発表年:1971年
ez的ジャンル:兄妹ボッサ・コーラス&スキャット
気分は... :パーフェクト・コーラス!
今回は"ブラジルのLambert, Hendricks & Ross"とも称される兄妹コーラス・グループOs 3 Moraisの代表作『Os 3 Morais』(1971年)です。
Sidney Morais、Roberto Moraisという兄二人と妹のJane Moraisから成る兄妹コーラス・グループOs 3 Moraisについて、当ブログではOs Tres Brasileiros名義でアメリカ向けにコンパイルしたアルバム『Brazil:LXIX』(1969年)を紹介済みです。
グループの詳しいディスコグラフィをきちんと把握できていませんが、前述のOs Tres Brasileiros『Brazil:LXIX』以外に本国ブラジルでアルバム『Os 3 Morais』(1967年)をリリースしています。
さて、本作『Os 3 Morais』(1971年)ですが、"ブラジルのLambert, Hendricks & Ross"と称されるに相応しいパーフェクトなコーラスを聴かせてくれます。ジャズやクラシックの影響が強いコーラスとブラジリアン・サウンドが美しく融合した気品溢れるブラジリアン・コーラス作品に仕上がっています。
本作のハイライトと呼べるMarcos Valleのカヴァー「Freio Aerodinamico」、カフェ・アプレミディのコンピでも取り上げられた「Sambachiana」、僕の一番のお気に入りAntonio Carlos & Jocafiのカヴァー「Se Quiser Valer」、ダバダバ・スキャット炸裂の「Tico-Tico No Fuba」など聴き所満載の1枚です。
ブラジル音楽好きのみならず、ジャズ・コーラス好きの方も虜にする1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Se Quiser Valer」
Antonio Carlos/Jocafi作。オープニングはブラジルの男性SSWデュオAntonio Carlos & Jocafiの作品です。パーカッシブで躍動感のあるリズムと高らかに鳴り響くホーン・セクションをバックに、兄妹のキレのあるヴォーカルが冴え渡るブラジリアン・ソフト・ロックな仕上がり。個人的には一番のお気に入り曲です。
「Odeon」
Ernesto Nazareth作。哀愁メロディに美しいスキャットが絡む、紅葉が似合いそうな仕上り。
「Tao Preso Pelo Teu Olhar」
Valgenio Rangel/Antonio da Silva Ramos作。兄妹の美しいハーモニーを満喫できます。映画のサントラ風の仕上がりです。
「Sambachiana」
Ely Arcoverde作。カフェ・アプレミディのコンピでも取り上げられた人気曲。爽快なメロディをバックにクラシカルなコーラスを聴かせてくれます。ソフトロックとバロックの融合といった趣の仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=8eSNhkFihvg
「Desafinado」
Newton Mendonca/Antonio Carlos Jobim作。当ブログではNara Leao、Roberto Menescal、Gary McFarland、Tania Mariaのヴァージョンを紹介済みです。Jobimの名曲をパーフェクトなハーモニーで聴かせてくれます。
「Freio Aerodinamico」
Marcos Valle作品のカヴァーとなる本曲もハイライトの1つ。グルーヴィーかつエレガントなサウンドをバックに、兄妹のスキャット・コーラスが駆け巡ります。「空気力学的ブレーキ」という邦題が付けられたMarcosのオリジナルは『Marcos Valle(1970)』に収録されています。当ブログではRosalia De SouzaをフィーチャーしたQuintetto Xのカヴァーも紹介済みです。
http://www.youtube.com/watch?v=PdEPE84yqKk
「Azul da Cor do Mar」
Tim Maia作。ブラジリアン・ソウルの大物Tim Maiaの作品をビューティフルなコーラス・ワークで聴かせてくれる感動的な仕上がり。当ブログではD'Angelo(男性R&Bアーティストではなくブラジルのグループ)のカヴァーも紹介済みです。
「Tico-Tico No Fuba」
Zequinha de Abreu作。ダバダバ・スキャット好きにはたまらない仕上がり。ジャズ・サンバのリズムにのってダバダバ・スキャットが炸裂します。
「Violao Vadio」
Baden Powell/Paulo Cesar Pinheiro作。ロマンティックなバラードを素晴らしいハーモニーで聴かせてくれます。
「Bachianinha No 2」
Paulinho Nogueira作。ドラマティックなオーケストレーションをバックに、クラシカルなダバダバ・スキャットを満喫できます。
「Historia de Uma Crianca」
Paulinho Nogueira作。Janeのピュアなヴォーカルにグッとくる美しいバラード。
「Jequi-bach」
Ciro Pereira/Mario Albanese作。Os Tres Brasileiros『Brazil:LXIX』にも収録されていた楽曲です。バッハの名を冠しているようにクラシックのエッセンスを取り入れた楽曲です。
Os Tres Brasileiros『Brazil:LXIX』(1969年)