2012年10月17日

Robert Glasper Experiment『Black Radio Recovered: The Remix EP』

話題のアルバム『Black Radio』の第2幕☆Robert Glasper Experiment『Black Radio Recovered: The Remix EP』
Black Radio Recovered: the Remix Ep
発表年:2012年
ez的ジャンル:Hip-Hop/R&B+ジャズ系先鋭ジャズ・ユニット
気分は... :衝撃アルバムの第2幕!

今回は当ブログでも逸早く取り上げ大絶賛した先鋭ジャズ・ユニットによるクロスオーヴァー作品『Black Radio』のリミックスEP『Black Radio Recovered: The Remix EP』です。

先鋭的ジャズ・ピアニストRobert Glasper(p)がCasey Benjamin(sax、fl、vo)、Chris Dave(ds)、Derrick Hodge(el-b)と結成したクロスーヴァー路線のユニットRobert Glasper Experiment初のフル・アルバム『Black Radio』は今年リリースされたジャズ作品の中でも、各方面でかなり話題になった1枚ではないかと思います。

Lupe FiascoBilalLalah HathawayLedisiMusiq SoulchildChrisette MicheleMeshell NdegeocelloStokley WilliamsMint Condition)、Mos Def等の有名どころR&B/Hip-Hopアーティストが多数参加したのが、その要因だと思います。

ただし、先鋭ジャズ・ユニットと有名R&B/Hip-Hopアーティストの共演に止まらないところが『Black Radio』という作品の凄いところだと思います。

例えば、同じHip-HopアーティストでもLupe FiascoMos Defといったメジャーどころのみならず、Sa-Ra Creative PartnersのShafiq HusaynのようなアングラHip-Hopの先鋭的アーティストを起用したり、クラブ・ミュージック好きにはお馴染みのスウェーデンのユニットLittle Dragonのカヴァー(国内盤のみ)を取り上げたりとアングラHip-Hopやクラブ・ミュージックも飲み込んでいます。また、NirvanaDavid Bowieのカヴァーなどロックの影響も垣間見られます。

『Black Radio』とは直接関係ありませんが、Robert GlasperがプロデュースしたGretchen Parlatoや、Gretcheと関係が深いEsperanza Spaldingといったジャズ界を牽引する気鋭のアーティストとのピープル・ツリーも興味深いものがあります。これら3アーティストの作品を聴けば、ジャズの新潮流が見えてくるのでは?

このように『Black Radio』というアルバムは、広大な音楽マップが描かれている作品であり、聴き手も全体像を把握するのが大変な作品という気がします。

その第2幕とも呼べるリミックスEP『Black Radio Recovered: The Remix EP』では、9th WonderPhontePete RockGeorgia Anne Muldrow、Solange Knowles(Beyonceの妹)、The Rootsおよび?uestlove、Black Milkなどが新たに参加しています。

また、アルバム未収録曲、故J Dillaへ捧げた「Dillalude #2」も感動的です。

全曲紹介しときやす。

「Afro Blue (9th Wonder's Blue Light Basement Remix)」
Mongo Santamaria作の人気アフロ・キューバン・クラシックのカヴァーをHip-Hopファンにはお馴染みの人気トラック・メイカー9th Wonderがリミックス。『Black Radio』本編ではErykah Baduをフィーチャーしていましたが、本リミックスではErykah様に加え、Little Brotherで9th Wonderの盟友であったPhonteもフィーチャーしています。9th Wonderによるリミックスは本編以上に浮遊度が高い仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=HlIJyXI_H8s

「Black Radio (Pete Rock Remix)」
Mos Defをフィーチャーしたタイトル曲をPete Rockがリミックス。今回の数あるリミックスの中でも格好良さでは本曲が一番なのでは?さすがはPete Rock
http://www.youtube.com/watch?v=_SUzaEnRq3M

「The Consequences of Jealousy (Georgia Anne Muldrow's Sassy Geemix)」
Meshell Ndegeocelloをフィーチャーした本曲はアンダーグラウンド・ソウル・レディGeorgia Anne Muldrowがリミックスしています。憂いを帯びたメロウネスが印象的であった本編ヴァージョンと比較して、パーカッシヴ&スピリチュアルな雰囲気が漂うソウル・チューンに生まれ変わっています。
http://www.youtube.com/watch?v=3HEpM5pY_WQ

「Twice (?uestlove's Twice Baked Remix)」
国内盤のボーナス・トラックとして収録されていたLittle DragonのカヴァーをThe Rootsの?uestloveがリミックス。前述のように、Little Dragonは日系スウェーデン人の女性シンガーYukimi Naganoが率いるクラブ・ミュージック好きに人気のユニットです。ここではSolange KnowlesとThe Rootsがフィーチャーされています。本編はヴォコーダーを配したスピリチュアルな仕上りでしたが、本リミックスは全く別物のネオ・ソウル・チューンといった感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=flk-zI90rDw

「Letter to Hermione (Robert Glasper and Jewels Remix)」
本編ではBilalをフィーチャーしていた本曲はRobert GlasperとJewelsがリミックスしています。ここではBilalに加え、Black Milkのラップがフィーチャーされています。哀愁モードであった本編にミステリアスな魅力が加わったリミックスとなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=KOAq5yhL-6o

「Dillalude #2」
ラストは『Black Radio』のセッションでレコーディングしたもののアルバムには未収録だった楽曲です。タイトルの通り、故J Dillaへのトリビュートです。Robert Glasperのアルバム『In My Element』(2007年)にJ Dillaへのトリビュート「J Dillalude」が収録されていましたが、そのPart 2という位置づけだと思います。Casey Benjaminのヴォコーダーをフィーチャーしたビューティフルな1曲に仕上がっています。

特に終盤で、故J Dilla(Jay Dee)のベストワークとも呼びたいCommon「The Light」でサンプリングされたBobby Caldwell「Open Your Eyes」のメロディがヴォコーダーと共に奏でられるのが感動的です。
http://www.youtube.com/watch?v=jO3XWu8rwpc

未聴の方は本編『Black Radio』もぜひチェックを!

『Black Radio』(2012年)
ブラック・レディオ

注目のサッカー親善試合「日本対ブラジル」は0対4で日本の完敗でした。
現状の実力差を考えれば、こんなものかもしれませんね。
完敗でしたが、ブラジルの凄さを肌で感じることができたのは収穫だったのでは?
できれば来年のコンフェデ杯で再戦し、今回の敗戦からの成長を見せて欲しいですね。
posted by ez at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする