発表年:1993年
ez的ジャンル:UKアシッド・ジャズ/Hip-Hop
気分は... :こういうの好きだったなぁ!
今回はUKアシッド・ジャズ・シーンから登場したユニットDodge City Productions唯一のアルバム『Steppin' Up & Out』(1993年)です。
先週Ghida De Palma(Guida De Palma)の最新作をエントリーした際に本作が未紹介であったことを思い出し、取り上げることにしました。
Dodge City ProductionsはDodgeとIan Grant(IG Culture)から成るユニット。
ブロークンビーツ黎明期の重要人物IG Cultureが在籍していたユニットという点で注目ですね。その後IG Cultureは90年代後半からレーベルMain Squeezeを主宰し、New Sector Movements名義やKaidi TathamとのユニットLikwid Biskitで作品をリリースするなど存在感を示していきます。
まぁ、当時はIG Cultureがそんな重要人物になるとは予想できるはずもなく、純粋にアシッド・ジャズ感覚のHip-Hop作品として本作を楽しんでいました。当時も注目された作品ではありませんが、当時のUKシーンのエッセンスが詰まっている感じが好きでした。
アルバムにはRonny Jordan、IncognitoのJean-Paul "Bluey" Maunick、Mick Talbot、Young DisciplesのMarc Nelson、Ghida De Palma(Guida De Palma)、Brothers Like OutlawのBello B等も参加しています。
プロデュースもIG CultureとDodgeの2人。何曲かでMartin Virgoが共同プロデュースしています。
改めて聴いてみると、アシッド・ジャズとHip-HopとUKクラブミュージックのエッセンスを上手く融合していますね。さらにはラガ調の楽曲もあるあたりがUKらしいですね。
アシッド・ジャズ好きの方は要チェックの1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Unleash Your Love (City Lick Mix) 」
Ghida De Palmaをフィーチャー。グラウンドビート調のミックスによるダンサブルなオープニング。僕もこの手の音を当時好んで聴いていました。
「Together」
Sinden Flowersをフィーチャー。Mick Talbotのキーボードが印象的なソウルフル&ダンサブルな仕上がり。
「As Long As We're Around」
この曲もGhida De Palmaをフィーチャー。Marc Nelsonのベースが牽引するアシッド・ジャズ感覚のダンサブル・チューン。改めて聴くとHip-Hop、ラガ、エスニックなスパイスも効いていて面白いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=_YvvPRIVKTE
「What Colour My Life Is」
Sinden Flowersをフィーチャー。Roy Ayers Ubiquity「Red, Black & Green」、James Brown「The Chicken」ネタのトラックが印象的なアシッドジャズ感覚のHip-Hopチューン。
「Steppin' Up & Out」
タイトル曲はジャジー感覚のHip-Hopチューン。Jazzmatazz系がお好きな人あれば気に入るのでは?
「The Road In Front Of Me」
疾走するアッパーなダンサブル・サウンドにのってラップが絡みます。アシッド・ジャズなスパイスが格好良さを増してくれます。
「Ain't Going For That (Original Demo Mix)」
Michael Wycoff「Looking Up to You」をサンプリングしたトラックが印象的なHip-Hopチューン。
「Jus' Cool」
ジャジー&クールな雰囲気なトラックをバックに、DodgeとIG Cultureのラップが畳み掛けます。
「Young Life (Reminisce) 」
開放的なジャジー・トラックにのって、DodgeとIG Cultureのフロウが冴えます。The Futures「Ain't No Time Fa Nothing」ネタ。
「Understand This」
Brothers Like OutlawのBello BとM.C.M.をフィーチャー。Quincy Jones「Ironside」ネタも織り交ぜた不穏な空気の漂うトラックをバックにマイクリレーが繰り広げられます。Scratch Professorの擦りもいい感じ!
「People (Come On)」
Kay-Gee's「Hustle With Every Muscle」ネタのトラックとラガ・スタイルのラップが印象的です。
「Music Is Music」
Wari Cultureをフィーチャー。この曲もラガ・スタイルです。好き/嫌いは別にしてこのアルバムで一番印象に残っている曲がコレだったりします。Bob Marley & The Wailers「Talkin' Blues」、The Voices of East Harlem「For What It's Worth」ネタ。
「Love Power (Heart, Mind, Soul, Body)」
Jean-Paul "Bluey" Maunick参加。Blueyのギターを堪能できるアシッド・ジャズ・チューンです。
「The Slow Jam」
ラストもアシッド・ジャズなインスト。Maxton "Gig" Beesley Jnr.のヴァイヴが目立っています。
http://www.youtube.com/watch?v=rkzL4f4wbPI
ご興味がある方はIG Culture関連の他作品もチェックを!
IG Cultur『Da Steppas Project』(1996年)
New Sector Movements『Download This』(2001年)
New Sector Movements『Turn It Up』(2004年)
IG Cultur『Zen Badizm』(2008年)
IG Cultur『Soulful Shanghai』(2012年)