2013年12月14日

Jon Hendricks『Tell Me The Truth』

変幻自在の男性ジャズ・ヴォーカル!Ben Sidranプロデュース☆Jon Hendricks『Tell Me The Truth』
テル・ミー・ザ・トゥルース
発表年:1975年
ez的ジャンル:変幻自在男性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :東国原氏ではありません(笑)

今回は革新的なヴォーカル・スタイルで50年代後半から活躍する男性ジャズ・ヴォーカリストJon Hendricksが1975年にリリースしたソロ作品『Tell Me The Truth』です。

フリーソウル好き、クラブジャズ好きの人にとってはお馴染みの人気作ですね。

Jon Hendricksは1921年オハイオ州生まれ。1957年に共同活動を続けていたDave Lambert、イギリス出身の女性シンガーAnnie Rossとジャズ・コーラス・グループLambert, Hendricks & Ross(LH&R)を結成します。

LH&Rはヴォーカリーズをモダン・ジャズ・コーラスに取り入れた先駆け的グループとしてジャズ界に衝撃を与えました。当ブログでも彼らの代表作『The Hottest New Group In Jazz』(1959年)を紹介済みです。

1962年にAnnie Rossが病気を理由に脱退し、グループの歴史は幕を閉じます。その後、Lambert、Hendricksの2人はセイロン(現スリランカ)出身の黒人女性シンガーYolande Bavanをメンバーに迎え、Lambert, Hendricks & Bavanとして活動を続けます。しかし、Dave Lambertが1966年に交通事故で他界してしまいます。

60年代後半からは拠点をロンドンへ移し、1972年にはドイツでのライブ盤『Cloudburst』をリリースしています。

そんなHendricksが再びアメリカに戻り、Aristaと契約して久々にリリースしたスタジオ録音アルバムが『Tell Me The Truth』(1975年)です。

"Dr.Jazz"Ben Sidranがプロデュースを務め、その人脈でBoz Scaggsもレコーディングに参加しています。Boz以外にも妻Judith HendricksThe Pointer Sistersなども参加しています。

Hendricksらしい変幻自在のヴォーカリーズ・スタイルに加え、しっとりとしたバラード、ジャズ・サンバ、ファンキー・グルーヴなどバリエーションに富んだ内容になっています。

ジャズ・ヴォーカル好き以外に、クラブジャズ好き/フリーソウル好きも楽しめる間口の広い1枚だと思います。

それにしてもこのジャケ、見れば見るほど東国原氏に見えてくる・・・(笑)

全曲紹介しときやす。

「Flat Foot Floogie」
Slim Gaillard作。Hendricks、妻Judith、Pointer Sistersによるヴォーカリーズを満喫できるHendricksらしい小粋なオープニング。やはり、こういった演奏がJon Hendricksらしいですね。

「Naima」
John Coltrane作の名曲をカヴァー。当ブログでは『Live At The Village Vanguard Again!』のColtraneヴァージョンや、Gene HarrisPucho & His Latin Soul BrothersDoug CarnTom Scottのカヴァーを紹介済みです。この幻想的なバラードを、ここでは品格のあるビューティフル・バラードで聴かせてくれます。

「No More」
Hubert Laws作。Hubert Laws自身のヴァージョンは『Laws' Cause』(1969年)、『Morning Star』(1972年)で聴くことができます。「I'll Bet You Thought I'd Never Find You」と並ぶロンドン・ジャズ・クラシック。ファンキー&グルーヴィー・サウンドが実に心地好いです。Boz Scaggsもギター・ソロで盛り上げてくれます。

「On The Trail」
Ferde Grofe作。「Grand Canyon Suite(グランド・キャニオン組曲)」の中の1曲で、多くにジャズ・ミュージシャンによって演奏されているスタンダード。当ブログではDonald Byrdのカヴァーを紹介済みです。ここではHendricksらしい緩急をつけた変幻自在のヴォーカリーズで楽しませてくれます。特にエキサイティングな終盤にはグッときます。

「Tell Me The Truth」
Jon Hendricks作。本作唯一のオリジナル。出だしはボッサ・ジャズですが中盤以降はファンキー・グルーヴへ変貌します。そして、終盤は再びボッサ・ジャズで楽しませてくれます。

「Old Folks」
1938年にDedette Lee Hill/Willard Robinsonによって作られたスタンダード。当ブログではMiles DavisKenny DorhamLincoln Brineyのカヴァーを紹介済みです。センチメンタル・ムードたっぷりのバラードを枯れたヴォーカルでしっとりと歌い上げます。

「I'll Bet You Thought I'd Never Find You」
Les McCann作。フリーソウル・クラシック、ロンドン・ジャズ・クラシックとしてもお馴染みの1曲。僕もフリーソウルのコンピ『Free Soul Visions』で本曲を聴いたのがJon Hendricksとの出会いでした。軽快なジャズ・サンバをバックに、Hendricksの軽やかなヴォーカルを聴かせてくれます。Hendricksのヴォーカルに寄り添うHadley Calimanのフルートもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=h-zfXnUoujE

この曲といえば、United Future Organization(U.F.O)もカヴァーしていましたね。こちらも当時よく聴きました。
United Future Organization「I ll Bet You Thought I'd Never」
 http://www.youtube.com/watch?v=x2MJsrtNOvc

「Blues For Pablo」
Gil Evans作。Miles Davis『Miles Ahead』でお馴染み、二人のPablo(パブロ・ピカソ、パブロ・カザルス)に捧げれた楽曲です。ここでは『Miles Ahead』の演奏をヴォーカリーズ・スタイルで再現しています。ジャズ・ヴォーカリーズの素晴らしさを実感できる1曲です。

『Salud! Joao Gilberto Originator of the Bossa Nova』(1963年)
ジャイヴ・サンバ~ジョアン・

『Cloudburst』(1972年)
Cloudburst
posted by ez at 12:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする