発表年:1971年
ez的ジャンル:シャンソン系フレンチ・ボッサ
気分は... :ギア・チェンジ!
今回はフランスの人気シャンソン歌手Isabelle Aubretが1971年にリリースしたフレンチ・ボッサ・アルバム『Isabelle Aubret』(1971年)です。
Isabelle Aubretは1938年フランス、リール生まれ。僕の場合、リールと聞いて、思い浮かぶのはプロ・サッカー・チームだけですが・・・
1962年に「Un Premier Amour(邦題:はじめての愛)」でユーロビジョン・ソング・コンテストのグランプリに輝き、売れっ子歌手の仲間入りを果たします。しかし、そんな絶頂期い交通事故に遭い、活動を中断せざるを得なくなります。しかし、不死鳥の如くカムバックを果たし、70年代以降も勢力的に活動しているようです。
本来はもっと書くべきことがある歌手なのかもしれませんが、あまり詳しく知りませんのでこの程度で・・・
Isabelle Aubretのキャリアを踏まえれば、ボサノヴァへ接近した本作『Isabelle Aubret』(1971年)は異色作なのだと思います。
アルバムはEdu Lobo、Jorge Ben、Antonio Carlos Jobim、Luiz Bonfaといったブラジル人アーティストの有名曲カヴァーで占められた前半と、当時のフランスのヒット曲カヴァーで占められた後半という構成です。
シャンソン歌手ならではの哀愁感が漂う後半と、開放的かつキュート&セクシーな前半のコントラストが印象的です。
個人的には前半のボサノヴァ・パートが全てのアルバムですが、それだけでもゲットする価値のある1枚だと思います。
雰囲気だけではない、しっかりした歌を堪能できるフレンチ・ボッサ作品ですよ!
全曲紹介しときやす。
「Casa Forte」
Edu Loboの人気曲カヴァー。当ブログではEdu Loboのオリジナル、Elis Regina、Sergio Mendes & Brasil '66のカヴァーを紹介済みです。この曲の持つミステリアスな雰囲気とIsabelleの歌声がフィットしていると思います。本曲といえば、魅惑のスキャット・パートがお馴染みですが、本ヴァージョンでも満喫できます。Alain Goraguerのアレンジもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=mhz7nbcD2gA
「Adieu Tristesse」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Morais作の名曲「Felicidade」のカヴァー。大人の色気を感じるIsabelleのフレンチ・ヴォーカルがたまりません。本作で僕の一番のお気に入りです。
http://www.youtube.com/watch?v=M0nrwU8B_2k
当ブログではRamsey Lewis Trio、Kenny Drew、Milton Nascimento、Sirius B、Claude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's Seven、Diana Panton、Tania Mariaのカヴァーも紹介済みです。ご興味のある方はそれらの記事もご参照下さい。
「La Ville Est La」
Jorge Ben作。名曲「Mas Que Nada」のフランス語カヴァー。フランス語の語感がいい感じです。また、他の曲以上にキュートなIsabelleの歌声が印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=xrzCY7TKCZI
当ブログではSergio Mendes & Brasil'66、Tamba Trio、Lill Lindfors、Steen Rasmussen Feat. Josefine Cronholm、Oscar Petersonのヴァージョンを紹介済みです。ご興味のある方はそれらの記事もご参照下さい。
「La Chanson D'Orphee」
Antonio Maria/Luiz Bonfa作のボサノヴァ名曲「Manha De Carnaval(カーニバルの朝)」のカヴァー。哀愁モードのフレンチ・ヴォーカルは一番Isabelle Aubretらしいのかもしれませんね。
当ブログではDexter Gordon、Gerry Mulligan、Balanco、Astrud Gilberto、Jack Marshall & Shelly Manne、Steen Rasmussen Feat. Josefine Cronholm、Oscar Peterson、Akua Allrich、Claude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's Seven、Diana Panton、Country Comfortのカヴァーも紹介済みです。ご興味のある方はそれらの記事もご参照下さい。
「Pour Nous」
Edu Lobo作「Arrastao」のカヴァー。当ブログでは『A Musica De Edu Lobo Por Edu Lobo』に収録されたLoboヴァージョンを紹介済みです。Elis Reginaの熱唱でも知られる曲ですね。「Adieu Tristesse」と並ぶ僕のお気に入り。軽やかかつエレガントな雰囲気にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=3PHUcMrr2LI
ここまでが前半のボサノヴァ・パートです。
「Les Enfants」
Gilles Olivier/Maurice Fanon作。緩急つけた哀愁モードが印象的です。Isabelle Aubret本来の姿を垣間見ることができます。
「Aimer A Perdre La Raison」
Jean Ferrat/Louis Aragon作。甘酸っぱい雰囲気の哀愁フレンチ・ポップ。
「Des Jardins Melancoliques」
Alain Goraguer/Serge Lama作。情感豊かに歌い上げる哀愁フレンチ・ポップ。
「Parce Que」
Claudine Daubisy/Roland Vincent作。後半ではこの曲が一番好きです。アコースティックな哀愁メロディにグッときます。
「Les Derniers Tsiganes」
Jean Ferrat/Michelle Senlis作。ラストはエスニック風のミステリアスな雰囲気で締め括ってくれます。
どうせならば、前半のボサノヴァ・モードでアルバム1枚作って欲しかった気もします。
でも哀愁モードの後半との対比があるからこそ前半部分が面白いのかもしれませんね。