録音年:1969年
ez的ジャンル:超絶技巧トランぺッター
気分は... :『Red Clay』と迷いましたが・・・
今回は名トランぺッターFreddie Hubbardが1969年に録音した『The Black Angel』です。
Freddie Hubbard(1938-2008年)の紹介は、『Hub Tones』(1962年)、『Breaking Point』(1964年)に続き3回目となります。
前回『Breaking Point』のエントリーが2008年なので、5年ぶりのFreddie Hubbard作品のエントリーとなります。個人的には次に紹介するHubbard作品は『Red Clay』(1970年)と決めていたのですが、猛暑が続く今の時期にはこちらの方がフィットすると思い、『The Black Angel』をセレクトしました。
本作『The Black Angel』はAtlanticからの第4弾アルバムとなります。
本作が録音された1969年といえば、帝王Milesが『Bitches Brew』をレコーディングし、エレクトリック・マイルス路線を推し進めるなど、ジャズ界に大きな変化が生じた年です。そんな変化に呼応するように制作されたFreddie Hubbardの意欲作が本作『The Black Angel』です。
参加メンバーは、Freddie Hubbard(tp)、James Spaulding(as、fl)、Kenny Barron(p、el-p)、Reggie Workman(b)、Louis Hayes(ds)、Carlos "Patato" Valdes(conga、maracas)という当時のレギュラー・グループのメンバー達です。
レギュラー・メンバーと共にHubbardが最前線のジャズの姿を示してくれます。中でもエレクトリック・マイルスの動きに呼応するようなBarronの電子ピアノの音色が印象的です。
改めて聴くと、実に僕好みのアルバム構成であることを再認識しました。
オリジナルLPのA面を構成するインパクト大の「Spacetrack」、美しい「Eclipse」もいいですが、個人的にはCarlos "Patato" Valdesのコンガが目立つラテン/ボッサ調の曲が続くB面がお気に入りです。
レギュラー・メンバーをバックに従え、自信に満ちたHubbardのプレイや各プレイヤーの迫力ある演奏を満喫しましょう。
全曲紹介しときやす。
「Spacetrack」
Freddie Hubbard作。Kenny Barronの妖しげなエレピの響きと共に始まる16分超の大作。各プレイヤーの緩急織り交ぜた超絶プレイにグイグイ惹き込まれます。Hubbardはじめ、プレイヤーそれぞれの存在感が半端ないです!Milesの『Bitches Brew』を聴いた時のようなインパクトがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=P2ji7ta3cCQ
「Eclipse」
Freddie Hubbard作。Hubbardの美意識が伝わってくるエレガントなバラード。SpauldingのフルートやBarronのピアノもいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=vTTrZEU9bD8
「The Black Angel」
Kenny Barron作。タイトル曲はCarlos "Patato" Valdesのコンガが入ったラテン・リズムがアクセントとなっている美しいモーダル・チューン。Spauldingのフルート・ソロに続くHubbardのソロは実に艶やかです。エキゾチックな香りもする作者Barronのピアノも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=DMVijrWp9AM
「Gittin' Down」
Freddie Hubbard作。ジャズ・ロック調のドライブ感のある演奏が僕好み。音の輪郭がはっきりしていて、かなり格好良い演奏だと思います。Barronのエレピがいい感じですし、ここでもValdesのコンガが効いていると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=XvnPb4RasBs
「Coral Keys」
Walter Bishop, Jr.作。ラストはボッサ調の演奏で締め括ってくれます。ボッサ・リズムと実にスムーズなHubbardのソロがよくマッチします。Spauldingのフルートも涼しげです。
http://www.youtube.com/watch?v=ncepvvkUouM
Freddie Hubbardの過去記事もご参照下さい。
『Hub Tones』(1962年)
『Breaking Point』(1964年)
次こそ『Red Clay』(1970年)を紹介したいと思います。