2013年11月23日

Womack & Womack『Love Wars』

Bobby Womackの弟とSam Cookeの娘による夫婦デュオ・ソウル☆Womack & Womack『Love Wars』
Love Wars
発表年:1983年
ez的ジャンル:夫婦デュオ系ソウル
気分は... :ビター・スウィート・・・

今回はBobby Womackの弟Cecil WomackとSam Cookeの娘Linda Womackによる夫婦ソウル・デュオWomack & Womackの1stアルバム『Love Wars』(1983年)です。

Cecil Womack(1947-2013年)は、大物ソウル・シンガーBobby Womackの弟であり、兄らと兄弟グループThe Valentinosで活動していました。60年代には人気女性シンガーMary Wellsと結婚していた時期がありました。一方、Linda Womackは1952年、Sam Cookeの娘Linda Cookeとして生まれました。8歳の時、Cecil Womacと出会い、父Sam Cookeの死後はWomack兄弟がLindaの良き相談相手となっていたようです。その後、Mary Wellsと別れたCecilと公私のパートナーとなります。

やがて、夫婦ソウル・デュオWomack & Womackとして活動するようになり、Womack & Womack名義で『Love Wars』(1983年)、『Radio M.U.S.C. Man』(1985年)、『Starbright』(1986年)、『Conscience』(1988年)、『Family Spirit』(1991年)、『Transformation To The House Of Zekkariyas』(1993年)といったアルバムをリリースしています。

二人はソングライターとしても活躍し、Teddy PendergrassPatti LaBelleThe O'JaysGeorge BensonRandy Crawford Eric Clapton等に楽曲提供しています。

1993年には家族で南アフリカへ移住し、The House Of ZekkariyasZek等の名義で作品をリリースしています。しかし、今年2月にCecilが逝去してしました。

1stアルバム『Love Wars』は当時から良質のソウル作品として評価のたかった1枚です。個人的にも高校生の時にリアルタイムで購入し、繰り返しよく聴いていた思い出深い作品です。ただし、高校生にとってはいささかシブめの作品でしたが(笑)

当時は第2次ブリティッシュ・インヴェイジョン全盛期で、そんなヒット曲を気にしつつ、エレクトリック・ファンク/ブラコン作品を好んで聴き始めるようになっていた僕にとって、派手さはなくとも味わい深いソウル作品である本作が逆に新鮮に聴こえた記憶があります。

Stewart Levineがプロデュースを務め、Neil Larsen(syn、el-p、p)、Denzil Miller(key)、Eddie Noble, Jr.(syn)、Nathan East(b)、Abraham Laboriel(b)、James Gadson(ds)、Lenny Castro(per)、Paulinho Da Costa(per)等がレコーディングに参加しています。

さらに、Bobby Womackをはじめ、Naomi Womack Friendly Womack, Sr.Friendly Womack, Jr. Curtis WomackCecil Womack IINoel "Stacy" Womack Mary WellsといったWomackファミリー総動員でバックアップしています。Cecilの前妻Mary WellsはCecilと別れた後、Curtis Womackのパートナーとなっています。

「Express Myself」「Baby I'm Scared of You」「A.P.B.」あたりは、洋酒のお供に最適だと思います。

大人の夫婦ソウルを堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Love Wars」
Cecil Womack/Linda Womack作。Womackファミリーによる素晴らしいコーラスワークと共に始まるオープニング。アルバムからの2ndシングルとしてUKシングル・チャートの第14位となっています。この曲に限っては、オーガニック感覚は薄く、リンドラムの入ったQueen「Another One Bites the Dust」タイプのダンサブル・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=42p0XApwQFw

「Express Myself」
Cecil Womack/Linda Womack/Friendly Womack, Jr.作。James Gadson、Abraham Laboriel、Neil Larsen、Paulinho Da Costaらの好サポートが目立つ、ビター感覚の大人のアーバン・ミディアムです。聴き込みほどに好きになる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=JXDIpzheMRE

「Baby I'm Scared of You」
Eddie Noble, Jr./Cecil Womack/Linda Womack作。今日、本作のハイライトといえば、ガラージ名曲としても人気となった本曲でしょうね。メロウなミディアム・ダンサーは、週末のアーバン・ナイトにフィットします。Lenny Castroのパーカッションが心地好く響きます。
http://www.youtube.com/watch?v=oz9EFYOpoEc

本曲は当ブログでも紹介したLeela JamesSyleena Johnsonがカヴァーしています。また、Angie Stone「I Wasn't Kidding」、Charles Hamilton「Ronald McDonald」のサンプリングソースにもなっています。

Leela James「Baby I'm Scared of You」
 http://www.youtube.com/watch?v=5j5NgbKV-Pg
Syleena Johnson「Baby I'm Scared of You」
 http://www.youtube.com/watch?v=Cb0itj_ajH8

「T.K.O」
Eddie Noble, Jr./Cecil Womack/Linda Womack作。ソウル好きの方にはとってのハイライトは本曲かもしれませんね。Teddy Pendergrassヴァージョンでお馴染みの名曲のセルフ・カヴァーです。アルバムからの1stシングルにもなりました。ただし、本曲の男性リード・ヴォーカルはCecilではなく、Curtis Womackが務めています。テディペン・ヴァージョンの雰囲気を受け継いだ仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=bkuwORjRhws

Teddy Pendergrassヴァージョンが有名かもしれませんが、David Oliverヴァージョンも忘れてはいけませんね。また、8Ball & MJG「Pimps」、Ludacris「What U Smokin On」のサンプリングソースにもなっています。

Teddy Pendergrass「Love T.K.O」
 http://www.youtube.com/watch?v=rV9VuPkIIv4
David Oliver「Love T.K.O」
 http://www.youtube.com/watch?v=u5pop34HvSA
8Ball & MJG「Pimps」
 http://www.youtube.com/watch?v=qxLp2RKXosM
Ludacris「What U Smokin On」
 http://www.youtube.com/watch?v=EHiXBkTXkWc

「A.P.B.」
Friendly Womack, Sr./Cecil Womack/Linda Womack作。ビターな味わいにグッとくるミディアム・チューン。高校生の頃に聴いた時には地味な曲に感じましたが、このシブい味わいがわからないとはお子ちゃまだったんですね(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=fnm_dzX_EW0

「Catch and Don't Look Back」
Cecil Womack/Linda Womack/Naomi Womack作。リアルタイムで聴いていた時に一番好きだった曲がコレ。そのせいか、この曲を聴くと学生時代の思い出が脳裏を過ります。Lindaの伸びやかなヴォーカルが心地好いキャッチーな仕上がりです。今聴いても大好き!
http://www.youtube.com/watch?v=JokkayitR3w

「Woman」
Cecil Womack/Linda Womack作。このデュオの魅力が滲み出てくる大人のバラード。哀愁を帯びたメロディをLindaが歌い上げ、それをCecilが優しくサポートします。Cecilのギター・ソロも聴きどころです。
http://www.youtube.com/watch?v=5SKnzfTOtwc

「Angie」
Mick Jagger/Keith Richards作。The Rolling Stonesの名曲カヴァー。AngieをAngelと置き換えた歌詞で歌われています。そういえば、StonesはThe Valentinosのシングル「It's All Over Now」(Cecil Womack/Bobby Womack作)をカヴァーしていましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=GpR6I_tWsrM

「Good Times」
Cecil Womack/Linda Womack/Bobby Womack作。ラストはグッド・ヴァイヴに溢れたミディアム・ソウルで締め括ってくれます。

Womack & Womackの他作品もチェックを!

『Radio M.U.S.C. Man』(1985年)
Radio M.U.S.C. Man

『Conscience』(1988年)
Conscience

『Transformation To The House Of Zekkariyas』(1993年)
Transformation to the House of Zekkariyas
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2013年11月21日

Soulstance『Act On!』

ラウンジ感覚のエレクトロニクス・クラブジャズが心地好い!☆Soulstance『Act On!』
Act On!
発表年:2000年
ez的ジャンル:Schema系エレクトロニクス・クラブジャズ
気分は... :何がチームを変えたのか・・・

サッカーの国際親善試合「ベルギー対日本」は興奮しましたね。
仕事しながら早朝までに寝ずにいた甲斐がありました。

1ヶ月前の欧州遠征は散々な内容だったのに・・・何がチームを変えたのか、サッカーってわからないものですね。

今回はクラブジャズ・ファンにはお馴染みのユニットSoulstanceの2ndアルバム『Act On!』(2000年)です。

Gianni Lo GrecoEnzo Lo GrecoLo Greco兄弟によるクラブジャズ・ユニットSoulstanceの紹介は、『En Route』(1999年)に続き2回目です。

また、Lo Greco兄弟がプロデューサー&メンバーとして参加したMilano Jazz Dance Combo『Milano Jazz Dance Combo』(2009年)も紹介しています。

2ndアルバムとなる本作『Act On!』も、生音とプログラミングを巧みに融合したスタイリッシュでラウンジ感覚のブラジリアン/ラテン・フレイヴァーのクラブジャズを聴かせてくれます。

プロデュースはLo Greco兄弟Luciano CantoneDavide Rosa。Luciano CantoneはSchemaの創設者の1人であり、The Invisible Sessionのメンバーです。

スキャットが多少入る程度でヴォーカル曲はありませんが、「Kickin' Samba」「Grasping」「Blue Grassland」「Essential Spices」「Mutantes」「Riding The Mambo」といった各種コンピ収録曲が目白押しであり、Schema好きな人にはたまらない1枚に仕上がっています。

エレクトロニクスなラウンジ/クラブジャズ空間が心地好い!

全曲紹介しときやす。

「Blue Grassland」
人の気配のない朝靄の中のラウンジ・チューンといった趣の仕上がり。ボトムの効いたベースと揺らめくフルートの音色が印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=A4Y_3mIDFaE

「The Aftermath Of Love」
Lalo Schifrin作。Steve McQueen主演の映画『Bullitt』の挿入歌をカヴァー。ここではoulstanceらしいエレクトロ・ブラジリアン・ジャズに仕上げています。あくまでもクールな雰囲気がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=h0dxt3tUS1g

「Essential Spices」
クラブジャズのエッセンスを巧み取り入れたダンサブルで幻想的なエレクトロ・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=NwApMsgBoSU

「Kickin' Samba」
本作のハイライト。各種コンピにも収録されたエレクトロ・サンバ・ビーツ。クールなサンバ・ビーツが一気に駆け抜けます。寒い時期が似合うサンバ・ビーツなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=HjkFYqtmxN0

「Inspired By Antonio Carlos」
タイトルの通りAntonio Carlos Jobimからインスパイアされた仕上がり。名曲「Wave」をスタイリッシュなラウンジ・ボッサでまとめあげたような趣です。Fabrizio Bernasconiのフェンダー・ローズがメロウに響きます。
http://www.youtube.com/watch?v=Golox0WURPs

「Mutantes」
女性の掛け声も入ったブラジリアン・ラウンジ。エレクトロなフューチャー感とレトロなラウンジ感をうまく融合させています。
http://www.youtube.com/watch?v=BED8xZw8hPA

「Grasping」
「Kickin' Samba」と並ぶハイライトかもしれません。男性スキャットの入ったアフロ・サンバ調のエレクトロ・クラブジャズ。
http://www.youtube.com/watch?v=9eIg8cF6EYs

「Court Intrigues」
妖しげな香りの漂うエレクトロ・ラウンジ。Massimo Colomboのキーボードが妖しく響きます。
http://www.youtube.com/watch?v=u7lQkBARtZQ
Piano [Fender Rhodes] – Massimo Colombo

「Act On」
タイトル曲はフルートに先導されたエレクトロ・クラブジャズ。クラブジャズの疾走感とクールなエレクトロニクス感が相俟ってたSoulstanceらしい1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=im1D-gNQr-g

「Riding The Mambo」
タイトルの通り、マンボ調のエレクトロ・ラテンジャズ。クール&セクシーなメロウネスがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=PX1AjAU2uWI

「Mainstream」
ラストなスタイリッシュなエレクトロ・ジャズ・サンバです。女性ベーシストAntonella Mazzaのベース&スキャットで参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=D-a-bpB8MT4

Soulstanceの他作品もチェックしてみて下さい。

『En Route』(1999年)
En Route

『Life Size』(2003年)
Life Size

『Lead the Way』(2006年)
Lead the Way
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2013年11月20日

Frederick Knight『I've Been Lonely For So Long』

ニューソウルなサザン・ソウル作品☆Frederick Knight『I've Been Lonely For So Long』
アイヴ・ビーン・ロンリー・フォー・ソー・ロング(紙ジャケット仕様)
発表年:1973年
ez的ジャンル:ニューソウル系サザン・ソウル
気分は... :視線を合わせないように・・・

