2013年07月07日

Omar『The Man』

UKソウルの重鎮、7年ぶりの新作は期待大きく上回る傑作!☆Omar『The Man』
Man
発表年:2013年
ez的ジャンル:UKソウルの重鎮
気分は... :オマーは絶好調でおま!

今回はUKソウルを代表する男性シンガーOmarの最新7thアルバム『The Man』です。

アシッド・ジャズ期から活躍するUKソウルの重鎮Omar(Omar Lye-Fook)について、当ブログでこれまで紹介したのは以下の3枚。
 『There's Nothing Like This』(1990年)
 『Best By Far』(2001年)
 『Sing (If You Want It)』(2006年)

90年代にはコンスタントにアルバムをリリースしていたOmarですが、2000年以降にリリースされたアルバムは『Best By Far』(2001年)、『Sing (If You Want It)』(2006年)の2枚のみ。ただし、寡作ながらもその内容は相当充実していました。

そのOmarの7年ぶりの新作となれば、多くのファンが大きな期待を寄せたことでしょう。そして、その期待を裏切らない、いや期待以上の内容が新作『The Man』には詰まっています。

ソウルの枠に収まらない、ジャズ・ファンク、ジャズ、ラテン/ブラジル、Hip-Hop、クラブミュージック等さまざまな音楽のエッセンスを巧みのOmarワールドの中に取り込んでいます。

アルバム自体は、自宅スタジオでのレコーディングが中心だった模様です。その意味で、彼のマルチ・プレイヤーぶりが如何なく発揮されています。

今回は前作『Sing (If You Want It)』のような派手なゲスト参加はありませんが、Caron WheelerPino PalladinoStuart ZenderScratch ProfesserHidden Jazz Quartett等がゲスト参加しています。

Soul II Soulでもお馴染みの女性ヴォーカリストCaron Wheeler『There's Nothing Like This』でもバック・コーラスを務めていました。

ベテラン・ベーシストPino Palladinoは、D'Angelo『Voodoo』(2000年)やErykah Badu『Mama's Gun』(2000年)といったネオ・ソウル名作の制作に深く関わっていたことで知られれています。さらに、今年はソウルとジャズを融合させた傑作Jose James『No Beginning No End』のプロデュースを手掛けたことも注目を集めました。

Stuart Zenderは元Jamiroquaiのベーシストであり、『Best By Far』ではOmarと共同プロデュースも手掛けていました。

Scratch ProfesserはOmarの実弟、Hidden Jazz Quartettはドイツの5人組ジャズ・バンドです。

今年はIncognitoJean-Paul "Bluey" Maunickがイタリアの伊達男Mario Biondiの世界進出第一弾アルバム『Sun』をプロデュースしたり、そのBlueyがキャリア初のソロ・アルバム『Leap Of Faith』をリリースしたり、BNH(The Brand New Heavies)が気合いの入った新作『Forward』をリリースしたりと、"アシッド・ジャズ復活"を印象づける1年になりつつあります。

こうした動きは、デビュー当時はアシッド・ジャズの流れで紹介されることが多かったOmarにも追い風になっているのかもしれませんね。

いやぁ、Omarの絶好調ぶりは嬉しい限りです!

全曲紹介しときやす。

「Simplify」
ビューティフルなラブソングでアルバムは幕を開けます。ライブ感のあるリズム隊にストリングスやホーンを巧みに配したサウンドをバックに、ポジティヴなヴァイブに溢れたOmar節が全開です。
http://www.youtube.com/watch?v=Nx13NTnl7So

「The Man」
先行シングルにもなったタイトル曲。Hip-Hopなビートとジャジーな上モノが織り成すミディアム・チューン。UKソウルの重鎮の成熟ぶりを感じます。アルバム未収録ですが、Shafiq Husayn(Sa-Ra Creative Partners)によるリミックスも要チェックです。
http://www.youtube.com/watch?v=akZOy9t6GZQ

「Come On Speak To Me」
Omarと同じくアシッド・ジャズ期から活躍する女性シンガーVanessa Simonとの共作。一部パーカッション以外のすべての楽器をOmarが演奏しています。ブラジリアン・リズムとエレクトリック・サウンドによるクロスオーヴァー感覚のUKソウルに仕上がっています。

「I Can Listen」
Omarと弟Scratch Professerのみで制作されたトラック。60年代ソウルへのリスペクトに充ちた仕上がりです。

「Bully」
Scratch Professerをフィーチャー。彼のスクラッチとラテン・フレイヴァーのトラックを巧みに織り交ぜた開放的な仕上がり。レゲエのようなユルさが魅力です。

「Treat You」
Caron Wheelerをフィーチャーした注目曲。Omarのサウンド・センスの良さを実感できるメロウなクロスオーヴァー・ソウルに仕上がっています。派手さはありませんが、ドリーミーな音世界な誘ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=v2e9jioSmNU

「Fuck War, Make Love」
前述のようなアシッド・ジャズ復活を印象づけるジャズ・ファンク調の仕上がり。BNH(The Brand New Heavies)あたりがお好きな人であれば気に入るはず!
http://www.youtube.com/watch?v=RtHEfdKzC7Y

「High Heels」
ドイツのジャズ・バンドHidden Jazz Quartettをフィーチャー。昨年Hidden Jazz Quartett feat. Omar名義でシングル・リリースされた楽曲です。グルーヴィーなハモンド・オルガンや格好良いサックスが入ったモッドな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=aukmm4UY8CA

「I Love Being With You」
すべてのヴォーカル、演奏をOmar一人で創り上げた1曲。Omarらしいメロディ、リズミックなサウンドを満喫できます。

「There’s Nothing Like This」
『There's Nothing Like This』に収録されていたOmarの代表曲のリメイク。ここではPino Palladinoのベース/スパニッシュ・ギターをフィーチャーし、サマー・モードのメロウな仕上がりで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Y8ZsPdJOmBQ

「Eeni Meeni Myni Mo」
前曲の雰囲気を受け継いだメロウ・チューン。寛いだ気分のメロウネスにグッときます。

「When You Touch We Touch」
クロスオーヴァー好きの人はグッとくるダンサブルなフューチャー・ソウル。エレクトリック・サウンドにトロピカルなアクセントを効かせているあたりが心憎いですね。

「Ordinary Day」
Stuart Zenderをフィーチャー。ラストはブラジリアン・グルーヴ調のメロウなクロスオーヴァー・ソウルで華やかに締め括ってくれます。家族愛に満ちた歌詞もいですね!
http://www.youtube.com/watch?v=ELNZMfTR_6Q

Omarの過去記事もご参照下さい。

『There's Nothing Like This』(1990年)
There's Nothing Like This

『Best By Far』(2001年)
Best By Far

『Sing (If You Want It)』(2006年)
Sing (If You Want It)
posted by ez at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする