録音年:1966年
ez的ジャンル:A&M系ソフト・ロック/メロウ・ボッサ
気分は... :草食系ファルセット・ヴォーカル?
今回は60年代に人気を博した男性シンガーChris MontezがA&M Recordsからリリースしたアルバム『The More I See You/Call Me』(1966年)です。
Chris Montezは1943年L.A.生まれのチカーノ。
1962年にレコード・デビュー。2ndシングル「Let's Dance」が全米チャート第4位の大ヒットとなり、一躍有名となります。Tommy Roeと共に行った1963年のUKツアーでの前座は何とThe Beatlesでした。
Chris Montez「Let's Dance」
http://www.youtube.com/watch?v=EAveLaziBmQ
1963年にはデビュー・アルバム『Let's Dance and Have Some Kinda' Fun!!!』をリリースしましたが、「Let's Dance」のような成功を収めるには至りませんでした。
そんなChris Montezを救ったのがA&M RecordsのHerb Alpertでした。彼はポップなロックン・ロールを歌うChrisを、ソフト路線にイメージ・チェンジさせます。そしてリリースしたシングル「Call Me」が全米チャート第22位のヒットとなりました。その「Call Me」を含むA&M移籍第1弾アルバムが今回紹介する『The More I See You/Call Me』(1966年)です。
その後A&Mから『Time After Time』(1966年)、『Foolin' Around』(1967年)、『Watch What Happens』(1968年)といったアルバムをリリースしています。日本では1969年に「Nothing to Hide(邦題:愛の聖書)」がシングル・ヒットしたようですね。
本作『The More I See You/Call Me』を初めて聴いたとき、てっきり女性アーティストかと思いました。そのソフトなファルセット・ヴォーカルは僕と同様の印象をお持ちの方が多いのではと思います。
そのファルセット・ヴォーカルは好き/嫌いが分かれるかもしれませんが、A&M系ソフト・ロック好きの人であればぜひチェックしておきたい1枚ですね。
プロデュースはHerb AlpertとTommy LiPuma。
全曲紹介しときやす。
「The More I See You」
Mack Gordon作詞、Harry Warren作曲。映画『Diamond Horseshoe』(1945年)のために書かれたスタンダードのカヴァー。当ブログではChet Bakerのカヴァーも紹介済みです。本ヴァージョンはシングルとして全米チャート第16位のヒットとなりました。新生Chris Montezを印象づけるソフトリーなポップ・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=OmkiDaTgvzE
「Fly Me to the Moon」
Bart Howard作のスタンダードのカヴァー。当ブログではThe Quiet Nights Orchestra、Astrud Gilberto、Trio 3Dのカヴァーを紹介済みです。女性のようなファルセット・ヴォイスが栄える軽快かつソフトリーなジャズ・サンバに仕上がっています。
「The Shadow of Your Smile」
アカデミー賞歌曲賞も受賞した映画『いそしぎ』の主題歌(Paul Francis Webster/Johnny Mandel作品)をカヴァー。憂いのあるボッサ・チューンで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=ajvjbma0LAk
本曲について、当ブログではJohn Patton、Lou Donaldson、Johnny Lytle、The Oscar Peterson Trio + The Singers Unlimited、Ann Burton、Pucho & The Latin Soul Brothers、Astrud Gilberto、Os Tres Brasileiros、Pauline London、Claude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's Sevenのカヴァーを紹介済みです。ご興味のある方はそれらの記事もご参照下さい。
「The Very Thought Of You」
Ray Noble作のスタンダードをカヴァー。プリティな雰囲気のポップ・チューンに仕上がっています。
「One Note Samba」
Newton Mendonca/Antonio Carlos Jobim作。当ブログではNara Leao、Sergio Mendes & Brasil'66、Trio 3Dのカヴァーも紹介済みです。ここではChrisのファルセットにフィットしたメロウ・ボッサで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=KQvlIimKe9c
「There Will Never Be Another You」
「The More I See You」と同じMack Gordon/Harry Warren作。シングルとして全米チャート第33位のヒットとなりました。甘く切ないポップ・チューンになかなかグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=GY-iB7WrVh8
「Call Me」
UKの女性シンガー/女優Petula Clark、1965年のシングル曲のカヴァー(Tony Hatch作)。当ブログではAstrud Gilberto/Walter Wanderley Trio、Larry Young、Oscar Petersonのカヴァーを紹介済みです。前述のように新生Chris Montezの出発点となったヒット・シングルです。A&M系ソフトロック好きには間違いない出来栄えです。
http://www.youtube.com/watch?v=vK6UIyj3ue0
「Day by Day」
Sammy Cahn/Alex Stordahl/Paul Weston作のスタンダード。当ブログではAstrud Gilberto、Bossa Rioのカヴァーを紹介済みです。小粋なジャジー・ポップに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=gMIzZ9fOSGA
「How High the Moon」
1940年のミュージカル『Two For The Show』のために書かれた名曲のカヴァー(Morgan Lewis/Nancy Hamilton作)。当ブログではGloria Gaynorのカヴァーを紹介済みです。軽快なボッサ・ジャズはなかなかいい雰囲気です。
http://www.youtube.com/watch?v=ToZ7HbDMJIM
「Hey Baby」
Bruce Channel/Margaret Cobb作。Bruce Channel、1962年の大ヒット曲のカヴァー。オールディーズ調ながらも本作らしいソフトな仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=3MDPoYjsSAY
「You, I Love You」
Chris Montezのオリジナル。ロマンティックなメロウ・ボッサで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=I0Rp7wggEXg
「Little White Lies」
ラストはWalter Donaldson作のスタンダード・カヴァーで締め括ってくれます。
ご興味のある方は他のChris Montez作品もチェックを!
『Let's Dance and Have Some Kinda' Fun!!!』(1963年)
『Time After Time』(1966年)
『Foolin' Around』(1967年)
『Watch What Happens』(1968年)