2013年11月19日

Arto Lindsay『Mundo Civilizado』

N.Y.×ブラジルな翳りのある音世界!☆Arto Lindsay『Mundo Civilizado』
Mundo Civilizado
発表年:1996年
ez的ジャンル:N.Y.×ブラジル系アヴァンギャルド
気分は... :翳りの美学・・・

今回はArto Lindsayが1996年にリリースした『Mundo Civilizado』です。

N.Y.生まれながらブラジル人の心を持つミュージシャンArto Lindsayについて、当ブログでこれまで紹介した作品は以下のとおりです。

 『O Corpo Sutil/The Subtle Body』(1995年)
 『Noon Chill』(1997年)
 『Prize』(1999年)

 Ambitious Lovers『Greed』(1988年)
 Ambitious Lovers『Lust』(1991年)

前回Arto Lindsayを取り上げたのが、2010年8月でした。ちょうどサッカー日本代表の監督がザッケローニに決まったばかりで、僕自身はザッケローニの手腕に疑問を呈するようなコメントを残していました。

振り返れば、その時点で今日の日本代表の姿は全くイメージできなかったですね。本田がブラジルW杯の中心選手になることは予想できましたが、香川や長友が欧州のビッグクラブでプレーしているとは思いませんでし・・・そう考えると、この3年余りの日本サッカーの進歩を感じます。

さて、『Mundo Civilizado』に話を戻しましょう。

『Mundo Civilizado』『O Corpo Sutil/The Subtle Body』(1995年)に続くArto Lindsayの2ndソロとなります(『Envy』を除いています)。

N.Y.とブラジルでレコーディングされた本作でもN.Y.感覚の実験的サウンドとブラジル音楽が融合したArto Lindsayらしい1枚に仕上がっています。あの寂しげな囁きヴォーカルも加わった翳りのある音世界を存分に堪能できます。

Arto Lindsay本人とAndres Levin & Camus Mare Celli(C-n-A)がプロデュースを務めています。

また、一昨年世界リリースされた『Sem Nostalgia』で注目の存在となったLucas Santtanaがプロダクション・アシスタントとしてクレジットされています。

Vinicius CantuariaMarc RibotMelvin GibbsPeter SchererといったArto Lindsay作品でお馴染みのメンバーが参加しています。

それ以外にCarlinhos Brownがバックアップするストリート・パーカッション集団Timbaladaのメンバーや、Bernie Worrell(key)、Amedeo Pace(g)、Romero Lubambo(g)、Dougie Bown(ds)、Don Byron(bass cla)、Jaques Morelenbaum(cello)、Roy Nathanson(sax)、Marcus Rojas(tuba)等が参加しています。さらにDJ Spookyがエレクトロニクスなエッセンスを加えてくれます。

楽曲の面ではMarisa MonteCaetano Velosoとの共作やAl Green、Princeのカヴァーも含まれます。

決して陽気にならない、寂しげで翳りのある音世界は好き/嫌いが分かれるかもしれません。個人的にはArtoの寂しげな囁きヴォーカルを聴いていると何故だか心をリセットできます。

自分の心の弱さや脆さを感じたとき、この静かなるアヴァンギャルドが心を整えてくれます。

全曲紹介しときやす。

「Complicity」
Vinicius Cantuaria/Arto Lindsay作。曲調はArto Lindsayらしい囁きヴォーカルが似合う寂しげなブラジリアン・チューンですがドラムンベースなエッセンスが加わっています。DJ SpookyによるサンプリングとTimbaladaのGustavo de Dalvaによるパーカッションが上手く融合しています。
https://www.youtube.com/watch?v=OlKSv7dNOgs

「Q Samba」
Vinicius Cantuaria/Arto Lindsay作。Arto LindsayらしいN.Y.感覚のブラジリアン・チューンを楽しめます。Peter Schererのキーボードがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=JkEMwcm4vbM

「Simply Beautiful」
Darryl Duncan/Al Green作。Al Greenのカヴァーです。Bernie WorrellのハモンドやMarc Ribotのギターが加わり、ソウルフルな音を聴かせてくれます。ソウルフル・サウンドとArtoの脱力ヴォーカルの組み合わせも案外悪くありません。
http://www.youtube.com/watch?v=rITFOx8HW4I

「Mundo Civilizado」
Arto Lindsay/Marisa Monte作。タイトル曲は歌姫Marisa Monteとの共作。翳りの美学を感じる静かなるアヴァンギャルド感がいいですね。この少し重ための音が結構好きだったりします。
http://www.youtube.com/watch?v=vgDs5RywrSA

「Titled」
Arto Lindsay/Caetano Veloso作。Don Byronによるバスクラリネットが印象的な哀愁サンバ。空虚なムードの中で微かに顔を覗かせる美しいメロディ・・・緻密に計算された音世界だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=Acf8sEqbxC4

「Horizontal」
Vinicius Cantuaria/Melvin Gibbs/Arto Lindsay作。DJ SpookyやMutamassikも加わり、クラブミュージック的なエッセンスを織り込んだアヴァンギャルド・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=hYARn1Lp8gc

「Mar Da Gavea」
Lucas Santtana作。Lucas Santtana作ということで『Sem Nostalgia』で聴かれたブラジリアン・エクスペリメンタルな音世界を期待してしまいすが、良い意味で期待を裏切る美しいアコースティック・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=PGUNudzeTIg

「Imbassai」
Arto Lindsay/Amedeo Pace作。シンプルなバックでArtoが囁く内省的な仕上がり。こういうのもArto Lindsayらしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=IRKnycL1d7U

「Pleasure」
Vinicius Cantuaria/Arto Lindsay作。軽やかなサンバ・チューンなのに、Artoのヴォーカルが入ると陽気モード全開になりません(笑)。でもそれがArto作品の良いところですからね。Jaques MorelenbaumのチェロやGustavo de Dalvaのパーカッションも効いています。
http://www.youtube.com/watch?v=JZHEH6TPX1I

「Erotic City」
Prince殿下のカヴァー。殿下の大ヒット・シングル「Let's Go Crazy」のB面曲でしたね。TimbaladaのメンバーたちによるパーカッションやBernie Worrellのキーボードが加わっていますが、派手になりすぎない抑えたアヴァンギャルド感がグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=tVRze5vJxD8

「Clown」
Vinicius Cantuaria/Arto Lindsay作。ラストはArtoらしい翳りのサンバで締め括ってくれます。DJ Spookyによる薄っすらとしたサウンドコラージュもいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=P4fXoKxeKos

Arto LindsayやAmbitious Loversの過去記事もご参照下さい。

『O Corpo Sutil/The Subtle Body』(1995年)
O Corpo Sutil

『Noon Chill』(1997年)
Noon Chill

『Prize』(1999年)
プライズ

Ambitious Lovers『Greed』(1988年)
Greed

Ambitious Lovers『Lust』(1991年)
Lust
posted by ez at 03:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする