発表年:2013年
ez的ジャンル:RGE系ジャズ・ベーシスト
気分は... :『Black Radio2』を聴く前に・・・
当ブログでは新作アルバムの紹介は日曜日が定番化していますが、気付くと未紹介の新作が溜まってきたので、旬を逃さぬよう日曜以外にも紹介していきたいと思います。
ということで新作アルバムからRobert Glasper Experiment(RGE)のベーシストDerrick Hodgeの初ソロ・アルバム『Live Today』です。
Derrick Hodgeは1979年フィラデルフィア生まれのベーシスト。
7歳からベースを始め、ジャズ・ベーシストとしてのキャリアを積みつつ、R&B/Hip-Hopアーティストのレコーディングに数多く参加してきました。そんなDerrick Hodgeの名を一躍世に知らしめたのは、異才ジャズ・ピアニストRobert Glasperのクロスオーヴァー・ユニットRobert Glasper Experiment(RGE)の衝撃作『Black Radio』(2012年)でした。
ジャズ・フィールドに止まらないクロスオーヴァーな活動が印象的なRGEのベーシストDerrick Hodge。Robert Glasper Experiment作品以外で当ブログで紹介したDerrick Hodge作品として、以下のものがあります。
Common『Be』(2005年)
Common『Finding Forever』(2007年)
Common『The Dreamer, The Believer』(2011年)
Q-Tip『The Renaissance』(2008年)
Gretchen Parlato『The Lost And Found』(2011年)
『Black Radio』の続編『Black Radio2』のリリースが発表されたばかりですが、そんなタイミングでリリースされたのがRGEのベーシストDerrick Hodgeの初ソロ・アルバム『Live Today』も興味をそそりますね。
レコーディング・メンバーは、Derrick Hodge(b、key、per)以下、Robert Glasper(p)、Chris Dave(ds)、Casey Benjamin(sax、vocoder)、Mark Colenburg(ds ※ライブ・メンバー)といった
Robert Glasper Experimentのメンバーをはじめ、Common(rap)、James Poyser(key)、 Alan Hampton(vo、g)、Travis Sayles(key、org)、Aaron Parks (p)、Keyon Harrold(tp)、Marcus Strickland(sax)、Corey King(tb)、American String Quartet,
Jahi Sundance(turntables)といったミュージシャンが参加しています。
基本的にはジャズ作品ですが、R&B/Hip-Hopを自然に通過してきたジャズ・ベーシストの作品といった趣です。また、『Black Radio』のような豪華ゲスト陣がない分、逆にDerrick HodgeのベースやChris Dave(あるいはライブメンバーのMark Colenburg)のドラムの魅力をダイレクトに感じることができます。
『Black Radio2』を聴く前のウォーミング・アップ的作品として最適かも?
Derrick Hodge "Live Today" EPK
http://www.youtube.com/watch?v=pkIs5HGSKps
全曲紹介しときやす。
「The Real」
R&B/Hip-Hopを通過したコンテンポラリー・ジャズといった趣のオープニング。いきなりChris Daveの格好良いドラミングを満喫できます。RGE作品でもお馴染み、Jahi Sundanceがターンテーブルを操ります。
「Table Jawn」
Robert Glasper、Chris Dave、Derrick HodgeのRGEメンバーが、スプーンとコーヒーカップを使った"テーブル・ビーツ"にを奏でるジャム・セッション。なかなかお茶目です。
「Message Of Hope」
美しい音にメッセージを託した1曲。音の中に祈りのようなものを感じます。
「Boro March」
シンセ・フュージョン風のサウンドにKeyon Harroldの奏でるホーン類が呼応するジャズ・ベーシストのリーダー作らしい雰囲気の1曲。
「Live Today」
Common参加の先行シングル。淡々したサウンドをバックに、Commonの噛みしめるようなリリックがジワジワきます。
http://www.youtube.com/watch?v=u4P9tyv2fe8
「Dances With Ancestors」
美しくもミステリアスな演奏を満喫できるコンテンポラリー・ジャズ。それでもドラムがChris Daveだと一筋縄ではいかない感じがいいですね。
「Anthem in 7」
Derrick Hodgeのメロディアスな演奏とMark Colenburgの激しいドラミングのコントラストが印象的な1曲。
「Still The One」
Casey Benjaminのヴォコーダー以外の全てのヴォーカル、演奏をDerrick Hodgeがこなしています。澄み切った美しさが印象的です。
「Holding Onto You」
Alan Hamptonをフィーチャー。Alan HamptonのSSW調のヴォーカル&ギターを、Derrick HodgeのベースとAmerican String Quartetによるストリングス隊がサポートしているといった趣の仕上がり。
「Solitude」
この曲も前曲に続きAmerican String Quartetが参加。ここではストリング隊をバックにしたDerrick Hodgeのベース・プレイが中心に据えられています。
「Rubberband」
インタールードのような小曲。James Poyserが参加しています。
「Gritty Folk」
Derrick Hodge & Mark Colenburgによる強力リズム・セクションが演奏を牽引します。
「Doxology (I Remember)」
アコースティック&エレクトリック・ベース、オルガンによる最小限の音で美しい音世界を構築しています。
「Night Visions」
ラストはDerrick Hodge が全ての楽器を演奏し、ヒューマンビートボックスのようなことまで披露してくれます。
Robert Glasper Experiment関連の過去記事もご参照下さい。
Robert Glasper『Double Booked』(2009年)
Robert Glasper Experiment『Black Radio』(2012年)
Robert Glasper Experiment『Black Radio Recovered: The Remix EP』(2012年)