
発表年:2013年
ez的ジャンル:歌姫系ジャマイカ産レゲエ
気分は... :レゲエ愛!
今回は珍しく新作レゲエ・アルバムの紹介です。
もしかしたら、新作レゲエ作品を紹介するのって当ブログで初めてかもしれませんね。
最近はCDショップへ行ってもレゲエ売場を素通りすることが多くなった僕ですが、久々に立ち寄って気に入ったのが今回紹介するEtana『Better Tomorrow』です。
Etana(本名Shanna McKenzie)は1983年ジャマイカ、オーガスタタウン生まれ。その後母親共にアメリカのフロリダへ移住。10代の頃にガールズR&BグループGiftのメンバーとして活動するが、そのプロモーションに不満を抱き、グループを脱退してしまいます。
その後ジャマイカへ戻ったEtanaですが、2005年に男性レゲエ・シンガーRichie Spiceのバック・コーラスのオーディションをパスし、ツアーに同行します。それがきっかけとなり、シングル録音の機会を得ます。そして、2006年にデビュー・シングル「Wrong Address]」をリリースし、ヒットするとういう幸先の良いデビューを飾ります。
その後は着実にキャリアを重ね、2008年にデビュー・アルバム『The Strong One』、2011年に2ndアルバム『Free Expressions』をリリースしています。
熱狂的なレゲエ・ファンというわけではない僕の場合、たまにレゲエを聴くのであればラヴァーズ系またはルーツ・ロック系を好む傾向があります。正直ダンスホール系はビミョーですね。
その意味で本作『Better Tomorrow』は、ラヴァーズあり、ルーツ・ロックあり、レゲエの枠を超えた楽曲ありと僕好みの構成となったフィメール・レゲエ作品に仕上がっています。
Etana本人の思いとしては、本国ジャマイカではダンスホール全盛でレゲエが少し軽んじられていると感じているようで、そんな状況を打破するためにレゲエ愛に溢れたアルバムを制作したかった模様です。
レゲエの歴史的拠点Tuff Gongスタジオを中心にレコーディングが行われ、Etanaと同じくレゲエ復興に思いを寄せるプロデューサーShane Brownを起用し、レゲエ愛のあるアルバムを具現化しています。
一方で、アメリカで暮らし、R&Bグループで活動したこともあるEtanaのレゲエに縛られない幅広い音楽性が反映されている楽曲もあります。
アルバム1枚で歌詞も含めてレゲエの持つ様々な側面に触れることができる楽しさがあります。
ポジティヴなヴァイヴが伝わってくるレゲエを聴いているだけで心地好くなります。
全曲紹介しときやす。
「Spoken Soul」
オープニングは何とスポークン・ワード(ポエトリー・リーディング)。このあたりはJill Scottの影響もあるようです。ちなみにアメリカの雑誌でEtanaが紹介される際、「ジャマイカのJill Scott、India Arie」と称されることが多いようです。
http://www.youtube.com/watch?v=R9y8FU-tZ6s
「Queen」
コンクリート・ジャングルの中で生きる女性に向けたメッセージ・ソング。サウンドもルーツ・ロックでBob Marleyへのリスペクトを感じる1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=hD1uiEGKptc
「Reggae」
タイトルからしてズバリですね。この曲は昨年ジャマイカの独立50周年に因んで制作された楽曲。まさにレゲエ愛に充ちた1曲に仕上がっています。Shane Brownによる音空間の創り方も秀逸です。
http://www.youtube.com/watch?v=r6GMBCaagok
「Beautiful Day」
僕の一番のお気に入り。聴いているだけでハッピー&ラブリーな気分になる極上ラヴァーズ。僕の嗜好にジャスト・フィットする1曲。爽快なサックスもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=8ozERenpjBw
※アルバム・ヴァージョンとは異なります
「All I Need」
海外ツアー中にジャマイカが恋しくなり、立ち寄ったジャマイカ料理店でインスパイアされた楽曲なのだとか。開放的で親しみやすいメロディに乗って、歌詞にはDennis Brown、Jimmy Cliff、Beres Hammondといった偉大なレゲエ・シンガーの名も登場します。
http://www.youtube.com/watch?v=W9HpmwXuIzw
「Whole New World」
ルーツ・ロック・レゲエにR&B的なエッセンスを融合させた仕上がり。ポジティヴなヴァイヴが強く伝わってくるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=hrkXZ9Rw5RM
「4 Play 2 Love (Start Over)」
男女の複雑な恋模様を歌ったラヴァーズ。僕が大好きな90年前後のAriwaラヴァーズ作品に通じる魅力があります。ここではShane Brownの父で名エンジニアのErrol Brownもミックスで参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=WRphbfDwoDU
「Silly」
Etanaのキュートな魅力を満喫できるメロディアスな仕上がり。ダビーなアクセントがついているのもいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=P4T0i9Zokvo
「Till You Get Old (Life's Gift)」
娘Nylaちゃんへ捧げた1曲。母としての思いを優しく包み込むように歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=rvbzsaGGt3s
「The Prayer」
ジャーへの祈りを歌ったもの。レゲエのリズムは聴かれますが、重厚なコーラスでソウル/ゴスペル的な雰囲気が漂う仕上りです。
http://www.youtube.com/watch?v=vueJ7ztAQ-k
「Strongest」
♪ザイオン(聖なる山)へ辿り着くためには強くならなければならない♪とルーツ・ロックらしい歌詞が歌われる力強い1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=pf-Owj7wapQ
「Be Alright (Interlude)」
ビューティフルなインタールード。
「Smile」
ポジティヴなメッセージを包み込むようなヴォーカルで高らかに歌い上げるSSW的なビューティフル・ソング。
http://www.youtube.com/watch?v=om_mAp4CXxE
「Better Tomorrow」
タイトル曲は7分半の大作。レゲエ色はかなり薄いですが、歌詞もサウンドもアフリカを意識して創ったようです。アフリカ色は後半のサウンド&コーラスで顕著です。
http://www.youtube.com/watch?v=il65Ep7roHQ
ご興味がある方はEtanaの他作品もチェックを!
『The Strong One』(2008年)

『Free Expressions』(2011年)
