2013年08月03日

The S.O.S. Band『One Of Many Nights』

きちんと聴けば、案外侮れない1枚☆The S.O.S. Band『One Of Many Nights』
One of Many Nights
発表年:1991年
ez的ジャンル:Tabu系ブラコン/R&B
気分は... :ニュートラルな耳で・・・

さて、今日はThe S.O.S. Bandの8thアルバム『One Of Many Nights』(1991年)です。

今でも根強い人気を持つブラコン・グループThe S.O.S. Bandに関して、これまで当ブログで紹介してきた作品は以下の4枚。

 『Too』(1981年)
 『On the Rise』(1983年)
 『Just the Way You Like It』(1984年)
 『Sands of Time』(1986年)

個人的にはJam & Lewisがプロデュースし、Mary Davisがリード・ヴォーカルをとっていた『On the Rise』(1983年)、『Just the Way You Like It』(1984年)、『Sands of Time』(1986年)という3枚への思い入れが強いですね。
※これら3作品は、最近CD再発が実現し、入手しやすくなったので、この機会にゲットすべきだと思います。

それだけに、『Sands of Time』を最後にJam & Lewisの下から離れ、Mary Davisがグループを脱退してしまったことは残念でした。

『Sands of Time』以降のS.O.S. Bandは、『Diamonds in the Raw』(1989年)、『One Of Many Nights』(1991年)という2枚のアルバムをリリースしていますが、Jam & LewisおよびMary Davis不在の影響のためか、評価はかなり低いですよね。

おそらく、この2作品についてはスルーしてしまったというS.O.S. Bandファンも多いのでは?僕自身も『Diamonds in the Raw』、『One Of Many Nights』共にリアルタイムで購入していましたが、大して真剣に聴いていませんでした。むしろ、Mary Davisのソロ作『Separate Ways』(1990年)の方をよく聴いていた記憶があります。

そんな印象の薄い2枚でしたが、少し前に両作品をきちんと聴き直したところ、『One Of Many Nights』については「案外悪くないかも?」という感想を持ち、今回紹介することにしました。

本作におけるメンバーは、Chandra Currelly(vo)、Bruno(1 Take)Speight(g、per)、Abdul Raoof(tp、per)、Jason Bryant(org)。また、ゲストとしてラッパーのKuruptが3曲でフィーチャーされています。プロデュースは前作と同じくCurtis Williams が務めています。

前作『Diamonds in the Raw』は、新機軸を打ち出そうとNJS的な時代の音に歩み寄りすぎて失敗した印象を受けましたが、本作では軌道修正し、時代の音を採り入れつつも、『Sands of Time』の頃のブラコン・フィーリングも復活しています。前作からMary Davisの後任となったリード・ヴォーカルChandra Currellyの歌声もサウンドとマッチしていると思います。

特に最初の2曲はJam & Lewis風ですし、スロウ〜ミディアム系にもS.O.S. Bandらしい雰囲気の楽曲を聴くことができます。

結果として、本作がグループのラスト・アルバムとなってしまいましたが、ニュートラルな耳で聴き直すと案外楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「I Wanna Be The One」
『Sands of Time』の頃のS.O.S. Bandを彷彿させるダンサブル・チューン。NJS的エッセンスもありますが、それが前面に出過ぎていないのが功を奏しています。

「Sometimes I Wonder」
シングルとして全米R&Bチャート第12位となった楽曲。リズムはこの時代らしいですが、全体の雰囲気はJam & Lewisプロデュースと錯覚しそうなブラコン的ダンス・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=PS6qTU1pP14

「Broken Promises」
Chandra Currellyのヴォーカルの魅力を活かしたスロウ・チューン。哀愁モードで歌い上げるChandra Currellyの切ないヴォーカルにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=RFrZ5fPcjNk

「How Can We Ever Get Back Together」
スロウ系ではこの曲が一番のお気に入り。Tabu系ブラコン好きの人であれば堪能できる素敵なミディアム・スロウです。

「Are You Ready」
Kuruptをフィーチャーしたアッパー・チューン。時代の音とS.O.S. Bandらしさに上手く折り合いをつけた仕上がり。S.O.S. Bandらしいダンサブル・チューンの中にアクセントとしてKuruptのラップ・パートが挿入されています。なかなか今聴いてもキャッチーだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=7jTXnN60jHc

「Can't Explain」
前曲「Are You Ready」と同タイプで、時代の音のウエイトを少し高めた感じです。それでもブラコン・フィーリングを失っていないのがいいですね。

「Someone I Can Love」
Kuruptフィーチャーの2曲目。90年代前半らしいラップを交えたダンサブル・チューン。S.O.S. Bandらしくないかもしれませんが、この時代のR&Bチューンとしては魅力的だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=dYbJheZTMrE

「Get Hyped On This」
Kuruptフィーチャーの3曲目。この曲も全くS.O.S. Bandらしからぬトラックですが、この時代の音としては格好良いアッパー・チューンだと思います。

「I Only Want You」
ブラコン・フィーリングを満喫できる美しいミディアム・メロウ。この甘く切ない感じにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=F9s8XRpld1M

「One Of Many Nights」
ラストはブラコン調のしっとりとしたバラードのタイトル曲で締め括ってくれます。

The S.O.S. Bandの過去記事もご参照下さい。

『Too』(1981年)
Too

『On the Rise』(1983年)
On the Rise

『Just the Way You Like It』(1984年)
ジャスト・ザ・ウェイ・ユー・ライク・イット+4

『Sands of Time』(1986年)
サンズ・オブ・タイム+4
posted by ez at 02:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月02日

Joe Bataan『Salsoul』

Salsoulレーベルの由来となった傑作ラテン・ソウル!☆Joe Bataan『Salsoul』
SALSOUL +1
発表年:1973年
ez的ジャンル:サルソウルの祖系N.Y.ラテン・ソウル
気分は... :Salsoulのルーツがここに!

今回はSalsoulレーベルの立ち上げに関わったN.Y.ラテン・ソウルの重要人物Joe Bataanが、Salsoulの前身Mericanaからリリースした『Salsoul』(1973年)です。

BataanによるSalaとSoulをミックスした造語であるアルバム・タイトル『Salsoul』が、人気レーベルSalsoulの名前の由来となったことでも有名な作品ですね。

1942年NYのスパニッシュ・ハーレム生まれのアフロ・フィリピーノであり、1960年代半ばN.Y.ラテン・シーンで活躍する"King of Latin R&B"ことJoe Bataanの紹介は、『Riot』(1968年)に続き2回目となります。

長年在籍してきたFnaiaと決別し、Salsoulの前身Mericanaと契約してリリースした本作には、SalaとSoulの融合に向けたBataanの強い意欲を感じることができます。こうしたパワーがSalsoulレーベルの立ち上げにつながっていったのでしょう。

アルバムにはJoe Bataan(vo、p)、Bobby Rodriguez(b、fl、sax、per)、Eddie Hernandez(coro、tb)等が参加しています。

レア・グルーブ・クラシック「Latin Strut」「Aftershower Funk」あたりを聴くと、本作におけるBataanのねらいを汲み取りやすいと思います。

Salsoulのルーツがここに!

レア・グルーヴ好き、ラテン・ソウル好き、Salsoul好きの人はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Mi Nube」
Joe Bataan作。Fania時代の楽曲のセルフ・カヴァーその1。『Riot』収録「My Cloud」の再演です。開放的なサルサ・グルーヴですが、このあたりはまだFania時代っぽい仕上がりですね。
http://www.youtube.com/watch?v=GjYjBap5x_M

「Muchacho Ordinario」
Joe Bataan作。Fania時代の楽曲のセルフ・カヴァーその2。『Riot』等に収録されていた「Ordinary Guy」のスペイン語カヴァー。正統派ラテン・ソウルな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=IYsy3NIFboo

「Sunny Gets Blue Mambo」
Jack Segal/Marvin Fisher作。Johnny Mathis & Ray Conniffで知られる楽曲のカヴァー。リズミックなピアノ、鳴りのいいホーン隊、軽快なラテン・リズムが実に心地好いヴォーカル入りのラテン・グルーヴ。
http://www.youtube.com/watch?v=yCpnU20KSzE

「Mujer Mia」
Joe Bataan作。メロウなバラード。Fania時代の楽曲のセルフ・カヴァーその3。ラテンのバラードって一歩間違えるとレトロ感が際立ってしまいますが、ここではメロウな味わいを上手く織り込むことで洗練された仕上がりになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=QCQHSkVGHtI

「Fin」
オススメその1。Bobby Rodriguez作。N.Y.サルサなグルーヴ感にファンキーなギター・サウンドを上手く融合させているのがいいですね!
http://www.youtube.com/watch?v=qhbVb4Qm23s

「Latin Strut」
オススメその2。Eumir Deodato作。本作のキラー・チューンといえばレア・グルーヴ人気曲のコレ!『Deodato 2』(1973年)に収録されたDeodato「Super Strut」 のカヴァーです。パーカッシヴなリズムと共に疾走するラテン・ジャズ・ファンクは文句なしに格好良いです。
http://www.youtube.com/watch?v=ebqpghcbxUk

「Johnny」
オススメその3。Joe Bataan作。Joe Bataanらしいヴォーカル入りラテン・ソウル作品。爽快なグルーヴと躍動するソウルフル・ヴォーカルがよくマッチしています。終盤のエキサイティングな演奏にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=yLPntYntLBc

「Peace, Friendship, Solidarity」
Joe Bataan作。当時冷戦下であった世界に向けて平和、友好、団結を訴えたメッセージ・ソング。英語、スペイン語、ドイツ語、ロシア語を駆使したラテン・ソウル・バラードです。

「Aftershower Funk」
オススメその4。William Howes, Jr.作。「Latin Strut」に次ぐ人気曲なのでは?ラテン・リズムと格好良いギター・カッティング、そしてフルートが駆け抜けるラテン・グルーヴ。中盤のブレイクで緩急をつけるあたりが心憎いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=17WL0cQSBxI

今回再発された国内盤CDには「Continental Square Dance」(Joe Bataan作)が追加収録されています。開放的なラテン・ディスコ・チューンは後のSalsoulレーベルを予感させます。

Joe Bataanの他作品もチェックを!

『Gipsy Woman』(1967年)
Gipsy Woman

『Subway Joe』(1967年)
Subway Joe

『Riot』(1968年)
Riot!

『Mr. New York and the East Side Kids』(1971年)
Mr New York & The East Side Kids

『Saint Latin's Day Massacre』(1972年)
セイント・ラテンズ・デイ・マサカー

『Singin' Some Soul』(1972年)
Singin Some Soul

『Afro-Filipino』(1975年)
AFROFILIPINO

『Mestizo』(1980年)
MESTIZO +6

『Joe Bataan II』(1981年)
Joe Bataan II
posted by ez at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月01日

Brian Auger & The Trinity『Definitely What!』

UKモッド・ジャズの傑作!☆Brian Auger & The Trinity『Definitely What!』
デフィニットリー・ホワット(紙ジャケット仕様)
発表年:1968年
ez的ジャンル:UKモッド・ジャズ/オルガン・ロック
気分は... :前進か停滞か?

ハモンド・オルガンを中心としたグルーヴィーなジャズ・ロックで人気を博したBrian Auger & The Trinityが1968年にリリースした『Definitely What!』です。

これまで当ブログで紹介したBrian Auger関連作品は以下の7枚です(発売年順)。

Julie Driscoll, Brian Auger & The Trinity
 『Open』(1967年)
 『Streetnoise』(1969年)
Brian Auger's Oblivion Express
 『A Better Land』(1971年)
 『Second Wind』(1972年)
 『Closer to It!』(1973年)
 『Straight Ahead』(1975年)
 『Reinforcements』(1975年)

上記のジャケがオリジナルですが、下記の再発ジャケで見慣れている方も多いのでは?僕が保有するCDもこちらの方です。

『Definitely What!』 ※再発ジャケ
Definitely What

本作におけるThe Trinityのメンバーは、Brian Auger(key、vo)、David Ambrose(b)、Clive Thacker(ds)という3名。

『Open』『Streetnoise』といったJulie Driscollとの共演作がクローズ・アップされることが多いですが、華やかなJulie不在の本作はある意味Brian Auger & The Trinityの本質を堪能できる1枚なのでは?

プロデュースはGiorgio Gomelsky。Brian AugerとRichard Hillがアレンジを担当しています。GomelskyのMarmaladeレーベルからのリリースです。

派手さはありませんが、モッズ好きには外せない1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「A Day In The Life」
John Lennon/Paul McCartney作。オープニングはBeatlesの名曲カヴァー。お馴染みの名曲をモッド・ジャズで聴かせてくれます。ストリングスも配し、メリハリを上手くつけています。
http://www.youtube.com/watch?v=FhnQ9ff3UsU

「George Bruno Money」
Brian Auger作。Augerが尊敬するミュージシャンZoot Moneyに捧げれた楽曲(タイトルはZoot Moneyの本名)。Augerのヴォーカル入りのグルーヴィー・チューンです。モッズ好きにはグッとくる仕上がり!
http://www.youtube.com/watch?v=ZZMtbZwMmLo

「Far Horizon」
Brian Auger作。Augerのヴォーカルも含めてミステリアスな雰囲気が漂います。
http://www.youtube.com/watch?v=ofWUVrflLx4

「John Brown's Body」
お馴染みのトラディショナルのカヴァー。ちょっとリラックス気分になります。
http://www.youtube.com/watch?v=3jdlBWy1TaI

「Red Beans And Rice」
Booker T. Jones/Al Jackson Jr./Donald "Duck" Dunn/Steve Cropper作。Booker T. & the M.G.'sのカヴァー。格好良さでいえば、アルバム随一なのでは?疾走するグルーヴィーなハモンドがたまりません!

「Bumpin' On Sunset」
Wes Montgomery作。Brian Auger's Oblivion Express『Straight Ahead』(1975年)でも再カヴァーしたほどAugerのお気に入り曲なのでしょうね。オルガン・ジャズ好きの人であれば、楽しめる演奏だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=qLOSBaWkGug

「If You Live」
Mose Allison作。なかなかシブい仕上がり。ビターなブルージー感がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=PuITJj71JlU

「Definitely What!」
Brian Auger/David Ambrose/Clive Thacker作。タイトル曲はそれまでと一変し、民族音楽のエッセンスを取り入れたアヴァンギャルドな仕上がりです。グルーヴィー&モッドな音を求める人にとってはビミョーかもしれませんね。

僕の保有するCDにはボーナス・トラックとして「What You Gonna Do?」が収録されています。Brian Auger's Oblivion Expressを予感させるような仕上がりです。

「What You Gonna Do?」
http://www.youtube.com/watch?v=1zvAaVaMzUc

Brian Auger関連作品の過去記事もご参照下さい。

Julie Driscoll,Brian Auger & The Trinity『Open』(1967年)
Open

Julie Driscoll,Brian Auger & The Trinity『Streetnoise』(1969年)
Streetnoise

Brian Auger's Oblivion Express『A Better Land』(1971年)
ア・ベター・ランド(紙ジャケット仕様)

Brian Auger's Oblivion Express『Second Wind』(1972年)
Second Wind

Brian Auger's Oblivion Express『Closer to It!』(1973年)
Closer to It (Dlx)

Brian Auger's Oblivion Express『Straight Ahead』(1975年)
ストレイト・アヘッド(紙ジャケット仕様)

Brian Auger's Oblivion Express『Reinforcements』(1975年)
Reinforcements
posted by ez at 02:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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