今回はニューソウルなサザン・ソウル作品Frederick Knight『I've Been Lonely For So Long』(1973年)です。

Frederick Knightは1944年アラバマ生まれ。

1970年に初シングル「Have A Little Mercy (On Me) / Sauerkraut」をリリース。その後名門Stax Recordsとの契約に成功し、シングル・リリースした「I've Been Lonely For So Long」が1972年にヒットします。翌年に同曲を含む1stアルバム『I've Been Lonely for So Long』をリリースしています。

その後Staxで数枚のシングルをリリースした後、Juanaレーベルを設立し、『Knight Kap』(1977年)、『Let the Sunshine In』(1978年)、『Knight Time』(1981年)という3枚のアルバムをリリースしています。

またプロデューサーとして手腕も高く、全米No.1となったAnita Ward「Ring My Bell」をはじめ、The ControllersTommy TateC.L. Blast等の作品を手掛けました。

Anita Ward「Ring My Bell」
 http://www.youtube.com/watch?v=URAqnM1PP5E

そんなFrederickの代表作が1stアルバム『I've Been Lonely for So Long』(1973年)です。

レコーディングはStaxの本拠地メンフィスではなく、Frederickのホームグランドのアラバマで行われました。プロデュースもFrederick Knight自身が手掛けています。バック・コーラスにはSam Deesも参加しています。

濃厚なスタックス色は控えめであり、ニューソウル的なエッセンスもあるため、"南部のCurtis Mayfield"と形容されることもあるようですね。

楽曲は大きくファルセット・ヴォーカルによるスウィート・ソウル、味わい深いヴォーカルのサザン・ソウル、アッパーなファンキー・チューンに分かれます。その3タイプのギャップがなかなか楽しいアルバムでもあります。

でも、僕をこのアルバムに引き寄せたのは、柄の悪い面構えのジャケです(笑)
決して、視線を合わせたくありませんが・・・

全曲紹介しときやす。

「I've Been Lonely For So Long」
Jerry Weaver/Posie Knight作。タイトル曲は彼を代表するヒット曲です。のどかでイナたい南部サウンドとファルセット・ヴォーカルによるアーシー・スウィート・ソウルといった趣がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=qCsdysH6_g8

Mick JaggerやKeisa Brownがカヴァーしています。また、Sol「This Shit」のサンプリングソースになっています。

Mick Jagger「I've Been Lonely for So Long」
 http://www.youtube.com/watch?v=BF4MXrL49EI
Keisa Brown「I've Been Lonely So Long」
 http://www.youtube.com/watch?v=-2GQoE_eLvE
Sol「This Shit」
 http://www.youtube.com/watch?v=MWxFbFXiJ8s

「This Is My Song Of Love To You」
Frederick Knight作。スウィート・ソウル・タイプの仕上がり。美しいストリングスを伴い、ファルセット・ヴォーカルで歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=I2sXcZq7E7I

「Take Me On Home Witcha」
Aaron Varnell/Frederick Knight/Sam Dees作。地声でサザン・ソウルらしい味わいのあるヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=vbATvnP6Xd4

「Friend」
Frederick Knight作。何気ない曲ですが、サザン・ソウルらしい空気を満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=q-gPNV5OkO0

「I Let My Chance Go By」
Harrison Calloway作。ホーン隊が盛り上げてくれるミディアム・チューン。ポジティヴなヴァイヴが伝わってくるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=5gE-39V8zsI

「Your Love's All Over Me」
Aaron Varnell/Frederick Knight/Jesse Boyce/Sam Dees作。それまでから一変したファンキー・グルーヴです。「I've Been Lonely For So Long」ののどかさとは正反対な感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=54bF-cNwHLE

「Pick'um Up, Put'um Down」
Jerry Weaver作。この曲もファンキーに迫ります。好き/嫌いが分かれるのかもしれませんが、個人的にはかなり好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=Kjh-qmzMSQU

「Now That I've Found You」
Marvin Yancy/Tommy Tate作。再びファルセット・ヴォーカルによるスウィート・ソウル。個人的には少し退屈でしょうか。

「Lean On Me」
Aaron Varnell/Frederick Knight作。Bill Withersの名曲とは同名異曲です。しかしながら、雰囲気はかなり共通するものがあります。こちらの「Lean On Me」もなかなか感動的です。
http://www.youtube.com/watch?v=j7aGxcI-g5k

Dom Pachino feat. C-4, Infinite & NLZ「Napalm World」のサンプリングソースになっています。

「Trouble」
Aaron Varnell/Frederick Knight作。イナたさの中に汎カリブなエッセンスも感じられます。
http://www.youtube.com/watch?v=-7fk4cCzxqc

Ginuwine feat. Bun B「Trouble」のサンプリングソースになっています。
Ginuwine feat. Bun B「Trouble」
 http://www.youtube.com/watch?v=rlvkZef2lbI

「Someday We'll Be Together」
Harvey Fuqua/Jackey Beavers/Johnny Bristol作。Diana Ross & the Supremesのヒットでお馴染みの楽曲のカヴァー。Frederickのヴォーカルを堪能できるグッド・カヴァーだと思います。
http://eastzono.seesaa.net/article/127543072.html

Frederick Knightのプロデュース作品もチェックを!

Anita Ward『Songs of Love』(1979年)
Songs Of Love ~ Expanded Edition + Bonus Tracks [from UK]

C.L. Blast『I Wanna Get Down』(1980年)
アイ・ウォナ・ゲット・ダウン
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2013年11月19日

Arto Lindsay『Mundo Civilizado』

N.Y.×ブラジルな翳りのある音世界!☆Arto Lindsay『Mundo Civilizado』
Mundo Civilizado
発表年:1996年
ez的ジャンル:N.Y.×ブラジル系アヴァンギャルド
気分は... :翳りの美学・・・

今回はArto Lindsayが1996年にリリースした『Mundo Civilizado』です。

N.Y.生まれながらブラジル人の心を持つミュージシャンArto Lindsayについて、当ブログでこれまで紹介した作品は以下のとおりです。

 『O Corpo Sutil/The Subtle Body』(1995年)
 『Noon Chill』(1997年)
 『Prize』(1999年)

 Ambitious Lovers『Greed』(1988年)
 Ambitious Lovers『Lust』(1991年)

前回Arto Lindsayを取り上げたのが、2010年8月でした。ちょうどサッカー日本代表の監督がザッケローニに決まったばかりで、僕自身はザッケローニの手腕に疑問を呈するようなコメントを残していました。

振り返れば、その時点で今日の日本代表の姿は全くイメージできなかったですね。本田がブラジルW杯の中心選手になることは予想できましたが、香川や長友が欧州のビッグクラブでプレーしているとは思いませんでし・・・そう考えると、この3年余りの日本サッカーの進歩を感じます。

さて、『Mundo Civilizado』に話を戻しましょう。

『Mundo Civilizado』『O Corpo Sutil/The Subtle Body』(1995年)に続くArto Lindsayの2ndソロとなります(『Envy』を除いています)。

N.Y.とブラジルでレコーディングされた本作でもN.Y.感覚の実験的サウンドとブラジル音楽が融合したArto Lindsayらしい1枚に仕上がっています。あの寂しげな囁きヴォーカルも加わった翳りのある音世界を存分に堪能できます。

Arto Lindsay本人とAndres Levin & Camus Mare Celli(C-n-A)がプロデュースを務めています。

また、一昨年世界リリースされた『Sem Nostalgia』で注目の存在となったLucas Santtanaがプロダクション・アシスタントとしてクレジットされています。

Vinicius CantuariaMarc RibotMelvin GibbsPeter SchererといったArto Lindsay作品でお馴染みのメンバーが参加しています。

それ以外にCarlinhos Brownがバックアップするストリート・パーカッション集団Timbaladaのメンバーや、Bernie Worrell(key)、Amedeo Pace(g)、Romero Lubambo(g)、Dougie Bown(ds)、Don Byron(bass cla)、Jaques Morelenbaum(cello)、Roy Nathanson(sax)、Marcus Rojas(tuba)等が参加しています。さらにDJ Spookyがエレクトロニクスなエッセンスを加えてくれます。

楽曲の面ではMarisa MonteCaetano Velosoとの共作やAl Green、Princeのカヴァーも含まれます。

決して陽気にならない、寂しげで翳りのある音世界は好き/嫌いが分かれるかもしれません。個人的にはArtoの寂しげな囁きヴォーカルを聴いていると何故だか心をリセットできます。

自分の心の弱さや脆さを感じたとき、この静かなるアヴァンギャルドが心を整えてくれます。

全曲紹介しときやす。

「Complicity」
Vinicius Cantuaria/Arto Lindsay作。曲調はArto Lindsayらしい囁きヴォーカルが似合う寂しげなブラジリアン・チューンですがドラムンベースなエッセンスが加わっています。DJ SpookyによるサンプリングとTimbaladaのGustavo de Dalvaによるパーカッションが上手く融合しています。
https://www.youtube.com/watch?v=OlKSv7dNOgs

「Q Samba」
Vinicius Cantuaria/Arto Lindsay作。Arto LindsayらしいN.Y.感覚のブラジリアン・チューンを楽しめます。Peter Schererのキーボードがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=JkEMwcm4vbM

「Simply Beautiful」
Darryl Duncan/Al Green作。Al Greenのカヴァーです。Bernie WorrellのハモンドやMarc Ribotのギターが加わり、ソウルフルな音を聴かせてくれます。ソウルフル・サウンドとArtoの脱力ヴォーカルの組み合わせも案外悪くありません。
http://www.youtube.com/watch?v=rITFOx8HW4I

「Mundo Civilizado」
Arto Lindsay/Marisa Monte作。タイトル曲は歌姫Marisa Monteとの共作。翳りの美学を感じる静かなるアヴァンギャルド感がいいですね。この少し重ための音が結構好きだったりします。
http://www.youtube.com/watch?v=vgDs5RywrSA

「Titled」
Arto Lindsay/Caetano Veloso作。Don Byronによるバスクラリネットが印象的な哀愁サンバ。空虚なムードの中で微かに顔を覗かせる美しいメロディ・・・緻密に計算された音世界だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=Acf8sEqbxC4

「Horizontal」
Vinicius Cantuaria/Melvin Gibbs/Arto Lindsay作。DJ SpookyやMutamassikも加わり、クラブミュージック的なエッセンスを織り込んだアヴァンギャルド・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=hYARn1Lp8gc

「Mar Da Gavea」
Lucas Santtana作。Lucas Santtana作ということで『Sem Nostalgia』で聴かれたブラジリアン・エクスペリメンタルな音世界を期待してしまいすが、良い意味で期待を裏切る美しいアコースティック・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=PGUNudzeTIg

「Imbassai」
Arto Lindsay/Amedeo Pace作。シンプルなバックでArtoが囁く内省的な仕上がり。こういうのもArto Lindsayらしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=IRKnycL1d7U

「Pleasure」
Vinicius Cantuaria/Arto Lindsay作。軽やかなサンバ・チューンなのに、Artoのヴォーカルが入ると陽気モード全開になりません(笑)。でもそれがArto作品の良いところですからね。Jaques MorelenbaumのチェロやGustavo de Dalvaのパーカッションも効いています。
http://www.youtube.com/watch?v=JZHEH6TPX1I

「Erotic City」
Prince殿下のカヴァー。殿下の大ヒット・シングル「Let's Go Crazy」のB面曲でしたね。TimbaladaのメンバーたちによるパーカッションやBernie Worrellのキーボードが加わっていますが、派手になりすぎない抑えたアヴァンギャルド感がグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=tVRze5vJxD8

「Clown」
Vinicius Cantuaria/Arto Lindsay作。ラストはArtoらしい翳りのサンバで締め括ってくれます。DJ Spookyによる薄っすらとしたサウンドコラージュもいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=P4fXoKxeKos

Arto LindsayやAmbitious Loversの過去記事もご参照下さい。

『O Corpo Sutil/The Subtle Body』(1995年)
O Corpo Sutil

『Noon Chill』(1997年)
Noon Chill

『Prize』(1999年)
プライズ

Ambitious Lovers『Greed』(1988年)
Greed

Ambitious Lovers『Lust』(1991年)
Lust
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2013年11月17日

Nick Pride & The Pimptones『Rejuiced Phat Shake』

2ndアルバムはヴォーカル曲が充実したソウルフルな仕上がり☆Nick Pride & The Pimptones『Rejuiced Phat Shake』
リジュースド・ファット・シェイク
発表年:2013年
ez的ジャンル:スパイ・ジャズ系UKソウル/ジャズ・ファンク
気分は... :ソウルフルに迫ります!

