2013年01月31日

Vinicius Cantuaria『Vinicius』

シンプルながらもN.Y.感覚のブラジル音楽を満喫できる1枚☆Vinicius Cantuaria『Vinicius』
Vinicius
発表年:2001年
ez的ジャンル:N.Y.メトロポリタン感覚ブラジル音楽
気分は... :杞憂に終わってホッ・・・

ここ最近ずっと気になっていたことが杞憂に終わってホッ・・・

ホッとしたら、なんだかブラジル音楽が聴きたくなりました。そこでセレクトしたのが今日の1枚。

ブラジルのベテラン男性シンガー/ギタリスト/ドラマーVinicius Cantuaria『Vinicius』(2001年)です。

N.Y.在住のブラジル人アーティストVinicius Cantuariaの紹介は、『Samba Carioca』(2010年)、『Indio De Apartamento』(2012年)に続き3回目となります。

Viniciusにとって10作目のアルバムとなる本作『Vinicius』(2001年)は現在のVinicius CantuariaにもつながるシンプルながらもN.Y.感覚のアヴァンギャルド感と洗練さを兼ね備えたブラジル音楽を楽しめます。

Vinicius Cantuaria(vo、g、per、key)をはじめ、Caetano Veloso (vo)、David Byrne(vo、g)、Marc Johnson(b)、Joey Baron(ds)、Paulo Braga(ds)、Bill Frisell(g)、Marc Ribot(g)、Brad Mehldau(p)、Michael Leonhart(tp)、Jenny Scheinman(violin)、Peter Scherer(key)といったミュージシャンが参加しています。また、Arto Lindsayがソングライティングで参加しています。

この参加メンバーを眺めただけでもセンスの良いアルバムを想像できますよね。その想像通りのサウンドを満喫できます。

Gilberto Gilとの共作曲をセルフ・リメイクした「Cliche do Cliche」、Jobim作のボサノヴァ・スタンダード「Ela e Carioca」のカヴァー、Arto Lindsayと共作し、Caetano Veloso と共演した「Agua Rasa」David Byrneとのコラボ曲「Rio」、Nana Vasconcelosとの共作3曲など楽曲も粒揃いです。

プロデュースはVinicius Cantuaria本人とLee Townsend、Soli。

シンプルなのに洗練されて、奥深くて、アヴァンギャルド・・・Vinicius Cantuariaはやっぱりシブいねぇ!

全曲紹介しときやす。

「Cliche do Cliche」
Vinicius Cantuaria/Gilberto Gil作。Gilberto Gilとの共作。Gilberto Gilのオリジナルは『Dia Dorim Noite Neon』(1985年)に収録されています。また、Vinicius自身は前々作『Amor Brasileiro』でも取り上げています。Viniciusらしい落ち着いた雰囲気の味わい深いヴァージョンに仕上がっています。

「Ela e Carioca」
Vinicius de Moraes/Antonio Carlos Jobim作のボサノヴァ・スタンダード「彼女はカリオカ(She's a Carioca)」をカヴァー。当ブログではこれまでAstrud GilbertoWalter WanderleyCelso FonsecaJoao Gilbertoのカヴァーを紹介済みです。N.Y.メトロポリタン感覚の「彼女はカリオカ」はサイコーです。特にBill Frisellのギターが印象的です。

「Agua Rasa」
Vinicius Cantuaria/Arto Lindsay作。Caetano Veloso がヴォーカルで参加し、Arto Lindsayとの共作というViniciusのキャリアに大きな影響を及ぼした2人が絡んだ1曲。シンプルなアコースティック・チューンですが、Viniciusらしい奥行のある音空間を楽しめます。実に深い1曲ですね。

「Ordinaria」
Vinicius Cantuaria作。疾走感のあるブラシのビートに、Viniciusのギター、Michael Leonhartのトランペット、Jenny Scheinmanのヴァイオリンが絡みます。このあたりもN.Y.感覚ならではのブラジリアン・ミュージックって感じですね。

「Quase Choro」
Vinicius Cantuaria/Nana Vasconcelos作。Viniciusらしい美学が貫かれた美しい仕上り。Brad Mehldauの美しいピアノも印象的です。

「Rio」
Vinicius Cantuaria/David Byrne作。David Byrneとのコラボ曲。Marc Ribotもギターで参加しています。ミステリアスな雰囲気が漂うサンバ・チューンです。僕の一番のお気に入り曲です。

「Normal」
Vinicius Cantuaria作。アフロ・ブラジル色の強い前衛的な雰囲気の漂う仕上り。Jenny Scheinmanのヴァイオリンも印象的です。

「Nova de Sete」
Vinicius Cantuaria作。Viniciusらしい奥深い1曲。Brad Mehldauの美しいピアノとBill Frisellのエフェクト・ギターが独特の音世界を演出してくれます。

「Irapuru」
Vinicius Cantuaria/Nana Vasconcelos作。Nana Vasconcelosとの共作2曲目。美しきボサノヴァ・チューン。実に穏やかな気分にさせてくれます。

「Caju」
Vinicius Cantuaria/Nana Vasconcelos作。Nana Vasconcelosとの共作3曲目。メロウ・ボッサがお好きな人にオススメ!オーセンティックですがViniciusらしい味わい深さがあります。

「Insects Are Black」
Vinicius Cantuaria/Arto Lindsay作。国内盤のみ収録のボーナス・トラック。淡々としたなかにもアヴァンギャルな雰囲気が漂うのがいいですね。Peter Schererも参加しています。

「Rio (Special Mix by David Byrne)」
この曲も国内盤のみ収録のボーナス・トラック。RioのDavid Byrneによるリミックスです。
http://www.youtube.com/watch?v=IGY7zP4dfcM

他のVinicius Cantuaria作品もチェックしてみて下さい。

『Sol Na Cara』(1996年)
Sol Na Cara

『Tucuma』(1999年)
トゥクマ

『Horse and Fish』(2004年)
Horses & Fish

『Silva』(2005年)
Silva

『Cymbals 』(2007年)
Cymbals

『Samba Carioca』(2010年)
サンバ・カリオカ

『Indio De Apartamento』(2012年)
アパート暮らしのインヂオ(Indio de apartamento)
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2013年01月30日

The J. Geils Band『Bloodshot』

ライブ・バンドとしての魅力をスタジオ作へ見事に反映させた1枚☆J. Geils Band『Bloodshot』
Bloodshot
発表年:1973年
ez的ジャンル:R&Bテイスト・アメリカン・ロック
気分は... :ハープが目立つロック・バンド!

今回はR&Bテイストの痛快なロック・アルバムThe J. Geils Band『Bloodshot』(1973年)です。

70年代ロック好きであればお馴染みのグループThe J. Geils Band

グループの母体は1967年にボストンで結成されたJ. Geils(g)、Danny Klein(b)、Magic Dick(harmonica、tp)によるJ. Geils Blues Band。そこにDJをしていたPeter Wolf(vo)と彼のバンド仲間Stephen Bladd(per、ds、vo)が加入、さらにSeth Justman(key、vo)も加入し、J. Geils Bandのラインナップが揃います。

1970年のデビュー・アルバム『The J. Geils Band』を皮切りに、『The Morning After』(1971年)、『"Live" Full House』(1972年)、『Bloodshot』(1973年)、『Ladies Invited』(1973年)、『Nightmares...and Other Tales from the Vinyl Jungle 』(1974年)、『Hotline』(1975年)、『Blow Your Face Out』(1976年)、『Monkey Island』(1977年)、『Sanctuary』(1978年)、『Love Stinks 』(1980年)、『Freeze Frame』(1981年)、『Showtime!』(1982年)とコンスタントに作品をリリースします。

特に全米シングル・チャートNo.1となった「Centerfold」を含む『Freeze Frame』(1981年)は全米アルバム・地チャート第1位となる大ヒット・アルバムとなりました。

看板ヴォーカルPeter Wolf脱退後に制作されたアルバム『You're Gettin' Even While I'm Gettin' Odd』(1984年)を最後にグループは解散します。

どうしても「Centerfold」『Freeze Frame』のイメージが先行してしまうグループかもしれませんね。僕自身も青春期に大ヒット「Centerfold」の盛り上がりを体感したので、どうしても「Centerfold」のPVをイメージしてしまいます。

ただし、J. Geils Bandの本質はブルース/R&Bに根ざしたロック・バンドであり、そうした魅力が満喫できるのは『"Live" Full House』(1972年)、『Bloodshot』(1973年)、『Nightmares...and Other Tales from the Vinyl Jungle 』(1974年)、『Blow Your Face Out』(1976年)あたりなのでは?

僕がリアルタイムで聴いた最初のJ. Geils Band作品は「One Last Kiss」(1978年)だった気がします。その頃はこんなにブルース/R&Bに根ざしたグループだとは思っていませんでしたが・・・

ライブ・バンドとしての評判が高く、『"Live" Full House』(1972年)、『Blow Your Face Out』(1976年)というライブ・アルバム2枚の評価が高い彼らですが、そんなライブ・バンドとしての魅力を上手くスタジオ作にも反映させた最初のアルバムが本作『Bloodshot』(1973年)だと思います。

「(Ain't Nothin' But a) Houseparty」「Southside Shuffle」をはじめ、彼らのR&Bテイストのロックが全編楽しめる1枚です。特にPeter Wolfのヴォーカル、Magic Dickのハープを満喫するには絶好の1枚だと思います。ハープがこれだけ目立つロック・バンドなんて他にいないのでは?このあたりもJ. Geils Bandの魅力だと思います。

年々ロック離れが加速している僕ですが、こうしたR&Bテイストの強いロック作品は今聴いてもフィットします。

プロデュースはBill Szymczyk
The J. Geils Band以外にEagles作品を手掛けたことでも知られる人ですね。

「(Ain't Nothin' But a) Houseparty」「Hold Your Loving」の2曲以外はSeth Justman/Peter Wolf作によるオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「(Ain't Nothin' But a) Houseparty」
The Showstoppers、1967年のヒット曲をカヴァー(Del Sharh/Joseph Thomas)。ファンキー&ワイルドなこのオープニングに本作の魅力が凝縮されています。Peter WolfのヴォーカルやMagic Dicのハープも絶好調です。特に終盤の盛り上がりはテンション上がりますね。シングルにもなりました。
http://www.youtube.com/watch?v=o94zaodpNME

「Make up Your Mind」
R&Bカヴァーと思わせるようなオリジナル。適度にパーカッシヴでノスタルジックな雰囲気がいいですね。この曲もシングルになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=tpyWQfIvjm4

「Back to Get Ya」
「Southside Shuffle」と並ぶ僕の一番のお気に入りのファンキー・チューン。Peter Wolfの野性味あふれるヴォーカル、Magic Dicのハープを存分に楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=n0N3MwlM8n8

「Struttin' With My Baby」
彼らの原点を実感できるブルース・ロック。J. GeilsのギターとMagic Dicのハープが絶好調です。
http://www.youtube.com/watch?v=HgfuN9Tgl_A

「Don't Try to Hide It」
Seth Justmanの小粋なピアノと共にスタートする酔いどれモードの仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=vek2NinuFTI

「Southside Shuffle」
「(Ain't Nothin' But a) Houseparty」と並ぶ本作のハイライトなのでは?僕もやっぱりこの曲が一番好き!♪Do You Wanna Dance?♪というPeter Wolfの掛け声からして格好良すぎるR&Bテイストのファンキー・チューンです。これで盛り上がらないはずがない!J. Geils Bandの本領発揮の1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=XWUS38la_ZY

「Hold Your Loving」
R&BシンガーTitus Turnerのカヴァー。軽快なテンポで一気に駆け抜けます。
http://www.youtube.com/watch?v=UTCieP7PEjk

「Start All Over Again」
味わい深いバラード。70年代のThe Rolling Stonesのバラードあたりと一緒に聴きたくなりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=Mk-xlRRd8QY

「Give It to Me」
ラストは意外にもレゲエ/スカ調。シングルとして全米チャート第30位となっています。これをシングルにしたというのも意外ですね。ただし、中盤以降はレゲエ/スカ調から一転し、エキサイティングなロック・チューンへ変貌します。終盤のブレイクもなかなか印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=EYgZ3-h2E1g

J. Geils Bandの他作品もチェックを!

『The J. Geils Band』(1970年)
J Geils Band

『The Morning After』(1971年)
Morning After

『"Live" Full House』(1972年)
Full House Live

『Ladies Invited』(1973年)
Ladies Invited

『Nightmares...and Other Tales from the Vinyl Jungle 』(1974年)
Nightmares

『Hotline』(1975年)
Hotline

『Blow Your Face Out』(1976年)
Blow Your Face Out

『Monkey Island』(1977年)
Monkey Island

『Sanctuary』(1978年)
サンクチュアリ(禁猟区)(紙ジャケット仕様)

『Love Stinks 』(1980年)
ラヴ・スティンクス(紙ジャケット仕様)

『Freeze Frame』(1981年)
Freeze Frame

『Showtime!』(1982年)
Showtime!
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2013年01月28日

The Harvey Averne Dozen『Viva Soul』

人気曲「You're No Good」、「Think It Over」収録!ラテン・ソウル名盤☆The Harvey Averne Dozen『Viva Soul』
VIVA SOUL
発表年:1968年
ez的ジャンル:ブーガルー&ノーザン・ソウル系ラテン・ソウル
気分は... :これは間口が広い!

今回はラテン・ソウル好き、ノーザン・ソウル好きは要チェックの1枚、The Harvey Averne Dozen『Viva Soul』(1968年)です。

Harvey Averneは1936年N.Y.ブルックリン生まれのヴァイヴ/ピアノ奏者、コンポーザー、プロデューサー。60年代後半から70年代にかけてN.Y.ラテン・シーンで活躍しました。

10代半ばからヴァイヴ/ピアノ奏者として活動し、1968年にThe Harvey Averne Dozen名義でAtlanticから今回紹介するデビュー作『Viva Soul』をリリース。その後Faniaから『The Harvey Averne Dozen』(1968年)、『Brotherhood』(1969年)、さらにHarvey Averne Barrio Band名義で『Harvey Averne Barrio Band』(1971年)をリリースしています。

さらにはプロデューサーとしても活躍し、当ブログで紹介した作品でいえば、Ray Barretto『Acid』(1968年)、Eddie Palmieri『Sentido』(1973年)、Eddie Palmieri『Unfinished Masterpiece』(1975年)は
Harvey Averneのプロデュースです。

そんなHarvey Averneの代表作が本作『Viva Soul』(1968年)です。

本作はAtlanticからのリリースですが、Faniaの創設者の1人Jerry Masucci
Harvey Averneと共にプロデューサーに名を連ね、同じくFaniaの創設者Johnny Pachecoがレコーディング・ディレクターを務めています。さらにN.Y.ラテンの名アレンジャーMarty Shellerがアレンジを担当しています。

基本的にはラテン・ソウルなアルバムですが、ラテンをあまり聴かないノーザン・ソウル好きの人も楽しめる1枚になっています。

サンプリング好きであれば、Terry Rileyのサンプリング古典「You're Nogood」の元ネタ「You're No Good」、ノーザン・ソウル好きであれば「Think It Over」「Wishing And Hoping」、サバービア好きであれば「The Micro Mini」Bob Dylan好きであれば「You Mess My Mind Up」The Young Rascals好きであれば「Make Out」とラテン・ソウル作品と括りでは収まらない間口の広さを持ったアルバムです。

先入観なしで聴くと、かなり楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「You're No Good」
Harvey Averne/Marty Sheller作。本作のハイライトその1。ミニマル音楽の元祖Terry Rileyのサンプリング古典「You're Nogood」のリソースとして有名な曲ですね。フリーソウル風の言い方をすれば、ヤング・ラテン・ソウルといった趣の雰囲気でしね。ヴァイヴの響きが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=RfLJWqH37x4

House of Pain feat. Pete Rock 「Jump Around (Pete Rock's Blood Stain Remix)」、 Zeus「Gracze」、Slaughterhouse「Cut You Loose」、Freeway feat. Musiq Soulchild「Dream Big」のサンプリング・ソースにもなっています。
Zeus「Gracze」
 http://www.youtube.com/watch?v=-ZxEJKSf0Ws
Slaughterhouse「Cut You Loose」
 http://www.youtube.com/watch?v=aY-AFkrs-zE
Freeway feat. Musiq Soulchild「Dream Big」
 http://www.youtube.com/watch?v=SHiwdNd2Qpw

「Think It Over」
Kenny Seymour作。ノーザン・ソウル好きにはマストな1曲。ラテン・ソウル云々を気にせずとも、爽快ノーザン・ソウルとして楽しめる1曲に仕上がっています。小気味良いリズムをバックに男性リードと女性コーラス隊の絡みがサイコーです。
http://www.youtube.com/watch?v=lDierbcfJBo

「Monday Monday」
John Phillips作。The Mamas & The Papasの1966年大ヒット曲をインスト・カヴァー。この名曲とラテン・リズムの相性の良さにサプライズです。

「My Dream」
Harvey Averne/Marty Sheller作。ラウンジ調のムーディーな仕上り。この曲を聴いてStevie Wonder「Don't You Worry 'Bout A Thing」を想起するのは僕だけでしょうか?
http://www.youtube.com/watch?v=dk0gsh7jJbs

「Wishing And Hoping」
Kenny Seymour作。「Think It Over」と共にノーザン・ソウル好きは要チェックの1曲。僕の一番のお気に入り曲でもあります。ノーザン・ソウル+Burt Bacharachといった趣がありますよね。
http://www.youtube.com/watch?v=amyfR3kQmoU

「The Micro Mini」
Harvey Averne/Marty Sheller作。サバービア好きの人はこの曲も要チェックですね。ヴァイヴの音色が心地好いブーガルーなラテン・ソウルに仕上がっています。

「Shake Your Money Maker」
Harvey Averne/Marty Sheller作。小気良さが魅力のノーザン・ソウル+ラテン・ソウルな1曲に仕上がっています。この曲に代表されるR&Bとラテンの接点を見出したところに本作の魅力が凝縮されているのかもしれませんね。

「You Mess My Mind Up」
Harvey Averne/Marty Sheller作。Bob Dylan「Like a Rolling Stone」を援用したラテン・ソウル・チューン。ラテンとソウルとフォーク・ロックの融合というのは何とも興味深いですね。

「The Think Drink Theme」
Richard Boyell作。Mr. T & The Coffeehouse、1967年のシングル曲をインスト・カヴァー。N.Y.ラテン好きにはたまらない格好良さがあります。

「Make Out」
Harvey Averne/Marty Sheller作。The Young Rascals好きはニンマリしてしまう1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=mnAvygioSnk

「The Word」
The Beatlesのカヴァー。オリジナルは『Rubber Soul』に収録されています。『Rubber Soul』の中でも地味なこの曲が案外ラテンのリズムにマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=Y4HDdQXVs54

「Free Advice」
John Phillips/Michelle Gilliam作。The Mamas & The Papasのカヴァー2曲目。オリジナルは『Deliver』(1967年)に収録されています。ファンキー&グルーヴィーな仕上がりはソウル/R&B好きにはグッとくるはずです。

他のHarvey Averne関連作品もチェックを!

『The Harvey Averne Dozen』(1968年)
The Harvey Averne Dozen

『Harvey Averne Barrio Band』(1972年)
Harvey Averne Barrio Band
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2013年01月27日

Cris Delanno & Alex Moreira『Nosso Quintal』

一味違うメロウ・ボッサ作品☆Cris Delanno & Alex Moreira『Nosso Quintal』
ノッソ・キンタウ
発表年:2012年
ez的ジャンル:メロウ・ボサノヴァ
気分は... :オーセンティックなのに何処か新しい!

今回は昨年末にリリースされた素敵なボサノヴァ・アルバムCris Delanno & Alex Moreira『Nosso Quintal』です。

Cris DelannoはMPBの大御所Roberto Menescalに見出された女性シンガー。

当ブログで紹介した作品でいえば、Bossacucanova & Roberto Menescal『Brasilidade』(2001年)、Adam Dunning『Sunset Monkeys』(2011年)、『Glass Bottom Boat』(2012年)に参加しています。

Alex Moreira(Alexandre Moreira)Roberto Menescalの息子Marcio Menescal(b)、Marcelinho da Lua(DJ)とエレクトロニクスなブラジリアン・ダンス・ミュージックのユニットBossacucanovaを結成し、90年代後半から活動しています。

Bossacucanova作品で共演したことがあるCris DelannoとAlex MoreiraがJoao Donatoの息子Donatinhoをプロデューサーに迎え(Alex Moreiraとの共同プロデュース)、制作したボサノヴァ・アルバムが本作『Nosso Quintal』です。

Bossacucanovaから想像を膨らませると、エレクトロニクスなネオ・ボッサ・アルバムをイメージしてしまいますが、中身はCrisのヴォーカルの魅力を引き出した比較的オーセンティックなボサノヴァ・アルバムに仕上がっています。ただし、単にオーセンティックで終わっていないところが本作の魅力だと思います。

アルバムにはJoao Donatoが参加していたり、Joyce Morenoがソングライティングを手掛けていたりします。その他新旧名うてブラジル人ミュージシャンが参加しています。

オーセンティックなのに何処か新しいメロウ・ボサノヴァ作品を満喫できる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Nosso Quintal」
Cris Delanno/Alex Moreira/Joao Donato作。Joao Donato本人がピアノで参加しています。ラテン調の小粋なオープニングです。

「Deja Vu」
Cris Delanno/Joyce Moreno作。僕の一番のお気に入り曲。Joyceがソングライティングで参加したメロウ・ボッサ。Cris Delannoのスウィート・ヴォイスとDonatinho & Alex Moreiraのサウンド・センスがよくマッチした1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=tALE7K96KwA

「Ate Sonhar」
Cris Delanno/Alex Moreira作。Cristovao Bastosがアレンジを手掛けたメロウ・サンバ。この曲も僕のお気に入り。Sidao SantosのヴィオランやDirceu Leiteのクラリネット/フルート等が盛り上げてくれます。

「Na Flor Da Idade」
Cris Delanno/Alex Moreira/George Israel作。Kid Abelhaのサックス奏者George Israelがソングライティングで参加した哀愁ラテンな仕上がり。妖艶なCrisのヴォーカルが栄えます。

「Tanta Agua」
Cris Delanno/Dora Vergueiro作。「Deja Vu」と並ぶ僕の一番のお気に入り。アルバムで最も透明感のある仕上がり。澄み切ったCrisのヴォーカル、Flavio Mendesのヴィオラン、Hugo Pilgerのチェロ、Marcos Suzanoのパーカッション等が素敵な音世界を創り上げます。聴いているだけで体中が澄み切った気分になります。

「Joga A Toalha」
Cris Delanno/Alex Moreira作。ブラジリアン・メロウ・グルーヴ好きの人であれば、このメロウ・サンバがオススメ!開放的なメロウネスを満喫できます。Joao Lyraの小粋なヴィオランもグッド!

「Confusao」
Cris Delanno/Alex Moreira/Marissa Gorberg作。Cristovao Bastosがアレンジを手掛けた開放的なショーロ。終盤に少しだけAlex Moreiraのヴォーカルを聴くことができます。Som ImaginarioやBanda Black Rioで活躍したJamil Joanesがベースで参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=_mMGhK-dteU

「Saudade」
Cris Delanno/Alex Moreira/Pedro Lenz作。まさにサウダージなボサノヴァ。オーセンティックなボサノヴァながらも小粋なセンスの光る仕上がりです。終盤に各国のSaudadeの訳語が登場しますが、「懐かしい」という日本語訳も挿入されています。
http://www.youtube.com/watch?v=NHZEr8HtIzY

「Ja」
Cris Delanno/Alex Moreira作。Kassin、Stephane San Juan、Alberto Continentino、DonatinhoによるユニットChocotonesがバックを務めています。レゲエ調のエクスペリメンタル・チューンに仕上がっています。

「Valsa Com O Poeta」
Cris Delanno/Alex Moreira/Gustavo Black Alien作。作者Gustavo Black Alienのポエトリー・リーディングも挿入したクラシカルな哀愁チューンでアルバムは幕を閉じます
http://www.youtube.com/watch?v=6F2pDh3n0h8

あまり話題になりませんが、ブラジル音楽好きであれば要チェックですよ!
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2013年01月26日

The Isley Brothers『Brother, Brother, Brother』

ニューソウルなフォーキー・ソウル作品☆The Isley Brothers『Brother, Brother, Brother』
Brother Brother Brother
発表年:1972年
ez的ジャンル:メロウ&ファンキー系フォーキー・ソウル
気分は... :折れた翼を癒すとき・・・

The Isley Brothers『Brother, Brother, Brother』(1972年)の紹介です。

これまで当ブログで紹介したIsleys作品は以下の10枚(発表年順)。

 『Givin' It Back』(1971年)
 『The Isleys Live』(1973年)
 『3+3』(1973年)
 『Live It Up』(1974年)
 『The Heat Is On』(1975年)
 『Harvest For The World』(1976年)
 『Go For Your Guns』(1977年)
 『Winner Takes All』(1979年)
 『Between The Sheets』(1983年)
 『Baby Makin' Music』(2006年)

『3+3』(1973年)からO'Kelly Isley、Rudolph Isley、Roland Isleyのヴォーカル隊にErnie Isley、Marvin Isley、Chris Jasperの楽器隊3名が正式にメンバーに加わり「3+3」体制となるThe Isley Brothersですが、久々にそれ以前の3名時代の作品を紹介します。

本作『Brother, Brother, Brother』は、前作『Givin' It Back』(1971年)のフォーキー・ソウル路線を継承した内容のアルバムに仕上がってします。

ただし、『Givin' It Back』は全曲カヴァーでしたが、本作ではカヴァー4曲、オリジナル5曲ということで前作での成果をオリジナル曲に還元しています。また、カヴァーのうち3曲がCarole King作品というのがアルバム全体の色合いを大きく決定付けています。白人シンガー・ソングライターと黒人ニューソウルの表裏一体の関係がよく実感できます。

全体としてニューソウル的なメッセージや癒しが随所に感じられるアルバムに仕上がっているのが印象的ですね。

また、正式メンバーとはなっていなもののErnie Isley、Marvin Isley、Chris Jasperというヤング・メンバーの演奏面での貢献が顕著に感じられる作品となっており、『Givin' It Back』と比較して格段にサウンドが豊かになっています。

「3+3」体制での快進撃を予感させるメロウ&ファンキーなフォーキー・ソウル作品です。

全曲紹介しときやす。

「Brother, Brother」
Carole Kingのカヴァー1曲目。オリジナルは『Music』(1971年)に収録されています。エレピとパーカッションが織り成すグルーヴ感がとっても心地好いR&Bテイストのオリジナルも大好きですが、Isleysがカヴァーするとまるで自分たちのオリジナルのようにジャスト・フィットしていますね。
http://www.youtube.com/watch?v=jr1gAL-_65Q

Marvin Gaye「What's Going On」に触発されてCarole Kingが「Brother, Brother」を書き、それをさらにIsleysがカヴァーする・・・黒人アーティストと白人アーティストのメッセージのバトン・リレーは実に感動的です。
Carole King「Brother, Brother」
 http://www.youtube.com/watch?v=hDWpnSWBxbE

Shad「Brother (Watching) 」、Illy「Brother」でサンプリングされています。

「Put a Little Love in Your Heart」
Randy Myers/Jackie DeShannon作。Jackie DeShannonの1968年のヒットをカヴァー。Isleysがカヴァーすると、この曲もニューソウルなメッセージ・ソングに聴こえてくるから不思議ですね。オルガンのファンキーな音色がいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=jlXMlC3D098

「Sweet Season/Keep On Walkin'」
Carole Kingのカヴァー2曲目(Carole King/Toni Stern作)とオリジナルのメドレー。「Sweet Season」のオリジナルは『Music』(1971年)に収録されています。はつらつとしたオリジナルも大好きですが、Isleysらしい濃さの加わった本ヴァージョンもグッド!続く「Keep On Walkin'」はファンキーなオルガン・グルーヴが格好良い仕上がりです。

「Work to Do」
The Isley Brothers作。アルバムからの3rdシングルとして全米R&Bチャート第11位となっています。フリーソウル人気曲としてもお馴染みですね。フォーキー&ファンキー・グルーヴとRonaldの熱唱にはパワーが漲っています。
http://www.youtube.com/watch?v=08tYrBCgXlU

Average White BandThe Main Ingredient等数多くのアーティストがカヴァーしています。また、Rick Ross feat. Yo Gotti「Gotti Family」等でサンプリングされています。

「Pop That Thang」
Herman Kelly/Clyde Otis/O'Kelly Isley/Ronald Isley/Rudolph Isley作。アルバムからの2ndシングルとして全米R&Bチャート第3位となっています。Ernie Isley、Marvin Isley、Chris Jasperらが生み出すファンキー・リズムとRonaldのセクシー・ヴォーカルが実にマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=qamI5UBryog

「Lay Away」
The Isley Brothers作。アルバムからの1stシングルとして全米R&Bチャート第6位となっています。「Brother, Brother」、「Pop That Thang」と並ぶ僕のお気に入り。コクのあるファンキー・リズムにグッときます。Ernieファンは彼のギターが炸裂する点も聴き逃せません。Honey Cone「Want Ads」とセットで聴くと楽しいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=bYQoN4WhG3w

Honey Cone「Want Ads」
 http://www.youtube.com/watch?v=IkJGSnRB9RM

Lil Wayne「Receipt」、Lil B「My Receipt」のサンプリング・ソースにもなっています。
Lil Wayne「Receipt」
 http://www.youtube.com/watch?v=FbZaSGfYb8E

「It's Too Late」
Carole Kingのカヴァー3曲目(Carole King/Toni Stern作)。オリジナルは『Tapestry』(1971年)に収録されています。この名曲を10分超の長尺カヴァーで演奏するというあたりに何かを感じます。Racionais MC's「Magico De Oz」のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=fdWZGKTpOBo

「Love Put Me on the Corner」
O'Kelly Isley/Ronald IsleyChris Jasper作。ラストも「It's Too Late」の流れを汲む美しいバラードで締め括ってくれます。Ronaldの歌声が胸の奥まで響き渡ります。
http://www.youtube.com/watch?v=FdBtVOE7fdY

Lord Jamar feat. Grand Puba「The Corner, The Streets」でサンプリングされています。
Lord Jamar feat. Grand Puba「The Corner, The Streets」
 http://www.youtube.com/watch?v=Us96r_Z7efY

Isleysの過去記事もご参照下さい。

『Givin' It Back』(1971年)
Givin' It Back

『The Isleys Live』(1973年)
The Isleys Live

『3+3』(1973年)
3+3

『Live It Up』(1974年)
リヴ・イット・アップ(紙ジャケット仕様)

『The Heat Is On』(1975年)
The Heat Is On

『Harvest For The World』(1976年)
ハーヴェスト・フォー・ザ・ワールド

『Go For Your Guns』(1977年)
Go for Your Guns

『Winner Takes All』(1979年)
Winner Takes All

『Between The Sheets』(1983年)
Between the Sheets

『Baby Makin' Music』(2006年)
Baby Makin' Music
posted by ez at 14:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする