2013年09月22日

Cola & Jimmu『Enigmatic』

Jimi Tenor & Nicole Willisの夫婦デュオによる1stアルバムはソウルフルなヴォーカル・ハウス作品☆Cola & Jimmu『Enigmatic』
Enigmatic
発表年:2013年
ez的ジャンル:ソウルフル・ヴォーカル・ハウス夫婦デュオ
気分は... :アンダーグラウンド・ハウスの妖しい空気・・・

今回は新作の中から、フィンランドのマルチプレーヤーJimi Tenorと彼の公私に渡るパートナーである女性黒人シンガーNicole WillisCola & Jimmu名義でリリースした初の夫婦デュオ・アルバム『Enigmatic』です。

Jimi Tenorについては、以前にジャズとテクノの融合を見事に実現させたフューチャー・ジャズな1stアルバム『Intervision』(1997年)を紹介しています。

N.Y.ブルックリン出身の女性黒人シンガーNicole Willisについては、N.Y.のジャズ・ファンク・グループRepercussionsのメンバーとして当ブログで紹介しています。

近年のJimi Tenorといえば、ベルリンを拠点とするアフロ・ファンク・バンドKabu KabuやアフロビートのパイオニアTony Allenとの共演アルバムをリリースし、アフロ・ファンクへのアプローチを強めていました。

一方、Nicole Willisはフィンランドのソウル・バンドThe Soul Investigatorsとのコラボ・アルバム第2弾『Tortured Soul』を今年リリースしたばかりです。ヴィンテージ感たっぷりの素晴らしいソウル・アルバムに仕上がっています。

そんなJimi TenorとNicole WillisによるCola & Jimmu名義の夫婦デュオ・アルバム第1弾は、ジャズ・アルバムなのか、ソウル・アルバムなのか、それともアフロなのか・・・と様々な憶測を呼んだかもしれませんが、実際に彼らが選択したのはハウスでした。

発売元の謳い文句は"Ce Ce PenistonCrystal Watersを思わせるヴォーカル・ハウス"ということです。

確かに、Nicole Willisのソウルフル・ヴォーカルを前面に押し出したという点では、90年代ヴォーカル・ハウス作品を彷彿させるものかもしれません。しかし、実際の音の質感はそうした作品よりも、むしろStrictly RhythmNervous等当時のN.Y.ハウスを代表するレーベルのコンピ作品に近いですね。よりアンダーグラウンド色の強いハウス・サウンドが満載です。

そうしたアンダーグラウンド・ハウスへのリスペクトと共に、所々にJimi Tenorならではのエスプリが散りばめられています。

当時のN.Y.アンダーグラウンド・ハウス作品を聴いていた人であれば、その空気感を再び味わうことができるはずです。また、当時を知らない人は妖しく倒錯したアンダーグラウンドなハウス・サウンドが新鮮に聴こえるのでは?

全曲紹介しときやす。

「369°Grind」
前のめりなビートにのったNicole Willisのソウルフル・ヴォーカルが印象的なオープニング。音の質感が90年代のN.Y.ハウスっぽくていいですね。軽くアフロビートなスパイスを効かせているのが近年のJimi Tenorらしいのでは?

「Enigmatic」
往年のガラージ好きにはたまらないタイトル曲。アンダーグラウンド・ハウスの妖しげな雰囲気に包まれているのがいいですね。Jimi Tenorらしくサックスで軽くアクセントをつけています。
http://www.youtube.com/watch?v=hNo9nYed83c

「Transcend Our Love」
僕の一番のお気に入り曲。90年代アンダーグラウンド・ハウスのコンピ・アルバムに入っていそうな感じがたまりません。Nicole Willisのヴォーカルも匿名性が高い感じで当時のハウス・フィーリングを上手く醸し出しています。一方、サビの部分は実にメロディアスでキャッチーに仕上げているあたりが心憎いですね。

「Tombstone」
少しBPMを落とした妖しいサウンドが展開されます。90年代アンダーグラウンド・ハウスの魅力であった淡々とした妖しさが漂ってきます。

「So Refined」
Nicole Willisのヴォーカルが満喫できるソウルフル・ハウス。無機質なピアノとサックスが絡むイントロだけでグッときます。

「I Made Up My Mind」
当時の女性ヴォーカル・ハウス作品に入っていそうな曲調であり、Nicole Willisのパンチの効いたヴォーカルが引き立ちます。フルートでアクセントをつけるあたりがJimi Tenorらしいですね。

「Satyricon」
甘く危険な香りのするガラージ・チューン。当時のハウスの持つ倒錯する世界観といった雰囲気が存分に漂ってきます。

「Wild Honey」
Nicole Willisの聴き手を挑発するかのようなヴォーカルにヤラれてしまいます。当時のアンダーグラウンド・ハウス好きの人であれば、たまらないはず!

「Brooklyn Girl」
軽くフィルターをかけたNicole Willisのヴォーカルで煽るヴォーカル・ハウス。大音量で聴いていると知らぬ間にテンションが上がってきます。
http://www.youtube.com/watch?v=DpTxo7bipxQ

「Classified」
ラストもアンダーグラウンド・ハウス感たっぷりに締め括ってくれます。90年代アンダーグラウンド・ハウスの質感を上手く活かしています。

Jimi TenorNicole Willisの近年の作品もチェックを!

Nicole Willis & The Soul Investigators『Keep Reachin Up』(2005年)
Keep Reachin Up

Nicole Willis & The Soul Investigators『Tortured Soul』(2013年)
Tortured Soul

Jimi Tenor & Kabu Kabu『Joystone』(2007年)
Joystone

Jimi Tenor & Kabu Kabu『4th Dimension』(2009年)
4th Dimension

Jimi Tenor & Tony Allen『Inspiration Information, Vol. 4』(2009年)
Inspiration Information, Vol. 4

Jimi Tenor & Kabu Kabu『The Mystery Of Aether』(2012年)
Mystery of Aether
posted by ez at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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