発表年:2005年
ez的ジャンル:Dome系男性ソウル
気分は... :長らく愛聴できる名盤!
今回はシカゴ出身のソウル・シンガーDonald McCollumがUKの良質レーベルDomeからリリースしたデビュー作『U Don't Want My Love』(2005年)です。
シカゴ出身のDonald McCollumは、アメリカ空軍に入隊してドイツに駐屯していたという経歴の持ち主。除隊後そのままヨーロッパで音楽を活動を続け、Domeからアルバム・リリースの機会を得るに至りました。
当ブログの過去エントリーで一度だけDonald McCollumの名が登場したことがあります。それはSeductive Souls『Spirit』(2010年)です。
Seductive Soulsは、デンマーク人Frank RyleとのプロジェクトCool Millionでも知られるドイツ人プロデューサーRob Hardtによるモダン・ソウル・プロジェクトです。
そのアルバム『Spirit』(2010年)に収録された「Dazz (A Tom Moulton Mix) 」(Brick、1976年のヒット曲のカヴァー)、「Real Love」の2曲でDonald McCollumがフィーチャーされています。
Seductive Souls「Dazz (A Tom Moulton Mix) 」
http://www.youtube.com/watch?v=7lOTnNKD_vA
そして、本作『U Don't Want My Love』もそのRob Hardtがプロデュースしています(もう一人Harry Zierもプロデュースを手掛けています)。
その意味でCool MillionやSeductive Soulsが好きな方は、チェックしておきたい1枚だと思います。Rob Hardtならではの洗練されたサウンドを存分に楽しめるはずです。
主役のDonald McCollumのヴォーカルも"R&B"ではなく、しっかり"ソウル"しているのがいいですね。熱唱で聴かせるようなタイプではありませんが、随所で彼のソウル魂を感じることができます。
USソウル・シンガーDonald McCollumのソウル魂が、敏腕ドイツ人プロデューサーRob Hardtの生み出す洗練されたサウンドと結び付き、それがUKの良質レーベルDomeからリリースされる、という図式からイメージされる音がしっかり具現化されているのがいいですね。70〜80年代ソウルのエッセンスを2005年らしい感覚に昇華させて聴かせてくれるところが気に入っています。
とりあえず、「Lose My Kool」、「U Don't Want My Love」、「Be Thankful For What You Got」、「You're My Everything」、「Just Be True」あたりを聴いてもらうと、本作の魅力が実感できると思います。
全曲充実!捨て曲ナシ、聴けば聴くほどクセになる1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Lose My Kool」
洗練されたアーバン・メロウ・ソウルでアルバムは幕を開けます。このオープニングを聴けば、本作がDome印の当たりアルバムであると確信できるはずです。
http://www.youtube.com/watch?v=5J855zI_r_o
「Creep」
曲調はレトロ・ソウル風ですが、野暮ったくなくスマートに聴かせてくれるのが本作らしいですね。
「U Don't Want My Love」
先行シングルにもなったタイトル曲。僕もやはりこの曲が一番好きですね。この軽やかでアーバンな感覚はCool MillionやSeductive Soulsにも通じるRob Hardtらしいサウンドですね。
http://www.youtube.com/watch?v=BcLAQ9kJHNA
「Be Thankful For What You Got」
当ブログでも紹介したWilliam DeVaughnのソウル・クラシックをカヴァー。当ブログではMassive Attack、Fingazzのカヴァーも紹介済みです。ここではファルセットを交えて、UKソウル的な雰囲気の「Be Thankful For What You Got」を聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=tzB72kKQpSQ
「You're My Everything」
Rob Hardtらしい洗練されたサウンド・センスを堪能できるセクシー・グルーヴ。Domeらしいアーバン・ダンサーに仕上がっているのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=YkAjnNTqlFM
「Youre In My Arms Again」
Isaac Hayesのカヴァー。オリジナルは彼が主演し、サントラを手掛けた『Truck Turner』(1974年)に収録されています。Donald McCollumのソウル魂を感じる哀愁バラードに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=9QLl5LILBrU
「Love Will Come Along」
ジャジー・サウンドをバックに配したスロウ。オーセンティックな雰囲気のなかにも軽く一ひねりしている感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=4-iYoWC_1hw
「I Wanna Love You」
波音ともに始めるれラテン・フレイヴァーのリゾート感覚メロウ・グルーヴ。このあたりのクロスオーヴァー感覚も僕好みです。
「Waiting In Vain」
Bob Marley & The Wailersのカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Exodus』(1977年)に収録されています。『Exodus』のエントリーでも書きましたが、僕の最も好きなボブ・マーリー・ソングなので、このカヴァーもお気に入りです。レゲエ・ラブソングをDomeらしいソウル・チューンに仕上げています。
「Let's Groove」
Domeらしいクロスオーヴァー感覚の洗練されたダンサブル・チューン。軽快なギター・カッティングが心地好いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=gJssrbS2Mj0
「I Thought You Were The One」
曲自体はオーセンティックですが、実にスマートな雰囲気で聴かせてくれます。
「Just Be True」
ラストもRob Hardtの手腕が光るダンサブルなセクシー・ソウルを満喫できます。とにかくサウンド・センスが抜群ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=2jFv7MWMPHc
ボーナス・トラックとして「Let's Groove」のリミックス「Let's Groove (M-Swift Mix)」が収録されています。
未聴の方は前述の「Dazz (A Tom Moulton Mix) 」を収録したRob Hardtによるドイツ産モダン・ソウル作品Seductive Souls『Spirit』(2010年)もチェックしてみてください。
Seductive Souls『Spirit』(2010年)