発表年:1967年
ez的ジャンル:ブラジル女性コーラス・グループの最高峰
気分は... :やる気満々!
ここ数日間、(僕はプログラマーではありませんが)ある作業のデバッグが解消しないままイライラの続く日々を過ごしたのですが、昨晩いきなり謎が解けスッキリ!この週末はスッキリしてやる気満々モードで各種案件を処理できそうです。
今回はブラジル女性コーラス・グループの最高峰Quarteto Em CyがThe Girls from Bahia名義でリリースしたアルバム『Pardon My English』(1967年)です。
これまで当ブログで紹介したQuarteto Em Cy作品は以下の3枚。
『Quarteto Em Cy』(1966年)
『Em Cy Maior』(1968年)
『Quarteto Em Cy』(1972年)
The Girls from Bahiaはアメリカ進出を意識したグループ名であり、この名義で『Pardon My English』(1967年)、『Revolucion con Brasilia!』(1968年)といったアルバムをリリースしています。
本作がレコーディングされた1966年時点のメンバーはCyva(1939年生まれ)、Cybele(1940年生まれ)、Cynara(1945年生まれ)、Cylene(1946年生まれ)というDe Sa Leite四姉妹。しかし、レコーディング直後に末妹のCyleneが結婚のためにグループを脱退し、Cyregina(Regina Werneck)が新メンバーとして加わっています。
アメリカ市場を意識した作品として、ボサノヴァ名曲の数々を英語で歌っています。さらにポピュラー・スタンダードやトラディショナルのカヴァーも披露してくれます。
しかし、何語で歌おうが、何を歌おうが彼女たちが歌うものは全てQuarteto Em Cyワールドへ誘ってくれます。その意味でポピュラー・スタンダードがボッサ名曲に聴こえたり、ボッサ名曲がポピュラー・スタンダードのボッサ調カヴァーに聴こえたりするのが案外楽しいですよ!
プロデュースはLouis Oliveira、Ray Gilbert。アレンジをOscar Castro-Nevesが手掛けています。
別の角度からQuarteto Em Cyの魅力を再確認できる作品であると同時に、ブラジル音楽を聴き慣れないリスナーの方にはQuarteto Em Cy入門編としても最適な作品かもしれません。
全曲紹介しときやす。
「Pardon My English (Samba Torto)」
Aloysio De Oliveira/Antonio Carlos Jobim作。当ブログでも紹介した『Quarteto Em Cy(1966)』でも歌っていたJobim作品の英語ヴァージョン。当ブログではRoberto Menescalのカヴァーも紹介済みです。英語になっても美しいコーラスは健在です。実に華やかな雰囲気のオープニング。
「Makin' Whoopee」
Walter Donaldson/Gus Kahn作のポピュラー・スタンダード。当ブログではJimmy Smithのカヴァーも紹介済みです。ポピュラー・スタンダードをポップなボッサ・サウンドで聴かせてくれます。
「Tears (Razao de Viver)」
Eumir Deodato/Paulo Sergio Valle作。当ブログではSambalanco Trioのカヴァーを紹介済みです。エレガントなバックと共にQuarteto Em Cyの本領発揮といった至極のビューティフル・ハーモニーを聴かせてくれます。
「Oh Susannah」
日本人にもお馴染みStephen Foster作の「おおスザンナ」をカヴァー。お馴染みのトラディショナルをキャッチーなブラジリアン・サウンドで聴かせてくれます。日本でいえばNHK「みんなのうた」で取り上げらそうな雰囲気です。
「Voce」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作。当ブログでは『Elis Regina in London』と『Aquarela Do Brasil』に収録されたElis Reginaのカヴァーを紹介済みです。実に落ち着いた雰囲気で至極のハーモニーを堪能できます。僕の一番のお気に入りかも!
「Tup-A-Tup (Ate Londres)」
Oscar Castro Neves/Luvercy Fiorini作。『Quarteto Em Cy(1966)』でも歌われていた楽曲の英語ヴァージョン。このサンバ・グルーヴにもグッときます。。グルーヴィーなオルガン・サウンドと弾けるような彼女たちのスキャットがよくマッチしています。
「Surfin' in Rio (Vamos Pranchar)」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。この曲も『Quarteto Em Cy(1966)』収録曲の英語ヴァージョン。ミュージカル映画の楽しげなシーンのような明るく開放的な雰囲気がいいですね。彼女たちの素晴らしいコーラスワークを満喫するには最適の1曲かもしれません。
「Bye, Bye Blackbird」
Mort Dixon/Ray Henderson作のポピュラー・スタンダード。Oscar Castro-Nevesの小粋なアレンジ・センスが冴えるボッサ・サウンドにのってスタンダードをエレガントに歌い上げます。
「Useless Landscape (Inutil Paisagem)」
Aloysio De Oliveira/Antonio Carlos Jobim作。名曲「無意味な風景」のカヴァー。ひたすらエレガントです。英語のせいか、ボッサ名曲がポピュラー・スタンダードのボッサ調カヴァーのように聴こえます。
「Inutil Paisagem(邦題:無意味な風景)」に関して、当ブログではTenorio Jr.、Quarteto Em Cy、Tita、Vinicius Cantuaria、Nu Braz、Wanda Sa、Steen Rasmussen Feat. Josefine Cronholmのカヴァーを紹介済みです。
ご興味がある方はそれらの記事もご参照ください。
「The Face I Love (Seu Encanto)」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle/Carlos Pingarilho作。ワルツ調のアレンジがミュージカル名曲のような優雅さがあってでいいですね。ここでもOscar Castro-Nevesの手腕が光ります。当ブログではAstrud Gilbertoのカヴァーを紹介済みです。
「Image (Imagem)」
Aloysio de Oliveira/Luiz Eca作。オーケストレーションとボッサ・リズムをバックに、彼女たちならではの至極ハーモニーの魅力を存分に伝えてくれます。
「Canto de Ossanha」
Vinicius de Moraes/Baden Powell作の名曲カヴァー。アフロ・ブラジリアンなパートと一気に華やかなになるパートのコントラストが見事なこの楽曲の持つ魅力を彼女たちが見事に歌いきっています。
「Canto de Ossanha」に関して、当ブログではTamba 4、Quarteto Em Cy、Lill Lindfors、Elis Regina、Toots Thielemans & Elis Regina、Agustin Pereyra Lucena、Rosalia De Souza、Christiane Legrandのカヴァーを紹介済みです。
ご興味がある方はそれらの記事もご参照ください。
CDにはオリジナル12曲に加え、Vinicius de Moraes/Baden Powell作のアフロ・サンバ名曲「Berimbau」、『Quarteto Em Cy』(1966年)でも歌われていた「I Live To Love (Morrer de Amor)」(Oscar Castro Neves/Luvercy Fiorini作)、Carlos Castilho/Chico de Assis作の「Amaralina Beach (Praia de Amaralina)」が収録されています。
『Revolucion con Brasilia!』(1968年)もセットでどうぞ!
『Revolucion con Brasilia!』(1968年)
Quarteto Em Cyの過去記事もご参照下さい。
『Quarteto Em Cy』(1966年)
『Em Cy Maior』(1968年)
『Quarteto Em Cy』(1972年)