発表年:2012年
ez的ジャンル:スタイリッシュ・ジャーマン・ジャズ・ファンク
気分は... :センス抜群!
今回は新作アルバムの中から超オススメの1枚、Shareholder Tomの3rdアルバム『45 Minutes Out Of 25 Years』です。
ジャーマン・ファンク・シーンの重要人物Thomas BerghausによるプロジェクトShareholder Tomの紹介は、2ndアルバム『Havanna - Asmara, Via Colonia』(2011年)に続き2回目となります。
前作『Havanna - Asmara, Via Colonia』は、ジャズ・ファンク/クラブジャズをベースにソウル/R&B、ハウス、ラテン、レゲエ、アフロビート、アフリカ音楽などが融合した国境を越えた音世界が展開される、アルバム・タイトル通りのヨーロッパから中米、アフリカへの音楽の旅を詰め込んだサウンド・スケープ的なアルバムでした。特にAlison Degbeをフィーチャーしたシングル「Send My Tears」の出来は格別でした。
Shareholder Tom feat. Alison Degbe「Send My Tears」
http://www.youtube.com/watch?v=2WxBAwwPN18
『Havanna - Asmara, Via Colonia』(2011年)
本作『45 Minutes Out Of 25 Years』は、前作の路線をよりキャッチーでスタイリッシュな方向へ推し進めています。全曲ヴォーカル入りという点も魅力だと思います。
個人的には"スタカン的"ジャーマン・ジャズ・ファンクという印象が強いですかね。それは本作に収録された2曲のカヴァーに象徴されます。1曲目は本家Style Councilの代表曲「My Ever Changing Moods」のカヴァー、2曲目はThomas BerghausがN.Y.出身の黒人男性ヴォーカリストGary Harrisonと組んでいたユニットFamily Vision Careのスタカン的な名曲「Careful」のカヴァーです。それ以外のオリジナルにもスタカンの香りがする楽曲があり、思わずニヤリとしてしまいます。
エリトリア出身の女性シンガーFijori、ドアフリカ系ドイツ人女性シンガーAlison Degbe、ジャマイカ系イギリス人男性シンガーTravis Blaque、Family Vision Careでの盟友Gary Harrison、さらには女性ヴォーカリストJbid AssadurianといったThomas Berghaus作品でお馴染みのヴォーカリストがアルバムに参加しています。また、マルチ・プレイヤーFelix Sittlerも前作同様に大活躍です。
『45 Minutes Out Of 25 Years』というアルバム・タイトルは、本作でカヴァーしている「World of The Lonely People」を収録したドイツのロック・バンドChocolate Factoryのアルバム『45 Minutes Out Of 3 Years』を模したものだと思います。
まずはAlbum Teaserをチェックしてみて下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=OrG2CvVIQhk
Thomas Berghausの抜群のサウンド・センスに脱帽です。
殆ど話題になることがない作品ですが、こういう音を欲している人は案外多いのでは?
全曲紹介しときやす。
「A Change is Coming」
Gary Harrisonをフィーチャー。Family Vision Care時代の盟友と共に創り上げたセクシーなソウル・チューンでアルバムは幕を開けます。ニューソウル的なテイストもグッド!
「Soul Vacation」
Jbid Assadurianをフィーチャー。先行シングルにもなった爽快かつパワフルなグルーヴィー・ソウル。フロア向けのダンス・チューンとしてもイケるのでは?
「Do You Remember」
Jbid Assadurianをフィーチャー。軽くラテン・フレイヴァーの効いたサンセット・モードのアコースティック・チューン。何処となく切ないメロディにグッときます。
「Into The Groove」
Fijoriをフィーチャー。イントロを聴いただけで実に"スタカン的"です。思わずオリジナル「My Ever Changing Moods」を想起してしまいますよ(笑)。Fijoriのキュートなヴォーカルを活かした爽快ソウル・グルーヴです。
「I've Got To Get Away」
Travis Blaqueをフィーチャー。ラテン&レゲエ&カリプソなトロピカル・ワールドを満喫できます。スティール・ドラムの音色は心地好いですね。
「World of The Lonely People」
Felix Sittlerをフィーチャー。前述のようにドイツのロック・バンドChocolate Factoryの1987年作品をカヴァー。ここではFelix Sittlerがヴォーカルも務めています。キャッチーなガレージ・ロックだったオリジナルをスタイリッシュなラテン・フレイヴァーのソウル・チューンとして再生しています。このあたりも実にスタカンっぽい。
Chocolate Factory「World Of The Lonely People」
http://www.youtube.com/watch?v=1pWSwvy9rgQ
「My Ever Changing Moods」
Alison Degbeをフィーチャー。お楽しみ!Style Councilの名曲をカヴァー。本ヴァージョンはスタカン・シングル・ヴァージョンというよりも、『Cafe Bleu』収録のアルバム・ヴァージョンのしっとり路線を受け継いだ、ラテン・フレイヴァーの大人のムーディー・ヴァージョンといった趣です。
「I'll Never Ever Let You Go」
Fijoriをフィーチャー。レゲエ調の哀愁ソウルフル・チューン。Fijoriのキュートなヴォーカルはレゲエ調サウンドによくマッチします。
「By Your Side」
Alison Degbeをフィーチャー。大人のミッドナイト・タイムといった雰囲気のジャジー・ソウル。Alison Degbeのヴォーカルはやはりこういった雰囲気の楽曲が似合います。
「Careful」
Jbid Assadurianをフィーチャー。ラストは前述のようのFamily Vision Careの人気曲のカヴァー。簡単にいえばセルフ・カヴァーですね。Gary Harrisonをフィーチャーしたオリジナル同様にスタカン的な雰囲気を満喫できます。
Family Vision Care「Careful」
http://www.youtube.com/watch?v=SII_HL882yU
興味のある方は「Careful」のオリジナルを収録したFamily Vision Care『Careful』もチェックを!
Family Vision Care『Careful』(2008年)