発表年:2012年
ez的ジャンル:R&Bアーティスト
気分は... :今年のマイ・ベストR&B/Soulアルバムはこれで決まり!
今年も12月に入り、残り3週間強となりました。
振り返ると、今年は昨年と比較して新作R&Bの購入が少なくなりした。R&Bを聴かなくなったというよりも聴きたい新作R&Bが少なかったというのが正直なところです。
そんな中で“これこそ僕の今年のベストR&B作品”と思えるアルバムに出会えました。
それが今日紹介するCody ChesnuTT『Landing On A Hundred』です。
Cody ChesnuTTは1966年アトランタ生まれの男性R&Bシンガー。両親がジャマイカ人というジャマイカ系アメリカ人です。
2002年にいきなりダブル・アルバム仕様のデビュー作『The Headphone Masterpiece』をリリース。同作の収録曲「The Seed」が当ブログでも紹介したThe Rootsのアルバム『Phrenology』(2002年)で取り上げられ、Cody ChesnuTT本人をフィーチャーした「The Seed (2.0)」として演奏され注目を浴びました。
The Roots feat. Cody ChesnuTT「The Seed (2.0)」
http://www.youtube.com/watch?v=ojC0mg2hJCc
その後EP『Black Skin No Value』(2010年)など断続的に活動が伝えられてきましたが、先日ようやく10年ぶりの2ndアルバムとなる『Landing On A Hundred』がリリースされました。
デビュー作『The Headphone Masterpiece』はその才能を十分に感じさせてくれる内容でしたが、R&B/Soul作品には似つかわしくないローファイなサウンドのため、R&B/Soulシンガーというよりも黒人シンガー・ソングライターという印象でした。ココがネックとなってスルーしてしまった方も多かったかもしれませんね。それだけにThe Rootsとの共演「The Seed (2.0)」が魅力的に感じられたのかもしれません。
それに対して10年ぶりにリリースした2nd『Landing On A Hundred』は前作のローファイ色が一掃され、極上のヴィンテージ・ソウル作品に仕上がっています。録音されたのがAl Green、Ann Peeblesといったソウル・アーティストを輩出したHi Recordsでお馴染みメンフィスのRiyal Studioというあたりに、Cody ChesnuTTの本作に対するスタンスが読み取れます。
本作を聴いて、最初に感じたのは“Cody ChesnuTTってこんなに魅力的なソウル・シンガーだったんだ”という印象です。Marvin Gayeばりのセクシーな歌声に惚れ惚れしてしまいました。
ヴィンテージ感のあるソウル・サウンドと魅惑のヴォーカルは、それまでのCody ChesnuTTのイメージを一変させるものは、歌詞の内容はヘルメット姿のジャケに相応しい社会派のメッセージ・ソングが並びます。その意味では歌詞にも注目すると実に興味深いし、単にレトロ・ソウルをなぞったアルバムではないと思います。
歌詞やサウンドで時折ジャマイカ系らしいアイデンティティを窺えるのもCody ChesnuTTらしいです。
新しさはないかもしれませんが、僕の本作を支持します。
全曲紹介しときやす。
「'Til I Met Thee」
このオープニングを聴けば、本作が本格的ソウル作品であり、Cody ChesnuTTも素晴らしいソウル・シンガーであることを実感できるはずです。ヴィンテージ感たっぷりのソウル・サウンドをバックに、Marvin Gayeライクなヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=PHBqWnKIZwo
「I've Been Life」
歌詞も含めてジャマイカ系らしい雰囲気が漂う仕上り。ジャマイカ系アメリカ人としてのアイデンティティをヴィンテージ・ソウル感と上手く融合させています。
http://www.youtube.com/watch?v=CGNZnVduOc4
「That's Still Mama」
本曲はCurtis Mayfield風のニューソウル・サウンドで迫ります。荘厳なストリングス・サウンドや女性バック・コーラスも含めていい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=fjisiV_A42I
「What Kind of Cool (Will We Think Of Next)」
イナたい雰囲気が逆にクール?なソウル・チューン。僕はCody ChesnuTTに自由人のイメージを持っていますが、そんなイメージ通りの歌詞ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=nUtEM2RAHmM
「Don't Follow Me」
美しも切ない哀愁ソウル・チューン。こういう曲を聴いていると、これがアノCody ChesnuTTなのか!と驚かされます。
http://www.youtube.com/watch?v=I_ojQoBLqJw
「Everybody's Brother」
60年代ウル・マナーの香りがプンプンする1曲。甘く切ないレトロ感にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=fGqKx5vbNF8
「Love Is More Than a Wedding Day」
この曲も60年代ソウル・マナーです。改めてCody ChesnuTTが素晴らしいシンガーであることを実感できます。
http://www.youtube.com/watch?v=SzjDAlcAwIo
「Under the Spell of the Handout」
不穏な空気の漂うサウンドをバックに、アメリカの抱える闇の部分に鋭くメスを入れます。
http://www.youtube.com/watch?v=U5gNxufS9ew
「Don't Wanna Go the Other Way」
ジャケにあるヘルメット姿のCody ChesnuTTのイメージに近い楽曲です。サウンドも含めて現代の黒人シンガー・ソングライターらしい1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=Tk46D1eFXZo
「Chips Down (In No Landfill)」
前曲から一転して、壮大で感動的なソウル・サウンドが展開されます。ただし、歌の内容はラブソングではなく、お金や物質的なものではない価値に目を向けようとするメッセージ・ソングになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=Ma2zRy5gcL4
「Where Is All The Money Going」
スカ調の軽快なロッキン・ソウル・チューン。このあたりはジャマイカ系らしさが出ていますね。
http://www.youtube.com/watch?v=1ZcSaP-yAXA
「Scroll Call」
ラストはアフリカにおける罪のない人の迫害に警鐘を鳴らすに社会派ソングで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=yUEZeQc4n8k
『The Headphone Masterpiece』(2002年)