発表年:2004年
ez的ジャンル:スウェディッシュNu Jazz
気分は... :雪見だいふくが食べたい!
今回はスウェーデン人アーティストChristoffer BergによるプロジェクトHird(ヒルド)のアルバム『Moving On』(2004年)です。
Christoffer Bergは1982年スウェーデン、イェーテボリ生まれ。両親がミュージシャンであったこともあり、幼少期から音楽教育を受けていたマルチ・ミュージシャン/クリエイターです。
Hird名義では2003年のシングル「Keep You Kimi」 でデビューしています。
そして22歳の時に創り上げたアルバムが本作『Moving On』(2004年)です。"若き天才"と呼ぶに相応しい北欧Nu Jazz作品に仕上がっています。
さらに本作を盛り上げてくれるのはHirdと同じ若きスウェーデン人アーティスト、Yukimi NaganoとAndreas Saagの2人です。
Yukimi Naganoは日系スウェーデン人の女性シンガー。当時はKoopやSwell Session、Stateless(共にAndreas Saagの変名)の作品への参加で話題になり、後に自身のグループLittle Dragonを率いることになります。
Little Dragonは最近でいえば、今年一番の話題作Robert Glasper Experimentの『Black Radio』(国内盤)および『Black Radio Recovered: The Remix EP』でLittle Dragonの「Twice」をカヴァーしていました。
Andreas Saagは1980年スウェーデン、イェーテボリ出身。Swell Session、Stateless等の名義で作品をリリースしています。2000年にYukimi NaganoをフィーチャーしたSwell Session名義のシングル「A Swell Session/The Music In Her Eyes」がGilles Petersonなどから絶賛され、注目を集めるようになりました。当ブログでは
Stateless名義のアルバム『Art Of No State』(2003年)を紹介済みです。
全体的には若き天才による北欧らしいNu Jazz/クロスオーヴァー作品に仕上がっています。結局本作以降Hird名義の作品をリリースしていません。こんなに素晴らしい内容なのに勿体ないですね。
最近は裏方の活動が多いようですが、本人が主役のアルバムをまた聴きたいですね。
全曲紹介しときやす。
※国内盤と輸入盤で曲順が異なるのでご注意を!こちらは国内盤の曲順です。
「Keep You Kimi」
前述のようにHirdのデビュー・シングル。Yukimi Naganoをフィーチャー。エレピのメロウな響きをバックにYukimi Naganoがミステリアスなヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=_ZWyDoJABT4
「I Love You My Hope」
Yukimi Naganoをフィーチャー。僕の一番のお気に入り。浮遊するメロウ・サウンドをバックに疾走する感じがたまりません。少し気怠いYukimi Naganoのヴォーカルにも雰囲気があります。Andreas Saagのフェンダー・ローズがひたすら心地好いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=XEQXD-qgD2o
「Getting Closer」
この曲ではHird自身がヴォーカルをとっています。北欧らしい澄み切った雰囲気のサウンドをバックに、少し籠ったHirdの控えめなヴォーカルがマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=Xt4VHzWi8CM
「Burn4」
この曲はトリップ・ホップ的なダビー感の漂うインスト・チューン。Roy Ayers Ubiquity「The Boogie Back」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=G1pNtEGi8NU
「Love Again」
Yukimi Naganoをフィーチャー。寂しげなフルートの音色が印象的な哀愁チューン。Hirdの中にしっかりジャズが根付いていることを感じる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=-kV57UyVGxs
「Fading Blues」
Yukimi Naganoをフィーチャー。ブルージーなYukimi Naganoのヴォーカルが印象的な哀愁バラード。Yukimi Naganoの魅力を満喫しましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=-zFeMfmZBgk
「Moving On」
Yukimi Naganoをフィーチャー。タイトル曲は幻想的なジャジー・グルーヴ。クラブミュージックとジャズがいい塩梅で融合しています。
http://www.youtube.com/watch?v=LqCj5658WTg
「Buddy Rich」
名ジャズ・ドラマーBuddy Richの名を冠したオマージュ的な仕上がり。幼少期からドラムを叩いていた彼らしい楽曲かもしれません。スウィンギーな展開が急にエレクトロニカに急変するあたりが面白いです。
http://www.youtube.com/watch?v=W3scBS4Pm8M
「Water Under My Bridges」
幻想的なエレクトロニカ・サウンドが印象的です。
「Memories From The Room (Shibuya Mix)」
国内盤ボーナス・トラック。これがいいんです。ラウンジ感の漂うスタイリッシュなクロスオーヴァー・チューンに仕上がっています。
冬になると北欧アーティストの作品に惹かれますね。