発表年:2002年
ez的ジャンル:ジャーマン・ネオ・ソウル
気分は... :南アフリカを感じます!
今回はドイツのクイーン・オブ・ソウルJoy Denalaneの1stアルバム『Mamani』(2002年)です。
ベルリンを拠点に活動するアフリカ系ドイツ人のR&Bシンガー。Joy Denalaneの紹介は、2nd『Born & Raised』(2006年)、3rd『Maureen』(2011年)に続き3回目となります。
今日ではジャーマン・ネオ・ソウルを代表する女性R&BシンガーとしてR&Bファンから広く認知されているJoy Denalaneですが、その第一歩となったのが1stアルバムとなる本作『Mamani』(2003年)です。
ジャーマン・ネオ・ソウルを世界中に広く認知させた名作であると同時に、父親が南アフリカ、母親がドイツ出身のベルリン育ちというJoy Denalaneのルーツを強く感じさせる1枚に仕上がっています。
ジャジーなネオ・ソウルをベースにしつつ、父の故郷である南アフリカを強く意識した楽曲がいくつか含まれている点が印象的です。この南アフリカのエッセンスは2nd以降にはないもので、本作の魅力の1つだと思います。勿論、そういったことを意識せずにフツーのネオ・ソウル作品として十分楽しめます。
プロデュースはJoyの旦那様でもあるドイツ人アーティストMax Herre。南アフリカ出身のトランペット奏者Hugh Masekela等がゲスト参加しています。
2nd『Born & Raised』(2006年)、3rd『Maureen』(2011年)とは異なるJoy Denalaneのルーツを実感できる1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Setho」
南アフリカのDNAを感じさせるオープニング。
「Miscommunication」
メロウ・エレピが心地好い温もりのジャジー・ソウル。イントロのカリンバの音色も印象的です。ネオ・ソウルにアフリカのフレイヴァーを上手く融合させているのがいいですね。
「Geh Jetzt」
オススメその1。哀愁モードのジャジー・ソウル。ドイツ語であってもソウルフルな味わいが十分に伝わってくるJoyの堂々としたヴォーカルが素晴らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=hb4KKuEoFDc
「Bantwana Skit」
スキット。
「Hochste Zeit」
レゲエ調のリズムにマリンバも絡むサード・ワールド感覚の1曲。なかなか雰囲気があってお気に入りの1曲です。
「Vier Frauen」
Nina Simone「Four Women」のカヴァー。彼女のオリジナルは『Wild Is the Wind』(1966年)に収録されています。タイトルの通り4名の黒人女性のストーリーを歌った曲ですが、ここではJoyに加え、 Chiwonsio、Deborah、Sara Tavaresという3人の女性ヴォーカリストをゲストに迎え、それぞれのストーリーを歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=2aWddkdL1HQ
「Sag's Mir」
オススメその2。僕好みの正統派ネオ・ソウルに仕上がっています。メロウなUSネオ・ソウルとセットで聴いても全く違和感ないと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=x_DGw5YH4Ww
「Ma Jimbos Skit」
スキット。
「Im Ghetto Von Soweto (Auntie's House)」
オススメその3。南アフリカ出身のトランペット奏者Hugh Masekelaのフリューゲル・ホーンをフィーチャー。ジャーマン・ゲットー・ソウルといった趣です。ニューソウル+ネオ・ソウルな感じにグッときます。
「Kinderlied」
オススメその4。童心に戻れそうなミニ・ムーグによるオルゴール風サウンドをバックに、Joyが優しく語り掛けます。子守唄にピッタリな1曲なのでは?
「Was Auch Immer」
オススメその5。ネオ・ソウル好きであれば間違い1曲。落ち着いた大人のR&Bタイムを演出してくれる素晴らしい仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=nvN_EqHcSeM
「Passenger Denalane Skit」
スキット。
「Mamani」
タイトル曲は再びHugh Masekelaをフィーチャー。コーラス隊も含めて南アフリカ・フレイヴァーの仕上がり。
「Fragen (Ein Brief Aus Lesotho)」
ヴァイヴの音色が印象的な大人のジャジー・ソウル。しっとりとした味わいで聴かせてくれます。
「Wem Gehort Die Welt」
Jonny "Guitar" Watson「What is love」の引用も含まれる哀愁ソウル。アコーディオン風のキーボードの音色が哀愁モードを盛り上げてくれます。
「I Cover The Waterfront」
Edward Heyman作詞、Johnny Green作曲のスタンダード(1933年作)。Billy Holidayの熱唱で有名な曲ですね。当ブログではJohn Lewis & Sacha Distelのカヴァーも紹介済みです。そんなスタンダードをしっとりと歌い上げます。この曲に関してはソウル・シンガーというよりもジャズ・シンガーですね。
「Outro」
ジャジー・ソウルなアルバムのアウトロ。
「Mathatha Agotlokamna (Nachruf)」
アウトロの後なのでボーナス・トラック扱いなのでしょうか。南アフリカのヴォーカル・グループMahotella Queensをフィーチャーしたア・カペラです。
Joy Denalaneの過去記事をご参照ください。
『Born & Raised』(2006年)
『Maureen』(2011年)