2012年10月18日

Bennson『Let The Love』

クロスオーヴァー感覚の極上ディスコ・ソウル/アーバン・メロウ☆Bennson『Let The Love』
LET THE LOVE
発表年:2008年
ez的ジャンル:クロスオーヴァー系ディスコ・ソウル/アーバン・メロウ
気分は... :かなりど真ん中な1枚!

今回はオーストラリア人キーボード奏者Bennsonによるディスコ・ソウル作品『Let The Love』(2008年)です。

BennsonことBen Graysonはオーストラリア、メルボルン出身。2000年にメルボルンで結成された人気ファンク・バンドThe Bamboosのメンバーとして活動してきました。

僕がBennsonの存在を知ったのは、当ブログでも紹介したスウェーデン在住のクリエイターOpolopoをフィーチャーしたコンピ・アルバム
『RF Presents Opolopo』(2007年)です。

同作の中にBennson Feat. Karl Wagner名義の作品をOpolopoがリミックスした「Close To Paradise (Opolopo Remix)」が収録されていました。フュージョン・テイストのリズムが実に心地好い爽快ハウス・チューンの虜になり、Bennsonの名が僕の脳内アーティスト・データベースに刻まれました。ただし、その時点では彼がThe Bamboosのメンバーであるという認識はありませんでしたが・・・

「Close To Paradise (Opolopo Remix)」
 http://www.youtube.com/watch?v=doBRzrcYpfA

さて、本作『Let The Love』(2008年)は、彼がThe Bamboosから独立してリリースしたソロ・アルバムです。ストックホルムを拠点とするジャズ/クロスオーヴァー系の人気レーベルRaw Fusionからリリースされた本作は、全曲ヴォーカリストをフィーチャーしたクロスオーヴァー感覚の極上ディスコ・ソウル/アーバン・メロウ作品に仕上がっています。その意味ではThe Bamboosのジャズ・ファンクを期待すると、少しイメージが違うかもしれませんね。

70〜80年代ディスコ/アーバン・メロウのテイストをクロスオーヴァー感覚で上手くまとめ上げている感じがモロに僕好みです。

レコーディングには、Lance FergussoKylie AuldistというThe Bamboosのメンバーも参加しています。

上記のジャケは国内盤ですが、輸入盤はジャケが異なるのでご注意を!

『Let The Love』 ※輸入盤
Let the Love


捨て曲ナシでアルバム全編楽しめます。
僕の嗜好にジャスト・フィットするど真ん中な1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Accidental Lover」
Jerson Trinidad、Kylie Auldistをフィーチャーしたディスコ・ソウル。The Bamboosの盟友Kylie Auldistがソウルフルなヴォーカルを披露してくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=fX8AfqtMaxg

「Can't Get Enough」
Karl Wagnerをフィーチャー。Jeff Hendrickあたりと一緒に聴きたくなるアーバン・メロウなミッド・グルーヴに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=uR6r3SYS6sg

「Let The Love」
Kylie Auldist、Karl Wagnerをフィーチャー。シングルにもなった楽曲です。80年代テイストの爽快メロウ・ダンサーは自然に体を揺らしてしまう心地好さです。
http://www.youtube.com/watch?v=WmP7ibbalqY

「Whatever It Is」
Abby Joyceをフィーチャーしたディスコ・ソウル。この曲もシングルになりました。70〜80年代のフレイヴァーを2008年のセンスで上手くまとめている感じがいいですね。

「Incredible」
Christin Deralasをフィーチャー。ネオソウルとメロウ・フュージョンを融合したようなアーバン・メロウ。メロウネスたっぷりで心が潤されます。
http://www.youtube.com/watch?v=-87-vjor_2U

「Fly High」
Karl Wagnerをフィーチャーしていますが、ほぼインストなメロウ・ジャズ・ファンク。
http://www.youtube.com/watch?v=7HvyKkRif-M

「One Minute Left」
Gary Pinto、Christin Deralasをフィーチャー。メロウなエレピとトランペットがサンセット・モードのロマンティックな音空間を演出します。

「The Greatest」
Karl Wagnerをフィーチャー。僕の一番のお気に入り。80年代ディスコをフューチャー・ソウル感覚で仕上げたキャッチーなダンス・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=98ttuQpCKbc

「Step To The Plate」
Carmen Henricksをフィーチャー。80年代アーバン・ファンク/ディスコのテイストがいい感じのメロウ・ダンサー。The Bamboosの盟友Lance Fergussonがギターで参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=uamljI1RIIg

「I Need Music」
Paul Mac Innesをフィーチャー。アーバン・メロウなミッド・グルーヴ。80年代アーバン・サウンド好きの人も気に入るはず!

「Uto」
Willow Neilsonをフィーチャー。ラストは他の楽曲とは多少趣の異なるパーカッシヴなジャズ・ファンク・チューンです。

国内盤には「Behind The Moon」「Whatever It Is (Extended Mix)」「Whatever It Is (Simon Grey Remix)」の3曲がボーナス・トラックとして収録されています。本作に興味を持たれる方はハウス好きの人が多いと思いますので、オーストラリア出身の人気ハウス・クリエイターSimon Greyによるリミックスは要チェックだと思います。その意味では輸入盤ではなく国内盤の方をオススメします。

本作とは路線が異なりますが、The Bamboosのアルバムもチェックを!

『Step It Up』(2006年)
 (TRUCD092)

『Rawville』(2007年)
Rawville (TRUCD125)

『Listen! Hear!! the Bamboos Live!!!』(2008年)
Listen! Hear!! the Bamboos Live!!!

『Side Stepper』(2008年)
Side Stepper (TRUCD178)

『4』(2010年)
4 [TRUCD210]

『Medicine Man』(2012年)
Medicine Man (TRUCD251)
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2012年10月17日

Robert Glasper Experiment『Black Radio Recovered: The Remix EP』

話題のアルバム『Black Radio』の第2幕☆Robert Glasper Experiment『Black Radio Recovered: The Remix EP』
Black Radio Recovered: the Remix Ep
発表年:2012年
ez的ジャンル:Hip-Hop/R&B+ジャズ系先鋭ジャズ・ユニット
気分は... :衝撃アルバムの第2幕!

今回は当ブログでも逸早く取り上げ大絶賛した先鋭ジャズ・ユニットによるクロスオーヴァー作品『Black Radio』のリミックスEP『Black Radio Recovered: The Remix EP』です。

先鋭的ジャズ・ピアニストRobert Glasper(p)がCasey Benjamin(sax、fl、vo)、Chris Dave(ds)、Derrick Hodge(el-b)と結成したクロスーヴァー路線のユニットRobert Glasper Experiment初のフル・アルバム『Black Radio』は今年リリースされたジャズ作品の中でも、各方面でかなり話題になった1枚ではないかと思います。

Lupe FiascoBilalLalah HathawayLedisiMusiq SoulchildChrisette MicheleMeshell NdegeocelloStokley WilliamsMint Condition)、Mos Def等の有名どころR&B/Hip-Hopアーティストが多数参加したのが、その要因だと思います。

ただし、先鋭ジャズ・ユニットと有名R&B/Hip-Hopアーティストの共演に止まらないところが『Black Radio』という作品の凄いところだと思います。

例えば、同じHip-HopアーティストでもLupe FiascoMos Defといったメジャーどころのみならず、Sa-Ra Creative PartnersのShafiq HusaynのようなアングラHip-Hopの先鋭的アーティストを起用したり、クラブ・ミュージック好きにはお馴染みのスウェーデンのユニットLittle Dragonのカヴァー(国内盤のみ)を取り上げたりとアングラHip-Hopやクラブ・ミュージックも飲み込んでいます。また、NirvanaDavid Bowieのカヴァーなどロックの影響も垣間見られます。

『Black Radio』とは直接関係ありませんが、Robert GlasperがプロデュースしたGretchen Parlatoや、Gretcheと関係が深いEsperanza Spaldingといったジャズ界を牽引する気鋭のアーティストとのピープル・ツリーも興味深いものがあります。これら3アーティストの作品を聴けば、ジャズの新潮流が見えてくるのでは?

このように『Black Radio』というアルバムは、広大な音楽マップが描かれている作品であり、聴き手も全体像を把握するのが大変な作品という気がします。

その第2幕とも呼べるリミックスEP『Black Radio Recovered: The Remix EP』では、9th WonderPhontePete RockGeorgia Anne Muldrow、Solange Knowles(Beyonceの妹)、The Rootsおよび?uestlove、Black Milkなどが新たに参加しています。

また、アルバム未収録曲、故J Dillaへ捧げた「Dillalude #2」も感動的です。

全曲紹介しときやす。

「Afro Blue (9th Wonder's Blue Light Basement Remix)」
Mongo Santamaria作の人気アフロ・キューバン・クラシックのカヴァーをHip-Hopファンにはお馴染みの人気トラック・メイカー9th Wonderがリミックス。『Black Radio』本編ではErykah Baduをフィーチャーしていましたが、本リミックスではErykah様に加え、Little Brotherで9th Wonderの盟友であったPhonteもフィーチャーしています。9th Wonderによるリミックスは本編以上に浮遊度が高い仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=HlIJyXI_H8s

「Black Radio (Pete Rock Remix)」
Mos Defをフィーチャーしたタイトル曲をPete Rockがリミックス。今回の数あるリミックスの中でも格好良さでは本曲が一番なのでは?さすがはPete Rock
http://www.youtube.com/watch?v=_SUzaEnRq3M

「The Consequences of Jealousy (Georgia Anne Muldrow's Sassy Geemix)」
Meshell Ndegeocelloをフィーチャーした本曲はアンダーグラウンド・ソウル・レディGeorgia Anne Muldrowがリミックスしています。憂いを帯びたメロウネスが印象的であった本編ヴァージョンと比較して、パーカッシヴ&スピリチュアルな雰囲気が漂うソウル・チューンに生まれ変わっています。
http://www.youtube.com/watch?v=3HEpM5pY_WQ

「Twice (?uestlove's Twice Baked Remix)」
国内盤のボーナス・トラックとして収録されていたLittle DragonのカヴァーをThe Rootsの?uestloveがリミックス。前述のように、Little Dragonは日系スウェーデン人の女性シンガーYukimi Naganoが率いるクラブ・ミュージック好きに人気のユニットです。ここではSolange KnowlesとThe Rootsがフィーチャーされています。本編はヴォコーダーを配したスピリチュアルな仕上りでしたが、本リミックスは全く別物のネオ・ソウル・チューンといった感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=flk-zI90rDw

「Letter to Hermione (Robert Glasper and Jewels Remix)」
本編ではBilalをフィーチャーしていた本曲はRobert GlasperとJewelsがリミックスしています。ここではBilalに加え、Black Milkのラップがフィーチャーされています。哀愁モードであった本編にミステリアスな魅力が加わったリミックスとなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=KOAq5yhL-6o

「Dillalude #2」
ラストは『Black Radio』のセッションでレコーディングしたもののアルバムには未収録だった楽曲です。タイトルの通り、故J Dillaへのトリビュートです。Robert Glasperのアルバム『In My Element』(2007年)にJ Dillaへのトリビュート「J Dillalude」が収録されていましたが、そのPart 2という位置づけだと思います。Casey Benjaminのヴォコーダーをフィーチャーしたビューティフルな1曲に仕上がっています。

特に終盤で、故J Dilla(Jay Dee)のベストワークとも呼びたいCommon「The Light」でサンプリングされたBobby Caldwell「Open Your Eyes」のメロディがヴォコーダーと共に奏でられるのが感動的です。
http://www.youtube.com/watch?v=jO3XWu8rwpc

未聴の方は本編『Black Radio』もぜひチェックを!

『Black Radio』(2012年)
ブラック・レディオ

注目のサッカー親善試合「日本対ブラジル」は0対4で日本の完敗でした。
現状の実力差を考えれば、こんなものかもしれませんね。
完敗でしたが、ブラジルの凄さを肌で感じることができたのは収穫だったのでは?
できれば来年のコンフェデ杯で再戦し、今回の敗戦からの成長を見せて欲しいですね。
posted by ez at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月16日

Alaide Costa『Coracao』

Milton Nascimentoプロデュース!☆Alaide Costa『Coracao』
Coracao
発表年:1976年
ez的ジャンル:黒人女性ボサノヴァ・シンガー
気分は... :貫録の歌いっぷりがお見事!

今回は黒人女性ボサノヴァ・シンガーAlaide CostaがMilton Nascimentoプロデュースの下に制作した『Coracao』(1976年)です。

Alaide Costaは1938年リオ・デ・ジャネイロ生まれの黒人女性ボサノヴァ・シンガー。1950年代後半から1960年代にかけて多くのレコーディングを残しています。

そんなAlaide CostaMilton Nascimentoをはじめ、ミナス系ミュージシャンを迎えて制作したアルバムが『Coracao』(1976年)です。

Milton Nascimento/Mariozinho Rochaがプロデュースを務め、Joao Donatoがアレンジを担当しています。

レコーディングには、Joao Donato(p)、Novelli(b)、Robertinho Silva(ds)、Nelson Angelo(g)、Toninho Horta(g)、Ivan Lins(p)、Fernando Leporace(back vo)等が参加しています。

あまりボサノヴァを聴かない人の中には、いまいち腹から底から声を出していないボサノヴァのヴォーカル・スタイルに物足りなさを感じる人がいるかもしれません。その点、Alaide Costの堂々とした歌いぶりは前述のような不満を持つ方も満足させてくれると思います。

本作『Coracao』(1976年)でも壮大なオーケストレーションや、軽快なリズムをバックに堂々とした歌を披露してくれます。特にミナス系のミステリアスな雰囲気とAlaide Costの艶やかなヴォーカルの組み合わせが魅力のアルバムだと思います。

黒人女性ボサノヴァ・シンガーの貫録のヴォーカルをお楽しみ下さい。

全曲紹介しときやす。

「Pai Grande」
Milton Nascimento作。オープニングはMiltonの名曲カヴァー。オリジナルは
『Milton』(1970年)に収録されています。Alaide Costaの堂々とした歌いぶりと雄大なサウンドがMiltonワールドを見事に表現しています。

「O Samba Que Eu Lhe Fiz」
Sueli Costa作。エレガントなアレンジが印象的なボッサ・チューン。憂いを帯びながらも貫録のヴォーカルを聴かせてくれます。

「Coracao」
Nelson Angelo/Ronaldo Bastos作。壮大なオーケストレーションをバックにムーディーな雰囲気が漂います。

「Catavento」
オススメその1。Milton Nascimento作。オリジナルはMiltonの1stアルバム『Travessia』(1967年)に収録されています。当ブログではChristiane Legrandのカヴァーも紹介済みです。本ヴァージョンはAlaideのスキャットと躍動するメロウ・ブラジリアン・サウンドが実に心地好いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=9vhTXnBuC4Q

「Quem Sou Eu?」
Johnny Alf作。ジャズ・スタンダード風の壮大なアレンジが印象的です。イントロのジャジー・ギターがなかなか素敵です。

「Sonho e Fantasia」
オススメその2。Joao Donato/Lysias Enio作。絶品アレンジをバックにAlaideがうっとりする魅惑のヴォーカルを聴かせてくれます。

「Corpos」
オススメその3。Ivan Lins/Vitor Martins作。Ivan Linsのオリジナルは『Chama Acesa』(1975年)に収録されています。Ivan Lins本人のピアノをバックに、Alaideの堂々としたヴォーカルを満喫できます。

「Pe Sem Cabeca」
オススメその4。Ana Terra/Danilo Caymmi作。当ブログではElis Reginaのヴァージョンも紹介済みです。軽快なジャズ・サンバにのって、Alaideが軽やかな中にも艶やかさを感じるヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=aipifNsIngM

「Tomara」
Novelli/Paulo Cesar Pinheiro/Mauricio Tapajos作。ピアノのみのバックで、情感たっぷりの歌を披露してくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=n6jX85z2Ss0

「Viver de Amor」
オススメその5。Toninho Horta/Ronaldo Bastos作。Toninho Horta自身のヴァージョンは『Terra Dos Passaros』(1979年)に収録されています。ミナスらしいミステリアス感とAlaideの艶ややかなヴォーカルの組み合わせがグッド!

「Tempo Calado」
Alaide Costa/Paulo Alberto Ventura作。オーケストレーションをバックに落ち着いた大人のヴォーカルを聴かせてくれます。

「O Que Se Sabe de Cor (Wanting More) 」
Fernando Leporace作。イントロはオリエンタルな雰囲気も漂いますが、全体としては壮大なオーケストレーションをバックにしたビューティフルな演奏に仕上がっています。

ご興味がある方はAlaide Costaの他作品もどうぞ!

『Canta Suavemente』(1960年)
Canta Suavemente

『Afinal...』(1963年)
AFINAL...

『Alaide Costa』(1965年)
アライジ・コスタ(BOM22206)
posted by ez at 13:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月15日

Don Glaser『Don Glaser』

"裏Bob Dorough"とも形容されるメロウなジャズ・ヴォーカル作品☆Don Glaser『Don Glaser』
ドン・グレイサー (1980)
発表年:1980年
ez的ジャンル:クルーナー・ヴォイス系メロウ男性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :これぞ小粋なジャズ・ヴォーカル!

