発表年:1979年
ez的ジャンル:盲目のピアニスト系ブラジリアン・フュージョン/クロスオーヴァー
気分は... :そこに見える世界は・・・
今回はブラジル音楽ファンにはお馴染みの盲目のピアニストManfredo Festが1979年にリリースした『Manifestations』です。フロア仕様のブラジリアン・フュージョン・クラシックとして人気の1枚です。
Manfredo Fest(1936-1999年)はブラジル南部ポルト・アレグレ出身。ピアニストであった父の影響でクラシック・ピアノを学んだ後、サンパウロへ進出し、ミュージシャンとして活動するようになります。
1963年にデビュー・アルバム『Bossa Nova, Nova Bossa』をリリース。その後、ソロやManfredo Fest Trio名義でボッサ・ジャズ作品をリリースしています。
60年代後半にはSergio Mendesに誘われてアメリカに渡ります。そして、Sergio MendesがプロデュースするSergio Mendes & Brasil '66の弟分グループBossa Rioを結成しています。
その後、ソロとして70年代に『After Hours』(1972年)、『Brazilian Dorian Dreams』(1976年)、『Manifestations』(1979年)という3枚のアルバムをリリースしています。
晩年はフロリダで過ごしながら、コンスタントにアルバムをリリースしていました。
当ブログで紹介済みのBossa Rioでの活動や、60年代のボッサ・ジャズ作品も魅力ですが、やはり70年代の『After Hours』、『Brazilian Dorian Dreams』、『Manifestations』という3枚のアルバムが強力ですよね。
今回、『Brazilian Dorian Dreams』(1976年)と本作『Manifestations』のどちらをセレクトするか迷いましたが、何となくこのジャケを掲載したくなったので『Manifestations』にしました。
今日紹介する『Manifestations』(1979年)はジャケのイメージそのままのブラジリアン・フュージョン/クロスオーヴァー作品に仕上がっています。しかもリリース元は80年代ブラコンのイメージが強いTabuから・・・意外ですね。
Jerry Petersがプロデュースを手掛け、レコーディングにはManfredo Fest(syn、key)以下、Jerry Peters(key)、Lee Ritenour(g)、Jay Graydon(g)、Abraham Laboriel(b)、Victor Feldman(per)、Jerry Hey(tp)をはじめとするUS西海岸系ミュージシャンやOscar Castro-Neves(g)、Claudio Slon(ds)、Laudir De Oliveira(per)といったセルメン作品等でお馴染みのブラジル人ミュージシャン等が参加しています。
DJに人気のキラー・チューン「Jungle Kitten」やシャバダバ女性スキャットが魅力の「Who Needs It」など全7曲捨て曲なしの充実作です。
昨日紹介したrestless soul Fun Band『Fun Lp』にも参加していたクロスオーヴァーの人気アーティストMark de Clive-Loweあたりがお好きの人が聴いても、かなり楽しめる1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Slaughter On Tenth Avenue」
Richard Rodgers作のバレエ曲。1936年のブロードウェイ・ミュージカル『On Your Toes』でも使われました。というよりもThe Venturs「10番街の殺人」と説明した方がわかりやすいかもしれませんね。でもThe Ventursのイメージとは全く異なるコズミックなクロスオーヴァー・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=Tm_PM91iMO0
「Jungle Kitten」
Manfredo Fest作。DJ方面から人気の本作のキラー・チューン。女性スキャット入りのアッパーなブラジリアン・フュージョンです。軽やかなエレピ、ギター、高速スキャットが一体化して爽快に疾走していく感じがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=T132--erIgo
「Koko And Leeroe」
Jerry Peters作。Gene Harris『Nexus』でも演奏されている楽曲。Mark de Clive-Loweも『Leaving this Planet EP』(2011年)でカヴァーしています。MdCLがカヴァーするのが頷ける鍵盤奏者好きであればグッとくるブラジリアン・フュージョンだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=kTDv4gSVFhE
「Arigo」
Manfredo Fest作。女性スキャット系ブラジリアン・グルーヴがお好きな人であれば、間違いなしの1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=SGtmdYInw8s
「Send In The Clowns」
Stephen Sondheim作。1973年のミュージカル『A Little Night Music』のために書かれたStephen Sondheim作品。僕の場合、Barbra Streisand『The Broadway Album』(1985年)でのBarbraの堂々とした歌いっぷりが印象深い楽曲です。また、Blossom Dearieのカヴァーも紹介済みです。スタンダード感とフュージョン・フレイヴァーが融合したビューティフルな仕上がり。この曲がこんな雰囲気になるとはある意味感動的です。
http://www.youtube.com/watch?v=N1QAmwlwg5Y
「Who Needs It」
Manfredo Fest作。ブラジリアン・グルーヴ好きの人であれば本曲も要チェックだと思います。シャバダバ系女性スキャットとブラジリアン・リズムが至極のクロスオーヴァー・ワールドへ誘ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=ILVQm2xVT3A
「Bach's Pelude And Fugue # 2」
Bach作。ラストはバッハ「前奏曲とフーガ 第2番」を何とディスコ・フュージョン調でカヴァーしています。クラシックの素養を持つManfredoらしいカヴァーかもしれませんね。
Manfredo Festの他作品もチェックを!
『Bossa Nova, Nova Bossa』(1963年)
Manfredo Fest Trio『Manfredo Fest Trio』(1965年)
Manfredo Fest Trio『Alma Brasileira』(1966年)
『After Hours』(1972年)
『Brazilian Dorian Dreams』(1976年)
『Braziliana』(1987年)
『Jungle Cat』(1989年)
『Comecar De Novo』(1995年)
『Fascinating Rhythm』(1996年)
『Amazonas』(1997年)
『Just Jobim』(1998年)