2013年03月31日

Dexter Story『Seasons』

Build An Ark、‎The Life Force Trioで活躍するマルチ奏者の初ソロ☆Dexter Story『Seasons』
Seasons
発表年:2013年
ez的ジャンル:Build An Ark系クロスオーヴァー・ジャズ
気分は... :楽園モードの感動が・・・

今回はBuild An Ark系のクロスオーヴァー作品Dexter Story『Seasons』です。

Dexter StoryCarlos Ninoを中心としたL.A.のミュージシャン集団Build An Arkや、Carlos Ninoとのジョイント・ユニットThe Life Force Trio等の活動で知られるプロデューサー/コンポーザー/マルチ奏者/シンガー。また、裏方として音楽レーベルのマーケティング・ディレクターなども手掛けるマルチな才能の持ち主。

僕の場合、Dwight Trible & ‎The Life Force Trio『Love Is the Answer』(2005年)なども愛聴していますが、正直Carlos Ninoの名前ばかり気になり、Dexter Storyの名をきちんとインプットできていませんでした。

本作『Seasons』は、Dexter Storyにとっての初ソロ・アルバムとなります。

Dexter Story本人とCarlos Ninoがプロデュースを務めています。

レコーディングには、Miguel Atwood-Ferguson(violin、viola)、Mark De Clive-Lowe(syn)、i_Ced(vo)、Gaby Hernandez(vo)、Jimetta Rose Smith(vo)、Erik Rico(vo、g)、Allakoi Peete(per)、Damon Aaron(CFO efx)、Surya Botofasina(p)、Derf Reklaw(bottle flute)、Alan Lightner(steel pan、marimba)、Dwight Trible(vo)、Waberi Jordan(vo)、Nichelle Monroe(vo)、Kamasi Washington(ts)、Seymour Liberty(vo)、Turn On The Sunlight(Carlos Nino、Jesse Peterson)(vo)、Jimetta Rose(vo)等Build An Ark周辺をはじめとする多彩なミュージシャンが参加しています。

Build An Ark系ミュージシャンらしく、さまざまな音楽のエッセンスを詰め込んだ壮大な音絵巻を聴いている気分になります。個人的にはスティール・パンの音色が目立つ曲が多いせいか、楽園モードのクロスオーヴァー作品といった印象を受けます。ピュアでヒューマン・タッチな愛に溢れた感じにグッときます。

殆どの曲がヴォーカル入りなので、その意味では案外聴きやすいかもしれません。オープニングの「Underway (Love Is...)」のキャッチーさで確認できると思います。

個々の楽曲というよりもアルバム全体の流れの素晴らしさ、美しさに感動する1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Underway (Love Is...)」
オープニングはアルバムを象徴するキャッチーなメロウ・ソウル風の仕上がり。よく言われるように、Ramsey Lewis『Sun Goddess』Earth, Wind & Fireの諸作を彷彿させます。Alan Lightnerのスティール・パンをはじめ、楽園のメロウ・ソウルといった雰囲気がたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=G1VHlNxhFVQ

「Suijin」
Erik Ricoをフィーチャーした小曲。

「Into The Hour」
I, Ced(Cedric Norah)をフィーチャー。近未来的な雰囲気の漂うクロスオーヴァー・ソウル。Erik Ricoのギター・ソロ、Mark De Clive-Loweのシンセ・ソロも印象的です。

「Bloop Drip」
トライバル&スピリチュアルなジャズ・チューン。Alan LightnerのマリンバやKamasi Washingtoのテナー・サックスも目立っています。

「God Sun」
Dwight Trible、Waberi Jordanをフィーチャー。Build An Arkあたりに通じる壮大なスケールを感じさせる仕上り。Miguel Atwood-Fergusonの素晴らしいストリングスを堪能できます。

「As Is」
冒頭のMark De Clive-Loweのシンセ・ソロがいい感じのスピリチュアル・ソウル・チューン。

「Gyre Song」
Dexter StoryとMiguel Atwood-Fergusonの共演によるアブストラクトな仕上がりのインスト。不思議な音空間に惹き込まれます。

「Paddle Boat (Interlude)」
ドリーミーなインタールード。

「Water Bearer」
楽園的ビューティフル感が魅力の仕上り。スティール・パンやハープの音色が感動的な音空間を演出します。

「Underneath It All」
アコースティックなメロウネスにグッとくる仕上がり。ヒューマン・タッチでピュアな雰囲気がたまりません。「Water Bearer」からの流れは実に感動的です。

「Love Force Trio, Pt. 1」
タイトルの通り、愛に溢れた仕上がり。ここでもAlan Lightnerのスティール・パンが印象的です。

「Seasons (Make The Most)」
マーチ風のリズムにのったポップ&ドリーミーな仕上がり。童心に戻れそうな雰囲気です。

「Spring」
美しいアコースティック・チューン。春の訪れがすぐ目の前まで迫ってきているような気分を味わえます。

「Underway (Love Is,,,) Reprise」
ラストはJimetta Roseをフィーチャーした「Underway (Love Is...)」のリプライズ。

ご興味がある方はThe Life Force Trioのアルバムあたりもチェックすると楽しいのでは?

Dwight Trible & ‎The Life Force Trio『Love Is the Answer』(2005年)
Love Is the Answer [2CD] (ZENCD108)

The Life Force Trio『Living Room』(2006年)
Living Room
posted by ez at 00:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月30日

Brooklyn Dreams『Sleepless Nights』

Donna Summer「Heaven Knows」の共演で知られるブルー・アイド・ソウル・グループの2nd☆Brooklyn Dreams『Sleepless Nights』
スリープレス・ナイト
発表年:1979年
ez的ジャンル:ブルー・アイド・ソウル系メロウ・ディスコ/AOR
気分は... :昨日は最悪の1日だった...

昨日は1日のうちに腹が立つことがいくつも重なった最悪の1日でした。さすがに4つ目、5つ目の出来事の頃には、あまりの巡り合わせの悪さに怒りを通り越して笑ってしまいましたが・・・

そのせいで心身共に疲れて、帰宅後はぐったり・・・すっかり寝坊状態です。

今回はN.Y.ブルックリン出身のブルー・アイド・ソウル・グループBrooklyn Dreamsの2ndアルバム『Sleepless Nights』(1979年)です。

Brooklyn Dreamsは、Joe Esposito(g、vo)、Bruce Sudano(key、vo)、Eddie Hokenson(ds、vo)によるトリオ。イタリア系アメリカ人の3人は共に1948年ブルックリン生まれの幼馴染みです。

若い頃に地元でコーラス・グループを組んでいた3名が再び集結し、結成したのがBrooklyn Dreamsであり、制作したデモ・テープがCasablanca Records系列のレコード会社に気に入られ、見事レコーディング契約に成功しました。

こうして制作された1stアルバムが『Brooklyn Dreams』(1977年)です。同作にはCasablancaの人気シンガーで後のディスコ・クイーンDonna Summerもゲスト参加していました。ちなみにグループは彼女のアルバム『Remember Yesterday』(1977年)にバック・コーラスで参加しています。

1979年には、Donna Summerとの共演というかたちでリリースしたシングル「Heaven Knows」が、全米チャート第4位の大ヒットとなり、一躍彼らの名が知れ渡るようになりました。この勢いに乗って制作された2ndアルバムが本作『Sleepless Nights』(1979年)です。

さらにグループはDonna Summerの代表曲の1つである大ヒット・ディスコ・クラシック「Bad Girls」をDonna Summer本人と共作しています。さらにDonnaのツアーのオープニング・アクトも務めました。メンバーBruce Sudanoは後にDonna Summerと結婚しています。

グループの方は『Sleepless Nights』に続き、3rdアルバム『Joy Ride』(1979年)、4thアルバム『Won't Let Go』(1980年)をリリースしています。

「Heaven Knows」「Bad Girls」のせいで"ディスコ"のイメージが強いグループかもしれませんが、ブルー・アイド・ソウル・グループとしてのメロウな味わいも魅力です。

そんなグループのメロウな魅力を最も楽しめるアルバムが本作『Sleepless Nights』(1979年)かもしれません。その意味でAORファンからの評価も高い作品です。

Donna Summer作品のアレンジも手掛けていたBob Estyがプロデュース/アレンジを担当しています。

レコーディングには、Donna Summer(vo)をはじめ、Lee Ritenour(g)、Jay Graydon(g)、Chuck Rainey(b)、David Hungate(b)、Ed Greene(ds)、Brenda Russell(back vo)、Lew Soloff(tp)、Jerry Hey(tp)、Chuck Findley(tp)、Bill Reichenbach(tb)、Michael Brecker(ts)、Victor Feldman(vib)等が参加しています。

1枚でブルー・アイド・ソウル/AORとディスコ・サウンドを堪能できる点でなかなか楽しいアルバムです。

全曲紹介しときやす。

「Make It Last」
Joe Esposito/Bruce Sudano作。僕の一番のお気に入り。AOR好きも虜にするであろう人気メロウ・チューンです。シングル・リリースもされた楽曲です。後期Doobie Brothers風のコーラス・ワークが気に入っています。Lee Ritenourのギターもいい感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=gzi0yAowAjQ

「That's Not The Way That Your Mama Taught You To Be」
Joe Esposito/Bruce Sudano/Eddie Hokenson作。この曲はモロにディスコティークな仕上がり。「Heaven Knows」が大ヒットしたため、このタイプの楽曲を入れざるを得なかったのでしょう。まぁ、これはこれで楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=PVmao8vO6VI

「Sleepless Nights/Send A Dream」
Joe Esposito/Bruce Sudano作。グループの魅力がよく伝わってくるメロウ・ディスコ・チューン。ブルー・アイド・ソウル・グループとしての魅力とメロウ・ディスコ的なサウンドがよく馴染んでいます。
http://www.youtube.com/watch?v=Mu_nwjaoEmE

「Fashion For Me」
Bruce Sudano/Denise Duncan作。しっとりと美しいバラード。AORファンはこういうのもグッとくるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=0A0znXQlNe4

「First Love」
Joe Esposito/Bruce Sudano/Eddie Hokenson/Linda Steihl作。疑似ライブ風のR&Bチューン。彼らの音楽ルーツを確認できる仕上りです。
http://www.youtube.com/watch?v=6uJeLkQeMoo

「Street Man」
Joe Esposito/Bruce Sudano/Eddie Hokenson作。ガラージ・クラシックでもある本曲も本作のハイライトの1つ。大音量で聴くのが似合いそうなフロア向けのダンス・サウンドです。
http://www.youtube.com/watch?v=eo4F4teNn0Q

「Touching In The Dark」
Joe Esposito/Bruce Sudano作。ソフト&メロウな味わいを求めている人にとっては目玉曲かもしれませんね。何ともいえない込み上げ感にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=RCjBJUJrhwI

「Long Distance」
Joe Esposito/Bruce Sudano作。AOR好き向けのサンセット・モードなメロウ・チューン。ギターはLee Ritenourです。
http://www.youtube.com/watch?v=ZHJfHeCeA5Y

「Coming Up The Hard Way」
Joe Esposito/Bruce Sudano/Eddie Hokenson/Assunta(Susan A. Munao)作。Brenda Russellをはじめ、多数のバック・コーラス・シンガー達とホーン隊が活躍するが参加したディスコ調のパーティー・チューン。この曲も大音量で聴きたいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=XxcJ_0RWLKw

「Heaven Knows」
Donna Summer/Giorgio Moroder/Pete Bellotte作。ラストは前述の大ヒットのBrooklyn Dreamsヴァージョン。Donnaヴァージョンとはヴォーカル・パートが逆となり、Joe EspositoがリードをとりDonnaがカウンター・パートを歌っています。Donnaヴァージョンと聴き比べるのも楽しいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=LTW5OuCJwnw

Donna Summer with Brooklyn Dreams「Heaven Knows」
http://www.youtube.com/watch?v=xTaydm8wGR0

ご興味がある方は1stアルバム『Brooklyn Dreams』(1977年)もチェックを!

『Brooklyn Dreams』(1977年)
Brooklyn Dreams
posted by ez at 13:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月28日

Maria Joao Quintet『Conversa』

ポルトガル出身の翔んでる女性シンガーの代表作☆Maria Joao Quintet『Conversa』
Conversa
発表年:1986年
ez的ジャンル:ポルトガル人女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :エキセントリックなヴォーカルの虜に...

今回はポルトガル出身の女性ジャズ・シンガーMaria Joaoが、Maria Joao Quintetとしてリリースしたアルバム『Conversa』(1986年)です。

Maria Joaoは1956年ポルトガル、リスボン生まれの女性シンガー。

Maria Joao Quintet名義で『Maria Joao Quintet』(1983年)、『Cem Caminhos』(1985年)、『Conversa』(1986年)といったアルバムをリリースしているのをはじめ、ソロ・アルバムやポルトガル人ピアニストMario Laginhaとの共演アルバム、その他アーティストとの共演アルバムをコンスタントにリリースしています。

当ブログでポルトガル人アーティストの作品を紹介するのは初めてですね。

僕の場合、ポルトガル音楽といえばファド(Fado)のイメージが強いですね。90年前後のワールド・ミュージック・ブームの際、ファドを知りましたがCDを購入し、聴き込むまでには至りませんでした。それ以来ポルトガル人アーティストを意識する機会はあまりなかったかもしれません。

その意味で、今日紹介するMaria Joaoような素晴らしい女性シンガーに遅ればせながら出会えたことは嬉しい限りです。

歌声や諸作品のジャケ写真から想像するに、"永遠のチャーミングさ"を持った翔んでる女性シンガーという印象を受けます。"ポルトガルの矢野顕子"と評したレビューもいくつか拝見しましたが、確かにそんな雰囲気かもしれません。

今回紹介する『Conversa』(1986年)はドイツのジャズレーベルNABELからリリースされた作品であり、本作用にレコーディング・メンバーを人選した模様です。

集められたメンバーはMaria Joao(vo)以下、Martin Fredebeul(as、ss、cla、fl)、Peter Walter(p、marimba、tamb)、Carlos Bica(b)、Peter Groning(ds)、Michael Kuttner(per)という編成です。

全体としてライブ・アルバムのような臨場感があるのが魅力です。何より主役のMariaのヴォーカルが実にヴィヴィッドなのがいいですね。また、ブラジリアン・フレイヴァーの演奏が多いのも本作が再評価されている要因でしょうね。

Maria Joaoのエキセントリックなヴォーカルはとにかくインパクト大です。最初は戸惑う人も繰り返し聴いているうちに、きっと虜になるはず!

全曲紹介しときやす。

「O Ronco Da Cuica/Lush Life」
Joao Bosco作の「O Ronco Da Cuica」、Billy Strayhorn作の「Lush Life」のメドレー。15分超の大作です。前半の「O Ronco Da Cuica」はスピリチュアルなエッセンスも入ったアフロ・サンバ・テイストの演奏を楽しめます。Mariaのエキセントリックなスキャットにもグッときます。続くジャズ・スタンダード「Lush Life」では一転し、しっとりとした演奏をバックに"ポルトガルの矢野顕子"的なヴォーカルを満喫できます。

「Them There Eyes」
Doris Tauber/Maceo Pinkard/William Tracey作のスタンダード。イントロはファンク調ですが、本編はスピーディーなスウィンギー〜ビ・バップ・チューンです。Mariaの軽快なヴォーカルもお見事!

「Closed System」
Peter Walter作。Mariaのキュートなスキャットが駆け巡るブラジリアン・フュージョン。ブラジリアン・フュージョン好きであれば気に入るはず!
http://www.youtube.com/watch?v=4UL3LgpZweE

「Se Eu Quiser Falar Com Deus」
Gilberto Gil作。Elis Reginaもカヴァーしていた曲ですね。Gilberto Gil自身のヴァージョンは『Luar (A Gente Precisa Ver o Luar)』(1981年)で聴くことができます。前半はCarlos Bicaのベースの素晴らしい弓さばきに魅了されます。中盤になってようやくMariaのヴォーカルが加わり、美しいジャズ・バラードを聴かせてくれます。

「A Uma Escrava Que Lhe Ocultou O Sol」
Al-Mu Tamid/Janita Salome作。中世の詩人Al-Mu Tamidの詩にポルトガル人SSW、Janita Salomeが曲をつけたもの。アラブあたりのエスニックな香りが漂うワールド・ミュージック的な仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=pbFWP5PXxfE

「Conversa」
Jose Peixoto作。ラストなミステリアスな雰囲気です。彼女の自由なヴォーカルにミステリアスな演奏がよくマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=lx7NwMH_YOQ

ご興味のある方はMaria Joao & Mario Laginhaのアルバムもチェックしてみては?

Maria Joao & Mario Laginha『Cor』(1998年)
Cor

Maria Joao & Mario Laginha『Lobos, Raposas E Coiotes』(1999年)
Lobos, Raposas E Coiotes

Maria Joao & Mario Laginha『Chorinho Feliz』(2000年)
Chorinho Feliz

Maria Joao & Mario Laginha『Undercovers』(2002年)
Undercovers

Maria Joao & Mario Laginha『Tralha』(2004年)
Tralha

Maria Joao & Mario Laginha『Chocolate』(2008年)
Chocolate

Maria Joao & Mario Laginha『Iridescente』(2012年)
Iridescente
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2013年03月27日

Bugz In The Attic『Back In The Doghouse』

ウエスト・ロンドンの金字塔的な1枚☆Bugz In The Attic『Back In The Doghouse』
Back in the Doghouse
発表年:2006年
ez的ジャンル:ウエスト・ロンドン系ブロークン・ビーツ/フューチャー・ソウル
気分は... :まだまだ甘い...

注目のW杯アジア最終予選「ヨルダン対日本」は引き分け以上でW杯切符を手に入れることができたにも関わらず、敵地で敗れ、吉報は先送りに・・・

こういうことは一番言いたくありませんでしたが、やはり本田、長友の不在は痛かった・・・ということになるのでしょうね。まぁ、本大会のことを考えれば、この位の試練を乗り越える方がチームの成長につながると前向きに考えたいものです。

今回はウエスト・ロンドンのブロークン・ビーツ・シーンを牽引するプロデューサー・クルーBugz In The Atticのアルバム『Back In The Doghouse』(2006年)です。

数日前に紹介したKhari Simmons『Sun Flower』(2013年)にBugz In The AtticのメンバーDaz-I-Kueのリミックスが収録されていたので、彼らのアルバムを取り上げたくなりました。

Bugz In The Atticは、Orin "Afronaught" WaltersPaul "Seiji" DolbyKaidi TathamDaz-I-KueAlex PhountziCliff ScottMark ForceMatt Lordからなるプロデューサー・クルー。グループ自身の作品のみならず、数々のリミックス・ワークスでも知られています。

また、メンバーはさまざまなユニットにも関与しています。当ブログで紹介したものでいえば、Orin WaltersKaidi TathamAlex PhountziによるユニットNeon Phusionや、4HeroDegoKaidi Tathamのユニット2000Blackがあります。

ウエスト・ロンドンやブロークン・ビーツの代名詞的な存在のBugz In The Atticですが、意外にもオリジナル・フル・アルバムは本作『Back In The Doghouse』(2006年)のみです。

どうしてもブロークン・ビーツの印象が強いですが、本作『Back In The Doghouse』は、より幅広い彼らの音楽性に触れることができます。特に西ロンドンの歌姫Bembe Segueをはじめ、Yolanda QuarteySharlene HectorVanessa FreemanDon Ricardo等の多彩なヴォーカリストをフィーチャーしているため、フューチャー・ソウルの色合いも強くなっていると思います。

フューチャリスティックなクラブ・ミュージックとソウル、ファンク、ジャズ等を融合させ、さらにアフリカ、ブラジルといったトライバルなエッセンスを巧みに取り入れています。

特に昨日Oneness Of Juju『African Rhythms』をエントリーしたせいで脳内の一部にアフロ・モードが残っており、それとリンクするようなリズムを聴くとアドレナリンが出まくります!

何度聴いても聴き飽きない濃密な16曲はウエスト・ロンドンの金字塔的な1枚と呼べるのではないかと思います。

全曲紹介しときやす。

「Intro」
アルバムのイントロはハウシーな感じで・・・。

「Move Aside」
Bembe SegueとTorをフィーチャー。シングルにもなりました。歌姫Bembe Segueのヴォーカルに女性ラッパーのTorが絡む様はR&Bファンあたりにも訴求するフューチャー・ソウルに仕上がっていると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=sXUztMEUHGA

「I'm Gonna Letcha」
「Move Aside」からつながっている本曲もBembe SegueをフィーチャーしたR&B調の仕上がり。妖しげなムードが漂います。

「No More」
Michelle Escofferyをフィーチャー。ピコピコなエレクトロ・サウンドが印象的です。

「Once Twice」
1998年のシングルのリメイク。ドリーミー&ダンス・チューン。もっと長尺で聴いていたいですね。ちなみにヴォーカルで参加のAlex Lattimoreは前述のKhari Simmonsが率いていたJivaのメンバーです。
http://www.youtube.com/watch?v=svM9mqLxTkY

「Redhanded」
Bembe SegueとDon Ricardoをフィーチャー。フューチャリスティックな疾走感が心地好い僕好みの仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=THkoni7PByY

