発表年:1964年
ez的ジャンル:ジャズ・サンバ系ピアノ・トリオ
気分は... :10代とは思えないこのセンス!
今回はAntonio Adolfoによるジャズ・サンバ・トリオTrio 3Dのアルバム『Tema 3D』(1964年)です。
本当はMilton Banana Trio『Balancando』(1966年)を取り上げようと思ったのですが、Amazonでの取扱いがなかったので見送ることにしました。
ブラジル人ピアニスト/コンポーザー/アレンジャーのAntonio Adolfoの紹介は、ブラジリアン・ソフトロック・グループAntonio Adolfo & A Brazucaの『Antonio Adolfo E A Brazuca』(1969年)、『Antonio Adolfo E A Brazuca』(1971年)に続き3回目となります。
Trio 3Dは、17歳でプロ・ミュージシャンとなったAntonio Adolfが率いたジャズ・サンバ・トリオ。Trio 3D名義では『Tema 3D』(1964年) 、『Convida』(1965年) という2枚のアルバムをリリースしています。さらにConjunto 3D名義のアルバム『Muito Na Onda』(1967年)もリリースしています。
このように、Antonio Adolfoの初リーダー作が本作『Tema 3D』(1964年) となります。
メンバーはAntonio Adolfo(p)、Catcho Pomar(b、vo)、Nelson Serra De Castro(ds)の3名。それ以外にDom Um Romao(ds)、Claudio Roditi(tp)、Arisio Rabin(g)が参加しています。
ピアノ・トリオによる小粋なジャズ・サンバがお好きな人であれば間違いない1枚ですね。何より10代とは思えないAdolfoの早熟ぶりに驚かされます。
ブラジル音楽をお聴きの方であればお馴染みの名曲が数多く収録されていますが、その分Adolfo率いるこのピアノ・トリオの小粋なセンスがより実感しやすいのでは?と思います。
全曲紹介しときやす。
「Consolacao」
Vinicius de Moraes/Baden Powell作の名曲。エレガントに躍動するAdolfoのピアノにグッとくるジャズ・サンバ・チューンはいきなりアルバムのハイライトかもしれませんね。この曲自体大好きなのでかなりグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=8pyCpB81WN8
「Consolacao」については、当ブログではTamba 4、Tenorio Jr.、Celso Fonseca、A Bossa Eletrica、Agustin Pereyra Lucena、Sambalanco Trio、Sirius B、Nara Leaoのカヴァーを紹介済みです。個人的にはA Bossa Eletricaのヴァージョンを聴く頻度が最も高いです(笑)。ご興味がある方はチェックを!
「Clouds」
Mauricio Einhorn/Durval Ferreira作。Adolfoの10代とは思えない小粋で美しいピアノを満喫できるボッサ・チューン。Claudio Roditiのロマンティックなトランペット・ソロが盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Yc3QvyPvfsI
「Ceu e Mar」
Johnny Alf作。当ブログではJoyce & Johnny Alf、O Quartetoのヴァージョンを紹介済みです。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。このトリオの完成度の高さを満喫できる1曲に仕上がっているのでは?軽快に疾走する中にもAdolfoのセンスを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=TjC7s5lU0BU
「O Amor em Paz」
Vinícius de Moraes/Antonio Carlos Jobim作。当ブログではWanda Sa(Wanda De Sah)のカヴァーを紹介済みです。Catchoのヴォーカルをフィーチャーしたサウダージなボッサ・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=Z5GbicHFVb4
「Samba do Som」
Oscar Castro Neves作。開放感のなかにも小粋なセンスを感じるジャズ・サンバ。ピアノ・トリオらしいジャズ・サンバを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=KT2uf-1RnEU
「Garota de Ipanema」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作の名曲「イパネマの娘」をカヴァー。ワルツ調で入るあたりが心憎いカヴァーに仕上がっています。Arisio Rabinのギターも加わり、品格がありながらもエキサイティングな「イパネマの娘」を聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=QzDVkBwh0P8
「Garota de Ipanema(The Girl from Ipanema)」について、当ブログではTamba Trio、Agustin Pereyra Lucena、Diane Denoir/Eduardo Mateo、Roberto Menescal、Bossacucanova & Roberto Menescal、Sheila Landis/Rick Matle、Papikのカヴァーも紹介済みです。ご興味がある方はチェックを!
「Tema 3-D」
タイトル曲はAntonio Adolfoのオリジナルです。ラウンジ感も漂うエレガントなボッサ・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=8j06ZId1UqU
「Samba de Uma Nota So」
Newton Mendonca/Antonio Carlos Jobim作。「One Note Samba」のタイトルでお馴染みの曲ですね。当ブログではNara Leao、Sergio Mendes & Brasil'66のカヴァーも紹介済みです。本作を購入する方の多くはこういった小粋なジャズ・サンバを期待しているのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=lupBv_VvBzw
「Manha Sem Voce」
Heloísa Brandao Orosco/Arisio Rabin作。サウダージ気分たっぷりのエレガントなボッサ・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=9kVUfMM678w
「Fly me to The Moon」
Bart Howard作のスタンダードのカヴァー。当ブログではThe Quiet Nights Orchestra、Astrud Gilbertoのカヴァーを紹介済みです。ここではCatchoのヴォーカルをフィーチャーし、スタンダードらしいボッサ・ジャズ・カヴァーで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=TiEusO4Qgm8
「A Morte de um Deus de Sal」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作。当ブログではO Quartetoのカヴァーを紹介済みです。ワルツ調の疾走感にグッときます。僕はこのタイプに弱いんです(笑)。ここでも10代とは思えないAdolfoのピアノのセンスにうっとりです。
http://www.youtube.com/watch?v=ACkrpmY4PTA
「Berimbau」
ラストはVinicius de Moraes/Baden Powell作のアフロ・サンバ名曲で締め括ってくれます。この曲の持つダイナミズムをピアノ・トリオで見事に表現していると思います。素晴らしい!
http://www.youtube.com/watch?v=JdCXybWpFLc
「Berimbau」については、当ブログでLennie Dale、Diane Denoir/Eduardo Mateo、Agustin Pereyra Lucena、Sambalanco Trio、Nara Leao、Felicidade A Brasil、Gary McFarland、Kenny Rankin、Le Trio Camaraのカヴァーも紹介済みです。ご興味がある方はそちらの記事もご参照下さい。
他のAntonio Adolfo作品に興味がある方はコチラもどうぞ!
Trio 3D『Convida』(1965年)
Conjunto 3D『Muito Na Onda』(1967年)
Antonio Adolfo E A Brazuca『Antonio Adolfo E A Brazuca』(1969年)
Antonio Adolfo E A Brazuca『Antonio Adolfo E A Brazuca』(1971年)
Antonio Adolfo『Feito Em Casa』(1977年)
Antonio Adolfo『Viralata』(1979年)