2013年05月23日

Kathryn Moses『Kathryn Moses』

ブラジリアン・ジャズ人気曲「Ready or Not」収録☆Kathryn Moses『Kathryn Moses』
Kathryn Moses
発表年:1976年
ez的ジャンル:カナダ産爽快ジャズ・グルーヴ
気分は... :スマイル・モードにさせてくる爽快フルート!

今回はカナダの女性ヴォーカリスト/フルート/サックス奏者Kathryn Mosesの1stアルバム『Kathryn Moses』(1976年)です。

米国オクラホマ州出身、カナダでジャズ・ミュージシャンとして本格的に活動するようになったKathryn Mosesの紹介は、『Music In My Heart』(1979年)に続き2回目です。

『Kathryn Moses』『Music In My Heart』ともにカナダ産ブラジリアン・ジャズ作品として再評価の高いアルバムですね。

1stとなる本作『Kathryn Moses』はカナディアン・ミュージック・カウンシルのベスト・レコードにも選出された作品ですが、元々は一般に流通しないラジオ局向けのライブラリー・レコードとしてカナダCBCに録音されたものです。

レコーディング・メンバーは、Kathryn Moses(fl、vo)、Gary Williamson(p)、Rick Homme(b)、Terry Clarke(ds)、Ed Bickert(g)、Marty Morrell(per)、Barbara Mcdouga(violin)、Adell Armin(violin)、Paul Armin(viola)、Dick Armin(cello)です。

同じカナダ産ブラジリアン・ジャズ作品でもフュージョン色の強い『Music In My Heart』と比較すると、本作『Kathryn Moses』は爽快なジャズ・グルーヴといった印象を受けます。

ブラジリアン・ジャズ作品という点でいえば、キラー・チューン「Ready or Not」をはじめ、「I Met a Special Man」「Midmorning」あたりがハイライトとなります。

ただし、本作の魅力はそれだけに止まりません。「Oleo」「My Romance」といったスタンダードの素晴らしいカヴァーや、春の微風のようなフルートが軽やかに舞うジャズ・グルーヴも聴く者を魅了します。また、大学でクラシックを学んでいたKathrynらしくストリングスを巧みに配した演奏も印象的です。

フルートという楽器自体、涼しげなイメージですが、そんなフルートの魅力をアルバム全編で満喫できるスマイル・モードのジャズ作品です。

「Oleo」「My Romance」の2曲以外はKathryn Mosesのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「I Met a Special Man」
「Ready or Not」と並ぶ本作のハイライト。ライトなパーカッシヴ感が心地好いメロウなボッサ・グルーヴ。ボッサ・リズムとキュートなKathrynのヴォーカルにメロメロです。

「Oleo」
Sonny Rollins作の名曲カヴァー。当ブログでは『Bag's Groove』収録のMiles Davisヴァージョンも紹介済みです。本作の魅力がブラジリアン作品のみではないことを証明してくれるスリリングな演奏です。疾走する4ビート・ジャズはなかなか格好良いですよ。ジャズ・フルート奏者としてのKathrynの魅力を存分に楽しめます。

「My Romance」
Lorenz Har/Richard Rogers作によるスタンダード。この名曲のジャズ名演といえば、当ブログでも紹介したBill Evans Trio『Waltz For Debby』での演奏が有名です。ここではフルートの涼しげな響きを活かした小粋な演奏を聴かせてくれます。寛げる雰囲気が実にいいですね。

「Midnight」
序盤はバイオリン、ヴィオラ、チェロによるクラシック調の演奏です。大学でクラシックを学んでいたKathrynらしいですね。本編はミステリアスなジャズ・グルーヴです。終盤に再びストリングス隊が加わり、幻想的な音世界を創り上げます。

「Ready or Not」
本作のハイライト。キュートなKathrynのスキャットにグッとくるライトに疾走するサンバ・チューン。スキャットのみならずフルートの音色も軽やかです。
http://www.youtube.com/watch?v=Ur0OJ8OvalA

「Touch Me」
「Midnight」同様、クラシカルな導入部から始まります。本編は春の微風のような爽快メロウ・ジャズ・グルーヴです。実に心地好い!

「Prince Charming's Brother」
エレガントなワルツ・チューン。Kathrynのフルートが軽やかに駆け巡ります。聴いているだけでスマイリーな気分になれる演奏ですね。

「Midmorning」
Midmorningというよりも朝陽が昇る早朝に聴きたい気分のボッサ・ジャズ。終盤のストリングスが加わった美しいアンサンブルには素晴らしい!の一言です。

『Music In My Heart』(1979年)
Music in my Heart
posted by ez at 00:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする