発表年:1981年
ez的ジャンル:ブラジリアン・フレイヴァー系女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :今宵楽しく!
今回はブラジリアン・フレイヴァーな女性ジャズ・ヴォーカル作品Bobbe Norris『Close Up』(1981年)です。
Bobbe Norrisは1941年、カリフォルニア州生まれの米国人女性ジャズ・シンガー。1960年代にレコーディング作品をリリースしますが、商業的な成功を収めることができず、70年代に入ると音楽活動を休止してしまいます。
1978年に飛び入り参加したライブでの彼女の見たジャズ・ピアニストLarry Dunlapに気に入られ、再び歌の世界で活動するようになります。Pointer Sistersの音楽ディレクターを務めた経験も持つLarry DunlapはBobbeの公私のパートナーとなり、1983年に2人は結婚しています。
そんな2人が二人三脚で制作したアルバムが本作『Close Up』(1981年)です。その後Bobbe Norris & Larry Dunlap名義での『Hoisted Sails』(1982年)や、『You And The Night And The Music』(1986年)、『Out Of Nowhwere』(1999年)といったアルバムをリリースしています。
今日紹介する彼女の再デビュー作『Close Up』は、ムジカロコムンドにも紹介されたブラジリアン・フレイヴァーな女性ジャズ・ヴォーカル作品です。
レコーディング・メンバーは、Bobbe Norris(vo)、Larry Dunlap(p、key、vo)、Paul Warburton(b)、Marc van Wageningen(el-b)、Frank Tusa(b)、Jim Zimmerman(ds)、David Frazier(per)という編成です。さらにCDに追加収録されたボーナス・トラックにはMark Murphy(vo)も参加しています。
"ブラジリアン・フレイヴァー"という形容詞が先行してしまうアルバムですが、それのみならず正統派ジャズ・ファンも満足させるオーセンティックなジャズ・ヴォーカル曲も多数収録されており、ジャズ・ヴォーカリストBobbe Norrisを存分に楽しむことができる作品に仕上がっています。
低いトーンで落ち着いた大人の雰囲気を醸し出すBobbe Norrisのヴォーカルには、人生の年輪を感じます。この雰囲気はなかなか出せないのでは?
今日の僕の気分にピッタリな大人のジャズ・ヴォーカル作品です。
ジャケのイメージそのままの1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Out of This World」
Harold Arlen/Johnny Mercer作。1945年のミュージカル映画『Out of This World』の主題歌です。ブラジリアン・リズムとスウィンギー・ジャズが交錯する本作らしい小粋な仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=bhYy25nV24Q
「After You」
Cole Porter作。当ブログでは以前にBill Evansのカヴァーも紹介しているCole Porter作品です。スタンダード然としたしっとりと美しいジャズ・バラードに仕上がっています。Larry Dunlapが惚れ込むのも頷ける魅惑のヴォーカルを披露してくれます。
「Looking at You」
この曲もCole Porter作。1930年のミュージカル『Wake Up and Dream』の挿入歌です。Paul Warburtonのベースをバックに貫録十分のヴォーカルを聴かせてくれます。
「You're Free」
Fran Landesman/Alec Wilder作。本作のハイライト。Cafe Apres-Midiのコンピにも収録された人気ブラジリアン・グルーヴ。Bobbeの低いトーンのヴォーカルとブラジリアン・リズムの組み合わせは、落ち着きのある大人のブラジリアン・グルーヴといった趣です。
「Lady Sings the Blues」
William Engvick/Alec Wilder作。偉大な作曲家Alec Wilder作品が2曲続きます。ブルージーなバラードですが、Bobbeの低いトーンのヴォーカルはブルースが似合いますね。
「Haunted Heart」
Howard Dietz/Arthur Schwartz作。1943年のミュージカル『Inside U.S.A.』挿入歌です。Larry Dunlapの小粋なピアノにグッとくるスウィンギーな仕上がりです。
「Let the Music Take You」
Larry Dunlap作。個人的には「You're Free」、「Out of This World」と並ぶ本作のハイライト。軽快なフュージョン調のブラジリアン・グルーヴです。Larry Dunlapのエレピのメロウな音色が心地好いですね。
「Move Yourself」
Larry Dunlap作。この曲も僕のお気に入り。ライトなジャズ・ファンク・チューン。落ち着いた大人の疾走感がいい感じです。アーバン・メロウ/AOR好きの人にオススメ!
「Another Summer's Day」
Larry Dunlap作。季節外れですが、サンセット・ビーチがよく似合う素敵なバラードです。
「Flight」
Larry Dunlap作。小粋なブラジリアン・ジャズです。軽快なながらもエレガントな雰囲気が漂うのがいいですね。
「Swan」
Larry Dunlap/Bobbe Norris作。本編のラストは美しいメロウ・バラードです。AOR好きの人がグッとくる仕上がりなのでは?
以下の3曲はCDに追加収録されたボーナス・トラックです。
「Lush Life」
Billy Strayhorn作。お馴染みのジャズ・スタンダードをカヴァー。スタンダードらしいオーセンティックなバラード・スタイルで堂々と歌い上げます。
「My Baby Likes to Bebop」
Walter Bishop, Sr./Johnny Mercer作。Nat King Coleなどで知られる楽曲です。ここではMark Murphyとのデュエットでリラックしたビ・バップなスキャットを聴かせてくれます。
「Gathering Stones」
Kenny Werner作。Larry Dunlapの美しいピアノに寄り添いながら、ここで柔らかいタッチのヴォーカルを聴かせてくれます。
『Out Of Nowhwere』
さぁ、今宵楽しく!