発表年:1982年
ez的ジャンル:UKニューウェイヴ/ブルーアイド・ソウル
気分は... :今聴くと興味深い・・・
今回はGreen Gartside率いるScritti Polittiの記念すべき1stアルバム『Songs To Remember』(1982年)です。
80年代に人気を博したScritti Polittiの紹介は、『Cupid & Psyche 85』(1985年)、『Provision』(1988年)に続き3回目となります。
どうしても『Cupid & Psyche 85』以降のダンス・ミュージック路線のイメージが強いUKユニットですよね。僕も自分がソウル/ダンス・ミュージックに目覚めた時期と、『Cupid & Psyche 85』がヒットした時期が重なったので、かなりのインパクトを受けました。と言いつつ、僕が一番聴いたアルバムは『Provision』だったのですが(笑)
そうした打ち込みサウンド主体のダンス・アルバムと比較すると、1stアルバムとなる『Songs To Remember』(1982年)は地味な印象を受ける作品ですよね。当時から評価の高いアルバムではありましたが・・・
2013年の現在、彼らの作品を聴き比べてみると、最も興味深く聴くことができるのはRough Tradeからリリースされた本作『Songs To Remember』かもしれません。生演奏の比重が高いスカスカな音空間が逆に心地好いし、ニューウェイヴとブラック・ミュージックの狭間を行き来するGreen Gartsideの原点のようなものを感じ取ることができます。
本作におけるScritti Polittiのメンバーは、Green Gartside(vo、g)、Nial Jinks(b)、Tom Morley(ds)の3名。他にRobert Wyatt(key)等もレコーディングに参加しています。
プロデュースはAdam Kidron。
派手さはありませんが、Green Gartsideの才気が伝わってくる1枚です。
異形のUKブルーアイド・ソウルを堪能あれ!
全曲紹介しときやす。
「Asylums In Jerusalem」
レゲエ調のオープニング。シングルにもなりました。うねるベースが格好良い軽快なリズムをバックに、ソウルフルな女性コーラスとGreenのハイ・トーン・ヴォーカルがよく栄えます。今の時期はこういうスカスカな音が心地好いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=QMv_sftCSnE
「A Slow Soul」
Greenのソウル・ミュージックへの憧れがモロに反映された仕上がり。いくらソウルフルなバッキングであっても、そこにGreenのヴォーカルが加わると、唯一無二のGreen Gartsideワールドになるところが凄いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=UUeSDLIZ2KI
「Jacques Derrida」
フランスの哲学者の名を冠したフォーキー・チューン。さり気ない曲ですが、ヒネリが効いています。
http://www.youtube.com/watch?v=pNNbJ04167I
「Lions After Slumber」
実は僕の一番のお気に入り。チープなテクノ感覚のなかに、しっかりファンクネスが効いています。Greenの才気と同時に、『Cupid & Psyche 85』を予感させます。
http://www.youtube.com/watch?v=xgWN4OVw_ck
「Faithless」
シングルにもなった名曲。ボコーダーも織り交ぜたゴスペル的なヴォーカル・ワークが印象的です。Greenのブラック・ミュージック志向が最も色濃く反映された楽曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=f1aPEsa-J4o
「Sex」
エレポップ感覚とファンクを上手く融合させたファンキー・チューン。この曲も『Cupid & Psyche 85』を予感させます。
http://www.youtube.com/watch?v=eauO1w301b8
「Rock a Boy Blue」
さり気にロック、ジャズ、ソウルを融合させている凄い1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=dAZkZPmp7ys
「Gettin' Havin' & Holdin'」
哀愁のメロディをバックに、Greenのクセのあるハイ・トーン・ヴォーカルが際立つ1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=nX5HI2HmdlA
「The Sweetest Girl」
ラストはシングルにもなったレゲエ調のダビー・チューン。ダークなサウンドは全くSweetestではありませんが(笑)。でも、独特な音空間の広がりに惹き込まれます。
http://www.youtube.com/watch?v=C4qVS6GrmRc
Scritti Polittiの過去記事もご参照下さい。
『Cupid & Psyche 85』(1985年)
『Provision』(1988年)