2013年04月26日

Suba‎『Sao Paulo Confessions』

鬼才プロデューサーの最初で最後のソロ・アルバム☆Suba‎『Sao Paulo Confessions』
Sao Paulo Confessions
発表年:1999年
ez的ジャンル:フューチャー・ブラジリアン・サウンド
気分は... :惜しまれる才能...

今回は38歳の若さで逝去してしまった鬼才プロデューサーSuba‎唯一のソロ・アルバム‎『Sao Paulo Confessions』(1999年)です。本作をリリースして間もなく、彼のサンパウロの自宅スタジオが火事に見舞われ、彼は命を落としてしまいます。

Suba‎ことRex Illusivi‎は1961年に旧ユーゴスラビア(現セルビア)生まれ。母国でクラシックや民族音楽を学んだ後、ブラジルへ渡り、プロデューサーとして活躍しました。

Subaの名を有名にしたのは、彼のブラジル音楽界の巨人Joao Gilbertoの娘Bebel Gilbertoのデビュー・アルバム『Tanto Tempo』(2000年)です。

当ブログでも紹介した『Tanto Tempo』をプロデュースしていたのがSubaでした。

Bebel Gilberto『Tanto Tempo』(2000年)
タント・テンポ

しかも、彼が命を落とすこととなった火事で、Subaは『Tanto Tempo』のマスターテープを取り出そうと煙に包まれた自宅へ戻り、そのまま帰らぬ人となってしまったのでした。

彼の死後リリースされた『Tanto Tempo』は、そのフューチャー・ブラジリアン・サウンドでクラブ系リスナーやブラジル音楽ファンから高い支持を得ます。そして、Subaという才能を世に知らしめるという皮肉な結果をもたらしました。

『Tanto Tempo』以外のSubaプロデュース作品としてはMestre Ambrosio『Fua na casa de CaBRal』‎(1998年)も要チェックです。

Milan Mladenovic、 Joao Parahyba(元Trio Mocoto)らとのサンバ・ロック・プロジェクト‎Angel's Breath‎で作品をリリースしたこともあるSubaですが、ソロ・アルバムとしては不幸な出来事の直前にリリースされた本作‎『Sao Paulo Confessions』(1999年)が唯一の作品です。

エレクトロニカ・サウンドとブラジル音楽を融合させた前衛的なフューチャー・ブラジリアン作品に仕上がっています。かなり実験的でアブストラクトな音もありますが、それらも含めてSubaのクリエイトした音世界に魅了されます。

それだけにこの偉大な才能を失ったことが本当に残念でなりません。

全曲紹介しときやす。

「Tantos Desejos」
若手女性シンガーCibelle Cavalliをフィーチャー。クールなダウンテンポ感にグッとくるエレクトロニカなフューチャー・サンバ・チューン。Subaの目指していた音世界がこの1曲を聴けば実感できるはず!このヒンヤリ感がたまりません。Angel's Breathの仲間Joao Parahybaがドラムを演奏しています。。
http://www.youtube.com/watch?v=sY35glv7yWU

「Voce Gosta」
Angel's Breathにも参加していた女性シンガーTaciana Barrosをフィーチャー。Joao Parahybaのパーカッションも加わり、アンダーグラウンド感のあるアヴァンギャルドなフューチャー・サンバを堪能できます。Subaのセンスに脱帽です。
http://www.youtube.com/watch?v=-CYz_LC61IU

「Na Neblina」
美しいピアノの音色にエレクトロニカの衣を見事に纏わせたインスト・チューン。クラブ・ミュージックのエッセンスも上手く取り込んでいます。
http://www.youtube.com/watch?v=n3pG3KVtyjk

「Segredo」
Katia B.の女性ヴォーカルをフィーチャー。幻想的なフューチャー・ブラジリアン・サウンドと妖しげなKatia B.のヴォーカルがよくマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=-J2AK7qynNo

「Antropofagos」
ノルデスチなリズムとエレクトロ・サウンドが見事に融合しているアブストラクト感漂うインスト・チューン。ストリングスがいいアクセントとなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=yUYi-IcBvD4

「Felicidade」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Morais作の名曲をカヴァー。当ブログでも数多くのカヴァーを紹介している名曲ですが、フューチャー・サンバ仕立ての「Felicidade」のクールネスは実に新鮮です。ここではCibelle Cavalliのヴォーカルをフィーチャーし、Joao Parahybaがドラムを叩いています。

「Um Dia Comum (Em SP)」
小粋なセンスの漂うエレクトロニカ・サウンドが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=UVnLCc-qI_o

「Sereia」
Cibelle Cavalliをフィーチャー。揺らめくシンセによる不穏な雰囲気がたまらないアンダーグラウンドな仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=5_jOhx3I-r4

「Samba Do Gringo Paulista」
ブラジリアン・ロック・グループBarao VermelhoのメンバーFrejatが参加。サンバのリズムをサンプリングしたクラブ仕様のフューチャー・サンバに仕上がっています。

「Abraco」
Marisa MonteCarlinhos Brownとのスーパー・トリオTribalistasでもお馴染み、元TitasのArnaldo Antunesをフィーチャー。Joanna Jonesの甘く危険な香りの女性ヴォーカルとArnaldo Antunesのラップのような呟きヴォーカルが不思議な音世界へ誘います。

「Pecados Da Madrugada」
ダビーな音空間が印象的です。エクぺリメンタルですが聴いているうちに癖になるサウンドです。
http://www.youtube.com/watch?v=XRL_DwCSA_g

「A Noite Sem Fim」
ラストはエクぺリメンタルながらも美しいダウンテンポ・チューンで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=kJnQ4pqcgOs

本作を気に入った方は、Mestre Ambrosio『Fua na casa de CaBRal』(1998年)やBebel Gilberto『Tanto Tempo』(2000年)もチェックを!

Mestre Ambrosio『Fua na casa de CaBRal』(1998年)
Fua Na Casa De Cabral
posted by ez at 15:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする