2013年12月30日

Elis Regina『Elis (1977)』

円熟味を増した国民的歌手の心穏やかな1枚☆Elis Regina『Elis (1977)』
Elis 1977
発表年:1977年
ez的ジャンル:国民的歌手系MPB
気分は... :ラストはElisで締め!

明日は毎年恒例の『ezが選ぶ2013年の10枚』をエントリーするので、通常エントリーは今回が最後となります。2013年最後の1枚にセレクトしたのはElis Regina『Elis (1977)』(1977年)です。

これまで当ブログで紹介してきたブラジルの国民的歌手Elis Reginaの作品は以下の10枚。

 『Elis Especial』(1968年)
 『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
 『Aquarela Do Brasil』(1969年) ※Toots Thielemansとの共演
 『Elis Regina in London』(1969年)
 『Em Pleno Verao』(1970年)
 『Ela』(1971年)
 『Elis (1972)』(1972年)
 『Elis (1973)』(1973年)
 『Elis (1974)』(1974年)
 『Essa Mulher』(1978年)

前にも書きましたが、『Elis』のタイトルのオリジナル・アルバムを1966年、1972年、1973年、1974年、1977年、1980年にリリースしているのでややこしいです。区別するために、便宜上タイトルの後にリリース年を表記しています。

今回紹介する『Elis (1977)』はこの時期のElisの充実ぶりを示す1枚であり、派手さはありませんが「Caxanga」、、「Qualquer Dia」「Romaria」など名唱がズラリと並ぶ名盤だと思います。

Milton NascimentoIvan LinsJoao Boscoといった実力派アーティストの作品以外に、Renato TeixeiraClaudio Lucciといった気鋭のアーティストの作品も取り上げています。Renato Teixeiraはムジカ・カイピーラ(ブラジル田舎音楽)を代表するアーティストですが、本作で彼の作品をElisが取り上げたことで注目されるようになりました。

公私のパートナーCesar Camargo Marianoがプロデュース/アレンジを担当し、レコーディングにはMilton NascimentoIvan Lins、Lucinha Lins(Ivanの奥方)、Sirlan、Ze Luiz等も参加しています。

この年は娘Maria Ritaを出産した年ですが、レコーディング時Mariaは母のお腹の中でこれらの名唱を聴いていたのでは?

国民的歌手Elisの風格が漂う1枚です。
1年の聴き納めに相応しい1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Caxanga」
Milton Nascimento/Fernando Brant作。作者Milton Nascimentoが12弦ギターとコーラスで参加しています。MiltonのミナスらしメロディをElisが力強いヴォーカルで歌い上げます。Miltonの曲力とElisの歌力が見事に融合した名演です。
http://www.youtube.com/watch?v=XSrEJf3kALc

「Colagem」
Claudio Lucci作。軽快なメロディにのって、Elisもリラックスしたヴォーカルを聴かせてくれます。適度にロッキンなサウンドもいいですね。終盤は雰囲気が一変し、ミステリアスなムードとなります。
http://www.youtube.com/watch?v=gt0KuREstY4

「Vecchio Novo」
Jose Marcio Pereira/Claudio Lucci作。哀愁のメロディを緩急織り交ぜて歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=q_pgmpZ5irc

「Morro Velho」
Milton Nascimento作。美しいギターの響きをバックに、Elisの噛みしめるようなヴォーカルが胸の奥へジワジワ響いてきます。当ブログではChristiane Legrandのカヴァーも紹介済みです。
http://www.youtube.com/watch?v=tL50wt6kxig

「Qualquer Dia」
Vitor Martins/Ivan Lins作。Ivan Lins自身のヴァージョンは『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)に収録されています。本ヴァージョンは作者Ivan Linsのピアノ&コーラスをバックに、Elisが淡く切ない思いを感動的なヴォーカルで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=KLnZxYGZfU0 ※ライブ音源

「Romaria」
Renato Teixeira作。邦題「巡礼」。本作を代表する名曲かもしれませんね。素朴なサウンドをバックにElisが感動的なヴォーカルで歌い上げます。Elisの偉大さを再認識できる名唱ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=KwkjS_OXbX8

「A Dama do Apocalipse」
Crispin Del Cistia/Nathan Marques作。本作のレコーディングにも参加しているCesar Camargo Marianoのバンド・メンバー2人の作品。そのせいかバンド・サウンドが色濃い仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=5_iZfZe1LFw

「Cartomante」
Vitor Martins/Ivan Lins作。Ivan Lins自身のヴァージョンは『Nos Dias De Hoje』に収録されています。この曲も名曲ですね。曲良し、歌良し、アレンジ良しと三拍子揃っています。作者Ivan Lins、奥方のLucinha Lins、Ze Luiz等が加わったコーラスが盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=-VGIFvAohtw

「Sentimental Eu Fico」
Renato Teixeira作。派手さはありませんが、ここでもCesar Camargo Marianoのアレンジ・センスが光ります。メロウ・サウンドをバックにしたElisのしっとりとしたヴォーカルに魅了されます。
http://www.youtube.com/watch?v=cS0vQbiTP6M

「Transversal do Tempo」
Aldir Blanc/Joao Bosco作。ラストはJoao Bosco作品。哀愁のメロディを情感豊かに歌い上げる美しいバラードです。
http://www.youtube.com/watch?v=cwi_T2Zx8-k

Elis Regina作品の過去記事もご参照下さい。

『Elis Especial』(1968年)
エリス・エスペシアル

『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
コモ・イ・ポルケ+4

『Aquarela Do Brasil』(1969年)
ブラジルの水彩画

『Elis Regina in London』(1969年)
イン・ロンドン

『Em Pleno Verao』(1970年)
エン・プレノ・ヴァラオン

『Ela』(1971年)
エラ 1971

『Elis (1972)』(1972年)
Elis

『Elis (1973)』(1973年)
Elis 1973

『Elis (1974)』(1974年)
人生のバトゥカーダ

『Essa Mulher』(1978年)
或る女(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする