2013年08月24日

Fred Johnson『Live At B.B.Joe's』

レア・グルーヴ方面で人気のUSローカル男性ジャズ・ヴォーカル作品☆Fred Johnson『Live At B.B.Joe's』
ライヴ・アット・B.B.ジョーズ
発表年:1984年
ez的ジャンル:レア・グルーヴ系USローカル男性ジャズ・ヴォーカル作品
気分は... :組織の硬直化・・・

今回はレア・グルーヴ方面で人気のUSローカル男性ジャズ・ヴォーカル作品Fred Johnson『Live At B.B.Joe's』(1984年)です。

Fred Johnsonは黒人ジャズ・ヴォーカリスト。レコーディング参加機会は少なく、本人名義のアルバムは本作『Live At B.B.Joe's』のみのようです。

「A Child Runs Free」がレア・グルーヴ方面で人気となり、それと共に「A Child Runs Free」が収録された本作『Live At B.B.Joe's』の再評価も高まりました。

本作はタイトルの通り、フロリダ州タンパベイにあるB.B.Joe'sというクラブで行われたライブをレコーディングしたものです。

参加メンバーはFred Johnson(vo)以下、Kamau Kenyatta(p)、Mark Neuenschwander(b)、Bill Pillucere(b)、Tani Tabbal(ds)、Henry Page(ds)、Qumby Ortiz(conga)というピアノ・トリオ+コンガという編成です。

ハイライト曲「A Child Runs Free」はブラジル・フィーリングのジャズ・ダンサーですが、それ以外にもブラジル人アーティストのカヴァー3曲が特徴かもしれませんね。個人的にはMilton Nascimentoの名曲「Bridges」やブラジル人SSW、Morris Albertのヒット曲「Feelings」がオススメです。

それ以外の楽曲はジャズ・ヴォーカリストらしいスウィンギー・チューンや感動的なジャズ・バラードから構成されています。個人的にはオープニングの小粋なスウィンギー「On A Clear Day」やAOR好きにもオススメの「Hidden Treasures」がお気に入り。

再評価されるのが頷ける充実の男性ジャズ・ヴォーカル作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「On A Clear Day」
Alan Jay Lerner/Burton Lane作。オープニングはミュージカル『On A Clear Day You Can See Forever』(1929年)のために書かれたスタンダードのカヴァー。当ブログではMario Biondi & The High Five QuintetThe Peddlersのカヴァーも紹介済みです。小粋なスウィンギー・チューンは聴く者をハッピーで晴れやかな気分にしてくれます。Fredのヴォーカル&スキャットも絶好調です。
http://www.youtube.com/watch?v=dQ55brYYJAI

「Bridges」
Milton Nascimentoの名曲「Travessia(Bridges) 」のカヴァー。当ブログではElis ReginaFlora PurimChristiane LegrandAstrud Gilbertoのカヴァーを紹介済みです。この感動の名曲の魅力を余すことなく伝えてくれる素晴らしいヴォーカル&演奏です。思わず涙腺がウルっときます!
http://www.youtube.com/watch?v=8S5PeugF8iE

「A Child Runs Free」
Kamau Kenyatta/M. Shahid作。前述のように本作のハイライトとなるジャズ・サンバ・グルーヴ。サンバ・グルーヴにのった優雅なFred Johnsonのヴォーカルが心地好いです。中盤のドラム&コンガのブレイクも盛り上がります。
http://www.youtube.com/watch?v=ZCYbdFLdHQE

「Song Of No Regrets」
Lani Hall/Sergio Mendes作。セルメンのカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介したSergio Mendes & Brasil '66『Crystal Illusions』(1969年)に収録されています。ここではドラマティックなバラードで聴かせてくれます。

「Feelings」
ブラジル人SSW、Morris Albertの作品をカヴァー。オリジナルは『Feelings』(1975年)に収録されています。日本ではハイ・ファイ・セットのカヴァーでお馴染みの曲ですね。Fred Johnsonのヴォーカルの魅力を存分に堪能できる名カヴァーだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=illqfOjCjeo

「Hidden Treasures」
C. Gracie作。AOR好きの人あたりもグッときそうな美しいメロディとメロウ・サウンドが魅力のバラード。

「Summertime」
George Gershwin作。お馴染みのスタンダードをカヴァー。ジャズ・ヴォーカリストらしい小粋なカヴァーに仕上がっています。

「Sophisticated Lady」
Duke Ellington/Irving Mills/Mitchell Parish作。Duke Ellington作品をカヴァー。当ブログではJudy Robertsのカヴァーも紹介済みです。堂々した歌声でこのバラードを歌い上げます。

「Blues」
ラストはトラディショナルをスウィンギー&ブルージーにカヴァーして締め括ってくれます。

昨日は自宅のネットワークが不通となり散々な1日でした。
結局はネットワーク側のメンテナンスの影響だったようですが・・・何のアナウンスもなくいきなりメンテナンス名曲で回線6時間以上も止められ、メールもネットも使えないなんてナンセンスですよね。おかげで仕事にも支障が生じましたし、問い合わせをしても要領を得ない対応で時間の浪費でした。まったく事業者(天下のK●●●さんですが)の鈍感さには閉口するばかりです。いわゆる大企業病に陥っていることがユーザーとして実感できました。
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2013年08月23日

The Beginning Of The End『Funky Nassau』

レア・グルーヴ・クラシック/Hip-Hopアンセムのタイトル曲を含む1stアルバム☆The Beginning Of The End『Funky Nassau』
ファンキー・ナッソウ
発表年:1971年
ez的ジャンル:カリビアン系マイアミ産ファンキー・グルーヴ
気分は... :今日は何が起きるのか・・・

今回はバハマ出身のファンキー・グループThe Beginning Of The Endの1stアルバム『Funky Nassau』(1971年)です。

The Beginning Of The Endは1969年にバハマのナッソーで結成されたグループ。メンバーはRaphael "Ray" Munnings(vo、org)、Liroy "Roy" Munnings(g)、Frank "Bud" Munnings(ds)というMunnings3兄弟とFred Henfield(b)の4名。

マイアミ・ソウルを代表するTKレーベル傘下のAlston Recordsから『Funky Nassau』(1971年)、『Beginning of the End 』(1976年)という2枚のアルバムをリリースしています。2枚ともに『Rare Groove A to Z』にも掲載されているレア・グルーヴ人気盤です。

そんなThe Beginning Of The Endを代表する1曲が本作『Funky Nassau』のタイトル曲「Funky Nassau」です。当時も全米チャートを賑わすヒットとなり、今日でもレア・グルーヴ・クラシック/Hip-Hopアンセムとして大人気です。

アルバム全体としてもカリビアン/ラテンのエッセンスを取り入れたファンキー・グルーヴのオンパレートであり、かなりのハイ・テンションで盛り上がることができる1枚です。カッティング・ギターが格好良い演奏が多いのも僕好みです。

かなり気持ちの良い弾け方なので、聴いているとモヤモヤが吹っ飛びます!

全曲紹介しときやす。

「Funky Nassau (Part 1)」
Raphael "Ray" Munnings/Tyrone Fitzgerald作。前述のとおり、レア・グルーヴ・クラシック、Hip-Hopアンセムとして人気のタイトル曲。シングルとして全米チャート第15位、同R&Bチャート第7位のヒットとなりました。開放的なカリビアン・グルーヴで疾走するファンキー・チューンです。アフロ・ファンク的な格好良さもあります。
http://www.youtube.com/watch?v=L762HQ-ha7I

定番サンプリング・ソースとして、The Prodigy「No Good (Start the Dance)」、The Roots「Table of Contents (Parts 1 & 2)」 、Funki Porcini「The Big Sea」、SKC「Funky Nassau」、Renegade Soundwave「Ozone Breakdown」、Knee Deep「Nassau Rules」、Dave Kurtis「Funky Nassau」、Doc Bec feat. El Da Sensei「Funky」、Lost 'N' Alive「Funky People (Funky Nassau)」、Mr. Spring「Blaxxtraxx 3 (Funky Nassau)」、Paradox「Kool Is Back」、HCH feat. Michalakis O Aftomatos「To Tragoudi Ths Modas」等で使われています。

また、Herbie Mann、King Kong、Juju Orchestra、Orgone等がカヴァーしています。

「Funky Nassau (Part 2)」
Liroy "Roy" Munnings作。「Funky Nassau」のPart 2。いきなりブレイクから入るのが格好良いですね。DJ Mink「Hey! Hey! Can U Relate?」のサンプリング・ソースになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=A8wJrUa0YaU

「Come Down」
Raphael "Ray" Munnings/Liroy "Roy" Munnings作。この曲もシングルになりました。ギター・カッティングが格好良いエネルギッシュ&ワイルドなファンキー・グルーヴ。
http://www.youtube.com/watch?v=q176AqUfwi4

「Sleep On Dream On」
Raphael "Ray" Munnings/Liroy "Roy" Munnings/Tyrone Fitzgerald作。ディープなファンクネスに溢れています。
http://www.youtube.com/watch?v=n3qUqO2d7M0

「Surrey Ride」
Raphael "Ray" Munnings/Liroy "Roy" Munnings作。軽快なカリビアン・ファンキー。気分はカーニヴァル・モードですね。
http://www.youtube.com/watch?v=gX6wvuHDoC4

「Monkey Tamarind」
Raphael "Ray" Munnings/Liroy "Roy" Munnings作。この曲もシングルになりました。疾走するファンキー・グルーヴの心地好さがクセになります。
http://www.youtube.com/watch?v=ZxmdSP4isbk

「In The Deep」
Raphael "Ray" Munnings/Liroy "Roy" Munnings作。武骨なファンキー・チューンですが、ラテンのスパイスがしっかり効いています。
http://www.youtube.com/watch?v=RHl9geNwmJw

「Pretty Girl」
Raphael "Ray" Munnings/Liroy "Roy" Munnings作。疾走するファンキー・チューンが並ぶなかで、アクセントとなるミディアム・チューン。それでもファンキー度は落ちません。
http://www.youtube.com/watch?v=mQWPFawQ4rI

「When She Made Me Promise」
Raphael "Ray" Munnings/Liroy "Roy" Munnings作。Pete Rock & C.L. Smooth「They Reminisce Over You (T.R.O.Y.) 」のサンプリング・ソースとしても知られる1曲。なかなか格好良いギター・ソロを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=nHoKH8HNqn8

Teddy Randazzoプロデュースの2nd『Beginning of the End 』(1976年)もセットでどうぞ!

『Beginning of the End』(1976年)
ザ・ビギニング・オブ・ジ・エンド
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2013年08月22日

Sabrina Malheiros『Equilibria』

ニュー・ボッサの歌姫のデビュー作☆Sabrina Malheiros『Equilibria』
Equilibria
発表年:2005年
ez的ジャンル:クール&スタイリッシュ系ニュー・ボッサ
気分は... :いい夢見られそうだ・・・

ニュー・ボッサの歌姫Sabrina Malheirosのデビュー・アルバム『Equilibria』(2005年)です。

AzymuthのベーシストAlex Malheirosの娘であるSabrina Malheirosの紹介は、2ndアルバム『New Morning』(2008年)、3rdアルバム『Dreaming』(2011年)に続き、3回目となります。

これまで紹介した2作品は、それぞれ『ezが選ぶ2008年の10枚』『ezが選ぶ2011年の10枚』でセレクトしたほどのお気に入りでした。

そんな彼女の1stアルバム『Equilibria』(2005年)もクラブ・テイストのニュー・ボッサ作品に仕上がっています。『New Morning』『Dreaming』同様、UKの良質レーベルFar Outからリリースされ、Daniel MaunickIncognitoのリーダーJean-Paul "Bluey" Maunickの息子)がプロデュースしています。

レコーディングには、Alex Malheiros(b、g、key、vo)、Jean-Paul "Bluey" Maunick(g)、Ze Carlos(g)、Kiko Continentino(p、el-p、org)、Ze Roberto(key、vo)、
Chico Batera(ds、per)が参加しています。

SabrinaとAlexのMalheiros親子の共演に加え、DanielとBlueyのMaunick親子の共演も楽しむことができます。ちなみに当ブログでは以前にDanielとBlueyの親子ユニットPara:Disoのアルバム『Paradise II Paranoia』(2001年)も紹介済みです。

話を『Equilibria』に戻すと、やはりSabrina Malheirosの原点がこの1stアルバムに詰まっていると思います。Alex MalheirosのDNAを受け継ぐクロスオーヴァー感覚のニュー・ボッサが、BlueyのDNAを受け継ぐプロデューサーDaniel Maunickの手腕により見事開花しているのがいいですね。

これぞ最強の二世タッグ!

クラブ・テイストのブラジリアン・グルーヴ好きの方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Terra de Ninguem」
オープニングはMarcos Valleのカヴァー。オリジナルは『Viola Enluarada』(1968年)に収録されています。軽快なボッサ・グルーヴが心地好く響きます。
http://www.youtube.com/watch?v=FtpyNWiBEp4

Nicola Conteによるリミックスもあります(アルバム未収録)。
「Terra de Ninguem(Nicola Conte Rework)」
 http://www.youtube.com/watch?v=c3U1Qv0nHyA

「Love Sorte」
Alex Malheiros/Sabrina Malheiros作。恋に破れた切ない女心がボッサ・グルーヴにのせて歌われます。父Alexのベースが効いています。
http://www.youtube.com/watch?v=fBvswRet8Zw

「Saudade Rio」
Alex Malheiros/Sabrina Malheiros/Daniel Maunick作。Malheiros親子&Maunick親子の共演。ニュー・ボッサ×UKジャズ・ファンクといった雰囲気の演奏をハンド・クラップと共に楽しむことができます。やはりBlueyのギターが入ると演奏が締まりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=z0lNa_S7xwI

「Maracatueira」
Alex Malheiros/Sabrina Malheiros作。Sabrina Malheiros作品らしいクール&メロウな疾走感にグッとくるブラジリアン・グルーヴ。
http://www.youtube.com/watch?v=AMfRQ745FvU

Incognitoによるリミックスもあります(アルバム未収録)。
「Maracatueira(Incognito Remixes)」
 http://www.youtube.com/watch?v=wPaXLcos2bo

「Vibrasom」
Sabrina Malheiros/Daniel Maunick作。この曲はDaniel Maunickの色が強く出た演奏かもしれません。父Blueyもギターでしっかりサポートしています。
http://www.youtube.com/watch?v=VJtCFuo2MA4

「Passa」
Sabrina Malheiros作。軽やかなグルーヴ感が涼しげで心地好いです。
http://www.youtube.com/watch?v=GdpRJwI9NaQ

「Equilibria」
Daniel Maunick作。タイトル曲はDanielが全ての楽器&プログラミングを手掛けています。どちらかといえば、つなぎの1曲といった趣です。
http://www.youtube.com/watch?v=rH55_UUZbts

「Estrada de Chao」
Alex Malheiros作。生演奏のみのナチュラルなブラジリアン・サウンドを満喫できます。Malheiros父娘の息の合ったコーラスも聴けます。
http://www.youtube.com/watch?v=93_boo1hT-A

「Estacao Verao」
Alex Malheiros/Thereza Malheiros作。少しレイジーなボッサ・グルーヴが僕好み。クール・ビューティーな雰囲気がいいですね!
http://www.youtube.com/watch?v=y_Ugchrc4jM

Kenny Dopeによるリミックスもあります(アルバム未収録)。
「Estacao Verao(Kenny Dope Remixes)」
 http://www.youtube.com/watch?v=6HJJg_9RKDA

「Eu Sous Mais Eu」
Ana Mazzotti作。オリジナルは『Ana Mazzotti』(1974年)に収録されています。このあたりは父Alex Malheirosの影響によるセレクトかもしれませんね。はつらつとしたSabrinaのヴォーカルがすがすがしい爽快ボッサ・グルーヴに仕上がっています。Ze Robertoのメロウ・エレピもいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=ygp8rBBHhEM

「Cade Voce」
Alex Malheiros/Sabrina Malheiros作。スタイリッシュかつ軽やかなブラジリアン・グルーヴにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=3YvlqFiFOJw

「Capoeira Vai」
Alex Malheiros/Sabrina Malheiros作。僕の一番のお気に入り。疾走するクラブ・テイストのブラジリアン・グルーヴ好きならば気に入るであろう1曲。やはりSabrinaのアルバムにはこういった曲を期待してしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=YK3gIt5O7Xs

「Nao Quero Nem Saber」
Alex Malheiros/Sabrina Malheiros作。ラストはクロスオーヴァー感覚のブラジリアン・グルーヴで締め括ってくれます。

Sabrina Malheirosの過去記事もご参照下さい。

『New Morning』(2008年)
ニュー・モーニング

『Dreaming』(2011年)
DREAMING
posted by ez at 00:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月21日

Derrick Hodge『Live Today』

衝撃作『Black Radio』のベーシストによる初ソロ☆Derrick Hodge『Live Today』
Live Today
発表年:2013年
ez的ジャンル:RGE系ジャズ・ベーシスト
気分は... :『Black Radio2』を聴く前に・・・

当ブログでは新作アルバムの紹介は日曜日が定番化していますが、気付くと未紹介の新作が溜まってきたので、旬を逃さぬよう日曜以外にも紹介していきたいと思います。

ということで新作アルバムからRobert Glasper Experiment(RGE)のベーシストDerrick Hodgeの初ソロ・アルバム『Live Today』です。

Derrick Hodgeは1979年フィラデルフィア生まれのベーシスト。

7歳からベースを始め、ジャズ・ベーシストとしてのキャリアを積みつつ、R&B/Hip-Hopアーティストのレコーディングに数多く参加してきました。そんなDerrick Hodgeの名を一躍世に知らしめたのは、異才ジャズ・ピアニストRobert Glasperのクロスオーヴァー・ユニットRobert Glasper Experiment(RGE)の衝撃作『Black Radio』(2012年)でした。

ジャズ・フィールドに止まらないクロスオーヴァーな活動が印象的なRGEのベーシストDerrick HodgeRobert Glasper Experiment作品以外で当ブログで紹介したDerrick Hodge作品として、以下のものがあります。

 Common『Be』(2005年)
 Common『Finding Forever』(2007年)
 Common『The Dreamer, The Believer』(2011年)
 Q-Tip『The Renaissance』(2008年)
 Gretchen Parlato『The Lost And Found』(2011年)

『Black Radio』の続編『Black Radio2』のリリースが発表されたばかりですが、そんなタイミングでリリースされたのがRGEのベーシストDerrick Hodgeの初ソロ・アルバム『Live Today』も興味をそそりますね。

レコーディング・メンバーは、Derrick Hodge(b、key、per)以下、Robert Glasper(p)、Chris Dave(ds)、Casey Benjamin(sax、vocoder)、Mark Colenburg(ds ※ライブ・メンバー)といった
Robert Glasper Experimentのメンバーをはじめ、Common(rap)、James Poyser(key)、 Alan Hampton(vo、g)、Travis Sayles(key、org)、Aaron Parks (p)、Keyon Harrold(tp)、Marcus Strickland(sax)、Corey King(tb)、American String Quartet,
Jahi Sundance(turntables)といったミュージシャンが参加しています。

基本的にはジャズ作品ですが、R&B/Hip-Hopを自然に通過してきたジャズ・ベーシストの作品といった趣です。また、『Black Radio』のような豪華ゲスト陣がない分、逆にDerrick HodgeのベースやChris Dave(あるいはライブメンバーのMark Colenburg)のドラムの魅力をダイレクトに感じることができます。

『Black Radio2』を聴く前のウォーミング・アップ的作品として最適かも?

Derrick Hodge "Live Today" EPK
 http://www.youtube.com/watch?v=pkIs5HGSKps

全曲紹介しときやす。

「The Real」
R&B/Hip-Hopを通過したコンテンポラリー・ジャズといった趣のオープニング。いきなりChris Daveの格好良いドラミングを満喫できます。RGE作品でもお馴染み、Jahi Sundanceがターンテーブルを操ります。

「Table Jawn」
Robert Glasper、Chris Dave、Derrick HodgeのRGEメンバーが、スプーンとコーヒーカップを使った"テーブル・ビーツ"にを奏でるジャム・セッション。なかなかお茶目です。

「Message Of Hope」
美しい音にメッセージを託した1曲。音の中に祈りのようなものを感じます。

「Boro March」
シンセ・フュージョン風のサウンドにKeyon Harroldの奏でるホーン類が呼応するジャズ・ベーシストのリーダー作らしい雰囲気の1曲。

「Live Today」
Common参加の先行シングル。淡々したサウンドをバックに、Commonの噛みしめるようなリリックがジワジワきます。
http://www.youtube.com/watch?v=u4P9tyv2fe8

「Dances With Ancestors」
美しくもミステリアスな演奏を満喫できるコンテンポラリー・ジャズ。それでもドラムがChris Daveだと一筋縄ではいかない感じがいいですね。

「Anthem in 7」
Derrick Hodgeのメロディアスな演奏とMark Colenburgの激しいドラミングのコントラストが印象的な1曲。

「Still The One」
Casey Benjaminのヴォコーダー以外の全てのヴォーカル、演奏をDerrick Hodgeがこなしています。澄み切った美しさが印象的です。

「Holding Onto You」
Alan Hamptonをフィーチャー。Alan HamptonのSSW調のヴォーカル&ギターを、Derrick HodgeのベースとAmerican String Quartetによるストリングス隊がサポートしているといった趣の仕上がり。

「Solitude」
この曲も前曲に続きAmerican String Quartetが参加。ここではストリング隊をバックにしたDerrick Hodgeのベース・プレイが中心に据えられています。

「Rubberband」
インタールードのような小曲。James Poyserが参加しています。

「Gritty Folk」
Derrick Hodge & Mark Colenburgによる強力リズム・セクションが演奏を牽引します。

「Doxology (I Remember)」
アコースティック&エレクトリック・ベース、オルガンによる最小限の音で美しい音世界を構築しています。

「Night Visions」
ラストはDerrick Hodge が全ての楽器を演奏し、ヒューマンビートボックスのようなことまで披露してくれます。

Robert Glasper Experiment関連の過去記事もご参照下さい。

Robert Glasper『Double Booked』(2009年)
Double Booked

Robert Glasper Experiment『Black Radio』(2012年)
ブラック・レディオ

Robert Glasper Experiment『Black Radio Recovered: The Remix EP』(2012年)
Black Radio Recovered: the Remix Ep
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2013年08月20日

Jonny Teupen『Love And Harp A La Latin』

ドイツ人ハープ奏者によるソフト・サンバ/ボサノヴァ作品☆Jonny Teupen『Love And Harp A La Latin』
Love & Harp a La Latin
録音年:1965年
ez的ジャンル:ハープ系ソフト・サンバ/ボサノヴァ
気分は... :今宵はロマンティックに!

今回はドイツ人ハープ奏者Jonny Teupenのソフト・サンバ/ボサノヴァ作品『Love And Harp A La Latin』(1965年)です。

Jonny Teupen(1923-1991年)はドイツ生まれのハープ奏者。60年代後半から70年代初めにかけて『Love And Harp A La Latin』(1965年)、『Play Harp』(1966年)、『Harpedelic』(1969年)、『Harporhythm』(1971年)等の作品をリリースしています。これらの作品はラウンジ好き、ソフト・ボッサ好き、クラブジャズ好きから今日高い評価を得ています。

今日紹介する『Love And Harp A La Latin』もムジカ・ロコムンド好き、サバービア好きにはお馴染みの1枚ですね。

ムジカ・ロコムンド掲載作品ということでイメージしやすいと思いますが、大半がソフト・サンバ/ボサノヴァ調の仕上がりです。ハープがメインのアルバムということでエレガントなソフト・サンバ/ボサノヴァを楽しむことができます。

ドイツのラウンジ・シーンを牽引していたBerry Lipmanがプロデュースを務め、レコーディングにはJonny Teupen(harp)以下、Karl-Heinz Kastel(g)、Rob Pronk(p、vo)、John Fischer(b)、Stuff Combe(ds)、Leonard Blech(flh)、Blanche Birdsong(vo)といったミュージシャンが参加しています。

ハープの隣に女性が佇むジャケの雰囲気をそのままサウンドにしたような素敵なソフト・サンバ/ボサノヴァ作品です。

全曲紹介しときやす。

「Mody」
Rob Pronk作。Teupenの美しいハープと共にスタートするムーディーなオープニング。

「Jonny And Blanche」
Berry Lipman作。イントロのJohn Fischerのベースが格好良い、女性スキャット入り哀愁ボッサ。僕はこの手の女性スキャット・ボッサに弱いんですよねぇ(笑)

「Linda」
Brigitte Weber/Karl-Heinz Kastel/Utta De Aviles作。疾走する哀愁ボッサ。Teupenの美しいハープと寂しげなスパニッシュ・ヴォーカルが印象的です。

「Cielito Lindo」
トラディションを小粋なアレンジで聴かせてくれます。ハープの持つ魅力を楽しめる仕上がりです。

「Frankie And Jonny」
ノスタルジックな雰囲気の正攻法ヴォーカル・チューン。

「Aupres De Ma Blonde」
スペイン語ヴォーカルの入ったスパニッシュ・ボッサ。実にムードがあっていいですね。

「Jonny's Harp」
Berry Lipman/Jonny Teupen/Joschi Colpar作。僕の一番のお気に入り。タイトルの通り、Teupenのハープを中心に据えた素敵なボッサ・チューン。女性スキャットが華を添えてくれます。

「La Mucura」
Teupenのハープが軽やかに響く、ラウンジ・モードの演奏がリラックスさせてくれます。

「Ur Le Pont D'Avignon」
フランス語ヴォーカルによるボッサ・チューン。ギターにハープの弦の響きが加わることでエレガントさが増します。

「Reservado」
Berry Lipman/Jonny Teupen/Joschi Colpar作。少し切ないメロディにセンチメンタルな気分になるソフト・サンバ。Leonard Blechのフリューゲル・ホーンもムーディーでいい感じ!

「C'est Re-Na-Ta」
Rob Pronk作。哀愁メロディが寂しげに響きます。映画音楽のような雰囲気があります。

「Ding」
Leonard Blech作。哀愁モードで疾走します。

「Ballade」
Stuff Combe作。ゆったりロマンティック・モードの演奏に心が落ち着きます。

「No Name Samba」
John Fischer作。男女スキャットが華やかなジャジー・ソフト・サンバ。本作のハイライトの1つかもしれません。

「Sambleebloo」
Rob Pronk作。ラウンジ・モードの軽やかさが魅力のソフト・サンバ。作者Rob Pronkの小粋なピアノとスキャットもいい感じです。

『Play Harp』(1966年)
プレイ・ハープ
posted by ez at 02:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする