発表年:1975年
ez的ジャンル:レア・グルーヴ系ジャズ・ファンク
気分は... :見方を変えれば歴史も変わる・・・
今回はGil Scott-Heron & Brian Jackson『The First Minute Of A New Day』(1975年)です。
これまで当ブログで紹介したGil Scott-Heron作品(Brian Jacksonとの連名作を含む)は以下の6枚。
『Pieces Of A Man』(1971年)
『Winter In America』(1974年)
『It's Your World』(1976年)
『Bridges』(1977年)
『Secrets』(1978年)
『1980』(1980年)
『The First Minute Of A New Day』(1975年)は、『Winter In America』(1974年)に続くGil Scott-Heron & Brian Jacksonの双頭名義アルバム第2弾です。
本作ではThe Midnight Bandをバックに従え、より音楽性の幅が広がったジャズ・ファンク・サウンドを展開しています。
レコーディングには、Gil Scott-Heron(vo、p、el-p、g)、Brian Jackson(syn、key、fl、vo)、Bob "O.D." Adams(ds)、Bilal Sunni Ali(fl、sax、harmonica)、Danny Bowens(b)、Victor Brown(vo、per)、Barnett Williams(per)、Charlie Saunders(per)、Eddie "Adenola" Knowles(per)が参加しています。
パーカッション奏者が多数参加し、よりリズムが強調されているのがいいですね。
先ほどまでNHK BS1で『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史』を観ていました。今回はベトナム戦争にフォーカスし、この戦争の闇の部分を鋭くえぐり出し、オリバー・ストーンらしい視点でジョンソン、ニクソンといった歴代大統領とその側近たちが犯した過ちを痛烈に批判していました。
大義なき戦争をゴリ押ししていたアメリカはかなり病んでいましたね。
そんな後に、この時期のアメリカの抱える矛盾を見抜き、歌に託していたGil Scott-Heronの社会メッセージ・ソングを聴くと、余計に感じるものがあります。
全曲紹介しときやす。
「Offering」
メロウ・サウンドをバックに憂いを帯びたGilとVictor Brownのヴォーカルが印象的なオープニング。
http://www.youtube.com/watch?v=Bk25GePt1xc
「The Liberation Song (Red, Black And Green)」
格好良いジャズ・ファンク・チューン。本作らしいパーカッシヴなリズムをバックに、Victor Brownのソウルフル・ヴォーカルとBilal Sunni Aliのサックスが歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=FwQZwXAIT38
「Must Be Something」
『It's Your World』にライブ・ヴァージョンが収録されていましたね。力強いメッセージ・ソングですが、ラテン・フレイヴァーの効いたファンキー感にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=SK8a6UlTh3U
「Ain't No Such Thing As Superman」
「The Liberation Song」と並ぶ本作のハイライトかもしれませんね。Brian Jacksonの鍵盤がいい感じのファンク・グルーヴです。ジワジワとテンションが上がっていく感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=y_eASls2HhE
「We Beg Your Pardon」
Gilが世相を語ったスピーチのライブ録音。サウンドを強化した本作にあえてこういったものを挿入するあたりがGil Scott-Heronらしいですね。
「Guerilla」
うねるベースラインにグッとくるファンク・チューン。Bilal Sunni Aliのハーモニカ&フルートも印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=XpuRq1vmWvo
「Winter In America」
メロウ・サウンドの中にも重々しさが伝わってくる社会メッセージ・ソング。アメリカの抱える闇にメスを入れます。
http://www.youtube.com/watch?v=m2zKdIcOV5s
「Western Sunrise」
スピリチュアル・ジャズ好きの人はグッときそうな仕上りです。大地のリズムがGilのメッセージをより崇高なものにしています。
http://www.youtube.com/watch?v=ARY0uQRyOHU
「Alluswe」
ラストは美しいジャジー・ピアノをバックにGilが切々と歌い上げます。Brainsick Mob「I Thank God」、Mike Zoo「Turn」でサンプリングされています。
Gil Scott-Heronの過去記事もご参照下さい。
『Pieces Of A Man』(1971年)
『Winter In America』(1974年)
『It's Your World』(1976年)
『Bridges』(1977年)
『Secrets』(1978年)
『1980』(1980年)