発表年:1973年
ez的ジャンル:スペイン産ブラジリアン
気分は... :スペイン、ブラジル強し!
サッカーのコンフェデ杯の1次リーグはスペイン、ブラジルという2強の強さが目立ちましたね。スペインは先日のU−21欧州選手権でも貫録で王者に輝き、来年のW杯本番でも主役の座は揺るぎないようですね。
さて、今回はスペイン、ブラジルに因み、スペイン産ブラジリアン作品、Aquarius Y Luiz Antonio『Brasil』(1973年)です。
Aquarius Y Luiz Antonioは、プロデューサーとしても有名なブラジル人ミュージシャンRaymundo Bittencourtを中心に、Octavio Burnier(g)、Leonardo Luiz(p)らと結成したユニットAquariusがスペインでヴォーカリストのLuiz Antonioと録音した作品です。
ブラジル音楽の名曲を素晴らしいアレンジでメロウ&ポップに聴かせてくれます。曲ごとにサウンドの狙いが明確なのがいいですね。Octavio Burnierのギターを中心にロックのエッセンスも結構取り入れています。
素敵なアレンジによって、名曲の新たな魅力を発見できる作品です。
全曲紹介しときやす。
「Dia 4 Dezembro」
Sebastiao Motorista作。開放的でポップなサンバ・チューンでアルバムは幕を開けます。余計なことは考えず、盛り上がりましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=-CZ7t9OY7Xk
「Pais Tropical」
Jorge Ben作。オリジナルは『Jorge Ben』(1969年)に収録されています。当ブログではオリジナル以外にSom Okey 5、Gal Costaのカヴァーも紹介済みです。また、Sergio Mendes & Brasil '77も『Pais Tropical』(1971年)でカヴァーしています。ここではワウワウ・ギターとヴァイヴの音色が印象的なロック調の仕上がりです。終盤はサンバのリズムで盛り上げてくれます。
「Madalena」
Ivan Lins/Ronaldo Monteiro de Souza作。当ブログでは有名なElis ReginaヴァージョンやTania Mariaのカヴァーを紹介済みです。ここでは寛いだ雰囲気のメロウ・チューンで名曲をカヴァーしています。
「Marta Sare」
Edu Lobo作。当ブログではElis Regina、Sergio Mendes & Brasil '66、Heraldo Do Monteのカヴァーも紹介済みです。ミステリアスな雰囲気が印象的な楽曲ですが、ここでは女性ヴォーカルをフィーチャーしてパーカッシヴに疾走します。Octavio Burnierのギターも冴え渡っています。
http://www.youtube.com/watch?v=hqmNYQsYAxQ
「Se Voce Pensa」
Roberto Carlos/Erasmo Carlos作。当ブログではElis ReginaやGal Costa、Gaetano Partipiloのヴァージョンを紹介済みです。『Elis Regina in London』の印象が強い曲ですね。ここでもOctavio Burnierのギターが目立っています。全体としてはハイテンションで躍動感溢れる演奏が魅力のカヴァーに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=qCp5fd-TNag
「Feitinha Para O Poeta」
Baden Powell/Vinicius de Moraes作。美しい男女コーラスと小粋なアレンジにグッとくるソフトロック調のカヴァーに仕上がっています。
「Sonho」
Egberto Gismonti作。当ブログではElis Reginaのカヴァーを何度か紹介しています。ポップな中にもプログレッシヴな雰囲気が漂うメリハリのある展開が魅力です。
「Que Nem Jilo」
Luiz Gonzaga作。ヴァイヴとパーカッションが織り成す小粋で軽快なサウンドにグッとくるソフトロック調の仕上がり。♪ヤバヤバヤバヤ〜バ♪というスキャット部分がいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=62lFUT7EOac
「Nada Sera Como Antes」
Ronaldo Basos/Milton Nascimento作。当ブログではElis Regina、Flora Purim、Sarah Vaughanによるカヴァーも紹介済みです。ここではキレのある小気味良いカヴァーは聴いていて実に痛快です。
http://www.youtube.com/watch?v=cHKyF94jO7Y
「Rosa Morena」
Dorival Caymmi作。思い入れたっぷりのヴォーカルとツボを押さえたアレンジにグッとくる素敵なカヴァーに仕上がっています。
「Agua De Beber」
ラストはAntonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作の名曲「おいしい水」のカヴァー。お馴染みの楽曲をメロウに疾走するアレンジで聴かせてくれます。終盤のサンバ・サウンドもいいですね。アレンジの妙に感心させられることしきりです。
本曲について、当ブログでは、Sergio Mendes & Brasil'66、Wanda Sa(Wanda De Sah)、Diane Denoir/Eduardo Mateo、Al Jarreau、Bossacucanova & Roberto Menescal、Sheila Landis/Rick Matleのカヴァーを紹介済みです。ご興味がある方は過去記事をご参照ください。
Raymundo Bittencourt、Octavio BurnierらはAquarius名義のアルバム『Aquarius』(1976年)を本国ブラジルでリリースしています。