2013年02月28日

Robert Glasper『Double Booked』

祝グラミー受賞!『Black Radio』への助走的作品!☆Robert Glasper『Double Booked』
Double Booked
発表年:2009年
ez的ジャンル:先鋭ジャズ・ピアニスト
気分は... :祝グラミー受賞!

今回は先日のグラミー賞でBest R&B Albumを受賞した先鋭ジャズ・ピアニストRobert Glasper『Double-Booked』(2009年)です。

Robert Glasperの紹介は、Robert Glasper Experiment名義の『Black Radio』(2012年)、そしてのリミックスEP『Black Radio Recovered: The Remix EP』に続き3回目となります。

先鋭ジャズ・ピアニストRobert Glasper(p)がCasey Benjamin(sax、fl、vo)、Chris Dave(ds)、Derrick Hodge(el-b)と結成したクロスーヴァー路線のユニットRobert Glasper Experiment初のフル・アルバム『Black Radio』のリリースは、ジャズ界のみならずR&B/Hip-Hopシーンにも大きなインパクトを与えました。それはR&B部門でのグラミー受賞が証明しています。

普段ジャズやクロスオーヴァーに見向きもしないR&B/Hip-Hopリスナーの方でも、R&B/Hip-Hop系アーティストの豪華ゲストに惹かれて購入していたのでは?

そんな歴史的名盤となった『Black Radio』の1つ前の作品となるのが今日紹介する『Double-Booked』(2009年)です。

Robert Glasper Experimen名義の初リリース作品は、Blue Noteの企画アルバム『Blue Note Street』(2007年)に収録されたWayne Shorter「Oriental Folk Song」のカヴァー「Oriental Folk Song Rework (Me N U)」となります。そして、Robert Glasper Experimen名義の演奏がまとまって聴くことができる最初の作品が本作『Double-Booked』です。

本作『Double-Booked』(2009年)では、全12曲中、前半6曲がRobert Glasper(p)、Vicente Archer(b)、Chris Dave(ds)によるRobert Glasper Trio名義でオーソドックスなピアノ・トリオでの演奏、後半6曲では前述のメンバーによるRobert Glasper Experiment名義でHip-Hop/R&B等のエッセンスを採り入れたクロスオーヴァーな演奏を行っています。

Experimentの演奏には、Mos DefBilalも参加しています。

ただし、Experiment名義の演奏も『Black Radio』の印象とは異なるものであり、まだまだ試行錯誤の状態といった感じです。逆に、その手探り感を楽しむのも面白いのでは?

演奏面では、Glasper本人のピアノ/エレピが素晴らしいのは当然ですが、Trio、Experiment両方の演奏に参加しているChris Daveのドラムの存在感が圧倒的です。Erykah Baduのバックバンド等R&B系ミュージシャンの印象が強い人ですが、Trioの演奏ではらしからぬジャズ的な演奏で魅了してくれます。言い過ぎかもしれませんが、Chris Daveの存在があってこそ『Black Radio』を制作することができたという気もします。

『Black Radio』と同じものを期待して聴くと肩透かしを喰うかもしれませんが、Robert Glasperという先鋭ジャズ・ピアニストを知るうえでは実に興味深い1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Intro」
アルバムのイントロ。

「No Worries」
Chris Dave、Vicente Archerが紹介され、美しく華麗に・・・適度にエキサイティングといった絶妙の塩梅のトリオ演奏に聴き入ってしまいます。

「Yes I'm Country (And That's OK)」
Glasperの美しいピアノを満喫しつつ、静かに疾走していく感じがいいですね。Chris Daveの疾走感を演出するドラムもいいですね。

「Downtime」
Glasperのピアノの美しい旋律に耳を傾けても、ついついChris Daveのドラムが気になっちゃいます(笑)

「59 South」
Glasperのピアノに対して変幻自在に対応するChris Daveのドラム・プレイが素晴らしいですね。Glasperがドラマーに彼を選んだのが納得できます。

「Think Of One」
Thelonious Monk作。Monkの演奏は『Monk』(1954年)で聴くことができます。GlasperのMonkへのリスペクトに溢れたピアノを満喫できます。クロスオーヴァーの側面のみならず、こうした演奏からも先鋭ジャズ・ピアニストとしての才能を実感できます。

ここまでがTrio名義です。そして、これ以降がExperiment名義のクロスオーヴァーな演奏となります。

「4eva」
Mos Defが参加していますが、Experimentパートのイントロといった雰囲気ですね。クレジットにはありませんが、声のパートは?uestloveらしいです。

「Butterfly」
Bennie Maupin/Herbie Hancock作。Hancockのオリジナルは当ブログでも紹介した『Thrust』(1974年)に収録されています。ここではCasey BenjaminのヴォコーダーとGlasperのエレピが印象的です。また、Chris DaveのドラムもTrio以上に激しくなっています。

「Festival」
「Butterfly」や本曲は『Black Radio』で聴かれたジャズとR&B/Hip-Hopの融合というよりも70年代ジャズ・ファンクへのオマージュといった色合いが強いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=bjS76L7Gvnw

「For You」
Casey Benjamin/Sameer Gupta作。Casey Benjaminのヴォコーダーをフィーチャーしたメロウな小曲。

「All Matter」
Bilalをフィーチャー。以前にも紹介したとおり、Glasperとネオ・ソウル・シンガーBilalは大学のクラスメイトでした。ただし、モロにネオ・ソウルのような楽曲ではなく、どちらかといえばジャズのエッセンスもかなり強い演奏となっています。Bilalヴァージョンは彼のアルバム『Airtight's Revenge』(2010年)に収録されています。

「Open Mind」
『Black Radio』にも参加していたJahi Sundance(ジャズ・サックス奏者Oliver Lakeの息子)がターンテーブルで参加しています。また、前曲に続きBilalが参加しています。本作で最も『Black Radio』を予感させる楽曲かもしれませんね。

Robert Glasperの他作品もチェックを!

『Mood』(2003年)
MOOD

『Canvas』(2005年)
Canvas

『In My Element』(2007年)
In My Element

『Black Radio』(2012年)
ブラック・レディオ

『Black Radio Recovered: The Remix EP』(2012年)
Black Radio Recovered: the Remix Ep
posted by ez at 03:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする