2014年02月07日

Jackie DeShannon『Your Baby Is A Lady』

シティ・ソウルにアプローチした異色作☆Jackie DeShannon『Your Baby Is A Lady』
ユア・ベイビー・イズ・ア・レイディ
発表年:1974年
ez的ジャンル:女性SSW系シティ・ソウル
気分は... :風雲急を告げる・・・

Jackie DeShannonは1944年ケンタッキー州生まれの女性シンガー・ソングライター。

1956年にSherry Lee名義でデビュー。1960年代に入ると、Sharon SheeleyとのコンビでBrenda Lee「Dum Dum」、The Fleetwoods「(He's) The Great Impostor」等のヒット曲を提供します。

1964年には彼女の楽曲「Needles And Pins」「When You Walk in the Room」をThe Searchersがカヴァーし、2曲共にUKで大ヒットさせました。同年にはThe Beatlesの米国ツアーに同行し、Ry Cooderと共にバンドを結成し、前座も務めました。

また、フォーク・ロックにも影響を与え、The Byrdsのデビュー・アルバム『Mr. Tambourine Man 』(1965年)には彼女の楽曲「Don't Doubt Yourself, Babe」が収録されています。

1965年には自身初の全米ヒット(全米チャート第7位)「What The World Need Now Is Love」を放っています。ただし、この曲は自身のペンによるものではなく、Hal David/Burt Bacharach作品ですが。1969年には自作曲「Put a Little Love in Your Heart」を大ヒット曲(全米チャート第4位)させました。

1975年にリリースしたアルバム『New Arrangement』には、Kim Carnesが1981年に大ヒットさせ、グラミーも受賞した「Bette Davis Eyes」が収録されています。

"元祖女性シンガー・ソングライター"、"美貌シンガー・ソングライター"と称されるJackie DeShannon。1963年から1970年代後半かけてコンスタントにアルバムをリリースしていますが、代表作となると何になるんですかね?僕も彼女のアルバムをきちんとフォローしているわけではないので、よくわかりません。サバービア好きの人であれば、『Me About You』(1968年)がお馴染みですね。

今回紹介する『Your Baby Is A Lady』(1974年)は、 Atlantic移籍第2弾アルバムです。前作『Jackie』(1972年)はJerry Wexler、Arif Mardin、Tom Dowdという強力トリオがプロデュースし、メンフィスでレコーディングしたカントリー・ソウル的な作品でしたが、本作『Your Baby Is A Lady』はN.Y.の腕利きスタジオ・ミュージシャンを多数起用したシティ・ソウル的な作品に仕上がっています。

レコーディングには、Cornell Dupree(g)、Hugh McCracken(g)、Keith Loving(g)、William Salter(b)、Richard Tee(p、org)、Arthur Jenkins(el-p、org)、Ken Bichel(syn)、Steve Gadd(ds)、Ralph MacDonald(per)、David Newman(sax)、Garnett Brown(tb)、Cissy Houston(back vo)、Deidre Tuck(back vo)、Gwen Guthrie(back vo)、Judy Clay(back vo)、J.R. Bailey(back vo)等が参加しています。

プロデュースはArthur Jenkins、Ralph MacDonald、William Eaton、William SalterによるチームAntisia Musicが担当しています。

僕が本作を購入したのも、Jackie DeShannonへの興味と共に、参加したスタジオ・ミュージシャンからシティ・ソウル的なサウンドを期待してのものです。全編モロにシティ・ソウルという訳ではありませんが、都会的なメロウ・サウンドをバックにしたブルーアイド・ソウルを楽しめます。

自作曲は3曲のみなので、シンガー・ソングライターの実力全開とはいきませんが、エヴァーグリーンな魅力を持つ楽曲が多いのがいいですね。

Jackie DeShannonらしいアルバムとは呼べないのかもしれませんが、僕好みの内容に満足できる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Small Town Talk」
Bobby Charles/Rick Danko作。Bobby CharlesがThe BandのRick Dankoと共作した名曲をカヴァー。オリジナルは『Bobby Charles』(1972年)に収録されています。Jackieヴァージョンは、レゲエ調の心地好い和み系カヴァーに仕上がっています。

Bobby Charles「Small Town Talk」
http://www.youtube.com/watch?v=BeWoWMj0EE0

「Jimmie, Just Sing Me One More Song」
Vicki Gellman/Wendy Gell作。エヴァーグリーンな魅力を持つポップ・チューン。アルバムからの2ndシングルにもなりました。なかなかキュンときます。

「I Won't Let You Go」
Ralph MacDonald/William Salter作。ソウルフルな味わいの仕上がり。Jackieのヴォーカルもパワフルです。Garnett Brownがトロンボーン・ソロで盛り上げてくれます。

「(If You Never Have A Big Hit Record) You're Still Gonna Be My Star」
Doc Pomus/Myles Chase作。美しいバラードを味わい深く歌い上げます。タイトル、歌詞ともにJackieが歌うと意味深ですね。

「Your Baby Is A Lady」
Donna Weiss/Jackie DeShannon作。タイトル曲はアルバムからの第1弾シングルにもなりました。メロウかつ穏やかなシティ・サウンドは僕好み。Jackieのヴォーカルも爽快です。

「You Touch And You Go」
Jackie DeShannon/Vini Poncia作。Melissa Manchesterのプロデュース等でも知られるVini Ponciaとの共作。ブルーアイド・ソウル的な味わいにグッとくる1曲。Cissy Houstonらのバック・コーラスがソウル・フィーリングを高めてくれます。

「The Other Side Of Me」
Howard Greenfield/Neil Sedaka作。オリジナルはNeil Sedakaが10ccと組んだアルバム『The Tra-La Days Are Over』(1973年)に収録されています。この曲もエヴァーグリーンな魅力を持つ好カヴァーに仕上がっています。バック・コーラスにはJ.R. Baileyも参加しています。

Neil Sedaka「The Other Side Of Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=885sE3mALiM

「That's What I'm Here For」
Steven Schwartz作。キュートな魅力に溢れたメロウ・バラード。キュートな歌声で愛する人への献身を健気に歌うJackieにグッときます。

「You've Changed」
Jackie DeShannon/Vini Poncia作。ちょっぴり切ないブルーアイド・ソウル。本作らしいシティ・ソウル・フィーリングを満喫できます。重厚なバック・コーラス隊も素晴らしいです。

「I Don't Know What's The Matter With My Baby」
Ralph MacDonald/William Salter作。ラストなメロウなシティ・サウンドのミディアム・チューンで締め括ってくれます。スティール・ドラムがいいアクセントになっています。サウンド的にはコレが一番好きですね!

Jackie DeShannonの他作品もチェックを!

『Jackie DeShannon』(1963年)
Jackie Deshannon

『Breakin' It Up On The Beatles Tour!』(1964年)
Breakin' It Up on the Beatles Tour!

『Are You Ready For This?』(1966年)
Are You Ready for This?

『For You』(1967年)
For You

『Me About You/To Be Free』(1968年、1971年) ※2in1CD
Me About You / To Be Free

『What The World Needs Now Is Love』(1968年)
世界は愛を求めている(紙ジャケット仕様)

『Laurel Canyon』(1968年)
Laurel Canyon

『Put A Little Love In Your Heart』(1969年)
Put a Little Love in Your Heart

『Songs』(1971年)
Songs

『Jackie』(1972年)
ジャッキー

『New Arrangement』(1975年)
ニュー・アレンジメント
posted by ez at 02:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする