2012年11月18日

Vinicius Cantuaria『Indio De Apartamento』

至極のメトロポリタン・サウダージ☆Vinicius Cantuaria『Indio De Apartamento』
アパート暮らしのインヂオ(Indio de apartamento)
発表年:2012年
ez的ジャンル:メトロポリタン・サウダージ系ブラジル音楽
気分は... :簡にして要を得る!

今回はブラジルのベテラン男性シンガー/ギタリスト/ドラマーVinicius Cantuariaの新作『Indio De Apartamento(邦題:アパート暮らしのインヂオ)』です。

Vinicius Cantuariaの紹介は『Samba Carioca』(2010年)に続き2回目となります。

前作『Samba Carioca』(2010年)の後、Bill Frisellとの共演作『Lagrimas Mexicanas』(2011年)を挟んでソロ16作目となる新作『Indio De Apartamento』のリリースとなりました。

Vinicius Cantuaria & Bill Frisell『Lagrimas Mexicanas』(2011年)
Lagrimas Mexicanas

『アパート暮らしのインヂオ』を邦題が表すように、アマゾンのマナウスで生まれ、現在はN.Y.に居を構える
メトロポリタンのインヂオVinicius Cantuariaらしい、アマゾン先住民のDNAを受け継ぐサウンドと摩天楼N.Y.の洗練された感性が見事に融合した1枚に仕上がっています。

アルバムにはBill Frisell(g)、坂本龍一(p)、Norah Jones(p)、Dadi(b)、Jesse Harris(vo)、Mario Laginha(key)、Olivier Glissa(key)、Liminha(b)といったゲストが参加しています。

サウンド自体はとてもシンプルなのに、実に味わい深いサウンドに魅了されてしまいます。まさに簡にして要を得るといった趣の音世界です。

全10曲で30分にも満たないアルバムですが、そのような物足りなさは全く感じません。

全曲紹介しときやす。

「Humanos」
邦題「人間」。Vinicius Cantuaria作。オープニングは冬のサウダージといった趣。淡々とした中に味わい深い音世界があります。

「Moca Feia」
邦題「醜い娘」。Vinicius Cantuaria/Leoni作。最近の僕のヘビロテになっている美しいボッサ・チューン。坂本龍一がピアノで参加し、サウンド全体にエレガントな雰囲気を与えてくれます。

「Purus」
邦題「プルス河」。Vinicius Cantuaria作。ここではViniciusがヴォーカルに加え、キーボード、ドラム、パーカッションと全ての楽器を演奏し、彼のマルチ奏者ぶりを楽しめます。インヂオのアイデンティティを感じる土着的な1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=ZG4KxB9QFjY

「Acorda」
邦題「起きて」。Vinicius Cantuaria/Arnaldo Antunes作。この曲も坂本龍一がピアノで参加。Viniciusのギター&ヴォーカルと教授のピアノのみのシンプルな演奏ですが、そのシンプルさがいいですね。「静かなる音楽」好きの人も気に入るのでは?

「Um Dia」
邦題「ある日」。Vinicius Cantuaria作。1分強のインタールード的な小曲ですが、なかなかいい雰囲気の演奏です。

「Quem Sou Eu」
邦題「僕がなんだというのだろう」。Vinicius Cantuaria作。Norah Jonesがピアノで参加。実に素敵なピアノの響きを奏でてくれます。2分にも満たない曲ですが、もっと長尺で聴きたいですね。

「This Time」
Vinicius Cantuaria/Jesse Harris作。前曲のNorahに続き、Norahの大ヒット曲「Don't Know Why」の作者Jesse Harrisがヴォーカルで参加。さらにBill Frisellのギターも加わっています。アルバムで最も完成度の高い感動的な1曲に仕上がっています。さすがJesse Harrisはメロディアスないい曲書きますね。この曲も最近の僕のヘビロテ。

「Chove La Fora」
邦題「外では雨が降っている」。Tito Madi作。この曲もBill Frisellが参加。Bill Frisellがさすがのギター・プレイを聴かせてくれます。雨の日に家でマッタリ気分で聴くとフィットする1曲です。終盤のViniciusとFrisellのギター・アンサンブルも味わい深いです。

「Indio De Apartamento」
邦題「アパート暮らしのインヂオ」。Vinicius Cantuaria作。「アパート暮らしのインヂオ」のタイトルに相応しく、インヂオ・モードのサウンドをメトロポリタン感覚で処理しているのがいいですね。

「Pe Na Estrada」
邦題「旅立ち」。Vinicius Cantuaria/Evandro Mesquita作。Bill FrisellとDadiが参加。ラストはSSWらしい味わい深い曲で締め括ってくれます。ブラジル音楽好きというよりも、米国SSW好きの人がグッとくる仕上がりなのでは?

他のVinicius Cantuaria作品もチェックしてみて下さい。

『Sol Na Cara』(1996年)
Sol Na Cara

『Tucuma』(1999年)
トゥクマ

『Vinicius』(2001年)
ヴィニシウス

『Horse and Fish』(2004年)
Horses & Fish

『Silva』(2005年)
Silva

『Cymbals 』(2007年)
Cymbals

『Samba Carioca』(2010年)
サンバ・カリオカ
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2012年11月17日

Bloodstone『Party』

IsleysのT-Neckからの第2弾アルバム☆Bloodstone『Party』
PARTY
発表年:1984年
ez的ジャンル:T-Neck系アーバン・メロウ・ファンク
気分は... :案外好きです!

今回は70〜80年代に活躍したソウル・グループBloodstoneが1984年にリリースした『Party』です。

Bloodstoneは1962年カンザスシティで結成されたThe Sinceresを前身とするソウル・グループ。1971年からBloodstoneというグループ名になったようです。

オリジナル・メンバーはCharles McCormickWillis DraffenCharles LoveHarry WilliamsRoger DurhamEddie Summers

本国ではなくUKでデビュー・アルバム『Bloodstone』(1972年)をリリース。その後L.A.で2ndアルバム『Natural High』(1973年)を制作・リリースします。同作からは1stシングル「Natural High」が全米チャート第10位、同R&Bチャート第4位、2ndシングル「Never Let You Go」が全米R&Bチャート第7位がヒットしました。「Natural High」はQuentin Tarantino監督の映画『Jackie Brown』でも使われていました。

その後も3rd『Unreal』(1974年)からは「Outside Woman」が全米R&Bチャート第2位、5th『Riddle of the Sphinx』(1975年)から「My Little Lady」が全米R&Bチャート第4位といったヒットを放っています。その後もコンスタントにアルバムをリリースしていましたが、1978年には長年在籍していたLondon Recordsを離れ、Motownから『Don't Stop』をリリースしています。

70年代半ばには一時期Average White BandSteve Ferroneも在籍していたようです。

1980年代にはThe Isley BrothersのT-Neckへ移籍し、
The Isley Brothersプロデュースによるアルバム『We Go A Long Way Back』(1982年)をリリースし、シングル「We Go A Long Way Back」が全米R&Bチャート第5位のヒットとなりました。

T-Neck第2弾アルバムとなる本作『Party』(1984年)はグループの実質的なラスト・アルバムとなってしまいました。その後リユニオンによるアルバムを何枚かリリースしているようですが・・・

Bloodstoneの紹介という意味では、まずは70年代の作品を紹介すべきなのかもしれません。ただし、今日は80年代ファンク/アーバン・メロウ作品を聴きたい気分なので本作をセレクトしました。

前作『We Go A Long Way Back』の評価が高いためか、実質的なラスト・アルバムとなったためか、Isleysがプロデュースしていないためか、リンドラムによる打ち込みサウンドのためか、本作『Party』の評価は必ずしも高くはないようですね。

でも実際に聴けば、シングルになった「Instant Love」「Bloodstone's Party」をはじめ、 良く出来た80年代エレクトリック・ファンク/アーバン・メロウ作品に仕上がっていると思います。

多分、本作におけるメンバーはWillis DraffenCharles LoveHarry WilliamsRonald Wilson(ここは曖昧です。間違っていたらゴメンなさい)。

プロデュースはMcKinley T. Jackson。レコーディングにはDavid T. Walker(g)、Greg Moore(g)、Melvin (Wah-Wah) Ragin(g)、Bryon Miller(b)、Leon Ndugu Chancler(ds)、William Bryant(syn)、Greg Smith(syn)、Clydene Jackson(p)等が参加しています。

こんなにいい作品を残しながら表舞台から姿を消すことになるとは、80年代ソウル/ファンク・グループの不遇を感じてしまいます。

全曲紹介しときやす。

「Bloodstone's Party」
Ronald Wilson作。シングルにもなったダンサブルなエレクトリック・ファンク・チューン。80年代ファンク好きの方であればなかなかグッとくる1曲に仕上がっているのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=erEQBxfBBtw

「Feel The Heat」
Harry Williams/Willis Draffen作。僕の密かなお気に入りがコレ。大人のアーバン・ダンサーって雰囲気がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=FqjwVtWsQxM

「Contagious」
Greg Moore/Shirley Jones作。アッパーなエレクトリック・ファンク。この曲も80年代ファンク好きであれば十分合格点をつけられる仕上りなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=LlQIS06BQO0

「Men Need Tenderness Too」
Dorian Holley作。ヴォーカル・グループとしての魅力を満喫できる美しいバラード。

「Instant Love」
McKinley T. Jackso/Ronald Bell作。アルバムからの1stシングル。本作のハイライトはこの甘く危険な香りのするメロウ・チューンでしょうね。彼らのヴォーカル・スタイルと80年代サンウドを見事に融合しています。
http://www.youtube.com/watch?v=MH4aIljKQIM

Termanology「H.U.S.T.L.E.R.」、Saigon「In a Mess」のサンプリング・ソースにもなっています。

Termanology「H.U.S.T.L.E.R.」
 http://www.youtube.com/watch?v=UyBIx0yn_eQ
Saigon「In a Mess」
 http://www.youtube.com/watch?v=bVuOICOzsCc

「It Feels So Good (With You)」
Charles Love作。「Instant Love」から本曲への流れが最高です。シブいリード・ヴォーカルにスウィートなコーラスが絡む大人のメロウ・チューンはなかなかグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=-Z5UCF7XuS0

「I Adore You」
Harry Williams/Willis Draffen作。感動的なラブ・バラード。安定感のあるヴォーカルが魅惑のラブ・ワールドへ誘ってくれます。

「Why Be The First One Home」
Charles Love作。ラストもバラードで締め括ってくれます。美しいコーラスワークでフィナーレを迎えます。

ご興味がある方はBloodstoneの他作品もチェックを!

『Bloodstone』(1972年)
Bloodstone

『Natural High』(1973年)
Natural High

『Unreal』(1974年)
Unreal

『I Need Time』(1974年)
I Need Time

『Riddle of the Sphinx』(1975年)
Riddle Of The Sphinx

『Train Ride to Hollywood』(1975年)
Train Ride To Hollywood

『Do You Wanna Do A Thing』(1976年)
Do You Wanna Do A Thing

『Don't Stop』(1979年)
ドント・ストップ

『We Go A Long Way Back』(1982年)
We Go a Long Way Back
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2012年11月16日

Jaye P Morgan『Jaye P Morgan』

David FosterプロデュースによるAOR名盤☆Jaye P Morgan『Jaye P Morgan』
ジェイ・P・モーガン(紙ジャケット仕様)
発表年:1976年
ez的ジャンル:David Foster系AOR
気分は... :芸能人は歯が命!

今回はAORファンに人気の高い1枚Jaye P Morgan『Jaye P Morgan』(1976年)です。

Jaye P Morganは1931年コロラド生まれの女性ポップ・シンガー。

1950年代半ばにいくつかのヒット曲を放ち人気を博しますが、その後失速し、60年代に入ると活動もペースダウンしてしまいます。

そんな往年の人気シンガーが後の人気プロデューサーDavid Fosterの指揮の下、創り上げた傑作アルバムが本作『Jaye P Morgan』です。

結局、本作も商業的には成功を収めませんでしたが、1990年代に入り再評価が高まり、今日はAOR名盤として広く認知されるようになりました。

何といっても参加ミュージシャンが豪華ですよね。

David Foster(key)、Jay Graydon(g、syn prog)、Lee Ritenour(g)、Ray Parker, Jr.(g)、David Hungate(b)、Henry Davis(b)、Chuck Domanico(b)、Steve Schaeffer(ds)、Jeff Porcaro(ds)、Harvey Mason(ds)、Ed Greene(ds)、Steve Forman(per)、Bill Mays(p)Bill Champlin(back vo)、Kenny Loggins(back vo)、Carmen Twillie & Venette Gloud(back vo)、Kathy Collier(back vo)、Donny Gerard(back vo)、Lenny Pickett(ts、as、lyricon)、Emilio Castillo(ts)、Stephen Kupka(bs)、Mic Gillette(tp、tb)、Greg Adams(tp)、Ernie Watts(sax)、Chuck Findley(tp)等がレコーディングに参加しています。

それにしても、こうしたマイナー作品によくこれだけのメンツが揃いましたね。

僕の場合、熱狂的なDavid Foster/Jay Graydon好きというわけではないので、David Fosterプロデュースというだけで食指が動くわけではありませんが、本作はDavid Fosterの手腕が光る1枚に仕上がっていると思います。あの手、この手で往年のポップ・シンガーを再生させています。

全体的にはメロウなポップ・アルバムですが、アルバム全体のメリハリが効いていて飽きずにアルバム1枚を楽しめます。

昔、「芸能人は歯が命」というCMが流行りましたが、本作のジャケを観るたびJaye P Morganの歯に視線が行ってしまいます(笑)

David Foster/Jay Graydon好きをはじめ、AOR/メロウ好きの人はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「I Fall In Love Everyday」
Jay Graydon/Harry Garfield作。軽快なオープニング。Jay Graydonのギター・ソロも堪能できます。David Foster/Jay Graydon好きにはたまらない展開なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=o43QDiBHTK8

「Keepin' It To Myself」
Alan Gorrie作。Average White Bandのカヴァー。オリジナルは『AWB』に収録されています。大人の爽快メロウに仕上がっているのがいいですね。バック・コーラスを含めたヴォーカル・アレンジがサイコーです。僕の一番のお気に入り曲。
http://www.youtube.com/watch?v=54UzrSaYT4Y

「Here Is Where Your Love Belongs」
Bill Champlin作。オリジナルはThe Sons Of Champlin『A Circle Filled With Love』に収録されています。アーバン・メロウなミディアム・スロウに仕上がっています。

「Closet Man」
David Foster/Eric Mercury/Donny Gerrard作。この曲も僕のお気に入り。ボッサAORとでも呼びたくなるようなボッサ・フレイヴァーのメロウ・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=dpj-RdTfRB4

「It's Been So Long」
Stevie Wonderのカヴァー。オリジナルは『Music Of My Mind』収録の「Seems So Long」です。ここではしっとりとしたバラードで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=4HWm_lG6Gt8

「Let's Get Together」
Luke Gross/George Kerr/Sidney Barnes作。ファンキー・サウンドと妖艶なJaye P Morganのヴォーカルがマッチしたブラック・フィーリングに溢れた仕上がりがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=agHFDswm2SI

「Can't Hide Love」
Skip Scarborough作。Creative Sourceのカヴァーと説明するよりもEW&Fのヒット曲と説明した方がわかりやすいですね。EW&Fヴァージョンは『Gratitude』に収録されています。また、当ブログではD'angeloによるライブ・カヴァー(『Live At The Jazz Cafe,London』収録)も紹介済みです。ここではオリジナルの雰囲気をそのまま受け継いだカヴァーに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=e_Q5ub4dk20

「You're All I Need To Get By」
Nicolas Ashford & Valerie Simpson作。
Marvin Gaye & Tammi Terrellによる1968年の全米R&BチャートNo.1ヒットのカヴァー。当ブログではDiana RossKenny Lattimore & Chante Mooreのカヴァーも紹介済みです。ここではDonny Gerardとのデュエットにより、ライトタッチのカヴァーに仕上げています。
http://www.youtube.com/watch?v=CeYCLawRZiw

「It All Goes Round」
Benard Ighner作。ラストはここまでの流れとは多少異なる雰囲気のバラードでアルバムは締め括られます。
http://www.youtube.com/watch?v=b6YP2ql_zqs

気づけば来週はすでに忘年会が2件入っています。
もうそんな時期なんですね。本当に1年は早い・・・
posted by ez at 11:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月14日

Afro-Mystik『Morphology』

Om Recordsのオーナーによるクロスオーヴァー・ユニット☆Afro-Mystik『Morphology』
Morphology
発表年:2003年
ez的ジャンル:シスコ産クロスオーヴァー・ハウス/フューチャー・ジャズ
気分は... :『Bitches Brew』なジャケがサイコー!

今回はサンフランシスコ産のクロスオーヴァー・ハウス/フューチャー・ジャズ作品Afro-Mystik『Morphology』(2003年)です。

Afro-Mystikはサンフランシスコのハウス・レーベルOm RecordsのオーナーChristopher Smith(DJ Fluid)が結成したクロスオーヴァー・ハウス・ユニット。

1999年に1stアルバム『Future Tropic』をリリース。その後2000年に12"シングル「Infinite Rhythm」をリリース後にメンバーを一新し、DJ Fluidをはじめ、Omega Brooks(vo)、Simone White(ds)、Jason Kadlec(per)という布陣で制作された2ndアルバムが本作『Morphology』(2003年)です。

まずはMiles Davis『Bitches Brew』(1969年)を模したジャケに魅了されますよね。実は僕も完璧にジャケ買いでした(笑)

Miles Davis『Bitches Brew』(1969年)
ビッチェズ・ブリュー

サウンド自体は『Bitches Brew』とは関係ありませんが、ジャズ界にエレクトリック・サウンドの導入を強く印象付けた『Bitches Brew』にあやかり、クロスオーヴァーなハウス/フューチャー・ジャズを満喫できます。ハウス/テクノ、ブロークンビーツ、ジャズ、ソウル、アフロ、ラテン、ブラジルといった音楽のエッセンスをフューチャリスティックかつトライバルな感覚でまとめ上げています。

僕は全くグループの詳細を知らないままジャケのみで本作を購入し、ライナーノーツもろくに読まずに聴いていたのですが、しばらくの間てっきりUKのグループだとばかり思っていました。なのでサンフランシスコのグループと知って正直驚きました。

トライバルなリズムが強調され、ハウスといってもNu Jazz/クラブジャズ寄りなのが僕好みです。

クロスオーヴァー・ジャズ好きのは人はぜひチェックしてみて下さい。

全曲紹介しときやす。

「Secrets」
グループ名を象徴するようなトライバルな空気感が支配するブロークン・ビーツなオープニング。

「Natural」
シングルにもなった曲。ラテン・フレイヴァーの効いたクロスオーヴァー・ハウス。ソウルフルなOmega Brooksのヴォーカルと浮遊するフルートが印象的です。クロスオーヴァー好きならばグッとくる仕上がりだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=BuszgJpobvE

「Follow Me」
トライバルなブラジリアン・リズムとジャジー・メロウなサウンド、ミステリアスなOmegaのヴォーカルが印象的なハウス・チューン。中盤の哀愁アコースティック・ギターもいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=JE1gBGVWWHA

「Who Are You?」
Capitol Aのラップをフィーチャー。エレクトロ感の効いたブロークン・ビーツ。不思議な音空間に引きずり込まれたかのような感覚になります。
http://www.youtube.com/watch?v=8r1yrkmelvc

「Dreamwalkers」
パーカッシヴなリズムとブラック・フィーリングに溢れたフューチャリスティック・サウンドが印象的な1曲。デトロイト・テクノ好きの人にはオススメ。

「Intersections」
「Dreamwalkers」からシームレスに続きます。トライバルなリズム感が強調されたアフロ・ブロークン・ビーツ。暗黒の世界へ突き進んでいく感じがスリリングです。

「Come Together」
Capitol Aをフィーチャー。フューチャリスティックなアブストラクトHip-Hopを聴いている感覚です。
http://www.youtube.com/watch?v=ZPlijGdb0dc

「The Odyssey」
フューチャー・ジャズな変拍子リズムが最高に格好良い1曲。幻想的なクロスオーヴァー・ワールドに没入してしまいます。

「Rhythm Is?」
アンダーグラウンド感が漂うトライバルなハウス・チューン。体中にリズムの波動を感じます。ブラジリアン・フレイヴァーが効いているのも僕好み!

「Anything You Want」
ボッサ・リズムによるブラジリアン・クロスオーヴァー。エレクトロニカ・サウンドとOmega Brooksのソウルフル・ヴォーカルがクロスオーヴァー・サウンドとうまく融合しています。
http://www.youtube.com/watch?v=KceJY-T6Evs

「Samba Del Alma」
ラストは高速サンバなクロスオーヴァー・ハウス。ハイ・スピードなバトゥカーダ感覚で一気に駆け抜けます。エレクトロニカ・サウンドにビリンバウ風のエッセンスなども織り交ぜているのが楽しいですね。

「Natural (Halo & Andre Harris Vocal Mix)」
ボーナス・トラックとして「Natural」のリミックスが収録されています。
http://www.youtube.com/watch?v=Vn4bzA1_Ceg

『Future Tropic』(1999年)
Future Tropic

Miles Davis『Bitches Brew』もそのうち紹介しないといけませんね・・・。でも、これまで当ブログで帝王Milesの作品を16枚も紹介しているのに、『Bitches Brew』を紹介していないのには理由はあるんですよ。あまりの名盤に恐れ多くて記事にする勇気がないんです。情けない理由ですが・・・
posted by ez at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月13日

Le Trio Camara『Le Trio Camara』

Saravahからリリースされたジャズ・ボッサ・トリオ名盤☆Le Trio Camara『Le Trio Camara』
Le Trio Camara
録音年:1968年
ez的ジャンル:ジャズ・ボッサ・トリオ
気分は... :素晴らしい演奏力!

今回はブラジルのジャズ・ボッサ・トリオLe Trio Camaraが1968年にフランス、パリで録音したアルバム『Le Trio Camara』です。

Le Trio Camaraは、Edson Lobo(b)、Fernando Martins(p)、Nelson Serra(ds)によるトリオです。Nelson SerraはTrio 3Dのメンバーとして知られています。

当時彼らは当ブログでも紹介したブラジル人女性シンガーTita(Edson Loboの夫人)と共に渡仏していました。
その時にレコーディングされ、Pierre Barouhが設立したSaravahレーベルから発売されたアルバムが本作『Le Trio Camara』です。

また、グループは同時期に、当ブログでも紹介したフランス人ミュージシャンによる男女コーラスの覆面ユニットによるフレンチ・ボッサ作品Les Masques『Brasilian Sound』Titaのアルバム『L'Incomparable Tita』のレコーディングに参加しています。

結局、本作『Le Trio Camara』Le Trio Camara名義の唯一のアルバムとなってしまいましたが、内容の素晴らしさは折り紙つきです。

全曲3人のメンバーのみの演奏によるインストですが、その素晴らしい演奏に途中ダレることなく、最後まで一気に聴いてしまいます。ジャズ・ボッサらしいグルーヴィーでエキサイティングな魅力とピアノ・トリオらしいエレガントな魅力のバランスが素晴らしいですね。

ブラジル音楽好きであればお馴染みの名曲カヴァーも多数収録されていますが、どの演奏も原曲の魅力を受け継ぎつつ、彼らならではの演奏力でさらに昇華させている感すらあります。

パリ録音のせいか、アルバム全編を貫く小粋な美学にグッとくる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Berimbau」
Vinicius de Moraes/Baden Powell作のアフロ・サンバ名曲でアルバムは幕を開けます。スウィンギーなピアノとアフロ・サンバのリズムが織り成す小粋でスリリングな演奏に魅了されます。
http://www.youtube.com/watch?v=TQprOoZBgR4

「Berimbau」については、当ブログでLennie DaleDiane Denoir/Eduardo MateoAgustin Pereyra LucenaSambalanco TrioNara LeaoFelicidade A BrasilGary McFarlandKenny Rankinのカヴァーも紹介済みです。ご興味がある方はそちらの記事もご参照下さい。

「Nao Tem Solucao」
Dorival Caymi作。ピアノとベースのエレガントな絡みにグッときます。パリ録音のジャズ・ボッサといった趣が伝わってくる素敵な演奏です。
http://www.youtube.com/watch?v=75a5-7hFbu8

「Bia」
Fernando Martins作。スピーディに疾走するジャズ・ボッサは今時のクラブジャズと一緒に聴いても遜色ありません。品格のある格好良さがたまりません!

「Nascente」
Edson Lobo作。エレガントな美しさに魅了されます。Fernandoの美しいピアノにうっとりです。そこに絡むEdsonのベースも素晴らしい!

「Estrada Do Sol」
Antonio Carlos Jobim/Dolores Duran作。当ブログではElis Reginaのカヴァーを紹介済みです。本ヴァージョンはエレガントに弾けるジャズ・ボッサに仕上がっています。グルーヴィーなボッサ好きならば気に入る演奏だと思います。

「Upa Neguinho」
Edu Lobo/Gianfrancesco Guarnieri作。Edu Loboの名曲をカヴァー。当ブログでは『Edu E Bethania』収録の本人のヴァージョンやElis Reginaのカヴァーを紹介済みです。本ヴァージョンは実にリズミックでエキサイティングな仕上がりです。本曲持つダイナミックな魅力を見事に音に反映させている好カヴァーだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=EDNQ2B0tXvA

「Feito De Ojacao」
Noel Rosa作。Fernandoの美しいピアノを中心にエレガントなピアノ・トリオによる演奏を聴かせてくれます。

「Cheganca」
Edu Lobo/Odulvaldo Vianna Filho作。当ブログでは『A Musica De Edu Lobo Por Edu Lobo』(1965年)収録のEdu Loboのオリジナルも紹介済みです。緩急をつけたドラマティックでエレガントな演奏は素晴らしいの一言です。このグループの魅力が凝縮されている本作のハイライトだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=FdaGn3A3JMk

「Noa Noa」
Sergio Mendes作。当ブログではCal Tjaderのカヴァーを紹介済みです。本ヴァージョンは小粋なジャズ・サンバはアルバムの中でも一番オシャレかも?
http://www.youtube.com/watch?v=8gND8pEfxek

「Muito A Vontade」
Joao Donato作。軽快に駆け抜けるジャズ・サンバ。軽快な中にもこのグループの美学のようなものが貫かれているのがいいですね。

「Samba Novo」
Durval Ferreira作。ラストはエレガントな疾走感にグッとくるジャズ・サンバでアルバムは幕を閉じます。

Les Masques『Brasilian Sound』(1969年)もセットでどうぞ!

Les Masques『Brasilian Sound』(1969年)
les masques brasilian sound.jpg
posted by ez at 11:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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