今回は米国のピアニスト/シンガー・ソングライターDon Glaserが1980年にリリースした小粋でメロウなジャズ・ヴォーカル作品Don Glaser『Don Glaser』です。

Don Glaserは1941年カリフォルニア州サンディエゴ生まれ。幼少期からクラシック・ピアノを学び、その後ジャズに傾倒し、ジャズ・グループを組むようになります。その後活動の拠点を西海岸から東海岸から移しますが、司法試験に合格し、弁護士として活動するようになりました。

弁護士活動の傍らで、演奏活動を続けていたGlaserですが、いつかは自身のアルバムを制作したいという希望を持っていたようです。そして、1980年にそのチャンスが巡ってきます。長年の友人であるプロデューサー/アレンジャーJimmy Haskellのバックアップでレコーディングの機会を得たのです。しかも、バックを務めるのはHaskellの人脈による有名ミュージシャンたち!

こうしてJimmy Haskellのプロデュースにより、Don Glaser(vo、p、el-p)、Ray Brown(b)、Shelly Manne(ds)、Paulinho Da Costa(per)、Bill Perkins(fl、sax)というメンバーでレコーディングされた作品が『Don Glaser』です。

"裏Bob Dorough"とも形容されるクルーナー・ヴォイスとメロウ・サウンドが印象的なジャズ・ヴォーカル作品です。エレピのメロウ・サウンドやジャズ・サンバ/ボサノヴァ系の演奏もあるのでAORファンやブラジリアン好きも楽しめると思います。

「All The Things You Are」「Giant Steps」以外はDon Glaserのオリジナルです。

ジャケに恥ずかしそうに写るDon Glaserのクルーナー・ヴォイスは聴く者を幸せな気分にしてくれます。

全曲紹介しときやす。

「Strawberry Jam」
エレピのメロウな音色が心地好いオープニング。小粋なスウィング感とメロウ・サウンドでリラックス!

「Love」
クラブジャズ好きもグッとくる疾走感が魅力のジャズ・サンバ・チューン。Ray Brown、Shelly Manne、Paulinho Da Costaのリズム隊が格好良すぎです。

「Baby I'm All I've Got」
ほんわかモードのジャズ・ヴォーカル・チューン。小粋なオールドタイミー感がいいですね。

「Carol」
ピアノ・ジャズ好きにはグッときそうな素敵なインスト・ワルツ。妻に捧げた曲なのだとか。透明感のある演奏が好感もてます。

「Together」
この曲も小粋という形容詞がよく似合うポップ&スウィンギーな仕上がり。のんびり過ごしたい午後のBGMにピッタリ!

「San Diego」
アルバムの中の人気曲。メロウなジャズ・サンバ・チューンです。エレピとフルートとスキャットの絡みがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=nIEMoKpeJp0

「The Horoscope Song」
ジェントルなクルーナー・ヴォイスとエレピのメロウ・サウンドが醸し出すハートウォーミングな雰囲気がサイコー!

「All The Things You Are」
Oscar Hammerstein II作詞、Jerome Kern作曲のスタンダード。1939年のミュージカル『Very Warm for May』のために書かれた楽曲です。当ブログではJohn Lewis & Sacha DistelAkua Allrichのカヴァーを紹介済みです。ここではピアノ・トリオによるインストで聴かせてくれます。GlaserがRay Brown、Shelly Manneという名手たちとの演奏を楽しんでいる様子が伝わってきます。

「I Want You Everyday」
AORフィーリングがグッドなロマンティック・ボッサ・チューン。Glaserのジェントル・ヴォーカルはボッサが似合いますね。Bill Perkinsのサックスが盛り上げてくれます。

「Giant Steps」
ラストはJohn Coltraneのカヴァー。当ブログではWoody Hermanによるジャズ・ダンス・カヴァーも紹介済みです。ここでは本作に一貫する小粋な雰囲気の演奏でアルバムを締め括ってくれます。

今週はかなりハードな1週間となりそう・・・覚悟せねば!
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2012年10月14日

The Souljazz Orchestra『Solidarity』

カナダ発、アフロ・ファンクの最新形☆The Souljazz Orchestra『Solidarity』
SOLIDARITY
発表年:2012年
ez的ジャンル:カナディアン・アフロ・ファンク
気分は... :今年はアフロが充実!

今回はアフロ・ファンク好き要チェックの新作The Souljazz Orchestra『Solidarity』です。

カナダのオタワで結成されたジャズ・ファンク・バンドThe Souljazz Orchestraの紹介は、前作『Rising Sun』に続き2回目となります。

Gilles Petersonも大絶賛したことで、クラブジャズ・ファンからの注目も高いグループですね。

5thアルバムとなる本作『Solidarity』は前作『Rising Sun』同様にStrutレーベルからのリリースです。

前作はFela Kutiばりのアフロ・ファンクに加え、Pharoah Sandersを思わせるアフロ・スピリチュアルなサウンドにもアプローチしたインスト主体の作品でした。

本作ではアフロ・ファンクをベースにラテン/カリビアン/レゲエを取り込んだ進化形アフロ・ファンクを聴かせてくれます。ヴォーカル曲が多くなっているのも特徴ですね。

Zakari Frantz(as、fl、cla、vo)、Steve Patterson(ts、per、vo)、Ray Murray(bs、vo)、Pierre Chretien(key、g、b、vo)、Philippe Lafreniere(ds、vo)、Marielle Rivard(per、vo)というメンバー6名に加え、El Hadji "Elage" M'baye(vo)、Gary "Slim" Moore(vo)、Rommel Teixeira Ribeiro(vo)、Nicholas Dyson(vo)、Amelia Leclair(vo)といったゲストがレコーディング参加しています。

今年はアフリカ/アフロ・ファンク関連の新作が充実しているように思えます。当ブログでもガーナのレジェンドによる最新ハイライフ・サウンドEbo Taylor『Appia Kwa Bridge』、パリ発の現行アフロ・ファンク作品Afro Latin Vintage Orchestra『Last Odyssey』、N.Y.産の最新アフロビートAntibalas『Antibalas』といった作品を紹介済みです。

本作も上記作品群と同じく、今年を象徴するアフロ・ファンク作品となるでしょう。

アフロ・ファンク好きの人は勿論のこと、アフリカ+汎カリブ的なアプローチはワールド・ミュージック好きの人も要チェックだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Bibinay」
本作らしいアフロ・カリビアン・ファンクを堪能できるオープニング。アフロビートの呪術感とカリブの開放感が織り成すグルーヴがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=K6qeEEr1jIM

「Kelen Ati Leen」
セネガルのアフロ・キューバン・バンドOrchestra Baobabのアフロ・ファンク名曲をカヴァー。オリジナルは『Visage Du Senegaal - Vol. 6』に収録されています。よりグルーヴ感を強調したナイス・カヴァーに仕上がっています。

「Cartao Postal」
ノスタルジック・モードの軽快なリズムが印象的な演奏です。アフロ・キューバン好きの人にグッとくる仕上がりなのでは?

「Ya Basta」
アフロ・ラテンなグルーヴ感が格好良い1曲。アフロもラテン/サルサも好きという僕のような人にはたまらない出来栄えです。
http://www.youtube.com/watch?v=bblmS-Ga-9o

「Jericho」
アフロ・レゲエ・チューン。アフリカとレゲエの関係を考えれば、この手のサウンドは当然の帰結かもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=DEb6yX6OXKY

「Serve & Protect」
「Serve & Protect」と並ぶ僕のお気に入り。ストレートなアフロビートがお好きな方には間違いのない1曲です。フロアライクなアフロビートが炸裂します。

「Conquering Lion」
リズム隊の格好良さと演歌調メロディが印象的です。タイトルも含めてアフロ+カリビアン/レゲエな感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=9BlTjKCC9OU

「Kingpin」
ラガ調ヴォーカルが印象的なアフロ・レゲエ・チューン。

「Tanbou Lou」
アフロ+汎カリブ的な楽園モードの雰囲気が印象的です。昔のワールド・ミュージックを思い出します。

「Nijaay」
エキゾチックな哀愁チューン。アフリカといったも北アフリカ的な雰囲気が漂います。
http://www.youtube.com/watch?v=i8GTtlv50cM

The Souljazz Orchestraの他作品もチェックを!

『Uprooted』(2005年)
Uprooted

『Freedom No Go Die』(2007年)
フリーダム・ノー・ゴー・ダイ

『Manifesto』(2008年)
Manifesto

『Rising Sun』(2010年)
RISING SUN

記事内で紹介したアフロ作品もチェックしてみて下さい。

Ebo Taylor『Appia Kwa Bridge』
APPIA KWA BRIDGE

Afro Latin Vintage Orchestra『Last Odyssey』
LAST ODYSSEY

Antibalas『Antibalas』
Antibalas
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