発表年:1977年
ez的ジャンル:ブラジル/フュージョン系女性シンガー
気分は... :天下分目の前日・・・
ブラジル/フュージョン・ファンに人気の女性シンガーFlora Purimの3回目の登場です。
『Butterfly Dreams』(1973年)、『Nothing Will Be As It Was...Tomorrow』(1977年)に続いて紹介するのは『Carry On』(1979年)です。
本当は『Carry On』の1つ前の作品『Everyday, Everynight』(1978年)を紹介しようと思っていたのですが、何となく今日の気分はコチラの方だったので急遽変更しました。
本作『Carry On』(1979年)は、George Dukeをプロデューサーに迎え、アメリカ市場を意識したポップ路線を強く打ち出した作品です。ジャケのケバケバしさからしてそんな感じですよね(笑)
レコーディングには夫Airto Moreira(per、ds)やGeorge Duke(key、syn、vo)をはじめ、Al Jarreau(vo)、Byron Miller(b)、Leon "Ndugu" Chancler(ds)、Michael Sembello(g)、 David Myles(g)、David Amaro(g)、Larry Williams(fl、as)、Joe Farrell(fl、ss)、Greg Phillinganes(syn)、Jerry Hey(tp)、Raul De Souza(tb)、Bill Reichenbach(tb)、Bobby Lyle(key、syn)、Hugo Fattoruso(key、syn)、Ronnie Foster(key)、Ricky Lawson(ds)等の有名ミュージシャンが多数参加しています。
このポップ路線は結局商業的には不発に終わりましたが、アルバム自体はなかなかメリハリのある構成で楽しめます。
特に「From The Lonely Afternoon」はジャズ・ダンス・クラシックと人気です。タイトル曲「Carry On」やMtumeのカヴァー「Love Lock」あたりも僕のお気に入りです。
Flora Purim & Airto MoreiraとGeorge Dukeのコラボを楽しみましょう。
全曲を紹介しときやす。
「Sarara」
Gilberto Gil作。Gilのオリジナルは当ブログでも紹介した『Realce』や『Nightingale』で楽しめます。オリジナル同様、レゲエ調のリラックスした雰囲気で聴かせてくれます。Joe Farrellのソプラノ・サックス・ソロが盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Xsl3Cp8TrHE
「From The Lonely Afternoon」
本作のハイライト。Milton Nascimento作品のカヴァーです。Wayne ShorterとMiltonの共演作『Native Dancer』収録曲としてお馴染みですね。当ブログではToninho Hortaのカヴァーも紹介済みです。本ヴァージョンはTheo Parrishもプレイするダンス・ジャズ・クラシックとして人気の1曲です。幻想的なコズミック・ サンバ・フュージョンといった感じですね。Bobby Lyleの鍵盤のイントロを聴いただけで期待感があります。そしてFloraの本領発揮のスキャットにヤラれます。ブラジル音楽好きにはお馴染みの重鎮Raul De Souzaのトロンボーンもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=Qb8VtlA_jh8
「Niura Is Coming Back」
Floraの妹Yana Purimの作品。Mike Sembelloのアコースティック・ギターとAirtoによるパーカッションのみのシンプルな演奏ですが、どこか幻想的な魅力があります。
http://www.youtube.com/watch?v=IHi8BbeVq68
「Once I Ran Away」
この曲もYana Purim作。前曲の流れを受け継ぎ、Mike Sembelloのアコースティック・ギターとGeorge Dukeのエレピと Bobby Lyleのピアノを中心とした幻想的なバラードに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=zDQPpZcJ98g
「Carry On」
タイトル曲はGeorge Duke作。いかにもGeorge Dukeらしい派手でディスコチックなファンキー・ブラジリアン・フュージョンに仕上がっています。ここではAl Jarreauもリード・ヴォーカルで参加し、Floraと共に素晴らしい男女ヴォーカルを聴かせてくれます。Airtoに加え、Sheila E.のティンバレスも加わったパーカッシヴ・サウンドもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=W1d-rtW1c98
「Love Lock」
James Mtume/Reggie Lucas作。オリジナルはMtumeの1st『Kiss This World Goodbye』(1978年)に収録されています。爽快なフュージョン・サウンドがなかなか心地好い1曲に仕上がっています。George Dukeのシンセが目立っています。
http://www.youtube.com/watch?v=C2DMWSrJU9Q
「Corine」
George Duke作。サンセット・モードの美しいバラードです。Raul De Souzaのトロンボーンがいい味出しています。本作と同年にリリースされたGeorge Duke『Follow The Rainbow』にも収録されているので聴き比べてみるのも楽しいのでは?
「Island In The Sun Interlude」
David Batteau/Mike Sembello作。懐かしい「Maniac」でお馴染みのMike Sembello作品。インタールード的なラテン・フレイヴァー小曲です。
「Beijo Partido (Broken Kiss)」
Toninho Horta作の名曲(オリジナルは1st『Terra dos Passaros』収録)。当ブログでは『Diamond Land』収録のToninho Horta自身のヴァージョンに加え、Milton Nascimento、Tamba Trioのカヴァーも紹介済みです。ミナスらしいミステリアスな美しさが漂う名曲の魅力をFloraの艶っぽいヴォーカルがさらに高めています。何故かこの曲のみStanley Clarkeがプロデュースに参加しています。
「Freeway Jam」
Max Middleton作。ラストはJeff Beck『Blow by Blow』収録曲のカヴァーと意外な選曲です。ジャズ・ロック的な展開ですけど、僕にはイマイチかな。
次回こそ『Everyday, Everynight』(1978年)を紹介しますね。
『Butterfly Dreams』(1973年)
『Nothing Will Be As It Was...Tomorrow』(1977年)
旦那Airto Moreiraの過去記事もご参照下さい。
Airto Moreira『Fingers』(1973年)
Airto Moreira『Identity』(1975年)
Airto Moreira『I'm Fine, How Are You?』(1977年)
Airto Moreira『Samba de Flora』(1988年)