当ブログでも紹介した1stアルバム『Midnight Feast Of Jazz』(2011年)が日本でも好評であったUKジャズ・ファンク・グループNick Pride & The Pimptonesの最新2ndアルバム『Rejuiced Phat Shake』です。

踊れるジャズ作品として人気を博した『Midnight Feast Of Jazz』のシャープな躍動感はサイコーでした。個人的には「Come And Get It」の格好良さがたまりませんでしたね。

本作におけるメンバーはNick Pride(g)、Ian Paterson(b)、Oscar Cassidy(ds、per)、Keith Nicholson(tp。flh)、Tom Quilliam(ts、bs、ss)、Chris Hibbard(tb)の6名。相変わらずジャケに写るメンバーの人数が少ないですが(笑)

2ndとなる『Rejuiced Phat Shake』は全14曲中11曲がヴォーカル・チューンというのが前作からの大きな変化です。

前作にも参加していたSusan Hamilton、Jess Robertsをはじめ、Beth Macari、Karen Harding、Dubbul O、Lyndon Anderson、Courtney Velecia、Micky Moran Parker、Renegade Brass Band、Lane Thomas Hewittといった多彩なシンガー/ラッパー/バンドが盛り上げてくれます。

60年代ヴィンテージ・ソウルのフレイヴァーが色濃いのも本作の特徴です。ここまでくるとジャズ・ファンク・バンドというよりもソウル・バンドといった形容の方が相応しいかもしれません。そうはいってもThe Pimptonesらしいスパイ・ジャズなエッセンスは随所に散りばめられているので、ファンの方はご安心を!

60年代ヴィンテージ・ソウル+スパイ・ジャズなニュー・ピンプトーンズ・サウンドを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Rejuiced Phat Shake」
エレガントなストリングに続き、Nickのギター・カッティング、ホーン・アンサンブルへ展開するアルバムのイントロ的なインスト。

「Take Care Of My Love」
Susan Hamiltonをフィーチャー。アルバムからのリード・シングルです。60年代モータウンのエッセンスを取り入れた軽快でキャッチーな仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=wn0kZURiGRU

「Second Hand Wife」
Jess Robertsをフィーチャー。こちらは同じ60年代でもアトランティック系といった雰囲気のソウル・フィーリングに溢れたミッド・チューン。

「Why Does My Man Got To Be So Tough」
Beth Macariをフィーチャー。格好良すぎるドラムブレイクに続き、 Beth Macariのハスキー・ヴォイスがセクシーに響くUKスパイ・ジャズらしい1曲。The Pimptones好きの人はこういった曲を期待しているはずです。

「Soul Food Strut」
ファンキーな中にもリラックスした雰囲気があるインスト・チューン。キレのあるホーン隊とNickのギター

「Everythings Better In The Summertime」
Karen Hardingをフィーチャー。僕の一番のお気に入り。ポップ&グルーヴィーなソウル・チューンです。カラっとした明るさがあっていいですね。個人的にはRobin McKelle & The Flytones一緒に聴きたくなります。

「Non Stop」
Dubbul Oをフィーチャー。哀愁ラテン・ジャズなサウンドにDubbul Oのラップが絡みます。

「Walkin Out The Door」
Lyndon Andersonのハーモニカ&ヴォーカルをフィーチャー。ミシシッピ・フレイヴァーのブルージー・チューン。

「It's a Love Thing」
Courtney Veleciaをフィーチャー。軽快かつポップな60年代調のファンキー・チューン。キュートなCourtney Veleciaのヴォーカルが栄えます。

「Interlude」
ブルージーなインタールード。

「Wanna Treat You Right」
Micky Moran Parkerをフィーチャー。ブルージーなソウル・サウンドとVan Morrison的な佇まいのあるMicky Moran Parkerの激シブ・ヴォーカルにグッときます。

「Go With It」
Renegade Brass Bandをフィーチャー。カリプソ・フレイヴァーのブラス・サウンドにラップが絡むという実にユニークな1曲です。

「99 Reasons」
Lane Thomas Hewittをフィーチャー。The Pimptonesらしいスパイ・ジャズ的なエッセンスと本作らしいソウル・サウンドが上手く調和した1曲。Lane Thomas Hewittのソウルフル・ヴォーカルや格好良いドラム・ブレイクやベースラインにもグッときます。

「Hex On My Soul」
Courtney Veleciaをフィーチャー。ラストはCourtney Veleciaの哀愁ヴォーカルをフィーチャーしたバラードで幕を閉じます。

『Midnight Feast Of Jazz』(2011年)
ミッドナイト・フィースト・オブ・ジャズ

『After Midnight Feast Of Jazz』(2012年)※リミックス集
アフター・ミッドナイト・フィースト・オブ・ジャズ
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