発表年:2013年
ez的ジャンル:ニューヨリカン系アーバン・ハウス
気分は... :全25曲の紹介は大変ですが、中身は折り紙付!
今回は最新アルバムの中から、Masters At Work、Nuyorican Soulで一時代を築いたN.Y.ハウスのトップ・プロデューサーLouie VegaのプロジェクトElements Of Lifeの第2弾アルバム『Eclipse』です。
Elements Of Life名義のアルバムは『Elements Of Lif』(2004年)以来となります。
前作は自身が立ち上げたVega Recordsからのリリースでしたが、本作『Eclipse』はN.Y.ラテンの老舗レーベルFania Recordsからのリリースです。そのせいもあってか、本作はLouie Vegaの叔父でN.Y.サルサを代表するトップ・シンガーであった故Hector Lavoeに捧げられています。
CD2枚組の大作となった本作『Eclipse』は、Nuyorican Soul『Nuyorican Soul』(1997年)や前作『Elements Of Lif』(2004年)がお好きな人でれば必ず気に入るであろう、ニューヨリカンのハウス・プロデューサーらしいエッセンスがぎっしり詰まった大人のアーバン・ハウス作品に仕上がっています。ハウスを中心にラテン、ブラジル、アフリカ、ソウル、ジャズ等のエッセンスを飲み込んだ集大成的な作品に仕上がっています。
レコーディングには、Louie Vegaの奥方でもある女性シンガーAnane、ハウス界のレジェンド・グループBlazeのヴォーカリストJosh Milan、パーカッション・マッドネスLuisito QuinteroといったLouie Vegaファミリーをはじめ、かつての渋谷系ディーヴァMonday Michiru(MONDAY満ちる)(fl)、Ursula Rucker(vo)、Nina Rodriguez(vo)、Lisa Fischer(vo)、Cindy Mizelle(vo)、Oveous Maximus(vo)、Sheyi Olagunju(vo)、Sahr Ngaujah(vo)、Raul Midon(g、vo)、Axel Tosca(p、key、vib)等のミュージシャンがゲスト参加しています。
ちなみに『Eclipse』というアルバム・タイトルは来日時に日本で皆既日食に遭遇したことがきっかけなのだとか。
かなり前に入手していたのですが、CD2枚組全25曲というヴォリュームのせいで紹介するのが遅れてしまいました。でも中身はN.Y.ハウス、Masters At Work、Nuyorican Soul好きの人には間違いない、100%Louie Vega印の1枚に仕上がっています。
Louie Vegaほどのネーム・バリューがあれば、もっと話題になってもいい作品だと思いますが、イマイチ地味な扱いな気がします。
これだけ安定感のあるアーバン・メロウなハウス・アルバムに出会ったのは久々です。
さすがはLouie Vega!と感心することしきりの1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Balance In All Things」
オープニングはLuisito QuinteroのパーカッションとAxel Toscaのピアノをバックに、Ursula Ruckerのスポークン・ワードをフィーチャーしたものです。フィラデルフィア出身の女性詩人Ursula RuckerはThe Roots、4Hero、Jazzanova、Richard Earnshaw等への参加でもお馴染みですね。
「Canto Para Ochosi」
ラテン系女性シンガーNina Rodriguezをフィーチャー。アフロ・ラテンといった趣でコーラスも含めてアフリカの大地の香が漂います。
「Celebrate」
オススメその1。Josh Milanをフィーチャー。ピースフルな雰囲気のラテン・グルーヴは僕好み。ジワジワと盛り上がっていく感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=kwd5kYW4hFE
「I Dream A World」
オススメその2。Josh Milanをフィーチャー。Luisito Quinteroの疾走するパーカッションをバックに、Josh Milanが彼らしい浮遊感のあるヴォーカルを聴かせてくれます。小粋なバック・コーラスがニューヨリカンらしくていいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=ERzfM2i_1z4
「Most Beautiful」
オススメその3。AnaneとLisa Fischerをフィーチャー。華やかな女性ヴォーカル陣が栄えるラテン・フレイヴァーのビューティフル・ハウスです。Raul MidonのギターやJosh Milanのハーモニカもいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=nAbMlckr_Bc
「Children Of The World」
Josh Milanをフィーチャー。少しレイジーな雰囲気のトラックをバックに、Josh Milanがソウルフル・ヴォーカルを聴かせてくれます。本作には収録されていませんが、よりフロア仕様のリミックスもありますので興味がある方はチェックを!
「Children Of The World (Roots Mix)」 ※アルバム未収録
http://www.youtube.com/watch?v=9agYz6jjkSw
「Barbara Ann」
オススメその4。Cindy Mizelle、Lisa Fischerをフィーチャー。僕好みのブラジリアン・グルーヴに仕上がっています。クラブジャズ寄りのブラジリアン・グルーヴ好きの人も気に入るのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=AOgiNfaO6_Q
「Overtake Don Overtake Overtake」
Sheyi Olagunjuのスポークン・ワードをフィーチャー。Fela Kutiのカヴァーです。アフロビートの王道をいく仕上がりはアフロビート/アフロ・ジャズ好きのハートも射止めるはず!
「Sodade」
Ananeをフィーチャー。Cesaria Evoraが歌った哀愁のアフロ・キューバン作品をカヴァー。Ananeはこういった妖艶なラテンものを歌わせるとピカイチですね。
http://www.youtube.com/watch?v=CKzD7SmQnQQ
「Love Is You」
インタールード的な雰囲気もあるメロウな小曲。しばし小休止といったところでしょうか。
「This Is Us」
Haki R. Madhubuti & Nation African Liberation Arts Ensemble「Children」がベースとなっている楽曲。Ursula Ruckerのスポークン・ワードをフィーチャーしたジャジーな仕上がりです。
「Berimbau」
Vinicius de Moraes/Baden Powell作のアフロ・サンバ名曲のカヴァー。Josh Milanをフィーチャーしています。当ブログでも10アーティスト以上のカヴァー・ヴァージョンを紹介しているお馴染みの名曲ですが、このハウス・カヴァーはなかなか新鮮な印象を受けます。
http://www.youtube.com/watch?v=s0HIntwxSL4
「Harlem River Drive」
Bobbi Humphrey『Blacks And Blues』(1974年)でお馴染みのLarry Mizell作品をカヴァー。Axel Toscaの鍵盤を前面に打ち出したエレガントなラテン・グルーヴに仕上がっています。涼しげなMonday Michiruのフルートもいい感じ!
http://www.youtube.com/watch?v=Suk3qE5AzuE
「Live Your Life For Today」
オススメその5。Josh Milanをフィーチャー。Louie Vega好き、Blaze好きであれば、必ずグッとくるメロウ&ソウルフルなハウス・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=iekWNoG_CjI
「I'm A Woman, I'm A Queen」
Cindy Mizelle、Lisa Fischerをフィーチャー。序盤じらしにじらして、1分40秒あたりで一気にスパークする感じがたまりません。
「I Believe In Miracles」
オススメその6。前曲に続きCindy Mizelle、Lisa Fischerをフィーチャー。ドリーミーな王道ハウスって雰囲気がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=mJMGld4AZJo
「You Came Into My Life」
Roy Ayersのカヴァー。Ananeをフィーチャーし、ミディアム・テンポのメロディアスな仕上がりで聴かせてくれます。
ここまでがCD1です。
「You Came Into My Life (Louie Vega Roots NYC Mix)」
オススメその7。CD2のトップはCD1のラストを飾った「You Came Into My Life」のリミックス。こちらはCD1から一転してフロア仕様のアッパーな仕上がりです。『Nuyorican Soul』がお好きだった人であれば間違いなく気に入るはず!Axel Toscaのヴァイヴが余計にそんな思いにさせます。
http://www.youtube.com/watch?v=etRK4ndwNO4
「Draggin' My Heels」
オススメその8。Holliesのカヴァー(Allan Clarke/Terry Sylvester/Tony Hicks作)という意外なセレクトです。Lisa Fischerをフィーチャーした大人のソウルフル・ハウスに仕上がっています。随所にニューヨリカン・フレイヴァーを散りばめているのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Eu897QTWUwY
「Pastime Paradise」
オススメその9。『Songs In The Key Of Life』に収録されたStevie Wonderの名曲をカヴァー。この曲のラテン・カヴァーといえば、当ブログでも紹介したRay Barrettoヴァージョン(アルバム『La Cuna』収録)が有名ですが、ここではJosh Milanをフィーチャーし、Ray Barrettoヴァージョンの流れを汲むラテン・フレイヴァーのカヴァーに仕上げています。
http://www.youtube.com/watch?v=kwsCEKlwzsI
「I Wanna Be Where You Are」
Michael Jackson、1972年のシングル曲をカヴァー(Arthur Ross/。Leon Ware作)。Cindy Mizelleをフィーチャーしたボッサ・グルーヴ調のカヴァーに仕上がっています。
「Overtake Don Overtake Overtake (Roots Vocal Version)」
CD1に収録された「Overtake Don Overtake Overtake」のリミックス。ここではSahr Ngaujahの男性ヴォーカルをフィーチャーしています。
「This Is Us (Roots Mix)」
CD1に収録された「This Is Us」のリミックス。ここではUrsula Ruckerのスポークン・ワードにOveous Maximusのヴォーカルが加わり、壮大なスケール感のある演奏を楽しめます。
「Hot Music」
Pal JoeyがSoho名義でリリースした「Hot Music」(1990年)のカヴァー。Lisa Fischerのスキャットが浮遊するミステリアスなジャジー・テイストのハウス・チューンに仕上がっています。
「Stand On The Word」
オススメその10。The Joubert Singersのガラージ・クラシックのカヴァー(Phyliss Joubert作)。ガラージ好きの人であればグッとくるであろう王道ガラージに仕上がっています。
未聴の方は1st『Elements Of Lif』(2004年)もぜひチェックを!
Elements Of Life『Elements Of Lif』(2004年)
Louie Vega関連の作品や彼に近いアーティストの過去記事もチェックを!
Nuyorican Soul『Nuyorican Soul』(1997年)
Blaze『25 Years Later』(1990年)
Blaze『Basic Blaze』(1997年)
Luisito Quintero『Percussion Maddnes』(2006年)
Anane『Selections』(2006年)