2013年09月12日

Cassandra Wilson『Belly Of The Sun』

ブルージーな魅力に満ちた快作☆Cassandra Wilson『Belly Of The Sun』
Belly of the Sun
発表年:2002年
ez的ジャンル:プリンセス・オブ・ダークネス系ブルース/ジャズ/ソウル
気分は... :川の底からこんにちは...

ジャズを超越した最高の女性シンガーCassandra Wilsonが2002年にリリースした『Belly Of The Sun』です。

今月に入って何気なく本作を久々に聴いたら、見事にハマってしまいました。
ディープ&ブルージーなのにへヴィな雰囲気はなく、透明感のあるナチュラルさが強く印象に残るあたりが僕自身の今のマインドとフィットしたのかもしれません。

これまで当ブログで紹介したCassandra Wilsonは以下の5枚(発売年順)。

 『Point Of View』(1986年)
 『Days Aweigh』(1987年)
 『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)
 『New Moon Daughter』(1995年)
 『Traveling Miles』(1999年)

本作『Belly Of The Sun』は、彼女の出身地のミシシッピにある旧鉄道駅舎に録音機材を持ち込んでレコーディングされた作品です。

レコーディングの中心メンバーはCassandra Wilson(vo、g)以下、Marvin Sewell(g)、Kevin Breit(g、mandolin、vo)、Mark Peterson(b)、(per、steel pans)、Cyro Baptista(per、vo)、Xavyon Jamison(ds)。さらにゲストとして、Richard Johnston(g、vo)、India.Arie(vo)、Olu Dara(tp)、Rhonda Richmond(vo、p)、Jesse Robinson(g)等が参加しています。プロデューサーはCassandra Wilson自身。

アルバム全体を支配するのはブルース・フィーリング。レコーディングが行われたミシシッピ州クラークスデールはデルタ・ブルース発祥の地であり、Cassandraの意図として自身のルーツの追求があったことは明快です。カヴァーやオリジナルの双方でブルージーなサウンドをバックにしたCassandraのディープなヴォーカルを満喫できます。

ただし、ブルース・フィーリングが支配するアルバムですが、ブルース一辺倒で終わっていないのが本作が魅力です。Antonio Carlos Jobim作品のボッサ・カヴァー、スティール・パンを用いたカリビアン・テイストの楽曲、ゲストのIndia.Arieとのデュエットによるオーガニック・ソウル等ジャンルに囚われないアプローチの楽曲も目立ちます。

ジャズ界最高の女性シンガーから最高の女性シンガーへとステップ・アップしたCassandra Wilsonの姿がはっきり読み取れる1枚です。

ジャズ・ファンのみならずソウル・ファンにも聴いて欲しい1枚ですね。

全曲紹介しときやす。

「The Weight」
The Bandの名曲をカヴァー(Robbie Robertson作)。オリジナルは当ブログでも紹介した名盤『Music From Big Pink』(1968年)に収録されています。僕の一番のお気に入りです。このオープニングを聴けば、本作の素晴らしさを一発で実感できるはずです。ディープ&ブルージーなのに実に澄み切った仕上がりに感動の連続です。こんな秀逸な「The Weight」のカヴァーを聴いたことがありません。ここでのCassandraのヴォーカルはジャンルを超越した存在感があります。さすがはプリンセス・オブ・ダークネス!
http://www.youtube.com/watch?v=x26I1EHGgmI

「Justice」
Cassandra Wilson作。Marvin Sewellのブルージーなギターが印象的なブルース。成熟を増したCassandraのヴォーカルを堪能できると同時に、ソングライターとしての彼女の才能を再確認できます。
http://www.youtube.com/watch?v=DzD7tGDmROI

「Darkness on the Delta」
Jay Livingston/Al J. Neiburg/Marty Symes作。タイトルからしてCassandraにぴったりな曲ですね。"Boogaloo" Amesのノスタルジックなピアノをバックに、Cassandraが雰囲気たっぷりのヴォーカルで魅了してくれます。

「Waters of March」
Antonio Carlos Jobimの名曲「Aguas de Marco」をカヴァー。ブルージーなイメージが強い本作に爽やかな風を吹き込んでくれます。こんなブルージーなボッサはCassandraのアルバムだからこそでしょうね!実に秀逸です。終盤の子供たちのコーラスの演出も心憎い!
http://www.youtube.com/watch?v=ufoO5rvD88k

「You Gotta Move」
Mississippi Fred McDowell作。当ブログでも紹介したThe Rolling Stones『Sticky Fingers』でのカヴァーでお馴染みのミシシッピ・ブルースをカヴァー。この曲といえば、Mick Jaggerのイメージが強いですが、Stonesヴァージョンをさらに黒くディープにしたかのような本ヴァージョンは鳥肌ものです。Richard Johnstonのギターが超シブい!
http://www.youtube.com/watch?v=GxeVoRMvlzU

「Only a Dream in Rio」
James Taylor作品をカヴァー。JTのオリジナルは『That's Why I'm Here』(1985年)に収録されています。スティール・パンを含む軽やかなパーカッシヴ感を持ち、華やかな女性コーラスも加わった本曲は、メロウネスという意味では本作随一かもしれません。Cassandraのヴォーカルも明るく躍動しています。

「Just Another Parade」
Cassandra Wilson作。India.Arieとデュエットした話題曲。Cassandraのディープな魅力とIndia.Arieのオーガニックな魅力が見事に融合した透明感に溢れた1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=yulR7RHBkoo

「Wichita Lineman」
Glen Campbellのヒットでお馴染み、Jimmy Webb作の名曲をカヴァー。Cassandraならではのディープで美しいカヴァーに仕上がっています。ディープでも重くなりすぎていないのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=lWwDgYlGeZA

「Shelter From the Storm」
Bob Dylanのカヴァー。オリジナルは『Blood on the Tracks』(1975年)に収録されています。当ブログでは『Hard Rain』(1976年)収録のライヴ・ヴァージョンを紹介済みです。Cassandraの説得力のあるヴォーカルがこの名曲に新たな息吹を吹き込んでくれています。
http://www.youtube.com/watch?v=5-C319Qj_O0

「Drunk as Cooter Brown」
Cassandra Wilson作。スティール・パンが印象的なカリビアン・テイストの仕上がり。こういった作品も聴けるのが本作の楽しいところですね。
http://www.youtube.com/watch?v=AyANp9BnCEs

「Show Me a Love」
Jesse Robinson/Cassandra Wilson作。オリジナル曲ではこの曲が一番好き!素晴らしいソウル・チューンです。軽やかでパーカッシヴなバッキングを従え、Cassandraが味わい深く艶やかなヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=R_G3vzIG_10

「Road So Clear」
Rhonda Richmond作。どこまでにブルージーに迫るバラード。プリンセス・オブ・ダークネスらしい歌声を存分に味わえます。

「Hot Tamales」
Robert Johnson作。本編のラストはアルバムの余韻を味わうリラックした小曲で締め括ってくれます。

「Corcovado」
国内盤のボーナス・トラックとしてAntonio Carlos Jobimのカヴァー2曲目「Corcovado」が収録されています。お馴染みのボッサ名曲をディープに歌い上げます。

Cassandra Wilson作品の過去記事もご参照下さい。

『Point Of View』(1986年)
ポイント・オブ・ヴュー

『Days Aweigh』(1987年)
デイズ・アウェイ

『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)
Blue Light 'Til Dawn

『New Moon Daughter』(1995年)
New Moon Daughter

『Traveling Miles』(1999年)
トラヴェリング・マイルス
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2013年09月11日

Lucas Arruda『Sambadi』

ブラジリアン・メロウ/フュージョンなデビュー作☆Lucas Arruda『Sambadi』
サンバディ
発表年:2013年
ez的ジャンル:ブラジリアン・メロウ/フュージョン
気分は... :今宵楽しく...

今回はブラジリアン・メロウ/フュージョンの新作Lucas Arruda『Sambadi』です。

Lucas Arrudaは1983年生まれのプロデューサー/コンポーザー/マルチインストゥルメント奏者。リオ、ミナス、バイーアに接するエスピリトサント州の出身です。AzymuthMarcos Valle等の70年代のブラジリアン・メロウや、Curtis MayfieldStevie Wonder等のソウル・ミュージックなどを聴いて育ったそうです。

1stアルバムとなる本作『Sambadi』は、70〜80年代ブラジリアン・メロウ/フュージョンへのリスペクトに満ちたアルバムに仕上がっています。

楽曲はThe Isley Brothersのカヴァー「Who's That Lady」以外はLucas Arrudaのオリジナルです。

アレンジもLucasが手掛け、一部でクラヴィネットのFlorian Pellisier、ドラムの兄Thiago Arrudaが参加した以外はLucasがすべての楽器を演奏しています。

本作はPascal Riouxが主宰するフランスのレーベルFavorite Recordingsからのリリースです。

Favorite Recordingsといえば、当ブログでも紹介したAndre Solomkoによるフィンランド産AOR/フュージョン作品『Ou Es-Tu Maintenant?』をリリースしたレーベルです。

本作も『Ou Es-Tu Maintenant?』と同じくアナログ・シンセへのこだわりを感じます。その意味でFavorite Recordingsらしい色合いもよく出たアルバムになっていると思います。

ブラジリアン・メロウ/フュージョン好きの方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Physis」
プロローグ的な短いインスト。

「Tamba Part 1」
70〜80年代ブラジリアン・フュージョン感覚のインスト。Florian Pellisierによるクラヴィネットの響きも印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=N_XZcRI8aiw

「Batuque」
バトゥカータ調のブラジリアン・フュージョン。メロウな疾走感と躍動するリズムにグッときます。フェンダー・ローズ好きは気に入るはずです。

「Who's That Lady」
The Isley Brothers、1964年のシングルをカヴァー。当ブログでは『3+3』収録のセルフ・リメイク「That Lady」を紹介済みです。僕はどうしても「That Lady」のイメージが強いのですが、Lucasはオリジナルの雰囲気に近いかもしれませんね。ドラムを叩くのは兄のThiago Arruda。
http://www.youtube.com/watch?v=ocezx5xknZs

「Rio Afternoon」
インタールード的な短いメロウ・チューン。

「Na Feira」
市場の賑わいを音にしたサウンド・スケープ的な小曲。

「Sambadi (Album Version)」
タイトル曲はアシッド・ジャズ的な影響も感じるブラジリアン・グルーヴ。軽軽なグルーヴとシンセの幻想的な響きが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=UdvvZfjTwDQ

「Carnival」
本作らしいブラジリアン・フュージョン。少しケバケバしい位のアクセントのつけ方が逆にいいですね。この曲でも兄Thiagoがドラムを叩いています。

「Alma Nova」
Lucasの親友Fabricio Di Monacoが歌詞を書いたヴォーカル入りの哀愁メロウ・チューン。この曲あたりはFavorite Recordingsらしいのでは?

「Tamba Part 2」
オリジナルのラストは「Tamba」のパート2。クラヴィネットやローズが織り成すブラジリアン・フュージョン・サウンドを満喫しましょう。

国内盤には「To Curtis」「Wonder」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

「To Curtis」
タイトルの通り、Curtis Mayfieldへ捧げられた曲。アーバン・メロウ的ではありますが、本編では聴けなかったソウル・エッセンスを楽しむことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=-v8Q5PvD4uE

「Wonder」
こちらはStevie Wonderへ敬意を表した曲。メロディやサウンドがStevie調です。

サッカー日本代表はガーナに勝利しました。
前線からの守備意識も高く、グアテマラ戦からの修正も感じられましたが、なんかモヤモヤ感が残りました。先制を許したからでしょうか、前半の好機を逃したからでしょうか、期待の柿谷が不発だったからでしょうか・・・
posted by ez at 01:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月10日

Les McCann『Bucket O'Grease』

パーティー・チューン満載のラテン・ジャズ・グルーヴ作品☆Les McCann『Bucket O'Grease』
バケット・オ・グリーズ
発表年:1967年
ez的ジャンル:パーティー・ラテン・ジャズ・グルーヴ
気分は... :イルカ軍団、初戦勝利!

NFL第1週、我がマイアミ・ドルフィンズは見事開幕戦を勝利しました。ラン攻撃がいま一つだったのは残念ですが、とにかく幸先の良いスタートを切れたのは何よりです。

今回はジャズ・ピアニストLes McCannによるラテン・ジャズ・グルーヴ作品『Bucket O'Grease』(1967年)です。

ニュー・ソウルの誕生にも大きく貢献したジャズ/ソウル・ピアニストLes McCannの紹介は、『Much Les』(1969年)、Les McCann & Eddie Harris『Swiss Movement』(1969年)に続き3回目となります。


Limelightからリリースされた本作『Bucket O'Grease』は、Jerry Rossプロデュースによるラテン・ジャズ作品です。

レコーディングには、Les McCann(p)、Jimmy Georgantones(g)、Leroy Vinnegar (b)、Booker T. Robinson(ds)、Aki Aleong(per)、Joseph Torres(per)、Ric Desilva(per)、Ron Rich(per)、Plas Johnson(sax、fl)、Lee Katzman(tp、flh)が参加しています。

とにかく最初から最後まで躍動するパーティー・ラテン・グルーヴのオン・パレードのアルバムです。首尾一貫したパワフルな演奏に圧倒されます。

「Hey Leroy, Your Mama's Callin' You」「Bang! Bang!」といったお馴染みのパーティー・ラテン・グルーヴのカヴァー、「Watermelon Man」「Yesterday」といった名曲のラテン・カヴァー、Jerry Ross/Les McCann作のオリジナルなど、さまざまなかたちでパーティー・ラテンを楽しませてくれます。

陽気なパーティー・ラテン・ジャズは聴いているだけでポジティヴなヴァイヴを与えてくれます。

全曲紹介しときやす。

「Hey Leroy, Your Mama's Callin' You」
Jimmy Castor/John Pruitt作。Jimmy Castorがヒットさせたパーティー・ラテン・グルーヴ。オリジナルは当ブログでも紹介した『Hey Leroy』に収録されています。ここでも最高にハッピーなパーティー・ラテン・グルーヴを満喫できます。躍動するラテン・リズムにのって、小粋なMcCannのピアノや涼しげなフルートが軽やかに響き渡ります。
http://www.youtube.com/watch?v=gancWDVid7k

「Bang! Bang!」
Joe Cuba/Jimmy Sabater作。The Joe Cuba Sextetのパーティー・ブーガルーをカヴァー。当ブログでは前述の『Hey Leroy』に収録されたJimmy Castorヴァージョンも紹介済みです。ここでもゴキゲンなパーティー・ブーガルーで盛り上げてくれます。プレイヤー達自身が実に演奏を楽しんでいる様子が聴き手にも伝わってきます。

「Music To Watch Girls By」
Sid Ramin作。Bob Creweのヒット曲をカヴァー。当ブログではWillie Boboのカヴァーも紹介済みです。当カヴァーは格好良すぎる疾走感にグッとくるラテン・ジャズに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=9w-kEPacagw

「Watermelon Man」
Herbie Hancock作のジャズ・スタンダードをカヴァー。ここではラテン・フレイヴァーのソウル・ジャズといった雰囲気の演奏を聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=S28i9PUcbtA

「La Brea」
Jerry Ross/Les McCann作。ホーン隊が活躍するファンキー・ラテン・グルーヴ。Booker T. Robinsonによるドラミングにしびれます!

「All」
Marian Grudeff/Nino Oliviero/Raymond Jessel作。エレガントなオーケストレーションも入ったラウンジ風の仕上がり。

「Red Top」
Gene Ammons作。当ブログではThe Latin Jazz Quintetのカヴァーも紹介済みです。パワフルな中にも小粋なセンスが伝わってくるラテン・ジャズ。
http://www.youtube.com/watch?v=5oyT5j1ki0c

「Yesterday」
The Beatlesの名曲カヴァー(Lennon/McCartney作)。「Yesterday」を見事なラテン・グルーヴとして聴かせてしまう手腕に脱帽です。

「Boo-Go-Loo」
Jerry Murray作。タイトルの通り、ハッピー・モードのパーティー・ブーガルー。自然と手拍子を叩き、体を揺らしてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=bso5CIk6ArA

「Bucket O' Grease」
Jerry Ross/Les McCann作。タイトル曲もラテン・モードでグイグイ突進します。McCannのピアノ・プレイも存分に楽しめます。

「Fake Out」
Jerry Ross/Les McCann作。ラストもスロットル全開で躍動するラテン・グルーヴを聴かせてくれます。

興味がある方は他のLes McCann作品もチェックを!

『Much Les』(1969年)
Much Les

Les McCann & Eddie Harris『Swiss Movement』(1969年)
Swiss Movement

『Comment』(1970年)
Comment

Les McCann & Eddie Harris『Second Movement』(1971年)
Second Movement

『Invitation To Openness』(1971年)
Invitation to Openness

『Talk To The People』(1972年)
Talk to People

『Another Beginning』(1974年)
Another Beginning

『Layers』(1974年)
Layers

『Hustle To Survive』(1975年)
Hustle to Survive
posted by ez at 00:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月09日

Vernon Burch『When I Get Back Home』

フリーソウル人気曲「Mr. Sin」「To Make You Stay」収録☆Vernon Burch『When I Get Back Home』
When I Get Back Home: Expanded Edition
発表年:1977年
ez的ジャンル:ファンキー&メロウ・ソウル
気分は... :歓喜のCD化!

今回はフリーソウル人気盤としてお馴染みのファンキー&メロウ・ソウル作品Vernon Burch『When I Get Back Home』(1977年)です。

「Mr. Sin」「To Make You Stay」という2曲のフリーソウル人気曲が収録されたアルバムであり、長らくCD化が熱望されていた作品です。最近ようやくCD化が実現したため、速攻でゲットしました。

Vernon Burchは1957年ワシントンDC生まれのシンガー/ギタリスト。

10代半ばでThe Delfonicsのセッションに参加し、Bar-Kaysにも一時在籍していました。

1975年にはシングル曲「Changes (Messin' with My Mind) 」を含む1stソロ・アルバム『I'll Be Your Sunshine』(1975年)をリリースしています。

その後『When I Get Back Home』(1977年)、『Love-A-Thon』(1978年)、『Get Up』(1979年)、『Stepping Out』(1980年)、『Playing Hard to Get』(1982年)といったアルバムをリリースしています。

とにかく祝CD化ですね。フリーソウルのコンピで「Mr. Sin」「To Make You Stay」の2曲を知って以来、『When I Get Back Home』のCD化を待ち望んでいましたが、CDを手元に置くことができ、ここ数日は本作のジャケがいい酒の肴となっていました(笑)

それらの人気曲のみならずアルバム全体としても内容充実しています。Stevie Wonder三部作に入っていそうなStevie Wonderライクな楽曲が多いのも事実ですが、いいものはいい!って感じでしょうか。

レコーディングにはVernon Burch(vo、g、syn)、Ed Brown(b)、Nathan Watts(b)、Greg Phillinganes(p)、John Jarvis(p)、Joe Blocker(ds)、Hank Redd(sax)、Ray Brown(tp)、Ray Maldonaldo(tp)といったミュージシャンが参加しています。

Vernon Burch自身がプロデュース&アレンジを手掛け、ソングライティングも全て自身が手掛けています(共作含む)。

フリーソウル好きの人はぜひゲットすべき1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Sexasonic」
シングルにもファンキー・チューン。ファンキーなカッティング・ギターも含めて、こうしたファンク色の強い楽曲の方がVernon Burchの本来の持ち味かもしれません。

「Mr. Sin」
フリーソウル人気曲(『Free Soul Colors』収録曲)。Stevie Wonder調の軽快なメロウ・グルーヴ。ラテン・フレイヴァーが効いているのが僕好みです。
http://www.youtube.com/watch?v=W8solQycEzc

「Paradise」
メロウなエレピ・サウンドをバックに、セクシーなヴォーカルを聴かせてくれるアーバン・メロウ。ヴォーカリストVernon Burchの魅力に触れることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=aNOdFN18Ay4

「Good To Me」
シンセを駆使した本作らしいファンク・チューン。シンセが生み出すファンキー・グルーヴとVernon Burchのパンチの効いたヴォーカル、格好良いギター・ソロがよくマッチしています。

「When I Get Back Home」
「To Make You Stay」、「Mr. Sin」に次ぐ僕のお気に入り。躍動するヴァイヴが心地好いアップ・チューン。曲良し、サウンド良し、歌良し!三拍子揃っています。
http://www.youtube.com/watch?v=inlbGOEknRk

「Leaving You Is Killing Me」
この曲もシングルになりました。軽快なカッティング・ギターが心地好いライト感覚のファンキー・グルーヴです。ホーン隊もファンキー・モードを盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=S_oH-HStvMc

「To Make You Stay」
フリーソウル人気曲(『Free Soul Lovers』収録曲)。Chicagoを彷彿させるホーンが鳴り響くイントロから格好良すぎるヤング・ソウル調の仕上がり。メロウなエレピの響きも実に心地好いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=iDRLnLBnLro

「Leave Your Spirit Behind」
ミステリアスな雰囲気を醸し出したStevie Wonderライクのスピリチュアルなバラードです。

「Bye, Bye, Baby」
ブラジリアン・フレイヴァーの効いたStevie Wonderライクな仕上がり。「Mr. Sin」好きの人であれば、この曲も気に入るはず!
http://www.youtube.com/watch?v=_X__V56-BKs

「Ghetto Penthouse」
ラストはパンチの効いたファンク・チューンで締め括ってくれます。この曲もStevie Wonderの三部作あたりに収録されていそうな曲ですが・・・まぁ、そんなことどうでもいいか(笑)

CDにはボーナス・トラックとして「Leaving You Is Killing Me (Single Version)」「Sexasonic (Single Version)」の2曲が追加収録されています。

『Get Up』(1979年)
ゲット・アップ
posted by ez at 00:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月08日

John Legend『Love In The Future』

伝説よ再び!原点回帰したモダン・ソウル最新作☆John Legend『Love In The Future』
ラブ・イン・ザ・フューチャー
発表年:2013年
ez的ジャンル:コンテンポラリーR&B/モダン・ソウル
気分は... :いろいろ要望はありますが...

今回は人気男性R&BシンガーJohn Legendの最新作『Love In The Future』です。

グラミー賞9冠に輝く実力派男性R&BシンガーJohn Legendについて、当ブログでこれまで紹介した作品は以下の3枚。

 『Once Again』(2006年)
 『Evolver』(2008年)
 John Legend & The Roots『Wake Up!』(2010年)

The Rootsとの共演によるカヴァー・アルバムとなった前作『Wake Up!』は企画アルバムの色彩もあったので、純然たるオリジナル・アルバムということでは『Evolver』(2008年)以来5年ぶりということになります。

新作の制作に際して、John Legendには、所属レーベルG.O.O.D. MUSICのオーナーKanye Westのように流行りのサウンドを巧みに取り込んだエレクトロ/クロスオーヴァー路線と、1st『Get Lifted』(2004年)、2nd『Once Again』のように歌やメロディを大切にするソウル路線という選択肢があったと思うのですが、どうやらJohnは"Great Modern Soul Album"を目指して後者の路線を選択したようです。

本作ではKanye WestDave TozerJohn Legendがエグゼクティヴ・プロデューサーを務め、彼ら3人をはじめ、88-KeysAli Shaheed MuhammadBink!BoogzDavid L. Anderson IIDoc McKinneyDa InternzDarhyl CamperHit-BoyJon David AndersonKen LewisMalayMark WilliamsNana KwabenaThe RunnersThe Twilite ToneQ-Tipといった多彩なプロデューサーが制作に携わっています。

今回Kanye Westは直接的なトラック制作には関与せず、サウンドの方向性を提案する役割に徹していた模様です。

愛をテーマにアルバムだけあって、愛に満ちた楽曲が目白押しです。
特に終盤の壮大な構成は"最強のラブアルバム"という謳い文句に相応しいものです。

個人的にはJohnがモダン・ソウル作品を目指した方向性は大歓迎です。
一方で、『Once Again』収録の「Heaven」のようなアーバン・メロウな楽曲が入っていないのは残念ですね。

"Great Modern Soul Album"を制作するのに、G.O.O.D. MUSICに所属することや、今回のようなプロデューサー陣の起用が功を奏すのか疑問に思う点もありますが、John Legendならではの素晴らしいR&B作品に仕上がっていることには違いありません。

次の伝説(レジェンド)にも期待したく思います!

全曲紹介しときやす。

「Love in the Future (Intro)」
愛に満ちたアルバムのプロローグ。Dave Tozerプロデュース。

「The Beginning...」
Sara Bareilles「Winter Song」の美しいメロディをサンプリングした感動のビューティフル・ソング。Hit-Boy/Kanye West/Dave Tozerプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=lyeTgkL3tyw

「Open Your Eyes」
Bobby CaldwellのAOR名曲をカヴァー。Common「The Light」のサンプリング・ソースとしてもお馴染みですね。オリジナルは当ブログでも紹介した『Cat In The Hat』(1980年)に収録されています。オリジナル自体が大好きなので個人的には大歓迎のカヴァーです。ここではDetroit Emeralds「You're Getting a Little Too Smart」のビートをサンプリングしつつ、オリジナルの魅力を受け継いだ王道カヴァーで聴かせてくれます。Johnのヴォーカルも何処となくBobby Caldwell風ですね。Darhyl Camper/Kanye West/Dave Tozer/Boogzプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=Yp6X_r62zNY

「Made to Love」
Lil' Louis「The Original Video Clash」をサンプリング・ソースに使った壮大なスケール感を持った大きなミッド・グルーヴ。ニュージーランド出身の白人女性シンガーKimbra(Kimbra Lee Johnson)のユニークなコーラスが独特の雰囲気を醸し出しています。彼女はソングライターの一人としてもクレジットされています。Dave Tozer/Nana Kwabena/Kanye West/Da Internzプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=nRpjsFcb2uo

「Who Do We Think We Are」
アルバムからのリード・シングル。Rick Rossをフィーチャー。John Legendらしいソウル・チューンです。Rick Rossの存在感のあるラップや、Jean Knight「Mr. Big Stuff」をはじめ、Marvin Gaye「If I Should Die Tonight」、Lenny Kravitz「Let Love Rule (Live in Boston) 」をサンプリングした声ネタでアクセントをつけています。Bink!/Dave Tozer/Kanye West/The Twilite Tone/Nana Kwabenaプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=-LfRNzgH62c

「All of Me」
John Legendらしいスケールの大きなバラード。真摯なJohnの歌声が胸の奥まで響き渡ります。Dave Tozer/John Legendプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=u7cid83zMuU

「Hold on Longer」
ジェントルなヴァイヴに包み込まれたバラード。88-Keys/Dave Tozer/Kanye Westプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=z34a08DziUE

「Save the Night」
苦境を救うメッセージ!といった趣の仕上がり。闇の中なかに一筋の光明を見出させてくれるようなヴァイヴを与えてくれます。The Runners/Dave Tozer/Jon David Anderson/David L. Anderson II/Kanye West/John Legend/Mark Williamsプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=_H8tOZz8T8w

「Tomorrow」
Q-Tipプロデュース。いきなりDr. John「Glowin'」のサンプリングと共にスタートする温もりのソウル・チューン。Q-TipらしさとJohn Legendのソウル魂が上手く調和しているのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=BJnrF3oum_4

「What If I Told You? (Interlude)」
ソウルフルなインタールード。The Twilite Tone/Kanye West/Dave Tozer/Ken Lewisプロデュース。

「Dreams」
Darhyl Camper/John Legend/Kanye West/Dave Tozerプロデュース。美しいピアノ弾き語りによるバラード。オートチューンも駆使して甘く儚い夢の世界を歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=pYHNcMJ3hGw

「Wanna Be Loved」
傷ついた心を癒して欲しいときに聴きたくなりそうな"愛"のメッセージ。Johnらしいソウル・ヴァイヴを堪能できる1曲なのでは?Doc McKinney/Ali Shaheed Muhammadプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=eMDYSHD_h9A

「Angel (Interlude)」
Anita Baker、1983年のシングルをJohn LegendとStacy Bartheでデュエットしたインタールード。Darhyl Camper/Kanye Westプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=vqqhhL9OHIE

「You & I (Nobody in the World)」
二人だけの愛の世界を歌ったラブソング。少し仰々しいですが、照れずに実直に歌い上げてしまうところがいいですね。Malay/Dave Tozer/John Legendプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=yX1vtnJoYKU

「Asylum」
二人だけの愛はさらに愛の聖域へ・・・。前曲からの流れで聴くとドラマチックな流れになっています。Dave Tozer/Kanye West/Mark Williamsプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=0FY246MsJD8

「Caught Up」
本編のラストもそれまでの2曲の流れを受け継ぎ、愛にどっぷり浸ったラブソングで締め括ってくれます。Hit-Boy/Dave Tozer/Kanye Westプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=IY7Jp8kz21s

国内盤CDには以下の5曲のボーナス・トラックが追加収録されています。

「So Gone」
The Dells「Always Together」をサンプリングした正統派ソウル・チューン。 Bink!プロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=CUQKt6hMMfg

「We Loved It」
Sealをフィーチャー。切々と訴えかけるかのように二人が歌い上げます。Kanye West/Jeff Bhasker/Dave Tozer/Travis Scottプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=J03Ti7DPhpU

「Aim High」
しっとりとしたジャジー感覚のメロウ・バラード。Pharrell Williams/John Legendプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=Oy7K_aFfLMI

「For the First Time」
ピアノの弾き語りをバックに、力強く歌い上げるバラード。John Legend/Dave Tozerプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=1Fsa5FH1cdA

「Made To Love (Benny Benassi Remix)」
「Made To Love」のリミックス。フロア仕様のEDMチューンに仕上がっています。正直、僕はこの手のサウンドには興味がありませんが・・・

John Legendの過去記事もご参照下さい。

John Legend『Once Again』(2006年)
Once Again

John Legend『Evolver』(2008年)
Evolver

John Legend & The Roots『Wake Up!』(2010年)
Wake Up
posted by ez at 00:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする