発表年:1965年
ez的ジャンル:プロテスト系ジャズ・サンバ/MPB
気分は... :指パッチン!
今回はブラジルを代表する女性シンガーの一人であったNara Leaoの3rdアルバム『O Canto Livre De Nara』(1965年)です。
これまで当ブログで紹介したNara Leao作品は以下の3枚。
『Nara』(1964年)
『Vento De Maio』(1967年)
『Dez Anos Depois』(1971年)
3rdアルバムとなる本作は彼女の初期名作として評価の高いアルバムです。
"ボサノヴァのミューズ"と呼ばれながら、デビュー・アルバム『Nara』の時点では反ボサノヴァ的なスタンスを強め、プロテスト・ソングを歌おうとしてたNara Leao。
そんなNaraが自分の進むべき道に自信を深め、それを具現化した1枚が本作『O Canto Livre De Nara』(1965年)です。『ナラが自由を歌う』という邦題のように、アーティストとしての自由を求めるNaraの強い意志を感じます。
Luiz Ecaが音楽ディレクターを務め、Luiz Eca(p)、Bebeto(b、fl)、Ohana(ds)というTamba Trioのメンバーがバックを務めています。さらにはDori Caymmi(g)が"Dorival Caymmi Filho"名義で参加しています。
Tamba Trioがバッキングを務めているせいもあって、ジャズ・サンバ的な小粋な演奏が目立ちます。それ以外にもさまざまなタイプの曲を聴くことができ、音楽性の広がりを感じる1枚です。ただし、反ボサノヴァ的なスタンスを強めたといっても、ボッサ・ジャズ的な演奏もいくつかあり、ボサノヴァ・ファンも楽しめるはずです。
Naraの新しい魅力が上手く引き出された1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Corisco」
Glauber Rocha/Sergio Ricardo作。ブラジルのシネマ・ヌーヴォの旗手Glauber Rocha監督の映画『Deus e o Diabo na Terra do Sol(黒い神と白い悪魔)』(1964年)の挿入歌。ボサノヴァと決別し、プロテスト・ソングを歌うNaraのスタンスを明確に示したオープニング。サウンド的にはエレガントなボッサ・ジャズといった趣ですが。
http://www.youtube.com/watch?v=iVUXXEOqRic
「Samba Da Legalidade」
Carlos Lyra/Ze Keti作。Tamba Trioによる好バッキングが光る小粋なジャズ・サンバに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=tkJwrcoH328
「Nao Me Diga Adeus」
Joao Correia Da Silva/Luiz Soberano/Paquito作。僕の一番のお気に入り曲。緩急をつけたエレガントなジャズ・サンバ・サウンドによる哀愁モードの疾走感がいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=J8vGrW5xBhA
「Segredo Do Sertanejo (Uricuri) 」
Jose Candido/Joao Do Vale作。前半はDori CaymmiのギターのみのバッキングでNaraが歌い、後半にTamba Trioが加わります。
http://www.youtube.com/watch?v=cboxivVUepo
「Canto Livre」
Bene Nunes/Dulce Nunes作。ストリングスを配したミュージカル・ソングのような仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=2CfN2QVSQjY
「Suite Dos Pescadores」
Dorival Caymmi作。コーラスも含めた素晴らしいアレンジに魅了されるドラマティックな仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=WXfg9RJXvlI
「Carcara」
Jose Candido/Joao Do Vale作。この曲は名曲の佇まいがありますね。この曲は64〜65年にかけてNaraが出演し、ロングラン公演となったミュージカル風のショー『オピニオン』のレパートリー。Naraのヴォーカルとバッキングが見事に調和しています。
http://www.youtube.com/watch?v=4poHPINYuFQ
「Malvadeza Durao」
Ze Keti作のサンバ。「Nao Me Diga Adeus」と並ぶ僕のお気に入り。カフェ・アプレミディのコンピ『Cafe Apres-Midi Rouge』にも収録されていた人気曲です。サンバといってもDori Caymmiのギターがいい感じのメロウなボッサ・ジャズ風に聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=jOl2yOzpTD0
「Aleluia」
Edu Lobo/Ruy Guerra作。当ブログでは『A Musica De Edu Lobo Por Edu Lobo』に収録されたEdu Lobo自身のヴァージョンも紹介済みです。ここで美しいストリングスと小粋なジャズ・サンバを巧みに織り交ぜたアレンジにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=TXZ7qXXqtS8
「Nega Dina」
Ze Keti作。本曲も前述のショー『オピニオン』のレパートリー。確かにショーで盛り上がりそうなメリハリのある音がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=RgCkaoJNajY
「Minha Namorada」
Carlos Lyra/Vinicius De Moraes作。当ブログではAgustin Pereyra Lucenaのカヴァーも紹介済みです。ここではLuiz Ecaの美しいピアノをバックに、しっとりと歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=fT7M48NgRSU
「Incelenca」
D.P.(Dwight Pernell)作。ラストは古典的な曲を思い入れたっぷりに歌い上げます。この曲も『オピニオン』のレパートリーです。
http://www.youtube.com/watch?v=rFNl9jbTj9k
CDには「Carcara」、「Nao Me Diga Adeus」のスペイン語ヴァージョンがボーナス・トラックで追加収録されています。
Nara Leaoの過去記事もご参照下さい。
『Nara』(1964年)
『Vento De Maio』(1967年)
『Dez Anos Depois』(1971年)