「Doghouse (Interlude)」
アフロ・モードのインタールード。

「Knocks Me Off My Feet」
Bembe SegueとYolanda Quarteyをフィーチャー。僕好みのトライバルなエッセンスの効いたフューチャー・ソウルに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=ZdZkeLO211s

「Consequences」
80年代ソウルへのリスペクトが感じれるメロウ・ダンサー。Bembe Segueがキュートなヴォーカルが栄えます。西ロンドンやブロークン・ビーツに全く興味がないソウル・ファンの方もグッとくるはず!
http://www.youtube.com/watch?v=sBCiqmy9NqY

「It Don't Work Like That」
Vulaをフィーチャー。すっきりライト感覚の仕上がり。パンチはありませんが、個人的にはこういうのも大好き!

「Sounds Like」
シングルにもなった曲。強力なビートで一気に駆け抜けます。やはり、この位リズムにインパクトがないと彼ららしくないかもしれませんね。

「Happy Days」
Yolanda Quarteyをフィーチャーしたブロークン・ビーツ。やはり本作を購入したこういった王道ブロークン・ビーツを期待しているのでは?Degoも制作に関与しています。
http://www.youtube.com/watch?v=V2To0qctSUw

「Don't Stop The Music」
Yarbrough & Peoplesによるディスコ・クラシックをカヴァー。Sharlene Hectorをフィーチャーし、Mark De Clive-Loweがキーボード&シンセで、Colonel Red、IG Cultureがバック・コーラスで参加しています。80年代ブギー・ソウルと2006年のウエスト・ロンドンのクラブ・ミュージックを見事に融合させていると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=Os50D0uH8LM

「Inna Row」
高速で駆け抜けるフロア・キラーなブロークン・ビーツ。ブラジリアン・フレイヴァーが効いているのも僕好み。ヴォーカルにはVanessa Freemanも参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=4uQrIKqNxl0

「Worla Hurt」
壮大なストリングスと共に始まるフューチャー・ソウル。Don Ricardoをフィーチャー。トライバルなリズムとソウルフルなヴォーカルの組み合わせがなかなかグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=HXL9xYcdo5Q

「Booty La La」
2004年の大ヒット・トラック。M'phoのヴォーカルをフィーチャーした彼らを代表する1曲。妖しげな♪ラ・ラ・ラ・ラ・ララララ〜♪をフレーズを聴くとテンション上がります!
http://www.youtube.com/watch?v=JZzN2p2KoQg

ご興味がある方は彼らのリミックス集もチェックを!

『Got the Bug: Bugz in the Attic Remixes』(2004年)
Got the Bug: Bugz in the Attic Remixes

『Got The Bug 2 Remixes Collection』(2009年)
Got The Bug 2 Remixes Collection
posted by ez at 04:04| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月26日

Oneness Of Juju『African Rhythms』

レア・グルーヴの人気盤!大地の鼓動を聴け!☆Oneness Of Juju『African Rhythms』
アフリカン・リズムス
発表年:1975年
ez的ジャンル:アフロ・ファンク/スピリチュアル・ブラック・ジャズ
気分は... :W杯決定なるか!

いよいよサッカーW杯アジア最終予選「ヨルダン対日本」戦ですね。
現状を踏まえれば、予選通過は間違いないでしょうから、いいかたちで出場権を獲得して欲しいですね。本田不在の中で何とか香川に結果を出してもらい、真のエースとなって欲しいですね。

今回はレア・グルーヴ名盤Oneness Of Juju『African Rhythms』(1975年)です。

Oneness of Jujuは、ヴァージニア州リッチモンド出身のサックス奏者でリーダーのPlunky Branch(Plunky Nkabinde、James Branch)を中心としたアフロ・ファンク・グループ。

サンフランシスコで結成された前衛バンドJujuがその前身であり、Strata-EastからJuju名義で『A Message From Mozambique』(1973年)、『Chapter 2 Nia』(1974年)という2枚のアルバムをリリースしています。

その後、女性ヴォーカリストJackie Lewis(Lady Eka-Ete)、Plunkyの弟でベーシストのMuzi Branchを迎え、バンド名もOneness of Jujuに改めた彼らは、レア・グルーヴ史に名を刻む『African Rhythms』(1975年)、『Space Jungle Luv』(1976年)といったアルバムをリリースすることになります。

80年代以降もPlunky & the Oneness of JujuPlunky & Onenessといった名義でグループは活動を続けました。

近年再び盛り上がりを見せるアフロ・ジャズ/アフロ・ファンクですが、本作『African Rhythms』(1975年)や次作『Space Jungle Luv』(1976年)はそうした現行アフロ・ジャズ/アフロ・ファンクのプロトタイプ的な1枚ですね。

特に本作『African Rhythms』はタイトル、ジャケも含めてアフロ・ジャズ/アフロ・ファンクを象徴する1枚ですね。

大地の鼓動が響き渡るアフリカン・リズム、うねるファンク・サウンド、崇高なスピリチュアル・ジャズ、ニューソウルのようなヴォーカルが相俟った圧倒的なジャズ・ファンク・サウンドに魅了されます。しかも、それほど難解ではないのがいですね。また、ヴォーカル曲における紅一点Eka-Eteの存在感も抜群です。

レア・グルーヴ、ジャズ・アルバムとしても楽しめます。
ジャケが気になった方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「African Rhythms」
タイトル曲は本作のハイライト。タイトルの通り、PlunkyのサックスとEka-Eteのヴォーカルをはじめ、アフリカの鼓動が伝わってくる濃密なスピリチュアル・ブラック・ジャズです。
http://www.youtube.com/watch?v=Gz_rJb7mrEY

J Dilla「African Rhythms」、Quasimoto「Return Of The Loop Digga」等のサンプリング・ソースになっています。

「Kazi」
アフロ・スピリチュアルへアプローチしたエレクトリック・マイルスといった趣の仕上り。暗黒のグルーヴ感がクセになります。

「Funky Wood」
エスニック色を前面に出したインタールード的な小曲。

「Tarishi」
ドラム・ブレイクが格好良いジャズ・ファンク・チューン。ジャズ好きの人はなかなかグッとくる演奏なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=GWweuAX0GtE

「Mashariki」
崇高なヴォーカル&ピアノの音色にグッとくる美しいスピリチュアル・ジャズ。
http://www.youtube.com/watch?v=L4FR95dimTs

「Chants」
アフリカン・リズムを満喫できる小曲。

「Don't Give Up」
個人的には一番のお気に入り曲。ブラック・ムーヴィーのサントラにマッチしそうな疾走するジャズ・ファンク・グルーヴ。パーカッシヴなリズムをバックに、ソウルフルなEka-Eteのヴォーカルが響き渡ります。Plunkyのサックスも絶好調!
https://www.youtube.com/watch?v=-LfTHF4GZuA

「Incognito」
美しくも神秘的なスピリチュアル・ジャズ。Plunkyのサックスが咽び泣いています。KRS-One feat. Busta Rhymes「Build Ya Skillz」、Big Pun「My Turn」でサンプリングされています。
http://www.youtube.com/watch?v=oe3mmy9CtJA

「Poo Too」
冒頭のドラム・ブレイクだけでもグッとくるアフロ・ファンク。現行アフロ・ファンク好きの人であれば必ず気に入るはず!
http://www.youtube.com/watch?v=U7As-xuG0zs

Pep Love & Jay-Biz「The Blues」でサンプリングされています。
Pep Love & Jay-Biz「The Blues」
 http://www.youtube.com/watch?v=uK400GiOJac

「Liberation Dues」
ラストはアフリカ回帰色を前面に押し出したヴォーカル入りのメッセージ・ソング。

僕の保有する最新の再発CDには「Don't Give Up (45 Version)」「F#」「Got To Be Right On It (45 Version)」「Nooky」「Plastic (45 Version)」の5曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。このボーナス・トラックもなかなか充実しています。

「F#」
http://www.youtube.com/watch?v=VnMO9ShpaZE
「Plastic (45 Version)」
http://www.youtube.com/watch?v=EUm41J5CZvI

ご興味がある方はOneness of Juju関連の他作品もチェックを!特に『Space Jungle Luv』(1976年)は本作とセットでゲットしたい1枚です。

Oneness of Juju『Space Jungle Luv』(1976年)
スペース・ジャングル・ラヴ

Oneness of Juju『Bush Brothers & Space Rangers』(1977年)
ブッシュ・ブラザーズ・アンド・スペース・レンジャーズ

Juju『Chapter 2 Nia』(1974年)
Chapter Two:Nia
posted by ez at 17:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする