発表年:1972年
ez的ジャンル:メロウ&ファンキー系フォーキー・ソウル
気分は... :折れた翼を癒すとき・・・
The Isley Brothers『Brother, Brother, Brother』(1972年)の紹介です。
これまで当ブログで紹介したIsleys作品は以下の10枚(発表年順)。
『Givin' It Back』(1971年)
『The Isleys Live』(1973年)
『3+3』(1973年)
『Live It Up』(1974年)
『The Heat Is On』(1975年)
『Harvest For The World』(1976年)
『Go For Your Guns』(1977年)
『Winner Takes All』(1979年)
『Between The Sheets』(1983年)
『Baby Makin' Music』(2006年)
『3+3』(1973年)からO'Kelly Isley、Rudolph Isley、Roland Isleyのヴォーカル隊にErnie Isley、Marvin Isley、Chris Jasperの楽器隊3名が正式にメンバーに加わり「3+3」体制となるThe Isley Brothersですが、久々にそれ以前の3名時代の作品を紹介します。
本作『Brother, Brother, Brother』は、前作『Givin' It Back』(1971年)のフォーキー・ソウル路線を継承した内容のアルバムに仕上がってします。
ただし、『Givin' It Back』は全曲カヴァーでしたが、本作ではカヴァー4曲、オリジナル5曲ということで前作での成果をオリジナル曲に還元しています。また、カヴァーのうち3曲がCarole King作品というのがアルバム全体の色合いを大きく決定付けています。白人シンガー・ソングライターと黒人ニューソウルの表裏一体の関係がよく実感できます。
全体としてニューソウル的なメッセージや癒しが随所に感じられるアルバムに仕上がっているのが印象的ですね。
また、正式メンバーとはなっていなもののErnie Isley、Marvin Isley、Chris Jasperというヤング・メンバーの演奏面での貢献が顕著に感じられる作品となっており、『Givin' It Back』と比較して格段にサウンドが豊かになっています。
「3+3」体制での快進撃を予感させるメロウ&ファンキーなフォーキー・ソウル作品です。
全曲紹介しときやす。
「Brother, Brother」
Carole Kingのカヴァー1曲目。オリジナルは『Music』(1971年)に収録されています。エレピとパーカッションが織り成すグルーヴ感がとっても心地好いR&Bテイストのオリジナルも大好きですが、Isleysがカヴァーするとまるで自分たちのオリジナルのようにジャスト・フィットしていますね。
http://www.youtube.com/watch?v=jr1gAL-_65Q
Marvin Gaye「What's Going On」に触発されてCarole Kingが「Brother, Brother」を書き、それをさらにIsleysがカヴァーする・・・黒人アーティストと白人アーティストのメッセージのバトン・リレーは実に感動的です。
Carole King「Brother, Brother」
http://www.youtube.com/watch?v=hDWpnSWBxbE
Shad「Brother (Watching) 」、Illy「Brother」でサンプリングされています。
「Put a Little Love in Your Heart」
Randy Myers/Jackie DeShannon作。Jackie DeShannonの1968年のヒットをカヴァー。Isleysがカヴァーすると、この曲もニューソウルなメッセージ・ソングに聴こえてくるから不思議ですね。オルガンのファンキーな音色がいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=jlXMlC3D098
「Sweet Season/Keep On Walkin'」
Carole Kingのカヴァー2曲目(Carole King/Toni Stern作)とオリジナルのメドレー。「Sweet Season」のオリジナルは『Music』(1971年)に収録されています。はつらつとしたオリジナルも大好きですが、Isleysらしい濃さの加わった本ヴァージョンもグッド!続く「Keep On Walkin'」はファンキーなオルガン・グルーヴが格好良い仕上がりです。
「Work to Do」
The Isley Brothers作。アルバムからの3rdシングルとして全米R&Bチャート第11位となっています。フリーソウル人気曲としてもお馴染みですね。フォーキー&ファンキー・グルーヴとRonaldの熱唱にはパワーが漲っています。
http://www.youtube.com/watch?v=08tYrBCgXlU
Average White Band、The Main Ingredient等数多くのアーティストがカヴァーしています。また、Rick Ross feat. Yo Gotti「Gotti Family」等でサンプリングされています。
「Pop That Thang」
Herman Kelly/Clyde Otis/O'Kelly Isley/Ronald Isley/Rudolph Isley作。アルバムからの2ndシングルとして全米R&Bチャート第3位となっています。Ernie Isley、Marvin Isley、Chris Jasperらが生み出すファンキー・リズムとRonaldのセクシー・ヴォーカルが実にマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=qamI5UBryog
「Lay Away」
The Isley Brothers作。アルバムからの1stシングルとして全米R&Bチャート第6位となっています。「Brother, Brother」、「Pop That Thang」と並ぶ僕のお気に入り。コクのあるファンキー・リズムにグッときます。Ernieファンは彼のギターが炸裂する点も聴き逃せません。Honey Cone「Want Ads」とセットで聴くと楽しいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=bYQoN4WhG3w
Honey Cone「Want Ads」
http://www.youtube.com/watch?v=IkJGSnRB9RM
Lil Wayne「Receipt」、Lil B「My Receipt」のサンプリング・ソースにもなっています。
Lil Wayne「Receipt」
http://www.youtube.com/watch?v=FbZaSGfYb8E
「It's Too Late」
Carole Kingのカヴァー3曲目(Carole King/Toni Stern作)。オリジナルは『Tapestry』(1971年)に収録されています。この名曲を10分超の長尺カヴァーで演奏するというあたりに何かを感じます。Racionais MC's「Magico De Oz」のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=fdWZGKTpOBo
「Love Put Me on the Corner」
O'Kelly Isley/Ronald IsleyChris Jasper作。ラストも「It's Too Late」の流れを汲む美しいバラードで締め括ってくれます。Ronaldの歌声が胸の奥まで響き渡ります。
http://www.youtube.com/watch?v=FdBtVOE7fdY
Lord Jamar feat. Grand Puba「The Corner, The Streets」でサンプリングされています。
Lord Jamar feat. Grand Puba「The Corner, The Streets」
http://www.youtube.com/watch?v=Us96r_Z7efY
Isleysの過去記事もご参照下さい。
『Givin' It Back』(1971年)
『The Isleys Live』(1973年)
『3+3』(1973年)
『Live It Up』(1974年)
『The Heat Is On』(1975年)
『Harvest For The World』(1976年)
『Go For Your Guns』(1977年)
『Winner Takes All』(1979年)
『Between The Sheets』(1983年)
『Baby Makin' Music』(2006年)