコンセプト"リズムのヴァラエティ"で楽しませてくれます。また、Mauricio Maestroのヴォーカル・アレンジ&バック・コーラスもグッド!

「Aquelas Cancoes Em Mim」
Joyce Moreno作。美しいメロディと寛いだ雰囲気に癒されます。Joyceの素晴らしいソングライティングの腕前を再認識できます。

「Claude Et Maurice」
Joyce Morenos作。タイトルはクロード・ドビュッシー(Claude Debussy)とモーリス・ラヴェル(Maurice Ravel)というフランス印象派の音楽家に由来するものです。それ以外にもルノワールやモネといった画家の名前も登場するフランス印象派へのオマージュ。

「Tringuelingue」
Joyce Moreno作。Joyce好きにはたまらないスキャットと共に疾走する爽快なサンバ・グルーヴ。こういうのを期待して本作を購入したんです!

「Domingo De Manha」
Joyce Moreno作。小粋なJoyce節を堪能できる1曲。派手さはありませんがグッときます。

「Choro De Anjo」
Joyce Moreno作。孫のAngelo君(Clara Morenoの息子)のために作った曲なのだとか。やさしいお婆ちゃん目線の1曲。でも、こんなに若々しくて素敵なお婆ちゃんがいて孫も鼻高々ですな。

「Dor De Amor E Agua」
Joyce Moreno/Paulo Cesar Pinheiro作。Ze Renatoとのデュエット。小気味良いサウンドをバックに、人生の年輪を感じる言葉が胸に刺さります。

「Sem Poder Dancar」
Joyce Moreno/Teresa Cristina作。美しくも切ないメロディにグッときます。アルバムの中でもかなり好きな1曲。娘Ana Martinsがバック・コーラスを務めます。

「Pra Voce Gostar De Mim」
Joyce Moreno/Ze Renato作。「Dor De Amor E Agua」をデュエットしたZe Renatoとの共作。哀愁モードのメロディにグッとくる美しいボッサ・チューンです。

「Tudo」
Joyce Moreno作。タイトル曲はエレガントなサウンドと素晴らしい歌詞に魅了されます。全てが・・・素敵な余韻を残してアルバムは幕を閉じます。

Joyceの過去記事もご参照下さい。

『Feminina』(1980年)
フェミニーナ、そして水と光

『Tardes Cariocas』(1983年)
Tardes Cariocas

『Hard Bossa』(1999年)
Hard Bossa

『Bossa Duets』(2003年)
ボッサ・デュエッツ
posted by ez at 02:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする