発表年:1994年
ez的ジャンル:復活系ブルース・ロック
気分は... :何の変哲もありませんが
今回はJimi HendrixのBand Of Gypsysで知られる巨漢黒人ミュージシャンBuddy Milesが1994年にBuddy Miles Express名義でリリースしたアルバム『Hell And Back』です。
黒人ドラマー/シンガーBuddy Miles(1947-2008年)の紹介は『All The Faces Of Buddy Miles』(1974年)に続き2回目です。
今回紹介する『Hell And Back』は、『Booger Bear』(1973年)以来約19年ぶりにBuddy Miles Express名義でリリースされた作品です。ソロ作品としても(多分)『Sneak Attack』(1981年)以来のアルバム・リリースとなります。
本作をプロデュースするのはBill Laswell。Materialなどの活動で知られるアヴァンギャルドなベーシスト/プロデューサーですね。本作の2年前にBuddy Miles、Bootsy Collins、Stevie Salasが組んだグループHardwareのアルバム『Third Eye Open』をBill Laswellがプロデュースしており、その流れでLaswellがBuddy Milesのソロでの復活を強力プッシュした模様です。
本作におけるBuddy Miles ExpressのメンバーはBuddy Miles(ds、vo、g)、Jeff Levine(org、p、clavinet)、Kevon Smith(g)、Nicky Skopelitis(g)、Joe Thomas(b)という編成。さらにホーン・セクションとしてThe Uptown Hornsのメンバーが参加しています。
全体としては、1994年という時代らしからぬ正攻法なブルース・ロックに仕上がっています。Bill Laswellプロデュースと聞くと、もっとアレコレ余計なことをしでかすイメージがあるのですが(笑)
もし、僕が本作をリアルタイムで聴いていたならば多少退屈な印象を持っていたかもしれまません。でも今聴くとこの正攻法な感じが、Buddy Milesの力強いドラムとソウルフル・ヴォーカルを存分に楽しめて実にいいですね。バックも含めて一本芯の通った演奏にグッときます。
Buddy Milesのディスコグラフィの中でも忘れられがちな1枚かもしれませんが、派手さはありませんが流行に左右されない普遍的な魅力を持ったアルバムです。
全曲を紹介しときやす。
「Born Under A Bad Sign」
Booker T. Jones/William Bell作。オープニングはAlbert Kingヴァージョンで知られるブルース名曲カヴァー。Milesのかつての仲間Jimi Hendrixも演奏していますね。オーソドックスながら力強いブルース・ロックに仕上がっています。Milesの貫録のヴォーカルやメンバーのギター・ソロにグッときます。
「The Change」
Buddy Miles/Randy Hanson作。骨太サウンドをバックにMilesのソウルフル・ヴォーカルを満喫できます。オーソドックスですが実に雰囲気があります。いいですねぇ。
「All Along The Watchtower」
Bob Dylanの名曲カヴァー。Dylanのオリジナルは『John Wesley Harding』(1967年)に収録されています。当ブログでは本曲を有名にしたJimi HendrixのカヴァーやXTC、Barbara Keithのカヴァーも紹介済みです。Milesがこの曲を演奏すると、どうしてもJimi Hendrixと結び付けたくなりますね。ここでは推進力のある「All Along The Watchtower」を聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=bfXyVgGnEGs
「Let It Be Me」
Gilbert Silly/Manny Kurtz/Pierre Leroyer作。The Everly Brothersのヒットをはじめ、数々のアーティストがカヴァーしている名曲をカヴァー。当ブログではThe Voices Of East Harlemのカヴァーも紹介済みです。ここでは味わい深く感動的なソウル・チューンとして聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=gxpUuIq5iiY
「Come Back Home」
Buddy Miles作。成熟したMilesの年輪を感じる仕上り。いい感じに力が抜けています。
「Be Kind To Your Girlfriend」
Buddy Miles/Jeff Levine作。この曲でも力みのないブルース・ロックを聴かせてくれます。The Uptown Hornsのホーン隊が盛り上げてくれます。
「The Decision」
Buddy Miles作。インスト・チューンながらもアルバムでファンキーかつエキサイティングな演奏を聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=do4j49VTpkY
「Nothing Left To Lose」
Ben Green/Jeff Levine作。ラストはファンキーに締め括ってくれます。Milesをはじめメンバーが演奏を楽しんでいる感じがいいですね。
他のBuddy Miles関連作品もチェックを!
Buddy Miles Express『Expressway to Your Soul』(1968年)
Buddy Miles Express『Electric Church』(1968年)
Jimi Hendrix『Band Of Gypsys』(1970年)
『Them Changes』(1970年)
『Live』(1971年)
Carlos Santana & Buddy Miles『Live!』(1972年)
『Chapter VII』(1973年)
『All The Faces Of Buddy Miles』(1974年)
The California Raisins『The California Raisins Sing the Hit Songs』(1987年)
The California Raisins『Meet the Raisins!』(1988年)
Hardware『Third Eye Open』(1992年)